【登場人物】
提督(156)
賢くない眼鏡
五月雨(51)
髪長駆逐艦
由良さん(2)
何度かちょいちょい名前だけ出てた髪長軽巡
「……です、えー…本日からこの基地の責任者を任されました、ヨロシク」
たった3人しか居ない執務室、俺の目の前には微妙な顔とテンションで拍手をする青髪ロングと白髪?白髪のような淡いなんか一味付いたような色のこれまたロングが微妙な顔とテンションで拍手をしていた
「とりあえず、最初だし自己紹介でもして貰おうか、まずは…青髪の」
「白露型駆逐艦の五月雨です!一緒懸命頑張ります!」
配属の任を受ける際、大将殿のとこで既に会っていた青髪ロングはこれから始まるであろう胸ワクワクの海洋ロマンと言う名の大冒険に目をキラキラとさせていた
「で?もう1人、えー…君は?」
「長良型軽巡四番艦の由良です、ヨロシクね」
軽巡か…たしか駆逐艦よりタフでガッツがあるんだっけか、一応、大将殿から最初だしトクベツに超カッコいいのを配属してやろうと言われ、とりあえずなんか数字を選べみたいな事を言われた俺は迷わずオール300を選択、狂気の沙汰程面白い…っ!ギリギリまでいく!と貰った全資材を全て賭けた………どうやらその結果、この白髪ロングが配属されたらしい
「由良さんな、わかった」
とりあえず、俺たちは手にした紙コップを持ち、カンパーイとカンパイを交わし、我ら3人、アメリカ生まれのヒップホップ育ちであろうとも死する時は何があろうと他の2人を引きずって地獄への道連れにしような!と誓い、着任の初日を終えた……
◆◆◆
長良型四番艦由良、五月雨と同じく、この基地では最古参であり、結成当初のチームを支えた偉大なる大エース
結成当時の無茶振り作戦に何度となく参加し、その白髪を振り回して暴れ回る姿はまさしく夜叉、自慢の白髪が赤く染まって帰投しても、“ラムレーズン”が“ストロベリーチップ”になっちゃったネ♡と小粋な由良ジョークが言えるプッツンぶりもあり、今でもあの高雄や愛宕がビビって頭が上がらない…
そして、そんな由良さんが改二と言う名の新しい力を手に入れた事を皆が喜び、今日は倶楽部HO-SHOWを貸し切りにして由良さんの為に祝宴が開かれていた…
「チッス!由良さん!本日はおめでとうございます!」
「新しい由良さんメチャシブいっす!」
普段はチンピラ同然の高雄や妙高などがヘコヘコと頭を下げ、メチャシブいっすとかマジカッケーっすとか言いながら花束やら無駄に気合いの入った包装の箱を次々に並んでいき、由良さんは由良さんで、いいからいいからと言いながら今日はBreak-onでいこうよと気さくに話しかけていた
「相変わらず由良さんは人気者だな」
「そりゃ人気者である事に悪い気はしないけど…」
「ふ〜ん、そうそう…これは提督からのお祝いだ、受け取ってくれたまえ」
俺はポケットから無造作に取り出したブツを由良さんの手に渡してやった
「ナニコレ?指輪?」
「あぁ、それをウィザード●イバーにかざせばシャバドゥビタッチヘンシーンしてイーンフィニティーして俺が最後の希望になれるそうだ」
「…普通にいらないんだけど?」
「だろうな、提督もいらない」
夕張のアホから貰った普通にいらないゴミをダストシュートに超々高弾道シュートで放り込み、俺は眼鏡をクイっと上げてポケットから取り出したガムを由良さんに渡した
「ショボっ…」
「ショボくない、提督だ」
「まぁ今更だし、どうでもいいけど…」
由良さんは空になったグラスをテーブルに置き、一言、ビールとだけ言うと隣に座る五月雨が雑にビールを注ぎ、泡がドボドボと溢れ出した
「…相変わらず下手くそね」
「苦手なんですよ」
「ギスギスすんな、ギスギス」
とりあえず、俺たちはそれぞれグラスを手に取り、激突しても割れない絶妙な力加減でカンパイを交わした
「それじゃ、3人の友情に友情カンパーイ」
「は?」
「友情とかあるワケないじゃない?ね?」
「2人して全否定するんじゃないよ、提督だって傷つく時は傷つくんだぞ」
コイツら……付き合いが長いからって俺を舐めくさりやがって、よし決めた!俺が軍の上にいったらコイツら海軍本部の広場で処刑してやる
「ときに由良さん」
「ナニ?」
「新しくなった由良さんってなんか変わったのか?」
「………服?」
いや、そりゃ見ればわかるってばよ、そうじゃない、そうじゃないんだ、俺が聞きたいのはそーゆーどうでもいいコトじゃない
「性能的なコトですよ、たぶん」
「あぁ、そーゆーこと…」
五月雨はオレンジジュースをテーブルに置き、パサついたクラッカーをボリボリと食べながら由良さんの皿にパサついたクラッカーを置き、チューブ状のチーズをブリュブリュとかけた
「とりあえず、大発とか内火艇積めて、甲標的積めて、水爆と水戦積めて、高角砲で対空できて、先制対潜できるぐらいじゃない?」
「はぁ?」
「すごいじゃないですか」
「まぁ、先制対潜は前からできたらしいけど……出撃る機会なかったし」
由良さんは空になったグラスを置き、テーブルに置いてある皿からパサついたクラッカーを手に取って握りつぶし、コナゴナになったそれを五月雨のオレンジジュースのグラスに投入した
「なるほど、つまりアレだ、ABUとKINUの利点を兼ね備えたストライカーIWSP的なアレみたいなヤツか」
「器用貧乏ってやつですね」
「器用貧乏じゃないで万能って言ってくれる?」
しかし仲悪いなコイツら、まぁ、コイツらはコイツらで付き合い長いし、提督の知らない恐怖の女社会の闇とかあるのだろうと考えていると、釣りたて&死にたてのフレッシュな魚を皿に載せ、ママが俺たちの席へとやってきた
「フーッ〜…なんだいなんだい?主役の席がつまらなそうにするんじゃないよ」
「ビッグママ!」
「お久しぶりです!ママ!」
「フーッ〜…由良とサミーが一緒に居るのも久しぶりに見たねぇ」
「まぁ、昔と違って今は2人とも出撃機会がないですし」
「同じ基地に居ても用がないとなかなか顔を合わせないってのもあるしね」
「寂しいコト言うんじゃないよこの娘らは、なかなか顔を合わせる機会がないってなら、いつだってウチに来な」
ビッグママは2人頭をポンポンと叩き、小気味よい笑みを浮かべて笑った
「あははは、そうですね」
「もう!ママったら!由良も改二になったんだら!」
さすがママだ、この気難し屋で気分屋のコイツらのハートをこれほどアッサリとキャッチするとは……へへっ、やっぱママには頭が上がらねぇや!
「飲み代はこのメガネにツケといてやるからいつでも遊びに来な」
「ハァ!?ちょ!ちょ…待てよ!」
「そうですね、では中佐のツケで」
「そうね、中佐のツケで」
「誰が中佐だァ!!クッ…!チクショウ!チクショウ!見てろよテメーら!次の作戦で大金星挙げて返り咲いてやるからなクソがァ!!」