不健全鎮守府   作:犬魚

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後始末も雑に行くだらしないスタイル
シリアスパート編最終回です

【登場人物】

提督(209)
奪られたものを奪り返せのアフターサービス精神

五月雨(60)
申し訳程度の艦娘要素要員、だって艦これだもの




提督と天海と遥かなる旅路

笑いあり、涙あり、強敵達との息つく暇ない激闘ありの胸ワクワクの奇妙な冒険の旅を終え、俺たちはいつもの鈍行電車ルートにて懐かしき我が家への帰路についていた…

 

「しかし今回は意外にも病院一直線じゃないんですね」

 

「そう毎度毎度入院なんかしてたまるかい」

 

大将殿や天海が関わるとだいたいろくな事がない、今回は後で読もうと買っておいた月マガを腹に挟んでいなかったらなかなかヤバかっただろう、なんたって鉄拳チ●ミどころか仮面ラ●ダーSPIRITSまで貫通していたからな…

 

「茶くれ、茶」

 

「はいはい、おにぎりはしそにぎりでいいですね」

 

「チッ、相変わらずムカつくなテメーは」

 

ペットボトルの茶と駅で買った握り飯弁当を俺に渡し、自分はリッチーにもなんかお高価そうな分厚いサンドイッチ弁当的なものを袋から取り出しやがったよコイツ…

 

「それ美味そうだな、くれよ」

 

「そうですね、半分くらいならあげていいですよ」

 

「何が半分だ、一口でいいのだよ」

 

五月雨は一言、女子か!と俺をディスった後小さくサンドイッチにかじつき、うん…これはいいですねとか言いながらモゴモゴ食べる、もっとガッツリかじりつけよ、アレか?女子か!

 

「そう言えば……あのガリクソンだかガムリンだかってどうなったんですか?」

 

「誰だそれ?」

 

「自分がやっつけたじゃないですか……ほら、テロ屋の人」

 

「あぁ、あのアゴヒゲ外人か…」

 

おそらく、真面目に銃とかでブチ抜かれたら俺は死んでいただろう、だがヤツは元あの国の特殊部隊出身だったらしく、俺の“来いよ!銃なんか捨ててかかってこい!”と言う伝統的挑発に乗ってくれたのが幸運だった…

かくして俺とテロ屋はタフ&ハードがモノを言う肉体勝負となり、大雪山落とし→スピンダブルアームソルト→ダブルニークラッシャー→兜割り→ストマッククラッシュ→パイルドライバー→提督圧搾機でテンカウントとなった…

 

「とりあえず身柄は押さえられたみたいだな、後はどうなるかは知らん」

 

「提督が空気読まずに天海中佐の宿敵をとっちゃうとから…」

 

「俺は悪くない、あれは天海が悪い」

 

まぁ、あのアゴヒゲ外人は余罪もかなりあるらしいし、どこの誰がサッヴァークことになるかは知らんが、大脱走でもしない限りは生きてシャバに帰ってくるコトはないだろう……天海としては自分の手でくびり殺してやりたかっただろうが…

 

「あ、そうそう、それと山原特務大佐ですけど…とりあえず死体はあったそうですよ」

 

「ふ〜ん」

 

「一応、今回の一連の第五特務部の責任の所在は死人になったそうです」

 

「ふ〜ん」

 

「なんですか、興味なさげですね」

 

「興味ねぇからな」

 

第五特務部の長であり、天海の師らしいあのオッサンか…

正直、俺と天海の二人がかりでも倒しきれたかどうかすら怪しいんだよな、俺と天海のガトリングコンビネーションをブロッキングしつつカウンターとか入れてくる本気でヤバいヤツだったのだよ…

最終的に、天海の捨て身アタックを喰らってビルから落ちて行ったのだが………あのパターンは死んでないだろう、だって落ちる時笑ってたんだぞ?あれは間違いなく後に新技ひっさげて帰ってくるパターンだ

 

五月雨曰く、死体はビル内にあったそうなのでほぼ間違いないだろう

 

「ま、今回の件で第五特務部の主要メンバーの大半が死亡、事実上の解散になったワケか…」

 

「そうなりますね」

 

長である山原の裏切りで有能な人材は軒並み始末され、天海も色々と裏でやらかしたせいで書類上では死亡扱い、残ったのは第五特務部ド新人の美音少佐

所属部がなくなり路頭に迷いかねなくなったものの、新たに新設された参謀司令部秘書部に回され、大将殿付きというイヤな役になったそうだ…

 

「ところで…」

 

「なんだ?」

 

「どうするんですか?これはもうストップ高待ったなしですよ」

 

「ナニ言ってんだオマエ?イカレてんのか?」

 

「イカレてません、五月雨です、じゃなくて………あのお嬢様です」

 

「お嬢様?あ〜…まぁアレだわな、お嬢様には素敵なパーティーがとんだトラウマ体験になったわな、ハッハッハ」

 

「そのトラウマ体験がとんだ光学補正されてますよ、きっと」

 

ナニ言ってんだコイツ?イカレているのか?あぁ、まぁアレだろう、超絶的なお嬢様ともなると、恐怖体験を光学補正して楽しい体験に変換にでも出来るのだろう、大したお嬢様だ…

 

「…あの、もしかしてアホなんですか?」

 

「アホじゃない、提督だ」

 

「いや、さすがにあの穢れなき恋する瞳に気付かないほどアホなのかと…」

 

「………いいかサミー、アレだよアレ、子供の好きっての真に受けて無駄なんだよ、アレだ、今は好き好き言っててもどうせ2〜3年後にはくせーよオッサンとか言われるのがオチだ」

 

「はぁ…?そんなもんですかね…」

 

