難しいコトにも挑戦したい気難しいお年頃
【登場人物】
提督(206)
前回潜水艦とウェイウェイ言ってた人、今回の口癖は、なんてこった!クソったれ!
天海中佐
主人公オブ主人公、イケメンで、有能で、過去になんかある、ナイス主人公の鑑
「どうして戻って来たのですか…?」
何故、俺がこの場に戻ったのか、その理由がまったく理解出来ないとマヌケな顔をした天海に予備の弾倉を投げ渡し、俺は火の点いたタバコを指で弾いてそこら辺に捨てた、本来ならポイ捨てはしない主義だが………まぁ、ここなら辺り一面灰皿みたいなモンだろ
「仲間だから!!」
「………はぁ?」
天海はナニ言ってんだコイツみたいな顔をしているが、うん、まぁ、今のちょっとアレだったな
「あー……悪い悪い、間違えたわ、やっぱナシ、今のナシな」
「は、はぁ?」
「では改めて………友達だからっ!!」
天海はさらにナニ言ってんだコイツみたいな顔をしていたが、どうやら俺の言いたい意味を汲んでくれたらしく、いつものイケメン特有の嫌味のない笑みを浮かべ、そうですかそうですかと苦笑しながら立ち上がった
「なるほど………持つべきものは、友ってワケですね」
「どうだ?燃えるだろ?」
「えぇ、燃えてきましたよ…」
どうやら天海も少年漫画的なアツい展開は嫌いじゃないらしく、力強く立ち上がった姿には先程までの敗色感も疲労感もない、まぁ、むしろこの辺一帯がワリと燃えてるケッコーヤバい感じなんだが…
「さっさと用事片付けて帰るぞ天海、明日はお嬢様とお買い物の約束してるんでな、お前にゃ運転手兼荷物持ち兼財布っー重要な役目があんだよ」
「それはそれは………大役を任されましたねぇ」
新しいタバコに火を点けて煙を吐きだし、改めてこのヘヴィな状況にうんざりしたものの、まぁ、こうなっちまったものは仕方がない…
「さぁ〜て、こっからは俺とオマエで、女子供にゃ見せられない!ドキッ!男だらけの大乱行パーティーと行こうかァ!」
「では………付き合って貰いましょうかッ!」
──────脱出限界時間迄残り、20分
◆◆◆
クソほど寒い冬の執務室、五月雨から大将殿から電話ですよイヤな予感を感じながら受話器を受け取ったが、案の定イヤな予感が的中する内容だった…
「…はぁ」
「コーヒー淹れましょうか?」
「アツめでな」
五月雨は一瞬目を丸くしたがすぐにコーヒーですね!コーヒーと言ってそそくさと愛用のコーヒー機材の準備を始める、しかし、機材も原料も腕も一杯に注ぐ情熱も、全てが一流であろうコイツのコーヒーは何故あんなにマズいのか…
「はぁ……オイ、クリーニングした俺の制服どこにあるか知ってるか?」
「そこのロッカーに入ってますよ」
「ロッカーね、はいはい、ロッカーロッカー…ロックじゃねーの」
ロッカーを開けると、たしかにクリーニング済みと一目でわかる俺の制服が掛かっている、基本は会議んトキとかしか着ないのでそもそも自分でどこにあるのかすら曖昧なんだよな
「…それで?中央にお呼ばれでもしたんですか?」
「お呼ばれしたんだよ、バシッとした格好で来いってな」
「お土産はどうしますか?ひ●こ饅頭で?」
「そうだなぁ〜…あのクソオヤジにゃひ●こ饅頭ぐれーで上等だ」
「わかりました」
五月雨は今しがた淹れたばかりのクソマズコーヒーを執務机に置き、ついでに、自分用に買い置きしていたちょっとお高い生チョコも出して俺の前に置いた…
「………相変わらずマズいな」
「失礼な」
マズいものをマズいと言える大人である俺は相変わらずマズいコーヒーをちょっとお高い生チョコでダメージ緩和した
「今回は何のお話ですか?」
「さぁな、まぁ…あの口ぶりはロクなコトじゃないのは確かだ」
ま、直接会ってじゃないと話せない内容ってコトには察しがついたが…それだけに、今回の呼び出しはイヤな予感が警戒レベルいきなりMAXだ
「とりあえず、明日明後日には出るからオマエもお泊まりセットとか準備しとけ」
「はぁ?私も行くんですか?」
「当たり前だ、オマエは俺のなんだ?」
「部下ですね、たぶん」
「ナニがたぶんだ、オマエは部下、俺は上司、オマエが万騎長なら俺は大王だ、わかったか青髪ロング子が」
「はいはい、そうですね」
◇◇◇
白く、飾り気のない病室で眠り続ける少女のベッドの傍らに立つ青年は、眠り続ける少女に何かを語りかけ、そして、右手で少女の頰を触ろうとして………やめた
「……」
昔とは違う、今はもう、自分の汚れた手で少女に触る事は出来ない、青年はその手に改めて決意と殺意を確認し、最後に一言、行ってくるよ、とだけ言って病室を後にした…
眠り続ける少女の名は天海優…
海軍参謀司令第五特務部、天海特務中佐に残された唯一の家族であった…
次回は中編、です