【登場人物】
仁科大佐
坂下郁様の“逃げ水の鎮守府-艦隊りこれくしょん-”の主人公……ではなく、敵役、ラスボスではなく中ボス
そのスタイリッシュな言動は一味違うスパイスの効いたイケメンぶり
大鳳
ナイスガッツ陸上部ではない別物の大鳳、仁科大佐を病的にリスペクトしてやまない闇の深い装甲空母
元海軍技術将校、仁科大佐…
かつて海軍内部で闇の深い些かアレな実験やら研究に従事していた男、しかし…現在はなんやかんやあって軍を離れ、この南国で悠々自適なスルーライフを満喫している…
「ほぉ……長期休暇で」
とりあえずティーでも如何ですかと促された潜水艦娘達は絶妙に股間が見えないギリギリのポージングで足を組んで椅子に座る紳士マスクとテーブルを同じくしていた…
「まぁ、アンタが何者でもこの際なんでもいいけど…」
「ヘンタイですって…ヘンタイですって」ガタガタ
「Uも…ヘンタイだと思う」ガタガタ
「とりあえずコイツのスマホ修理できねーでちか?」
58は168から取り上げたグシャったスマホをテーブルの上に置き、男はそれを手に取ってみた
「ふむ…まぁ、これなら15分もあればできますよ」
「15分っ!?」
「はやっ!?ウソでしょ!?」
「ふふ…こう見えても私は機械いじりが得意でしてね、この程度なら赤子の首を捻るよりカンタンですよ」
こう見えても何もタダの全裸にしか見えないのだが、妙に自信満々な男のよくわらない説得力に、とりあえず修理できると言うのだから168はスマホを預けてみる事にした
「すぐに修理しますのでジュースでも飲んで待っていてください、あ、そうそう、そう言えばクッキーがあった気がしますが………はて?大鳳の奴、どこへしまったのやら…」
ビッと引き締まったケツを見せつけながら戸棚を漁る紳士マスク、丁度そこへ、店の扉を開き小柄な人影が入ってきた…
「ただいま戻りました〜、大佐、今日はお野菜が安か……」
「丁度良かった、大鳳、お客様にクッキーをお出ししなさい、あと、私は大佐ではありません」
「…はい?って、お客様…?潜水艦!?まさか追手がッ!?」
とっさに、エコバッグから撲殺ニンジンソードを引き抜いた大鳳は潜水艦娘達を威嚇するように唸りをあげた
「大鳳、彼女達は通りすがりの旅行者でお客様です」
「は…はぁ、大佐がそう仰るのなら」
「あと、私は大佐ではありません」
そう言って紳士アイマスクはスマホを片手に引き締まったケツをグイグイッと振りながら奥の部屋へと引っ込んでしまった
「…コイツ、陸上部なのね」
「いや、コイツはウチの陸上部とは別物でちな」
「たしかに、ナイスガッツは感じないわね…」
潜水艦娘達は自分達の知っているお腹の緩いナイスガッツ体育会系陸上部の大鳳と、目の前に大鳳が別物であるとヒソヒソと話しあっていると、ナイスガッツ陸上部ではない大鳳は大佐と呼んだヘンタイの指示通りに戸棚からクッキーを取り出してテーブルに置いた
「うんめー!!」
「なんだコレ!メチャウマじゃねーの?」
「あー!ろーちゃんも!ろーちゃんも欲しいですって!」
ーーー
「修理りましたよ」
「はやっ!?」
紳士マスクが奥に入って僅か10分強、ただでさえ早いと思っていた修理時間を更に縮め、男はスタイリッシュにキュッキュッと歩きながら戻って来た、ちなみに、スタイリッシュに歩いている最中も謎の光や、イイ感じに設置された観葉植物が男のギリギリを執拗なまでにガードをする事を忘れていない健全な少年少女にも優しい安心の否R18仕様!
