不健全鎮守府   作:犬魚

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細かい説明要素はゼロで雑に進む尻アスパート、その3

【登場人物】

有馬優
提督の花嫁編 以来の登場の超絶箱入りお嬢様、全国平均を下回る小柄さ、見た目も実年齢も声かけ事案待ったなし
驚くほど好意的ながらとても消極的

美音少佐
第五特務部少佐、天海の同僚で後輩、無乳




第五特務壊滅編 後編

さて皆さん、僕は今、年収億に届いてるのが当たり前的なセレブリティな方々が沢山いらっしゃるセレブリティな会場に来ています、右を向いてもセレブ、左を向いてもセレブ、隣にはガタガタ震える全国平均より下回るであろう小柄なJS、そして正面には………

 

サブマシンガン的なモノを持った屈強なマスクマン達がイキってよくわからない言葉でナニか吠えてます、はい

 

「…!……!!」ガタガタ

 

「あ〜…大丈夫、大丈夫ですよお嬢様、こーゆーのはなんだかんだでなんとかなるんです」

 

「……?」ガタガタ

 

「とりあえず、お嬢様だけは俺が命に代えても………いや、やっぱ代えるのはナシで、うん、ナシで」

 

この状況に、混乱と恐怖で震えるお嬢様を安心させるべく、とりあえず気の利いたコトでも言ってみようとしたが特に思いつかないのでやめた、ヤダなぁ、俺こーゆーおとなしめで繊細そうな今風の子ニガテなんだよなぁ〜…

 

「ま、とりあえず怖いなら目ぇ閉じて俺の裾でも掴んどいてください」

 

「…!///!」コクコク

 

素直なお嬢様は目を閉じて俺の裾あたりをガッツリ掴み、俺にぴったりと寄って来た、まぁ…素直なコトは良いコトだ、ウチのアホガキどもにも是非見習って欲しいものなのだよ…

 

「さて…」

 

この状況がワザとなのかワザとでないのかは知らんが、天海クンよぉ〜………もうちょいしっかりやってくれねぇかな〜

 

◇◇◇

 

サカキさんとの連絡が途絶えて3分、状況的には既に行動は起こされた後だろう、元々、第五特務部自体が人手不足感は否めない部署だったのでこの結果は仕方ない…

 

『中佐、今どこにいますか?』

 

「47Fです」

 

『47ァ!?なんでそんなトコに!?中佐の持ち場は…』

 

「そんなコトはどうでもいいでしょう、ちょっと忙しいので切りますね」

 

取り外したインカムを踏み潰し、予め設置されていた起爆装置を無力化しながら歩く、時折、銃撃もあるがそこはまぁ…こちらも躊躇する程お人好しではない

 

「さて……」

 

ある程度は予測範囲内ではあるが、色々と誤差も生じている、会場が抑えられるのは思ったよりも早く、こちらが手を打つのが遅れてしまった…

たぶん、特佐が今頃有馬の末妹の手前、涼しい顔して安心しろ、安心しろよお嬢様、ゲロを吐くほど怖がらなくていいじゃないかとか言いながらも内心ではブーブー文句をタレているだろう

 

『Fuck it!』

 

『This Damm bastard!!』

 

………幾らで雇われたか知らないが、武器と数だけはよく集めたものだ、こちらの接近に気付くのに遅れた武装集団の兵を速やかに処理し、手にしていた起爆装置の回路を切っていると、彼ら持ち物であろう電話がバイブの振動と共に淡い発光をする画面を見て、その通話ボタンを押す

 

『…What is the situation?』

 

「I'll go and kill you right now」

 

通話先の相手は一瞬戸惑ったようだが、すぐに落ち着いて現状を把握したらしい

 

『………誰だオマエ?』

 

「国際交流ビルの事件を覚えているか?」

 

『………さぁ?覚えがねぇな、似たようなモンはそこらでやらかしたな』

 

「そうか」

 

床に落とした携帯を踏み潰し、耳障りな忌々しさを振り払う

 

「………まずは、人質か」

 

すぐにでも殺しに行きたい、その衝動を抑え、予備の弾倉を詰めて再び歩き出した

 

◆◆◆

 

ちょっと訛りはあるがたぶん英語っぽい国際色溢れる屈強なマスクマン達がインカムっぽいもんに怒鳴りながらファーックスだのなんだの言ってるのはなんとなくわかるが…

俺としてはそろそろトイレ休憩とかタバコ休憩とか取りたいんだが…

 

「……!!」

 

「あ?」

 

なんかマスクマンが1人こっちに向かって歩いて来た、これはアレだろうか?もしかしてムシャクシャしてきたし!1人づつ射殺すっぞ!みたいな流れだろうか?

