【登場人物】
提督(188)
上司と部下の円滑なコミュニケーションツールを使う大人
間宮(8)
美食四天王、スウィーツは甘いが、味噌汁はちょっとしょっぱい
鈴谷(55)
最上型の面汚しその1、超ポジティブ思考
熊野(21)
最上型の面汚しその2、提督とは仲が良い
初戦からアツいファイトが繰り広げられている秋の中規模作戦、相変わらずどころか今回は輪をかけて、何が中規模作戦だよ!テメーの中規模はでたらめだよ!と言いたいのは俺だけではないだろう…
「本日のオススメは秋の彩りパウンドフォーパウンドケーキです」
「上の棚に置いてるやつ1個づつくれや」
「本日のオススメは秋の彩りパウンドフォーパウンドケーキです」
「いいから早く包めやブタ乳女が、ケツにバールぶっ刺されてテコの原理を応用されてーのか?」
甘いモンも辛いモンも置いてあるこだわりのスイーツショップ間宮、そのこだわりはハンパではなく、スイーツはスウィーツと呼ばないとスナップの効いたビンタをされ、徹底的な品質管理の名の下に作られたそのスイーツはまさに悪魔もブッ飛ぶダイタンモテカワスイーツと言っても差支えがないだろう…
「ブタ乳女ではありません、訴えますよ、伊良湖ちゃん電話貸して」
「へいへい、スイマセンスイマセン」
この野郎、ちょっとむしゃぶりつきたいナイスバディだからってチョーシに乗りやがって……いつかその美尻をブッ叩いてヒーヒー言わしてやるわい
間宮はぶつくさと文句を言いつつも上の棚にあるケーキを丁寧に箱に詰め、カウンターの上に置いた
「8980円です」
「高けぇよ!なんでたかがケーキ5〜6個でそんなぼったくり価格取られるんだよ!」
「高くありません、適正な価格です」
「何が適正な値段だ、そもそも誰向きの商売なんだ?あ?」
間宮曰く、厳選された最高の素材を用い、最高の環境で、最高の腕をふるって作られたスイーツに対してこれ以上はない適正な値段設定とのコトだ
「あと、食べ過ぎじゃないんですか?太りますよ」
「誰がこんなモン1人で食うか、そもそも俺は甘いモンが大して好きじゃねぇんだよ、2〜3口で上等、1つ食ったら吐き気がするわ」
「私の作るケーキは吐き気なんて催しません、頭おかしいじゃないですか?」
コイツ、俺の嗜好やら味覚を疑う前に頭を疑うとは……
「しかし提督も頭おかしいくせにワリとマメですね、秘書艦ちゃんにたまにスウィーツ買って行ってゴキゲンとりするし」
「上司と部下の円滑なコミニュケーションの為に必要なツールだからな」
「あと、たまに“小さい子”にスウィーツ奢るし……“小さい子”に」
「オイ、ケンカ売ってんのかテメーは?なんですか?この店はケーキの他にケンカも売ってるんですか?あ?」
よし!決めた、コイツだけは許さねぇ…いつか必ずその安産ヒップにキャリバーねじ込んで己が肉●器だと言うコトをわからせてやる
◆◆◆
間宮の店で甘いモンを買い、喫煙所でタバコでも吸ってから執務室に戻るかと考えつつ廊下を歩いていると、自販機コーナーの前で頭の悪いJKみたいなヤツらがたむろしていた…
「最上ねーちゃんが腕につけてる1YBってなんか知ってる?」
「アレじゃありませんの?1年後にジャポンディー諸島で!ですわ」
最上型の面汚しコンビ、鈴谷と熊野はオレンジジュース的な何かを飲みながらだっしょ?だっしょ?マジ最上クンヤバイっしょ?だの頭悪そうなJKトークで盛り上がっていた…
「よぉ、クズども」
「あ、テイトク、ってかクズじゃねーし」
「アナタにクズと言われたくありませんわ」
