不健全鎮守府   作:犬魚

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お給料の回

【登場人物】

提督(164)
今回も勲章ものの活躍してない安心のヘタレ提督
甲勲章はマゾの証


続続続続・提督と作戦終了と…

「えー…みなさんお疲れ様でした、今回も序盤からハゲしく、アツい展開で俺をイライラさせる場面もいくつかありましたが、みなさんの頑張りの甲斐あり、無事、今回の作戦も成功で終わる事ができました、えー…みなさんはこんな話を知っていますか?あるところに一匹のドラ猫が……」

 

ハゲしく!アツかりし夏の大規模作戦を終えた当基地、恒例の全艦集会の挨拶を壇上からする俺の目には既に話が長げーよタコだの、はよ終われやオッサンなどアツい声援が贈られていた…

 

「……えー、提督からのお話は以上………では、みなさんお待ちかねお給料の時間です」

 

毎度お馴染みのジュラルミンケースの載った台車を五月雨がゴロゴロと押してやって来た

 

「えー…今回のMVPチケットランキングを発表しますので、名前を呼ばれた奴はハイ!元気です!と元気に挨拶して壇上に上がるように、では、栄えある第1位〜………由良さん」

 

ざわ…ざわ…

 

「由良さーん!!メチャカッケーでーす!」

 

「さすが俺たちの由良サン!」

 

「由良サーン!由良サーン!キャー!こっち見たーッ!こっちに手を振ってるー!」

 

怒涛のアツき由良コールの中、声援に応えて手を振りながら壇上に上がってきたユラっとゆらめくデンジャラス軽巡、由良さんに俺はジュラルミンケースから取り出した現金の束をスタイリッシュに手渡した

 

「よくやった、感動した!」

 

久々の一軍登板ながら開幕の第1海域、そして最終海域と悪魔もブッ飛ぶ活躍を見せ、その姿、まさしく夜叉ということを俺を含め、以前の由良さんを知る者達は再認識し、ここ最近新しく入ったばかりのルーキーズはその姿に戦慄したらしい

 

「普通のお給料とか久々ね、あ、提督、なんなら由良と飲みに行く?提督の奢りで………ね?」

 

「ナニが、ね?だ、可愛いく言っても言ってる事は鬼畜か」

 

とりあえず俺は由良さんに週末なら空いてるぞと伝え、由良さんは唸る現金を適当な紙袋とポッケにしまって壇上を降りた、ちなみに、降りる時も由良コールの中、きちんと手を振るサービス精神……大した由良だ

 

「えー…次、次いくぞー名前呼ばれたら大きな声でお返事しろよー………次、鈴谷と熊野、略して鈴熊」

 

「よっしゃあ!!大金ゲットォ!!」

 

「やりましたわ!鈴谷!やりましたわ!」

 

今回同率2位の最上型のツラ汚し鈴谷と最上型のアホガント熊野はキャッキャとハシャぎながら壇上へと上がってきた

 

「よくやった、感動した!」

 

「はい、お給料!お給料頂戴!」

 

「鈴谷、がっつくじゃありませんわ、ちゃんと額を数えるんですわよ!」

 

俺はヘラヘラ笑う鈴谷の頰に札束で往復ビンタし、ポッケと胸の谷間にキャッシュをねじ込み、熊野にも鈴谷の股間を全力で蹴りあげた後にスタイリッシュに現金を手渡ししてやった

 

「次、ドンドン行くぞ、ドンドン、名前呼ばれたらさっさと出ろよ」

 

ーーー

 

「え〜…最下位、秋雲」

 

「マジっすかー、テイトクマジっすかー」

 

「マジだよ、ほれ」

 

秋雲のアホンダラに500円硬貨を渡し、秋雲はマジっすかー、マジっすかーと呟きながら壇上を降りて行った

 

「えー…では、皆さんお疲れ様でした、今回もささやかではございますが飲み物や食事を用意しましたので、皆さん遠慮なく飲み食いし、明日からのアツい艦隊活動への英気を養ってくだ……」

 

「ヒャッハー!水だーッ!」

 

「オイ誰だオレのカラアゲ獲ったヤツはァ!」

 

「スゲェ!口の中でもう3度も味が変化しやがった!」

 

…ヒトの話を最後まで聞かんクズどもめ、まぁいい、どのみちこうなる事はわかっていたのだよ

 

「姉さん、タバスコとって」

 

「Tabasco?え〜…っと、ハイ」

 

「Grazie、ありがと」ドボドボドボドボ…っ!ドプッ!

 

「ねぇ、ローマ………なんで私のピッツアにTabascoかけたの?ねぇ?」

 

イタリアは妹の肩を掴んでガックンガックンその身体を揺らしているが、妹は特に気にすることなくナポリタンをズルズルと食していた………もしかして、リットリオ級の闇は深いのだろうか?

 

俺はいつものようにテキトーかつ適度な量を皿に載せ、スタイリッシュな足取りで館内の隅に移動していると、俺の肩に何かが激突した

 

「あ、スイマセン」

 

「む?海風ねーちゃんか…前を見ないと危ないぞ」

 

「スイマセン、あ、提督、江風を見ませんでしたか?あの子、肉ばかりとってたから野菜も食べさせないと…」

 

「江風ならあっちでアイスキャンデーをジュポジュポ食ってたぞ」

 

「あの子ったら……そうですか、ありがとうございます!」

 

そう言って頭を下げ、海風ねーちゃんはパタパタと小走りに去って行った、相変わらずオカーサンみたいなヤツだな、あの白髪

 

ーーー

 

「お疲れ様でした」

 

「よぉ」

 

体育館の隅で焼き鳥的なものを食べていると、いつものように青い髪ロング子がぬらりと現れた

 

「あ、その串…」

 

「やらねーぞ、俺のだからな」

 

「ケチくさいですね」

 

「ケチで結構、俺はケチでイナセな快男児だからな」

 

しかしこの焼き鳥的なモノ美味いな、きっと由緒正しき名の通ったブランド的なナニかだろう…

 

「あ、そうそう、明日は新人さんの面接ですからビシッとした感じの格好でお願いしますよ」

 

「ナニを言っとんのかねキミは?俺はいつでもビシッとしているのだよ」

 

「朝、クリーニングした制服出しときますからそれでお願いします」

 

「ヘイヘイ、オカーサンか、テメーは」

 

相変わらず、こーゆーカユいトコに手が届くのがムカつくなコイツ…

 

「オカーサンではありません、五月雨です」

 

「ヘイヘイ、俺はカーチャンの奴隷じゃないっーの」




次回は面接回、なるたけ早め

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