【登場人物】
ミステリアスパートナー
正体不明の謎のマント集団、暇人
桜井中将
日南中尉の上司、ワリと話がわかる系、たぶんビ●クコミックとかスピ●ッツを読んでそう
翔鶴
桜井中将の秘書艦、吐血しないまともな翔鶴、意外とノリがいい系
宿毛湾泊地特設演習場…
知性溢れるイケメン中尉率いる教導部隊と、突如として現れたノースリーブサングラス大尉率いる6人の悪魔艦娘達による戦いのゴングの鳴った!
「なにが知性だ!その賢いおつむを秋津洲よ!そのクレーンで破壊してやれーーーーっ」
外套を脱ぎ捨てたミステリアスパートナー1号こと秋津洲は果敢にも教導部隊で最も強敵であろう英国戦艦ウォースパイトに飛びかかった
「さぁ!とどめを刺してやるかもー!」
「…Fire」
「ぐわあああああぁぁぁぁかもー!!」
【秋津洲 轟沈】
「………一体なんのつもり?」
いきなりの急襲に少し驚きはあったものの、ウォースパイトの冷静で的確な判断で玉座型艤装が火を吹き、まずはノースリーブサングラス大尉の精鋭達の1人を沈めた
「つ、次!あきつ丸出ろ!」
「特種船丙型揚陸艦あきつ丸!行くであります!」
元気良く外套を脱ぎ捨て、次なる精鋭、ミステリアスパートナー2号ことあきつ丸がグオゴゴゴとよくわからない声?を鳴らしつつ英国戦艦ウォースパイトに向かう
「…Fire」
「ギャーッア!!」
【あきつ丸 轟沈】
ウォースパイトの玉座型艤装が再び火を吹き、次なる轟沈判定の旗が上がり、電光掲示板の轟沈リストに名前が点灯した…
◆◆◆
「いきなり2人もやられましたよ」
「あぁ、まさかいきなり2人もやられるとはな…」
まさか我が精鋭部隊をこうも簡単に倒してのけるとは、日南中尉か、なるほどただのイケメンではないらしい…
五月雨から缶のレモンティーを受け取ってひと息入れ、とりあえず今の現状について認めてみた
「そもそも、なんでよりによって戦闘向きじゃない人達を連れて来てるんですか」
「や、アイツらなんか暇そうにしてたし、演習行くけど一緒に来るかって聞いたら行く行くーって言ったし」
「なんでそんなちょっと買い物行くけど来るかみたいなノリで誘ってるんですか…」
「ま、まぁ…!大丈夫だ、なんたってこっちにはまだ4人の精鋭達がいる!大丈夫だ!」
「そもそも、私もあの怪しいマントの中身知らないんですけど、誰を連れて来たんですか?」
◇◇◇
いきなり2人も轟沈か……とりあえず、幸先の良い先制パンチを打てたと言うコトでいいのだろうか?
「でも…」
まだ油断は出来ない、相手はこちらの練度に合わせた編成をしているらしいし、今の2人は言い方的にはあまり好きではないけどかませ犬のような存在だった可能性もある、気を引き締めていこう
「ほぉ…なかなか幸先が良いじゃないかね」
「ん…?あ、桜井中将!」
艦隊の指揮をするべく備えつけられた指揮所に、桜井中将と秘書艦の翔鶴さんがやって来た
「だが油断は禁物だ、相手はあの“海軍1022事件”にて大将4、中将12、少将47を病院送りにしたフダ付きだ」
あのノースリーブサングラス大尉が…?そんなヤバい人なのか、いや、そもそも海軍1022事件ってなんだろうか?聞いたらマズいかなと考えていると、秘書艦の翔鶴さんがこちらを見てとても曖昧な笑みを浮かべていたのでとりあえず聞かない事にした
「相手が誰であろうが、とにかく…今の自分は、いえ、自分達はベストを尽くすだけです」
ーーー
敵艦2を沈め、勢いづく教導艦隊の面々達、祥鳳・瑞鳳の航空支援を受けつつ、まずは神通が先陣を切って残る4人の怪しい外套集団へと突撃を仕掛ける
「…行きます!」
水柱を上げつつ、右へ左へ動きながら隙を伺い、一瞬の好機と判断した神通は水柱を切り裂きながら目の前に立っている外套に砲を向けて撃ち抜いた
「直撃…っ!」
手応えあり!今の距離からの直撃は無事では済まない!轟沈判定とは言わないものの中破判定を確信した神通だったが…
「なかなかやるじゃないの…」
「な!?」
当たっていない!?あの距離で避けた!?………止まる事なく水上を疾走する神通の真横にピッタリとつくように外套を脱ぎ捨てた敵が並走している
「でも私とヤるにはまだ早いわね…」
川内型1番艦の川内、しかもこの敵は神通の知る川内とは違う高練度仕様、つまりは改二改装をした川内
ミステリアスパートナー3号ことニンジャマスター川内は並走しながらも特に砲を向けるワケでもなく、ただ、左腕を神通へと向けると袖から蛇が飛び出した
