【登場人物】
提督(196)
ハッピープロジェクト推進派
五月雨(57)
ハッピー●ーン買い置き派
香取先生(16)
ハッピーサ●ーウェディングは人の式で何度なく聴いた派
Richelieu(3)
ハッピーさん?知ってるわ!モチロン知ってるわ!アレでしょ…えぇと……そう、アレ、アレよね!モチロン知ってるわ!
新品のパンツを穿いた元旦の朝のような爽やかさの漂う執務室…
「今年からはお年玉制度を廃止し、代わりにこの一粒飲めば笑いが止まらないクスリを配布しようと思う」
「…はぁ?」
青髪ロング今年からは元旦の朝からナニ言ってんだコイツ?イカレているのか?と言いたげな顔をしているが俺はイカレていない、いや!むしろ俺は金と言う人を狂わす魔王ではなく、みんなを笑顔にしたい!俺のエンタメイトでみんな笑顔でウルトラハッピー!海軍ハッピープロジェクトを推進したい!
「それ、どーゆー成分なんですか?」
「さぁ?とりあえず取説によれば依存性と中毒性が強く、一粒飲めば笑顔と上の口から下の口から涎が止まらないそうだ」
「…はぁ?」
「よし!早速だがみんなを笑顔にしてくるか、五月雨、付いて来い」
「え?普通にイヤですけど?」
◆◆◆
執務棟を離れ、外へと続く廊下を歩いていると、窓の外では駆逐艦のクソガキどもがゲイラカイトを持ってキャッキャとハシャぎ回ったり、いっけー!オレのドラ●ーンとか言いながらベイ●レードを回したりして遊んでいる姿があり、五月雨曰く、グラウンドでは新春ニューイヤー駅伝を絶賛開催しているらしいので俺達はニューイヤー駅伝開催中のグラウンドへと行ってみる事にした…
「長良クゥゥゥゥン、どうや?ウチのRJの履き心地は?悪くないやろ?」
「えぇ、悪くないです」
「キミには期待しとるんやで、な!コレ履いて!ビッと優勝してくれや!」
「…ですが龍驤さん、大変申し訳ないのですが……コレは履けません」
「なんでや!?」
龍驤に頭を下げ、長良主将はシューズ袋からRJとは違うなにやら手造りくさい感じのシューズを取り出した
「今回は………この“明石MAX2020・HASHIRI”でいきたいと思います!」
「なんでや!?」
龍驤はなんでや!?と連呼し、クソっ!後悔するでぇ!後悔するのは自分なんやでー!と言っていたが、長良主将は感動の涙を流す明石のバカとガッチリ握手をし、アツい抱擁をしつつ背中をバシバシ叩きあった…
「………なんだあの茶番劇」
「さぁ?」
俺は五月雨から受け取ったミルクティーの缶を開け、喉に流し込んだ………甘いなコレ
「あら、提督と五月雨さん、あけましておめでとうございます」
「おぉ!これはこれは香取先生!あけましておめでとうございます、本年も私ともどもウチのク……艦娘どもを宜しくお願い致します!」
「まぁまぁ、これはご丁寧に…こちらこそ宜しくお願い致します」
年始らしく、晴れ着姿の香取先生はいつにも増して更にエレガントでいらっしゃる、まったく…香取先生はいつだって俺をアツくしてくれるのだよ
「ところで香取先生は何故こんなところに?あ、もしかしてアレですかな?駅伝に興味がおありな感じで?」
「いえいえ、私と鹿島はあちらで羽根突きをと…」
「ほぉ…羽根突きですか」
「えぇ、羽根突きを…」
「アレですかな?やはり香取先生となると羽根突きもお上手であると噂を…」
「いえいえ、私なんて当てるだけで精一杯でして…お恥ずかしい限りです」
まったく、香取先生はご謙遜も得意でいらっしゃる…
昨年の全基地羽根突きオープンベスト4の腕は錆びつくどころか益々キレを増しておられるだろう
あちらを見れば、既に全身にダメージを受け満身創痍の鹿島先生がハァハァ言いながら胸を揺らして立っている、もしかして誘っているのだろうか?
「では…鹿島ぁ〜……続きを始めますよ〜」
「ひ…ヒイッ!?香取姉ぇ!もうムリ!もうやだ!やめて!死んじゃう!?」
「いきますよ〜……それっ!」
香取先生の羽根は鹿島先生のケツのあたりでありえないほどスパーキングな音で炸裂した、これが香取先生の処刑羽根突き・電気椅子…ッ!!
「いっ…たあああぁぁぁぁぁぁい!!」
「コラ!鹿島!せっかく提督がご覧になっておられるのになんて情けない声で、恥を知りなさい!恥を」
「や……マジ、マジムリ、香取姉ぇ…ホントムリ………ってウゲェ!?」
出た!香取先生の処刑羽根突き!コロンビア・ネクタイ!!………まったく香取先生は新年の羽根突きだってエレガントでいらっしゃる…
◆◆◆
五月雨と共にダラダラ基地の中を歩いていると、なんかパッキンのヤンチャ成人式みたいなのが自販機コーナーでおしるこのボタンをバシバシ叩いていた
「Merde!なんで出ないのよ!この私を舐めてるの!このRichelieu様をバカにしているの!」
「ナニやってんだ、オマエ…」
「ん?あらamiralと………なんだっけ?」
「五月雨です」
「そうそう、サミダレね、サミダレ、知ってたわ!」
苛烈・残虐・残酷の国からやってスーパーモデルを超えたスーパーモデル、スーパーモデル・ゴッドの力を持ったスーパーモデルのスーパーモデル、フランスから来た自称最強戦艦リシュリューくんはモチロン知ってたわー!と高笑いしていた…
「ってかオマエなんだその格好は?成人式か?」
「セイジンシキ?」
この野郎、知らずに着てたのか…アホだアホだとは思っていたが、やっぱアホなんだな
「まぁいいや、ちょっとそこに立ってろ、動くなよ、ほら動くなよ、笑って笑って、はい、バター」
「ナニ?Une photo?フフッ、いいわよ?私のUne photoを欲しいなんてamiralもスミに置けないわね!」
「誰がテメーの1mmもシコれねー写真なんかいるかボケ」
「シコ…?」
五月雨から美しすぎるって意味ですよと懇切丁寧に説明を受け、満足そうに高笑いするリシュリューくん、五月雨には後でジュースでも買ってやるか…
「………よし」
「ナニがヨシなの?」
「オマエの晴れ着姿をボルドーのママに写メ送ってやったんだよ、感謝しろよ」
「Sérieux!?ちょ…待ち!待って!待って待って待って!え………なんで?なんでMAMANに…?え?amiral?え?」
「お母さんにこまめに連絡しろよ、このパリっ子気取りのボルドーのワイン農家娘が」
「いやいやいや!amiral!どーゆーコト!?なんでMAMANとそんな仲良い感じなの!?」
次回は新年メインヒロイン無双