不健全鎮守府   作:犬魚

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伝説には続きがある、帰ってきた戦慄の足淀回

【登場人物】

足柄(10)
キッズ達から絶大な人気を持つ伝説の狼、ケッコンとかそんな感じのアレは幸せで幸せで幸せの絶頂でと考える昨今珍しい身持ちの堅さ

大淀(8)
見た目だけはインテリ眼鏡系軽巡、足柄とマジダチ
通販でつい買ってしまったアイテムをついムラムラした日につい試してしまう私の癖、ワリと激しい


足柄と大淀とFatalFury -戦慄の魔●街-

「うっお―っ!! くっあ―っ!! ざけんな―っ!」

 

 

「オイ!足柄サンがまた荒れてんべ!」

 

「超怖えー」

 

妙高型重巡の三番艦、足柄、通称ワイルドウルフ、復讐と言う名のワリと重いバックストーリーを持ちながらも、陽気で面倒見がよく、私生活は些かだらしないものの駆逐艦のキッズ達から憧れの目で見られている…

 

「どうしたァ?足柄ァ…」

 

荒れて椅子とテーブルに当たり散らす、そんな近寄り難い足柄に平然と近寄るインテリ眼鏡系軽巡、大淀

足柄とはキンダーガーデンの頃からの腐れた付き合いらしく、伝説の狼の伝説には常に立ち会って来たベストフレンド…

 

「まぁ落ち着けよ足柄よォ~…ここはキッズのリゾート、談話室だぜ?見ろ、キッズ達がビビってババ抜きできねぇじゃねぇよォ~」

 

憩いのスペース、談話室…

広めのフローリング、寝転がれる畳敷き、誰かが持って来て放置した微妙に巻数が抜けてる漫画本、そしてスーパーファミ●ン内蔵テレビ、艦種を問わずに誰しも楽しめるスペースである談話室で、吹雪姉妹はおやつを賭けたババ抜きをしていたが、荒れ狂う狼にビビり部屋の隅でガタガタと震えていた

 

「フッ…私としたコトが」

 

足柄はポケットから取り出したC●ACHの財布から紙幣を抜き、一番近くにいた磯波にスタイリッシュに投げ渡した

 

「悪かったなオマエらーッ!コイツでナニか美味いモンでも買いなーッ!」

 

「ヒュー!さすが足柄サンズラー!」

 

「もんげーワイルドズラー!」

 

キッズ達は足柄に頭を下げ、キャッキャとハシャぎながら談話室から去って行った

 

「………で?今日はなんで荒れてんだオメー?」

 

「あ゛ー?」

 

大淀はテキトーに空いてる椅子に座り、テーブルの上に置いてある瓶の中からマシュマロを取り出して口に放り込んだ

 

「まぁ……ほら、アレよ、昼間デパート行って来たワケよ」

 

「ふ〜ん、え?ナニ1人?1人?お独り様で?」

 

「いや、アサシとキヨシとカスミもいたけど?」

 

「ハイハイハイ!またキタよコレ!ハイハイ!またハブられたよ!礼号組鉄の結束!礼号組はみんなファミリーとか言っときながらまたナチュラルにハブりやがったよォー!」

 

大淀はテーブルをバンバンと叩きながらありえねー!っーかありえねー!ねーわー!マジねーわーと言いながら近くにあった椅子を蹴り飛ばした

 

「え?なんなの?オマエらマジなんなの?ファミリーじゃねぇの?家族じゃねぇの?礼号組は決して散る事のない鉄の結束じゃねぇの?ってかナニ?この大淀サンは礼号組じゃねーの?なんでいつもいつも誘わないの?おかしくね?な?おかしくね?」

 

「おかしくねーし、っーかちゃんと誘ったわ」

 

「は?誘われてませーん?ナチュラルに誘われてませーん!」

 

「………朝、アサシとキヨシがオマエんトコ行ったら“大淀さんまたチ●コ生えてたー”とか言って戻ってきた」

 

「………あぁ、うん」

 

大淀はとてもバツが悪そうに足柄から視線を逸らし、瓶の中にあったマシュマロを1つ口の中に放り込み、うん、うん、あー…うん、と1人頷いた

 