「な!?へ、蛇ぃ!?って!!イヤァァァァァァァ!!」
飛び出した蛇は神通の首に巻きついてその顔をチロチロと舐めただけだったが、さすがに神通とてお年頃の女の子、突然の、それも予期もしない緊急自体に意識を失って海上に倒れた
「あら…意外とだらしないのねぇ」
【神通 轟沈】
「………ん?」
水上で卒倒した神通を抱え、どうしたものかと考えている川内の頭に祥鳳・瑞鳳の放った艦載機からの支援攻撃が見事に突き刺さり、川内にも轟沈判定の旗が上がった
【川内 轟沈】
「やった!祥鳳姉ぇ!やったよ!」
「気を抜いちゃダメよ、まだ油断できないわ」
「あ、うん…そうだね、よし!次の索敵っと………ん?」
「どうしたの?瑞鳳」
艦載機を通して見る映像、瑞鳳はその映像になんとなく違和感を覚えた、なんだろう?さっきの変な感じは、今のは間違いなく轟沈の判定だったハズ………瑞鳳はなんとなく気になり、先程沈めた川内へ再び視点を移すと…
『シャアアアアアアア!!』
水面に浮かんだ川内の首が180度回転し、あり得ないほど大きく裂けた口から新たな川内が飛び出した
「うっぎゃああああああああああ!!!」
「ず、瑞鳳!?」
「あわわ、あわわわわ…」死ーン
【瑞鳳 轟沈】
ワリとスプラッタな衝撃映像に、瑞鳳は恐怖のあまり気を失った
「ちょっと!瑞鳳どうしたの!?何があったの?ねぇ!?」
まさか一発の打撃すら受けていないのにいきなり卒倒した瑞鳳を心配し、瑞鳳を抱き抱えた祥鳳はとにかくこの不可解な現状を伝えねばと日南中尉へと通信を飛ばした
◆◆◆
「鬼ですか」
「鬼じゃない、提督だ」
五月雨の冷静で的確なツッコミはさておき、さすがは伝説の外道ニンジャ川内だ、残念ながら轟沈判定は受けてしまったがヤツこそ不死の忍、ヤツを殺るには最低でも万華鏡写●眼か破●の瞳ぐらい持ってないとムリだろう
「しかしよく来てくれましたね、川内さん」
「あぁ、なんか新しい術を開発する生贄がどうのこうの言ってたがな」
「とんでもない悪魔と取引したんですね…」
しかしこれで3対4、相手は戦艦1、駆逐艦2、軽空母1か…できればあと1人ぐらいは殺って欲しかったがまぁいい、残る3人の悪魔達がヤツらを……いや、あの若きエリート様を地獄へと突き落とすのだよ
「あ、新しい轟沈判定出ましたよ」
「勝ったなガハハハ……って!オイイイィィィィ!!」
【神威 轟沈】
【速吸 轟沈】
電光掲示板に点灯したのはミステリアスパートナー4号ことムチムチエロス艦、神威クンとミステリアスパートナー5号こと世界最速の肩、速吸クンの名前が点灯していた
「ちょ!待てよ!」
「ちょ!待てよじゃないですよ、だから戦闘向きじゃない人連れて来てるんですか?神威さんも速吸さんも補給艦じゃないですか!」
「や、だってなんか暇そうにしてたからちょっと付き合ってくれってな」
「だから!なんでそんなコンビニ感覚で演習に誘うんですか!?マトモなの川内さんだけじゃないですか」
たしかに、本来ならば口からゲロゲロ吐く川内はマトモじゃない枠に入るのだが、相対的に川内がマトモに見える不思議ってヤツだな、こりゃ…
「…ちなみに、最後の1人は誰なんですか?」
「え?明石」
【明石 轟沈】
轟沈判定の電光掲示板が点灯し、試合終了を告げるサイレンが鳴った………そう、まるで最後の夏を終えるかのように無情なサイレンの音が…
◇◇◇
「まさか我が精鋭部隊6人を撃破するとは、なかなかやるな、中尉」
「は、はぁ…恐縮です」
教導艦隊と大尉率いる6人の精鋭…?精鋭との演習は無事に終了し、結果的にはこちらの轟沈判定2、小破0、中破0、大破0、対して相手は轟沈6とかなり一方的とも言えるワンサイドゲームになった……結果的だけ見れば…
ただ、練度的にはノースリーブサングラス大尉の部隊は平均練度97と高かっただけに、あえて戦闘向きでない艦で編成をしてきたと思うと個人的にちょっと悔しいものがある
「今回は色々と考えさせられるものがありました、ありがとうございました大尉」
「ハッハッハッハ、褒めるなよ、兵が見ている」
ノースリーブサングラス大尉か……まぁ、たしかに変な人ではあるけど、中将が言うほど悪い人ではないのでは…?大尉はこちらこそと言いつつ握手を求めてきたので今度こそ、その手を握り返した…
「零の悲劇ーッ!!」
「アダッ!?痛い!イタタタタタタ!!痛い痛い痛い!」
大尉はあり得ないぐらい凄まじい力で握った手を締めつけてきた!!
