【登場人物】
夕張(4)
たまにはスゴいものを作るスゴいヤツ
誉められる事に、あまりも不慣れ過ぎている
鈴谷(8)
カレーが好きで好きで仕方ない、普段は食堂の給食カレーとボンカレーで我慢してる我慢の子
「足がないな」
「足なんて飾りです」
夕張のアホが作ってきたよくわからない物体を前に、俺達は煙草をふかしながらいつもの遣り取りをしていた
「で?ナニコレ?」
「はい!水中酸素破壊剤!またの名を!オキシジェンデストロイヤーです!」
オキシジェンデストロイヤー、水中で使用すると周囲の酸素を破壊し、そこらへんにいる生物を死滅、液状化させる物質である
「オマエたまにすげーの作るよな」
「いやぁ~それほどでも」
その破壊力はハンパではなく、あのゴ●ラすら完全に殺ったコトもある
「使用するには流石に躊躇いがあるが、まぁ、よくやった、誉めてやろう」
「ありがとうございます!」
「とりあえず、ロッカーの中にでも入れとくか…」
「あの…」
「なんだ?まだなんかあるのか?」
「いえ、今日は尻を出せと言わないのかと…?」
「そりゃオマエ、いつものバカ兵器ならア●ルプラグでもブッ刺すが、今回は使い難いがバカ兵器ってワケでもないしな」
「…そうですか」
心なしか、残念がっているように見えるのは俺の気のせいだろう
思えば、今までコイツを誉めた事があったであろうか?
「ティーッス、鈴谷がお小遣い貰いにきましたよ~…ん?今日はサミーいないの?あ、夕張サンじゃねっすか、チッス!」
「何を用か?」
「お小遣い貰いにきたって言ったじゃん」
「…そうだな、カルピスの原液を一気飲みできたら考えてやる、上の口からな」
「上の口とかゆーな、変態!」
「で?飲むのか?飲まねーのか?」
「…さすがに原液はちょっと」
まぁ、このカルピスは俺のではなく、五月雨が買ってきたやつだから無くなったら殴られるけどな
「なら死ね、オイ、夕張、メシ食いにいこーぜ、好きなモン食っていいぞ」
「え?いいんですか?」
「誉められる事をしたのだ、当然だろう?」
「じゃ…じゃあ、素麺とかで」
「もっと高いモンにしたまえよキミぃ、ウナギでも食うか?」
「ちょ!ちょっと待って!鈴谷も行きたいんですけど!ウナギ食べたい!」
「あ?殺すぞ」
「対応が違い過ぎるッ!!鈴谷に対してだけ厳し過ぎるッ!」
「当たり前だ、ビッチが」
「だからビッチじゃねーって何度も言ってるだろォ!鈴谷こう見えても清純派だし!」
「あ~あるある、そんなタイトル書いてるビデオ、俺も若い頃はよくパッケージだけ見てレンタルしなかったよ」
「しろよッ!!」
そもそも、清純派がそんなビデオに出てる事自体がおかしいだろうと当時の俺は考えていたぐらいだ
「いや、ウナギはこないだ食ったし…カレーでも食いに行くか?なかなかスパイシーな会心の一食の店があるらしい」
「カレーですか、いいですね!」
「それこないだ鈴谷が教えてあげた店じゃん!鈴谷が行きたいって言った店じゃん!なんなの?鈴谷の目の前で他のヤツ誘うとか何のイヤがらせ!?」
「うるせーな負け確ヒロインみてーなコト言ってんじゃねぇよ、オマエも来るか?金は自分で払えよ」
「…クッ!鈴谷にも奢ってください!」
「無理」
「おねがいしゃーッス!!ホントに!ホントに食べたいんです!あ、パンツ!パンツでいい?今すぐ脱ぐから!脱ぎたてだよ!今ならニーソもつけるし!」
そ…そこまでしてカレーが食べたいのか?恐るべき執念ッ!正直、ドン引きだよ
「あの…なんでしたら鈴谷さんのは私が出しましょうか?」
「バリッ!!………いや、あなたが神かッ!」