「や、オマエマジ……まぁ、アレだよ、ムラムラする日とかあるし、スるなとは言わないけど、うん…せめて鍵くらい閉めようぜ?な?」

 

「や、閉めたと思ってたんだけどね?うん、アレかな?昨日はちょっとベロベロだったから気が大きくなってたとかそんな感じだったのかなー私、うん」

 

「アサシに至っては“なぁ!アタイも大人になったらチ●コ生えんのかー!”ってワクワク全開で聞いてきてマジ困ったわ」

 

「あ、うん、ゴメンね、ホントゴメン」

 

「まぁ、とりあえずアサシには大人って言ったものの心の汚いダメな大人にしか生えないからアサシには生えないって言っといたわ」

 

「オマエなに言ってんの?え?なにそれ?なんでナチュラルに私ディスられてんの?」

 

「うるせぇーよ、っーか挿したまま寝るとかどんだけハゲしーんだオマエ」

 

ーーー

 

「で?ナニよ?荒れてた原因は?」

 

大淀はアツアツのインスタントコーヒーを一口啜り、テーブルに肘をついてナンでも話してみろよフレンドよォ〜と先程までの反省と猛省から立ち直ったかの如くメガネをキラリと光らせた

 

「まぁアレよ、例によってデパート行ってきたワケな」

 

「ナンか買った?」

 

「あー…今回は見てるだけーで」

 

「あーあるある、見てるだけーって日な」

 

「でだ、いつものように私はアイツらにゲームでもしてこいよって小銭渡してブラブラとウィンドーショッピングしてたワケよ」

 

足柄はインスタントコーヒーのコナをティーカップにタップリと投入し、電気ポットのボタンを押してジョードボドボとお湯を注いだ

 

「ナンかいいのあった?シャレオツなヤツ」

 

「あったあった、正直ちょいイイとか思ったけど衝動買いは良くねーわと自制したわ」

 

「どぉしたよウルフぅ?ナニ人生守りに入ってんだよぉ?攻めろよ、そこは攻めるトコだろぉ?」

 

「うるせーよ、ブッ殺すぞクソメガネ」

 

「あ゛ヤんのかコラ?いいぜオイ、立てよ足柄ァ〜タイマンだよ」

 

大淀はピキッ!パキッ!とよくわからない擬音を鳴らしながらティーカップを片手に椅子から立ち上がった

 

「うるせーよ、っーか座れ、ハナシ進まねーじゃねーか」

 

「…それもそーな」

 

大淀は再び椅子に座るとコーヒーを一口啜り、マシュマロを一つ口に放り込んだ

 

「でだ、見るモン見たし、ファミレスでも行って帰るかと思ってガキどものいるゲームコーナーに行ったワケよ」

 

「ふ〜ん」

 

「そしたらキヨシとアサシが太鼓?ほらアレ、太鼓叩くやつドンドコドンドコ叩いてんのな」

 

「あぁアレ、太鼓ドンドコ叩くやつ…」

 

「でだ、ガキども回収してさー撤収と思ってたら、丁度、屋上であの大人気ヒーローショー的なイベントがあるから見に来てねーとか館内アナウンスが流れてきたワケよ」

 

「あー…」

 

「で、キヨシとアサシが見たい見たいってゴネまくり」

 

「まぁ、そうなるわな」

 

「ビ●ドビ●ドうるせーのな、なんだよビ●ドって思ってたらなんか新しいヤツなのな、ビ●ド、一目見てキカ●ダーかと思ったわ」

 

ちなみにカスミは、バカじゃないの!そんなくだらないもの見たいなんてアナタ達ってホント最低のクズね…っ!と口では言っていたが実はちょっとカッコいいと思っていた

 

「で、見に行ったワケよ、ビ●ド」

 

「居た?ビ●ド」

 

「いや………まぁ、結論から言えばビ●ドじゃなかったわ」

 

「は?ビ●ドじゃねーならナニがいるんだ………あ!アレか、いっこ前のヤツだったんだろ?えー…ほら!なんだっけ?アレ!エム?エムなんとか!」

 

