とりあえず前半戦最終海域の②
【登場人物】
戦艦仏棲姫
前半戦のBOSS、迫力の超重量を誇る超装甲、しつこい人は嫌い
扶桑(5)
扶桑姉妹の姉の方、常に薄幸感漂う薄幸美人
山城(5)
扶桑姉妹の妹の方、姉様以外は死んでいいと断言できる妹の鑑
足柄(9)
好きな技はサニーパンチ、得意な技はパワー植木鉢
「…見て山城、あれが仏様だそうよ」
「まるで大仏ですね、姉様」
「…なんて尊い御姿なのかしら、山城、一緒に拝みましょう…」
前半戦最終決戦、第一艦隊に自称超弩級戦艦姉妹の扶桑姉妹を投入し、遂に艦隊はこのスエズ運河の最奥へと到達していた…
『コナクテ………イイ…ノニ』
待ち受けるのは最近流行りのご当地系深海棲艦、戦艦仏棲姫ッッッ!!その、重量感溢れる抜群の存在感はメチャシブくて見た目がメチャ怖い事に定評のある中枢棲姫が認める新世代残虐戦艦と噂されている…
「…見て山城、きっとあの仏様から見たら私達など手のひらで踊るサルに過ぎないのね」
「斉天大聖の喩えですね、さすが姉様…博識でいらっしゃる」
扶桑姉妹の姉の方は薄い笑みを浮かべるとこれ以上近付くとあまりの尊さに目をやられてしまうと言い、その場で両膝をついて戦艦仏棲姫を拝み始めた
「…皆と山城が健康でありますように」
「さすが姉様!まるで菩薩!姉様こそ菩薩でいらっしゃる!」
◆◆◆
「…なにやってんだ?姉様は」
執務室のテレビで現場の様子を見ていると、扶桑姉妹の姉の方がガッツリ拝みだしたので何事かと思ったが………あ、姉様に弾が当たった
『このクサレ深海魚がァァァァァ!!今、誰に弾を当てたァァァァァ!!殺す!殺す!殺す殺す殺す殺す殺す殺す!姉様の体力-1につき、深海棲艦100匹殺すッ!』
一発大破の姉様の御姿を見た妹はブチギレ、とりあえず一番近くを泳いでいた運の悪いイ級だかロ級だかの口を掴んで力いっぱい引っ張ってその身体を真っ二つに裂いた
『うわっ!?キモっ!っーかグロっ!?』
『惨劇の始まりですわ……惨劇の始まりですわー!』
『ナンダアイツ!?ヤベェヨ!』
『モウダメダァ…モウオ終イダァ…』
敵も味方もドン引きだよ、なにやってんだあのプッツン妹は…
「サミダンテくん」
「五月雨です、なんですか?」
「麦茶くれ」
「麦茶ですね」
◆◆◆
『ヤメテッ!ホントヤメテ!シツコイヒトキライ!ホントキライ!痛イ!ヤメテ!』
第一艦隊のマグナムパンチだけでも既に死にそうな目にあっていると言うに、戦艦仏棲姫は未だ健在、その恐るべき重量感+重装甲は伊達ではなかった
『ハー…ハー…クダラナイコ、ダメネェ』
大丈夫、耐えられる!この尻尾がある限り沈みはしない!いざとなってもこの尻尾さえあれば浮いていられる自信がある!戦艦仏棲姫は決して焦っていなかった…
大丈夫、このターンさえ凌げば…!
『オルァ!!』
「痛っ!?」
戦艦仏棲姫は手に持っていた小人みたいなもの全力投球し、小人みたいなものは霞の右足に直撃した
「テメェー!!よくもウチのカスミにやりやがったなーッ!!」
「足柄サン!」
「足柄サン!」
しかしそれがマズかった!夜戦で最大の脅威となる駆逐艦を狙ってきた外道の所業が、誇り高き狼の怒りに火を点けたッ!
「何が高速戦艦だ!テメーの性能はでたらめだよ!」
『ウルセェ!!シツコインダヨ!』
「つくづくどうしようもねぇ野郎だぜーッ!!」
怒りに燃える狼のスーパーバーンナ●クルが戦艦仏棲艦の重量級ダイナマイトボディの下っ腹に突き刺さり、仏棲姫は光る吐瀉物を吐きながらうずくまった
『ウゲエェェ!!ゲボッ…ッ!』
「拳に道具はいらねぇ!魂のはいった拳なら……どんなもんでも打ちぬくぜーっ!」
『ア…?ア…?』
「Livewire!Go bang!」
足柄渾身の主砲・主砲・主砲、通称トリプルゲ●ザーが仏棲姫の重装甲ボディに炸裂し、ついにその巨体が崩れ落ち、戦艦仏棲姫は断末魔の声をあげながらブクブクと気泡を残して沈んでいった…
「男なら拳一つで勝負せんかい!」
「スゲェ!さすが足柄サンだ!」
「さすが足柄サン!オレ達の憧れる南街商店街のヒーロー!」
「狼はまだ死んじゃいねぇぜーッ!」
こうして、チームの温かい歓声を受けつつ、よせよ!照れるじゃねーかと笑う足柄の拳でスエズ運河攻略戦は無事終了した…
次回は特別編、長期休暇でハワイへと旅立った実力派エリート集団、潜水艦達の前におそるべき男達が…!