「うるせぇよ、っーかオマエらもこんなトコでバカトークしてないで走り込みでも投げ込みでもしてこいよ、作戦期間中はいつでもイケる気でいろよ」
「ふふん、鈴谷はいつでもイケるしぃ!」
「私はいつでも………とは言いませんわ、やはり私、シチュエーションを大事にするタイプなので」
「やかましい、俺がイケって言ったらイクんだよ、イキたくないとか泣き事は聞かんぞ、むしろイキたくてイキたくてイキっぱなしのイキ狂いにしてやるわい」
「外道…っ!まっこと外道ですわ…っ!」
「や、熊野と提督………え?コレ、そーゆー話だったの?」
鈴谷はしまった!乗り遅れた…っ!この軽快なジョークと言う名のビッグウェーブに…っ!と言いたげな顔をしているが、俺は何もジョークなど言っていない、作戦海域に必要とあらばもうカンベンして下さいと泣いて謝っても出撃させると言うだけの話だ
「ところで提督、その箱はなんですの?」
「間宮のトコで買ったケーキだが?」
「ほぉ…ケーキですの、なかなか気が利きますわね」
「言っとくが、オマエにくれてやる気はないからな」
「鬼畜…っ!まっこと鬼畜生ですわ…っ!」
「どうしても欲しいのならおねだりしてみるがいい、自分の口でな」
まぁ、正直な話、俺も五月雨も買ったもののそんなに食わないので普段は運良く執務室に来たヤツに与えているんだが…
「よし、じゃ3秒以内な、おねだりスタート!3、2…」
「くださいませ」
「………合格!」
「やったですわー!!」
さすがは熊野、俺からケーキを引き出すとはな、大したヤツだ…俺はチョコレートっぽいケーキを箱から取り出し、熊野のアホみたいに開いた口にねじ込んでやった
「んごぉ!?………あっ……あっ……うん、うんうん、美味いですわぁ〜」
「え!?そんなのでいいの…!?テイトク!鈴谷も!鈴谷も欲しいんですけど!」
「間宮のトコに売ってるぞ」
「厳しい!!鈴谷に対して厳し過ぎる…っ!チャンス!鈴谷にもチャンスを…っ!!」
鈴谷は欲しい欲しい頂戴頂戴と俺の肩を掴んでガクガク揺らすので、とりあえず下腹にパンチを入れてやった
「おごぉ!!」
「うるせぇよ、じゃ、今から俺と殴り合いして勝ったらくれてやる」
「き……厳しい!熊野に対して鈴谷への条件が厳し過ぎる…っ!」
「厳しくない、提督だ」
「っ!!………よぉ〜し、いいじゃん、やったろーじゃん、ボッコボコにしてその箱の中身全部鈴谷が頂いてやろーじゃん!」
立ち上がった鈴谷は不遜にも上司である俺を指差し、宣戦布告を吠え、殴りかかってきた
「甘いわボーヤですわーッ!」
「グヘァ!!く…熊野っ!?」
奇襲!!鈴谷の背後から突如として熊野の蹴りが鈴谷の背中に炸裂した
「ヘイ!テイトク!ヘイ!」
「オーケー!ブドー!」
前後から挟み込む俺と熊野のラリアットが鈴谷の首を刈り取り、鈴谷はグヘァ!と汚い断末魔を残してその場に崩れ落ちそうになったところを熊野はその首根っこを掴んで立たせた
「く……熊野ぉ……」
「お〜っと、まだパンツ狩りの儀式が終わってませんわよ……って!クサっ!?鈴谷のパンツマジクサイですわー!」
「くさく…ねーし…」
熊野的にはなんかアンモニア臭がするのでやはりパンツ狩りの儀式はイヤですわと鈴谷を床に放り投げた、なるほど、これが完璧に足りなかった慈悲の心か…
俺は熊野とハイタッチを交わし、その後、慈悲の心に殉じ、その場で気絶した鈴谷の口に生クリームたっぷりのパイシューをねじ込んでやった、勝者も敗者もない、リングを降りればノーサイドの精神を俺は改めて教えられたよ…
次回は捷一号作戦、発動準備
引き続きのシーマ艦隊