大淀はたしか以前、アホなおキッズ様たちが外でキャッキャとハシャぎながら遊んでいたのを思い出した、たしかキヨシが今ポーズ中だから動くなよなーとか言ってリベッチオに絶版だーと言って尻にキックしていたような…

 

「や、エグ●イドでもなかった」

 

「んだよ、ちげーのかよ」

 

「出て来たのはアレだ、ウルト●マンだったわ」

 

「ウル●ラマンかよ、まぁ……ヒーローっちゃ、ヒーローだわな」

 

「もうビ●ドじゃないからキヨシもアサシもガッカリ、カスミもバカじゃないの!とか言ってたけど私の袖引っ張りながら内心超ガッカリ」

 

「っーかちょいちょいカスミかわいいな、足柄、オマエちょっと私とそこ代われよ!」

 

「でだ、ウルト●マンが“これからこのデパートのガキども攫ってくれるわー!ハァーッハッハー!”とか言ってオラつきだしたのな」

 

「それホントにウルト●マンかよ!?」

 

「や、私もよく知らねーけど悪いウル●ラマンなんだって、よく見たら爪とか超なげーし」

 

ちなみに、このステージを観覧していた小さなお友達に交じって眼帯をした見た目イケメンの大きなお友達2名がベリアルー!だの、カイザー!だのアツい声援を送っていたらしい

 

「でだ、そのベリアルだかシリアルだかが誰を攫ってやろうかぁ〜とか言いながらこっち来たワケよ」

 

「ふ〜ん」

 

「もう見た目超怖いからキヨシとか膝ガクガク、アサシも強がってたけど膝ガクガク、カスミに関してはもう半泣きで私にしがみついてんの」

 

「オイ足柄、やっぱオマエ代われ、私とそのポジション代われ」

 

「そしたらベリアルだかカイザーだかがキヨシに目をつけてオマエにしようかァーと言ったワケよ」

 

「あー…」

 

「で、キヨシマジガン泣き、助けてー!助けてー!イヤだー!とか叫びながらマジガン泣き」

 

「あー…うん」

 

「で、アサシがやめろー!キヨシの代わりにアタイにしろーとか言ってベリアルにキック」

 

「ベリアル空気読んで、じゃ、オマエもだーとか言ってアサシもステージに連れてったのな」

 

「ベリアルサービス精神あるなオイ」

 

「カスミはキヨシとアサシのピンチをなんとかしたいけどベリアルが怖すぎてもう蚊の鳴くような声で精一杯勇気を出して“こ…このクズ!や、やめなさいよー”って言ってんのな」

 

「カスミかわいいなオイ!天使かよ!」

 

「でだ、キヨシとカスミのピンチにようやく正義のヒーローっぽいウルト●マンが“もう許さないぞ!カイザーベリアル!”って言いながら出てきたのな、イケボの」

 

「イケボかよ」

 

足柄曰く、ガンダ●マイスターやら銀河美●年みたいなイケボのウルト●マンらしく、そのイケボのウル●ラマンはベリアルにキックして見事キヨシとアサシを取り返した

 

「で、キヨシとアサシはそのイケボのウルト●マンにありがとー!ありがとー!ってマジ感謝」

 

「いいハナシじゃねぇねーの…」

 

「………で、そのイケボのウル●ラマンがステージから私のトコに来てキヨシとアサシに“もう大丈夫だ!さぁ!おかあさんに大丈夫だと言うんだぞ!”って何の悪びれもなく、むしろ爽やかに言ったのな」

 

「あー………」

 

「………マジあのウル●ラマンの顎に問答無用のライジングアッパー叩きこんでやったわ、心の中で」

 

足柄はワイルドにコーヒーを飲み干し、そこら辺にあった罪のない椅子を蹴りあげた

 

「アイツらマジ二度とヒーローショーに連れて行かねぇ、今度オマエ連れてけよ、マジで」

 

「え?ムリ」




次回

姫騎士アークロイヤル-ふむ、オマエはアレだな、あー…アレだ、最低のクズ的なアレだ、うん-

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