【登場人物】
提督(169)
暇なようで暇ではない大人、今年も秋刀魚漁はイマイチが気が乗らない
夏の暑さもどこへやら、朝のアツい缶コーヒーが俺の身も心もHOTにしてくれる秋の季節……上からは去年と同様、秋刀魚漁しろだのワケのわからんお達しが届き、イマイチ気乗りしないがとりあえず誰か暇人にでも行って貰うかと考えながら廊下を歩いていると、大漁旗みたいな旗を持った超絶美少女とすれ違ったが………あれは誰だったのだろう?
そう言えばマジダチの木曾が最近球磨ねーちゃんと多摩ねーちゃんが居なくなり、なんか部屋に見たコトない超絶美少女がいるんだけど…とワケのわからんコト言っていたが、ラノベじゃあるまいし、そんな超絶美少女同居展開などあるワケがない、たぶんあいつラノベの読み過ぎだろう…
「よぉ、どっちが勝ってんだ?」
「あら?提督、珍しい」
スポーツの秋に相応しくアツかりし青春の汗が飛び散る汗臭い秋の体育館、俺は自販機で買った缶コーヒーを飲みながら観覧席のベンチに座る陸奥の横に座った
「今のトコいい勝負って感じかしらね」
「なんだ?今のトコって、含みがあるなオイ」
「まぁね」
陸奥曰く、由良さん率いるチームは夕立のアホが寝坊して絶賛遅刻中なのでまだ本気ではないらしく、エースを欠いた状態なのだがやはりそれでも強豪、性格の悪さに定評のあるPGの黒潮を中心に序盤から高いチーム攻撃力を見せてはいたが………問題は、その対戦相手、全体的に小柄なメンツが揃い、今もコート上をちょこまかと走り回っている…
「ヘーイ!クナ!パスパース!」
「姉さんうるさい!ってかそんなマーク厳しくてパスとか無理っ!」
……今日の対戦カードは最強攻撃力を誇るチーム由良と、新進気鋭の新チームの練習試合らしい
「…ナニやってんだ?アイツら」
「今季から参入した新チームだけにデータがないのよ」
「ふ〜ん」
チームベンチの方を見るに、チームを率いる監督は旧ソから来たアツかりし革命戦士ガングートらしく、ガングートは隣に座るチタタプもといチチタプなドエロス民族衣装的な服の補給艦となにやらファイルを見ながら話をしていた
…
「あぁ、アカンなぁ〜…ウチはユウダチだけが怖い選手やないで」
「うぉー!またクロシオだーッ!」
「相変わらずイヤなところで決めてきやがる!」
「ハラショー、1本、切り替えていこう」
さすがは人のイヤがるコトさせたら右に出るものはそうは居ないと言われる黒潮、連続ポイントで勢いに乗りたいチーム革命同志の勢いを抜群のタイミングで切ってきやがる、大したやつだ
「同志エトロフ…っ!」
「…む」
「なんやと!?」
見事、天使のようにボールを奪い取った択捉は天使のようなドリブルで相手のゴールめがけて天使のように突き進み、そして………センターの陽炎をブッ倒しつつ悪魔のようなワンハンドリバースダンクをゴールに叩き込んだ、その姿、まさに悪魔ッ!
「よぉーし!いいぞ同志エトロフ!天使のように細心に!悪魔のように大胆にだーッ!」
「ありがとうございます同志ガングート」
「よぉーし!ヤツら資本主義のブタどもに我々の力を見せつけてやれ!」
「了解、同志ガングート」
「同志シム…シム、シムなんとか!同志ヴェールヌイここからは戦術No.3だ!」
「戦術No.3!アレを使っていいんしゅか!?」
「構わん、ヤツらにシベリアのブリザードにも勝るバスケ地獄を見せてやれ!」
………ナニやってんだアイツは、っーか択捉!択捉なんかさっきスゲー難易度高い技してたぞ、しかもワンハンドとかハンパじゃねぇ、あのレベルの技はそうそう見られるモンじゃない
「よぉーし!同志ウコチャヌプコロ、例のドリンクを」
「用意してます、同志」
第2クォーター終了、ベンチに下がってきた同志達に何やらマズそうな色をしたドリンクを手渡すドエロス補給艦、たぶんあのドリンク、尿検査したら確実に何かに引っかかる成分がふんだんに使われているだろう…
「………オイ、陸奥」
「なに?」
「アレ、いいのか?」
「どうかしら?たぶん尿検査したら何かに引っかかると思うけど」
ーーー
アツかりし練習試合はヘラヘラ笑いながら遅刻してきた夕立が第3クォーターから参加、チームの指導者である由良さんから遅刻の罰にノルマ2倍ねと言われていたが、結果的には264得点の内、夕立1人で62得点を挙げ、やはり白露型キセキの世代はハンパじゃねぇと戦慄するコトとなった…
264対88のトリプルスコアでの敗北にさぞやガッカリしているだろう…
「よぉ、まったく惜しくなったけど惜しかったな」
「む?なんだ……同志提督か、見ていたのか?」
「あぁ、たまたまな、あと同志じゃない、提督だ」
ガングートは分厚いファイルを神威に預け、ハッハッハ!見に来るなら見に来ると言っておかないか!水臭いぞ同志提督とかワケのわからんコトを言いながら俺の背中をバシバシ叩き、まぁ座れ座れ!ほら!ここに座れとベンチを叩いた
「あ、提督っす」
「ホントだ、こんにちは」
アホのシムシューくんと違い、アホじゃない国後は目上の大人に頭を下げる事が出来る礼儀正しい子らしい、ファンキーな頭の色をしているが人は見かけで判断してはならないと言うコトだな
「択捉ちゃん、もう試合は終わったし帰りましょう!」
「まだミーティングがある」
「そんな汗臭いコト択捉ちゃんはしなくていいです、早く帰りましょう!早く!」
最近新加入した新しい事案メイツ、松輪は姉である択捉の肘をぐいぐいと引っ張りさっさとこの場を去ろうとしていた…
「ハッハッハ、まぁ待て同志エトロフ、あと同志エトロフの妹」
「同志ガングート…」
「同志じゃない!松輪!あと択捉ちゃんを同志とか言うのもやめてください!」
見た目清楚の黒髪ロングはありえないほど憎悪を込めた目でガングートを睨みつけて威嚇している、はて?この子はもうちょい弱気と言うか、内気な子だった気がするのだが…
「ハッハッハ!相変わらずイキがいいなァ!同志エトロフの妹!ハッハッハ!」
「触らないでくださいっ!」
「まったく!やはり子供はこれぐらい元気が良くないとな!ハッハッハ!」
同志占守曰く、同志ガングートからの誘いではチームメイトになる事をイヤがった松輪は同志択捉からの頼みに即堕ちし、とりあえず択捉がいるからとしぶしぶチームへ加入したらしい
「ハッハッハ!」
「こ……殺す!殺してやる…っ!」
松輪のマジ殺意をじゃれているだけと扱うガングート、ある意味、コイツの懐の大きさには感動すら覚えるな…