【登場人物】
旗風
神風姉妹に五女、イエローポジションらしい
三女の縦ロールをリスペクトしており、長女はあまりリスペクトしてない
狭霧
綾波姉妹の六女、見た目は薄幸、中身も薄幸、どことなく五航戦の姉に近いものがある
天霧
綾波姉妹の五女、チャーミングなメガネとバッキバキの腹筋が特徴のオラついたメガネ、好きな食べ物は山盛りのキャベツ
松輪
歩く事案発生装置択捉の妹の事案発生装置、姉に対して思い出補正とフィルターがある
「今回新しく配属された方は7名です」
「………多いな」
夏の大規模作戦も無事終わり、朝夕には肌寒さを感じる気がしてきた秋の執務室、前回の6名でも多いなオイと思っていたら、今回は更にその数を増やし7名ときたか、正直、面接するだけでも嫌気がさすんだが…
「まぁいい、どのみちロクなヤツらじゃねーだろ」
「会っても無いのになんてコト言うんですか、この上司は」
だいたいアレだ、上がウチに配属するヤツはだいたいアレなヤツばっかだよ、たぶん上でもどうしたモンか考えて、とりあえず下に落として使ってみたらどうかねキミぃ?って考えだろう…
「とりあえず面接なんてダルいのはさっさと終わらせるぞ、俺、今日の業務終わったら先生達とオシャレな居酒屋行く予定だから」
「はいはい、では最初の方どうぞ〜…」
五月雨は扉の向こうで待機中らしい最初の1人目にどうぞと声をかけると、やや控え目なノックの後に、やや控え目な黄色いのが入室してきた
「神風型五番艦、旗風です」
神風型か……神風姉妹って言うと、あの人斬り大好き抜●斎みたいなプッツン長女を筆頭に、リボンのデカいプッツン次女、ロールパンみたいなモミアゲのプッツン三女、タ●ラジェンヌ感ゼロの残念ヅカ系のプッツン四女とだいたいロクなプッツンしかいない前例があるが…
「あの……何か?」
しかしどうだろう?この神風型五番艦を名乗る彼女は!今までのプッツン姉妹どもと違い、どこか気品を漂わせている気がする
「旗風クンか、ふむ…」
提出された資料を読むに、性能的には神風姉妹特有のワリと残念なアレらしいな
「とりあえずでファームからスタートしてもらう事になるが、安心したまえ、ウチはどんなカスでも安心の熱血指導で鍛え上げ、常にマウンドに上がるチャンスはある」
「はぁ…?」
「まぁ、最初は稼ぎ口がないから魚雷磨きのバイトでもするといい」
「魚雷磨き…?ですか?」
「うむ、魚雷を舐めていいぐらいピカピカに磨きあげるカンタンな仕事なのだよ」
特に、神風のヤツは出撃の仕事が殆どないせいか、このバイト、かなり極まっており、安心のピカピカ鏡面仕上げにする事に定評がある、アイツにこそ次期工場長と言っても過言ではないだろう…
「ま、ガンバリたまえ」
ーーー
「次の方どうぞ〜」
気品溢れる謎の神風型五女が退室し、五月雨は次なる天才達を執務室へと招き入れると、微妙に後ろ向きなノック音の後に、なにやら幸の薄そうなのといかにもオラついた感じのベストメガネが入ってきた
「あの…綾波型駆逐艦の、あ、綾波型6番艦の狭霧といいます、よろしくお願いします」
「綾波型5番の天霧だぜ!」
「ホゥ……アヤナミ型ですか」
綾波型っーとアレか、長女次女以外はワリと似てない複雑な家庭の事情のありそうな闇の深いアレか、まぁ提督は空気の読める大人なのであえてその件に関しては触れないが…
「まぁいいや、とりあえず座りたまえ、あぁ、ラクにして構わんよ」
「あ、はい」
「あいよ」
俺が紳士的に着席を促すと、ベストメガネ天霧はソファーに深く腰かけ、テーブルの上に一目で程良くしなやかさと強靭さを併せ持つとわかるスラリとした両脚を置いた
「ちょ!あま!天霧…っ!?め……面接で!その、提督さんの前でそれはちょっと…」
「え?だって、ラクにしていいって言ったじゃん?」
「いや…ラクにし過ぎと言うか、さすがにいきなりそれは失礼過ぎると言うか…」
薄幸気質っぽい妹の方が焦った様子でオロオロとし、スンマセンスンマセンと俺に頭を下げた
「ハッハッハ、別に構わんよ、ルーキーたるもの、やはりそのぐらいの破天荒さがないと!ハッハッハ」
「あ……はい、良かった、天霧、提督怒ってなさそう」
「アタシら怒られるコトしてなくね?」
「してるよ!天霧が現在進行形でしてるからっ!」
ベストメガネ天霧はナニ言ってんだコイツ?みたいな顔して耳をホジり、指に付着した耳くそをフッ!と息で飛散させた
「ハッハッハ、五月雨クン、彼女らにコーヒーでも淹れてやりたまえ」
俺は努めて笑顔で五月雨にコーヒーでも淹れてやりなさいと伝え、五月雨は提督にも淹れましょうか?と聞かれたので俺にはまだ缶コーヒーがあるから結構なのだよと答えた
「あ、アタシもコーヒーダメなんで、サギーの分だけでいいっすよ、あ、できりゃオレンジジュースとかないすか?」
「そう言えば……天霧ってコーヒー飲まないね、カフェオレは飲むのに」
「アタシは甘党なんだよ」
フッ、このベストメガネ、大した危険回避能力だ、さすがはかつての大戦でJFKに水をぶっかけただけはある
「コーヒーと………オレンジジュースです」
「あんがと、えー……髪長い人」
「天霧、五月雨さんよ………あ、ありがとうございます、いただきます」
一目見てただの薄幸少女である狭霧は専門店で出てきてもおかしくない芳醇な香りを愉しみ、五月雨の淹れたコーヒーを笑顔で啜った…
ーーー
「次の方どうぞ〜」
五月雨の殺人コーヒーを勧められるまま断わりきれずに三杯ものコーヒーをおかわりし、笑顔のまま椅子から転げ落ちてパンツを丸見せにした妹・狭霧
その狭霧を米俵を持つようにワイルドに担ぎ上げた姉・天霧の姉妹が退室し、次なる刺客が入ってきた!