「そんなもんなのだよ」

 

例えばアレだ、今はかわいい暁ちゃんだって思春期入れば“お風呂…一緒に入ってもイイかな~…パパと…久しぶりに…”とか言ったらキャーキャー死ね死ね言うんだぞ、たぶん

 

「そういや五月雨よ」

 

「なんですか?」

 

「妹の件は問題なかったか?」

 

「はい、梶輪大将の手配して頂いた便で無事に…」

 

「そうか…」

 

まぁ、アフターサービスくれーキチっとシメないとなぁ、なぁオイ、天海クンよ

 

──────────────────

 

目が覚めると………南の島に居た

 

なんかあったかいし、窓から見える海はとても青いし、たぶん南の島なんだと思う、うん

 

ずっと寝ていた為か、身体は思うように動かないけど、お医者さんらしき白衣の人がちょっと慣れればすぐに元通りに元気に走り回れます、嗚呼、なんでしたら100m5秒ぐらいで走り回れるように改ぞ…と言いかけて、小柄なナースさんみたいな人にツネられていたのがおかしかった

 

それから何日か経ったある日、ナースさんに海まで行ってみましょうと誘われて砂浜にやって来た、なんとなく、昔、誰かと海水浴に行った事があった気がする、いや、きっとあるんだろう、たぶん

、誰かと海水浴に行った事があった気がする、いや、きっとあるんだろう、たぶん

 

「………」

 

浜辺に誰か立っている、誰かな……あの人、誰かに似てるような…

 

「…こんにちは」

 

「こんにちは」

 

こちらに気付いたらしいカッコいい男の人が挨拶をしてきたので、こっちも挨拶を返す、なんだろう……物凄く見覚えがあるような、いや、絶対にある!………たぶん

 

「ここは良い所ですね、静かで、落ち着いていて…」

 

「そうですね、あ、私、なんか目が覚めたらここ居たから実は良くわかってないんですけどねー、アハハハ」

 

「そうですか」

 

「なんかお医者さんが言うにはずーっと眠りっぱなしだったらしいですよ?で、都会のお医者さんじゃどうにもならなかったんですけど、ここのお医者さんはスゴイお医者さんなんでなんとかしてくれたそうです」

 

ただ、白衣の下がくーるびずなのはきっと南の島だからだろう、たぶん

 

「それは………良かったですね」

 

「はい…っ!良かったです!」

 

「本当に…」

 

カッコいい男の人は他人事なのに本当に嬉しそうな顔をしてくれた

 

「あ、それから、私、もっとちゃんと元気になって動けるようになったらやりたい事があるんです」

 

「へぇ、それは…?」

 

「お医者さんが言うには、私の両親は昔事故で死んじゃったそうなんですが、まだ兄が生きているそうなんです」

 

「………ほぉ」

 

「ですから、兄を探しに行きたいな〜……って、難しいですよね?やっぱり、手がかりも何もないし、でも、やっぱり会いたいな〜…って、たぶん、兄も私を探してるかな〜…って、たぶんですけど、えぇ、たぶん」

 

「そうですか…」

 

そうですかと言ったカッコいい男の人は上着の内ポケットからタバコを取り出し、口に咥えて火を点けた…

 

「フーッ〜……っ!!ゴホッ!ゴホッ!!」

 

「だ、大丈夫ですか!?」

 

「だ……大丈夫です、えぇ、スイマセン」

 

カッコいい男の人は、やっぱ慣れない真似はやるモンじゃないなと呟いてタバコを携帯灰皿に入れて消した、そして…

 

「その………もし良ければ、その、兄を探す旅、僕にも手伝わせて頂けませんか?」

 

「はい?」

 

「………あ、いや、迷惑ならいいんですが」

 

「いやいやいや!メーワクとかないですよ!え?いいんですか?手がかりとか何もないし!むしろ見つからないかもですよ?」

 

「それでも、構いませんよ」

 

「え…?あ、じゃ……お願いしても?メーワクかけますよ私、たぶん」

 

「えぇ、こちらこそよろしくお願いします」

 

カッコいい男の人は嫌味のない笑みで私の無謀な旅に付き合ってくれると言ってくれた

 

「あ、え〜…えっと、そうだ、名前!名前、私、天海優って言います、天の川の天に、海の海、で、優しいって字です、えっと……お兄さんの名前は?」

 

「僕ですか?僕の名前は……そうですね、名乗る程の名前ではありませんが、ドーベルマンと呼ばれてますよ」

 

「アハハハ!変な名前ですね!って………ごめんなさい!変じゃないです、たぶん!えー…うん!」

 

自称ドーベルマンさんは困り顔でやっぱ慣れない真似はやるモンじゃ……と呟いていたが、やがて、ま、それでいいかと苦笑し、私達はお互いに笑いあった

 

「これからよろしくお願いします、ドーベルマンさん」

 

「えぇ、こちらこそ」






【登場人物】

ドーベルマンさん
元第五特務部天海中佐、私怨で色々やらかしたせいで軍をクビどころか公的に死亡扱いにされてしまった
今回の件では己の命は最初から勘定に入れてなかったので特に本人的には問題なく、むしろ、たぶん死ぬ予定だったので今後どうしていいかよくわかっていないが、とりあえずは一番大事な物を手放さないように生きてみる事にしてみた

天海優
天海元中佐の妹、口癖がたぶん、イケメンの中佐の妹ゆえか、わりと美少女、眠っている期間が長かったせいか、性的な身体のわりに性格は子供っぽい

お医者さん
なんなら右手をサ●コガンにしましょうか?どうですかサ●コガン?



次回は400回目の節目回、いつものダラっとした感じで浜風ちゃんについて考えます

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