「ホントだ…直ってるし」
「言ったでしょう?その程度のオモチャは私にとってはカンタンと」
「さすがですっ!大佐っ!」
「大鳳、私は大佐ではありません、何度言えばわかるのですか?」
「も、も…申し訳ありません、では、私は大佐の事をなんとお呼びすれば?」
「そうですねぇ…」
紳士的アイマスクの全裸は腕を組んだまま鏡の前に立ち、なにやら考え出した
「普通にヘンタイでいいのね」
「ってかいい加減、服を着てよ、服を」
むしろ、全裸男を今までわりと自然に流していた潜水艦娘達の心の闇にも深いものを感じるが、それは、彼女達の上司がわりとよく脱ぐタイプなので仕方の無い事のなのかもしれない…
「おや、コレは失礼、艦娘とは言え、年頃の少女達には少々刺激が強すぎましたかね?」
「刺激が強いとか弱いとかじゃねーし」
「ケーサツ呼ばれなかっただけマシですって」
紳士風アイマスク男は机の引き出しからコレまた蝶ステキなビキニパンツを取り出し、それをスタイリッシュに穿きこなした
「よし…と」
「や、全然よしじゃないし!」
「…14ちゃん、でもちょっとマシになったかも」
紳士感アイマスク+ビキニパンツのナイス・ガイは適当な椅子に座り、そうそうと言って168に修理したスマホについて説明を始めた
「修理するついでに、電波の受信感度を上げて、強度・耐水性を上げてますよ」
「へぇ〜」
「えぇ、スペック的にはマリアナ海溝の底でも楽しくおしゃべりする事が可能です」
「や、それ168のスペックが保たないんだけど…まぁ、いいけど」
「それから、アフターサービスの可能性を考慮しまして、私の電話番号を登録させていただきました」
「ハァ?ちょ!ナニ勝手に168のスマホに番号登録してんの!?っ!ナニこれ?ちょ!この番号アドレス帳から消せないんだけどぉ!?」
「ちなみに、その番号は消せまんし、拒否もできません、電話機の電源が入っていなくても強制的に電源を入れる機能も搭載しておきましたので、いつでもどこでも私とおしゃべりできますよ」
紳士アイマスクはビキニパンツからスタイリッシュに自分の携帯電話を取り出し、爽やかイケメンスマイルで白い歯をニカッと見せて笑った
「いらねぇ!!ナニそのイヤな機能っ!?ってそのケータイ!今どっから出した!?」
「そうそう、あと、電話とメールの着信音もサービスでステキにカスタマイズしておきましたよ」
【フフッ…お嬢様、お電話ですよ、フフッ…お嬢様、お電…】
168のスマホが着信し、168のスマホからスタイリッシュヘンタイエロボイスが流れてきた
「無駄にイケボなのが腹立つわ!!」
「あと、1時間ごとにアラームで時間をお知らせします、フフッ…こんなサービスは滅多にありませんよ、あ、ちなみに削除も変更もできませんので…」
「いるかァァァァァ!!そんないらんサービスいらないから!!戻して!168のスマホをスタンダードな感じに戻して!」
お気に入りのハズのスマホを床に叩きつける168…
そして、そんな168のスペシャルなスマホを大鳳は羨ましそうに唇をプルプルと震わせていた
「いいなぁ……あの、た、大佐、私もスマホとか欲し……」
「大鳳、アナタにはこの前ラクラクホンを買ってあげたばかりでしょう?」
「うっ……ぁ、はぃ、でも…」
大鳳が168のスマホを心の底から羨ましそうに見つめていたので、168はどうせなら168のスマホとラクラクホン交換しない?と提案した
「いいんですかぁ!?」
「いいよ、こんなモン、ってか168的には今はラクラクホンですら羨ましいよ」
「て……天使っ!168さん!アナタこそ天使です!嗚呼、なんて心の広い御方っ!」
「お…おぅ」
◆◆◆
こうして、168のスマホは無事、普通のラクラクホンへと機種変更され、潜水艦娘達は一応お礼を言いながら去って行った…
「ふぅ、まさか潜水艦の群れに遭遇とは思いもしませんでしたねぇ」
「大佐、お茶です」
「ありがとう」
少し話を聞くに、あの潜水艦達は参謀司令部の梶輪大将が色々便宜を図っていたキュウシュウの基地所属らしいですね、たしかなんとか……えぇ、名前をド忘れしましたが眼鏡の彼の、そうそう、彼とは以前、どこかの会議で“姫騎士におけるクッ殺とナビエ–ストークス方程式の解の存在”についてアツいディスカッションをしましたね…
「まさか軍が大佐の命を狙って刺客をさし向けてきたのかと思っちゃいました…」
「今更私を消したとこで意味はありませんよ、それに…」
お尋ね者は私ではなく、あの男の方でしょう、せっかく拾った命で、またどこかの戦場で野垂れ死にたいのならそれで良しですが、まぁ、彼の場合はそれは無いでしょう
「大佐?」
「なんでもありませんよ、大鳳、ところで今日のディナーはなんですか?」
「ハイ!野菜炒めとピーマンのピーマン詰めと3種の野菜を包んだロールキャベツです!」
「………アナタには色々教える事があって退屈しませんねぇ」
次回からはイベント海域後半の海!強者達がゴロゴロいる新世界への船出!