「海防艦、松輪です…」
海防艦のシムシリくん、択捉に続く新たなる刺客か………なるほど、うん、なるほど、これはもうアレだな
「海防艦か…」ギロッ!
「ひ、ヒイッ!?」
あ、ダメだコイツ、ちょっと目を合わせただけでもうチビりそうになってる、むしろブザー的なモノを引っ張る態勢だよ
「まぁそう畏る事はない、チョコレートでもどうかね?」
「は…はぁ、ありがとうございます」
俺はポケットから取り出した溶けにくいチョコレートを渡し、とりあえずのコミュニケーションを図る事に成功した
「とりあえずウチにはほかの海防艦のアツき血潮のキョーダイ達もいるし、わからない事があればキョーダイ達に聞きたまえ」
「キョーダイ……あ、択捉ちゃんも、いるんですか?あ、いえ…でしょうか?」
「いるぞ、この夏は扇風機の前でアーッと言いながら過ごしてそうだ」
「……はい?」
「扇風機の前でアーッと言いながら過ごしてたそうだ」
「そ、そんな……あんなに真面目で、つよくて、優しい択捉ちゃんにいったい何が……?」
松輪は信じられねぇよチクショウ!といった感じで小柄な身体をガタガタと震わせた、コイツの知る択捉とウチにいる択捉ではなんかイメージに差があるみたいだが…まぁアレだろう、択捉からすればオマエの勝手なイメージを押しつけるなと言いたいだろう
ゴン!ゴン!(ノックしてもしもし)
その時、執務室の安全性に配慮したブ厚い扉が叩き、何者かが執務室へと入ってきた
「松輪…」
「え、択捉ちゃん!」
執務室へとやって来たのは運河ギリギリブッちぎり事案メイトの海防艦、択捉………そして
「ほぉ…このちっこいのが同志エトロフのキョーダイか」
旧ソからの刺客ッ!アツかりし革命戦士、ガングート!
ガングートは択捉の頭に手を置き、松輪の方を見てニヤリと革命的スマイルを浮かべた
「ヒイッ!?だ…誰、誰ですか?アナ…あなたは…っ!」
「この人は同志ガングート」
「同志…?択捉ちゃん!な…なにを言ってるの!?」
「同志は同志以上でも以下でもない」
「なにを……?なにを言ってるの択捉ちゃん!目を覚ましてぇ!?」
松輪は択捉の肩を掴みガックンガックン揺らして目を覚ませーと哀願したが、択捉からオマエの勝手なイメージを押しつけるなと胸を押されて転んでしまった
「ぐえっ……ぅぅぅ!択捉ちゃんが…っ!択捉ちゃんが…っ!」
「ハッハッハ、キョーダイ喧嘩はよくないぞ同志エトロフ、それと〜…同志エトロフの妹」
「触らないで…っ!!」
「ハッハッハ、元気のいいちびっ子だ!なぁ同志エトロフ!」
「フーッ!フーッ!なんなんですかアナタ!択捉ちゃんを返してください!私の…っ!私の択捉ちゃんを!」
先程までの弱気でオドオドしていた松輪はもういない!今、巨大なる共産主義に立ち向かい、松輪は怒りと殺意に焔をメラメラと燃やしていた
「ハッハッハ、同志提督、もう面接はいいだろう?皆、イモートの歓迎会の準備をして待っているからな!コイツは連れて行くぞ」
そう言って革命戦士ガングートは松輪をお米様抱っこし、ハッハッハと笑いながら去って行った…ちなみに、松輪は放せーっ!殺すぞーっ!とその可愛いらしい容姿に似つかわしくない怨嗟の声を上げて抵抗していた
次回は後半戦、戦慄!伊・仏・英からの刺客!