 

「…!…!…!」ガタガタ

 

マズいな、もしお嬢様がこっちに来いやオラァ!とか言って腕でも掴まれようモノなら、お嬢様の細腕じゃ脱臼確実ぅ!いやいや暴れて頰にビンタされてもおかしくない流れだ、ハッキリ言ってそれはよろしくない、そう、大変よろしくない、俺がよろしくないのだ

あっちのババアんトコ行けと祈ったものの、屈強マスクマンはやっぱりこっちに来た、どうやら屈強なマスクマンはロリコンらしい…

 

『Hey……』

 

「まぁまぁ待ちましょうよ、ミスターマスクマン」

 

『Ah…?』

 

「その超汚い手で、この真っ白なお嬢様に触るんじゃねーよ、バーカ」

 

とりあえず、小粋かつフレンドリーにミスターマスクマンの肩をバシバシ叩き、一瞬、ナニ言ってんだコイツ?みたいな間が空いたところで、大きく振りかぶった左腕をミスターマスクマンの首元目掛けて叩きつけ、ミスターマスクマンのマスク狩りを完了した

 

「や……」

 

やっちまったァァァァァァァァ!!なんか流れ的についやっちまった!いかんなぁ、マスクなんか被ってたらそりゃマスク狩りの儀式したくなるのが男の子だろ?まぁ、つまりアレだ、俺は悪くない

 

「////!?」

 

…まぁ、やっちまったモンは仕方ない、マスクマンはまだ見えるだけで5人はいるし、全員サブマシンガン的なものを携行済みだ、こうなりゃお嬢様だけは抱えてそこらのセレブを盾なり壁にしつつ全力ダッシュしかないか…

 

マスク集団はなにやらファーックスとか言いながらこっち向かって銃口を向け…

 

ゴトッ………!

 

「ん?」

 

天井から、マスク集団の足元に落ちてきた何かが爆発し、激しい閃光と爆音が部屋の中を包み込み、誰のものともわからない悲鳴が部屋中に響いた

 

「チッ…!」

 

とりあえず、俺はお嬢様の盾になるようにマスク集団に背を向ける形でお嬢様の正面から抱きしめるように抱えこんでしゃがむ、って……!痛てッ!カスった!なんかカスった!!

 

「大丈夫ですか?特佐」

 

「大丈夫に見えるか?」

 

「えぇ、ワリと」

 

天井からスタングレネードを放り投げ、混乱の間にマスクマンを一通り無力化したらしい天海はいつもの嫌味のない爽やかイケメンスマイルで俺に手を伸ばしてきた

 

「おせーよ!危うくサブマシンガン相手にマスク狩りとか無理ゲーするトコだったろーが!」

 

「こっちも色々あったんですよ、まぁ、特佐も人質もご無事でなによりです」

 

「まったくだ」

 

しかしさすが天海だな、何人殺ってきたかは知らんが見たところ大した怪我も………?

 

「天海、オマエ…」

 

「とりあえず、ここで待っていても美音が助けには来ますが、爆発の危険もなきにしもあらずなのであちらの扉から階下に降るコトをオススメします」

 

「……そうかい」

 

はいはいそーですかと応えたものの、天海のイケメンスマイルも虚しく、おそらくは上層から爆発音的なものが聞こえ、なにやら震動でグラグラしてきた…

 

「特佐は誘導をお願いします、僕はまだ他にやる事がありますので」

 

「へいへい、とりあえずガンバレよ」

 

「えぇ……」

 

ーーー

 

セレブリティな皆々様をこちらへどうぞー!こちらから真っ直ぐ、一列に並んでお進みくださーいと華麗に誘導していると、階下からマスク集団ではない集団と、天海のものと似た特務部制服のヤツが上がってきた、はぁ………ようやくかよ

 

「すまない、キミは…?」

 

「ご覧の通り、軍人だよ」

 

「軍人…?ご覧の通り…?あぁ、有馬優嬢の護衛に回されたとか言う噂のゴロツキ大尉か」

 

「誰がゴロツキだ」

 

偉そうに人をゴロツキ呼ばわりするのは天海曰く、第五特務唯一無二の良心、美音少佐、キレーな顔してるが天海とは違うベクトルの美少年と言うヤツか…

 

「まぁいい、遅れて来た分キリキリ仕事しろよ美少年、ほら、キリキリセレブ様をお助けせんかい」

 

「やかましい、言われなくてもやる…!………あと、私は美少年じゃない、私は女だ!」

 

「…はぁ?美少年じゃないと?」

 

「…なんだ?悪いのか?」ギロッ

 

ミネミネ少佐は、中佐はこのカス男のナニを買っているのやらとぶつくさと言っていたが、そーゆーのは本人を目の前で言うのはどうだろうか?天海よぉ、このボーイッシュガールはホントに第五特務部唯一無二の良心なのか?

 

「まぁいい、とりあえずミネミネくん」

 

「美音だっ!」

 

「このお嬢様を無事に安全な場所まで頼んでいいか?」

 

俺は未だにスタングレネードで目が痛いのか、俺を掴むのとは違う片手で目をこすっているお嬢様をずいっと美音少佐に預けた

 

「ハァ!?ちょ…ちょっと待て、それはお前の仕事だろぉ!?」

 

「俺にゃ他の仕事があるんだよ」

 

焦る美音少佐はさておき、俺はお嬢様にこのボーイッシュ少佐に付いてりゃ安心安全だから、先にあったかい部屋にでも戻ってココアでも飲んでくれと伝えた

 

「あ…!あの……っ!」

 

「…ん?」

 

お嬢様はやや口をパクパクしていたが、たぶん気の利いたコトを言ってみたい年頃なんだろう

 

「……待って、ます、帰るの」

 

「あぁ、今日はつまらない日になったし、明日はどっか楽しいトコに遊びにでも行きたいモンだな!」

 

「は……////!!//!?」コクコク

 

俺は美音少佐に押しつけたお嬢様に片手を挙げて別れを告げ、来た道をダッシュで戻る、後ろから美音少佐が、ちょ!待てよ!みたいなコトを言っている気がするが、まぁ、大丈夫だろう…

 

 

………天海の野郎、ナニが大丈夫だっーの





次回はようやく第五特務壊滅編 完結編!
慣れない難しい…えぇ難しい、とっても!

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