「ハァーッハッハッハッハ!バカめェ!この俺がイケメンなんぞと和解するワケがなかろうがーッ!全てのイケメンはすべらかく粛清じゃあ!」
前言撤回、このノースリーブサングラス大尉は中将の言った通りのフダ付きだ…
「このクソ黒メガネ!ひなみんにナニすんだこの野郎ーッ!」
「ウゲェーッ!!」
島風がノースリーブサングラス大尉の股間を蹴り、右手の力が緩んだところでなんとかの悲劇から脱出すると、殺気立った艦娘達が僕の前に立った
「グゥゥゥム!なんと言う強固な信頼関係、戦いに情けは無用!大切なのは怒りと憎しみの悪のパワーだけと思っていたが………フッ、日南中尉、君を見てそれは間違っていたとわかったのだよ」
「は…はぁ?」
「色々とすまなかったね、君がイケメンな事にSITTOしていたのだ、許してくれ」
ノースリーブサングラス大尉はサングラスを取り深く頭を下げた
「い、いえ……頭を上げてください大尉」
深々と頭を下げる大尉の手を取り、今度こそ和解を…
「零の悲劇ーッ!!」
「痛ァァァァァ!!痛い痛い痛いーッ!!」
「ハァーッハッハッハッハ!!バカめェェェ!!イケメン死すべし!イケメン死すべし!イケメン死すべしィィィ!」
ダメだこの人、完璧な外道だ…まさかここまでの外道とは!?ノースリーブサングラス外道大尉は島風だけでなく時雨や初雪なども加わった艦娘達に死ねやら地獄に落ちろなどと罵倒されながら蹴られて転がった
「クッ……!大したヤツだ、日南中尉、かくなる上は中尉!リングに上がるがいい、6人の精鋭達最後の刺客!この俺自らキサマを屠ってくれるわ!」
「な、ナニ言ってるんだ…アンタは」
ノースリーブサングラス外道大尉はベンチに座っていた6人の精鋭の1人、工作艦明石の首根っこ掴んで上空に放り投げ、まるでサッカーボールのヘディングをするようにガツンガツンと頭突きをして上空に跳ね上げた
「ぬぅ…アレは」
「えぇ…まさしく」
桜井中将と翔鶴さんが何かに気付いたように思わせぶりな顔と声で頷く…
ノースリーブサングラス外道大尉は上空に跳ね上げた明石を空中で両腕と足を極め、逆さまの状態で固定しつつ勢い良く落下して明石の頭を地面に叩きつけた
「ウッギャアアアアアアアア!!」ガゴォ!!
「ぬぅ…アレはまさしく海軍三大奥義の1つ、テイトクリベンジャー」
「て……テイトクリベンジャー?」
「その通り、日南中尉…君は軍の学校で見なかったかね?海軍三大奥義の壁画を?」
「海軍三大奥義の壁画…?」
そう言えば、校庭の隅になんか変な落書きみたいなのがあった気がする、たしか昔の卒業生のイタズラ書きとかなんとかだった気がするけど…
桜井中将曰く、テイトクリベンジャー、テイトクインフェルノ、テイトクスパーク、海軍が長い年月をかけて開発したという選りすぐりの3つの奥義はいずれも絶大な破壊力を誇る文字通りの必殺技であるが強靭なパワーとテクニックを必要とする難解な技であり、かの有名な連合艦隊司令、山本五●六はこの技を用いてかつての大戦にて名だたる強敵達を屠った事はあまりにも有名な話である………とのコトだが
「まさかテイトクリベンジャーを習得しているとは…」
「えぇ、さすがは梶和大将の隠し球と噂されているだけあるかと…」
ってか、桜井中将も翔鶴さんも妙に詳しいな…
ノースリーブサングラス外道大尉はテイトクリベンジャーの餌食となった明石を投げ捨て、こちらに向かって声をあげる
「ハァーッハッハッハッハ!さぁ上がって来い!日南中尉!」
「え〜……」
やるの?え…?やるの?演習はもう終わったんだよね?これは付き合う必要ないよね?とりあえず桜井中将と翔鶴さんの方を見ると、中将は力強く頷き、翔鶴さんはガンバ!と言いたげに両手を胸の辺りでグッとしている
「え〜…」
そして、周囲の艦娘達も僕がリングに上がるコトに物凄く期待を込めた眼差しをしていた、やるよね!ひなみん!やるよね!あんなヤツやっつけちゃうよね!と言いたげな期待の眼差し、そして、あのウォースパイトすら、その瞳は“ヒナミ、ぶっ飛ばしてさして上げなさい”と言っているのが言葉ではなく心で理解できた…
「はぁ………わかりました、やります、やりますよ」
その言葉に、大きな歓声が上がり、もはや逃げ場なしと覚悟を決めるしかなくなった…
「フッ、来るがいい中尉!!そのキレーな顔をフッ飛ばしてやる!」
「あぁ…はい、ではお手柔らかにお願いしますよ!あと!終わったらもう帰ってくださいよ!」
まさかの三回続く系、まさか…