不健全鎮守府   作:犬魚

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大提督の帰還

【登場人物】

提督(180)
鬼畜眼鏡系上司、ルート分岐でセーブしない退路を捨てたプレイを好む

五月雨(56)
サラサラストレート系髪長駆逐艦、シャンプー代がハンパない

夕張(30)
意外にも攻略難易度の高いM、純愛ルートは屈指の難易度を誇る


提督と夕張と容赦のない思い出達

「新しい装備を開発しました、ハッキリ言って自信作です」

 

生命力を活性化させる人体の不思議、波紋呼吸法により意外にも早く退院した俺は懐かしの我が城へと帰還を果たした……モチロン、自分の城に入るのに裏口から入らねばならない理由はないので正面から堂々と入ったが、さすがにトシだな、全盛期に比べて身体がついてこない

 

「サミエンタール、アレ持ってこい、アレ、ペタっと貼って電気がビリビリするやつ」

 

「五月雨です、腰でも痛いんですか?」

 

「いや、どうせいつものロクでもないガラクタなのは見なくてもわかるしな」

 

今日のオシオキコースは比良坂先生に教えて頂いた絶頂!逝くイク電極地獄責めにでもするか、本来は本格的なカウンターショックでYOUR SHOCK!なプレイが望ましく、AED等を使ってもいいが、用意するのが面倒なので今回は健康グッズで代用する

 

「まぁまぁ、ロクでもないかどうかは御自身の目で見てから判断してくださいよぉ、ホント自信作なんで」

 

「そうさせて貰おうか」

 

既に、机の上に置かれた低周波治療器をチラチラと見つつ気持ちの悪い笑みを浮かべている夕張は何を考えているのだろうか…

「今回開発しました最高にゴキゲンなメカはこちらァ!12.7cm連装砲C型改二です!」

 

「………足がないな」

 

「足なんて飾りです」

 

意外ッ!?なんかマトモなモン作ってきやがったよコイツ!?12.7cm連装砲C型ってアレか?Cって言うぐらいだからBよりスンゴイのだろう

 

「こちらの12.7cm連装砲C型改二、12.7cm連装砲B型改二に比べ命中+1、装甲+1、120mm連装砲に比べ装甲+1&改修可能と現状考え得る最強の12.7cm連装砲です、はい」

 

「夕張ェ…」

 

「はいっ!ビンタですか!平手打ちですか!尻を出します!」

 

「オマエ、たまにスゲーの作るよな」

 

「はいっ!あ、尻を出す前に壁に手をつかないとアレでしたね!あ、もしくは机に腹這いの方が…」

 

夕張はニコニコと嬉しそうに気色の悪い笑顔でアホなコトを言っているが……コレを作って怒るなどとんでもない、良い子には褒めて伸ばすのが教育だと常に香取先生も仰っておられた、そう、香取先生は仲間を大切にしないそれ以上のクズでも見捨てないアツき教育者の鑑…ッ!

 

「夕張ェ…」ポロポロ…

 

「な…なんでしょうか?」

 

「提督は知ってたよ、オマエはホントはスゲーやつなんだって…やれば誰よりもデキる子なんだって…」ポロポロ…

 

「は…はぁ、それはどうも」

 

俺は低周波治療器を机に引き出しに入れ、ワリと華奢な夕張の身体をアツく抱きしめ、よくやった!よくやった!感動した!とアツく褒めちぎった

 

「え?え?や、ちょ…?え?ナニ?え?五月雨ちゃん、提督なんか変なモン食べたのぉ!?」

 

「食べてませんよ」

 

五月雨も12.7cm連装砲C型改二を物珍しそうに眺めたり触ったりしつつ、ほーほーコレは良いものですねーと感心していた

 

「ちょ!な…なんですか!ヤる気ですか!今日は電気ビリビリと見せかけての抱きしめ過ぎだぜオヤジぃ!な感じのアレですか!?」

 

「ナニ言ってんだオマエは、褒めてるんだぞ」

 

「褒める………?え?ナニ言ってるんですか?イカれてるんですか?」

 

「むしろオマエが何を言っているのか理解に苦しむのだよ」

 

「…え?だってテイトク、私、朝からおしっこ我慢してもう膀胱パンパンなんですよ?たぶん内股エレパ●スの刑レベル7で我慢出来ずにスプラッシュしそうなトコなんですよ?」

 

「トイレに行け、トイレに」

 

「…え?じゃ、しないんですか?エレパ●ス」

 

「しねーよ、なんなら肩にでも貼ってやろーか?」

 

夕張はとても残念そうな顔をしてガクリと肩を落とした、コイツ…褒められる事にあまりにも不慣れ過ぎて思考と本能がラリっちまっているのだろうか?

 

「………いえ、結構です」

 

「まぁそう言うな、そうだ、今日は提督様が晩飯でも奢ってやろう、肉かね?魚かね?好きなものを言いなさい、ガッハッハ!」

 

「………いえ、特にないです」

 

「若いモンが遠慮するんじゃないよキミぃ!」

 

「………はい、じゃ、うどんでいいです、高速のPAとかにあるたまにソバが交じってる雑なやつで」

 

謙虚かッ!コイツ……人が珍しく褒めてやっているのに恐ろしいまでの謙虚ッ!

 

「オイ、サミッターマイヤー」

 

「五月雨です、なんですか?」

 

「コイツ、なんか変なモン食ってるんじゃないのか?」

 

「さぁ?むしろ、夕張さんが今一番食らいたいのは提督のボディブローじゃないんですか?ほら、あの腹立つくらいスリムなヘソチラウェストとか世の女性の70%が殺意を抱いてブン殴りたく思ってますよ」

 

70%か…多いな、女社会の闇は深い…

 

「白露姉さんなんか夏が終わって厚着して油断して、最近イモばっか食べてるせいでブーブー屁をコキながら歩いてますよ」

 

「白露姉ちゃんの闇も深いな」

 

五月雨曰く、春雨姉さん(仮)もイモばっかり食べて部屋でゴロゴロしているせいか、同室の夕立と村雨からブーブークッションとディスられているらしい

 

「まぁそれはいいして、とりあえず腹パンでもしたらどうですか?」

 

「…オマエ、夕張と仲良いんだよな?」

 

「えぇ、まぁ、それなりに…好きな音楽のジャンルは知らない程度にはですけど」

 

微妙な関係だな、コイツらたまに一緒に近所のイ●ンモールとか行ってるし仲良いのかと思っていたが…

 

「まぁいい、オイ夕張」

 

「………なんですか?私、トイレに行きたいんですけど」

 

「そこの窓からしろ」

 

「…はい?今………なんと?」

 

「掃除するのもされるのも面倒くせぇからそこの窓から外に向かってしろ、録画しててやるから」

 

「は、はい…っ!やります!やらせて頂きます!」

 

なんで嬉しそうなんだよコイツ…相変わらずキメェな、っーかどんな闇を抱えてんだよコイツは

 

…翌日、なんか執務棟の裏を歩いていた熊野が天気は快晴だと言うに雨が降ってきましたわー!あれはきっとキツネ雨ってヤツですわー!となんか嬉しそうにハシャぎながら俺に話しかけて来たので、俺はとりあえず“雨だよ…”とだけ答えておいた

 


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