【登場人物】
提督(211)
責任感溢れる大人、ただしア●ルは無許可で無責任
瑞鳳(2)
今回のバイトメイト、卵を焼き尽くすのが趣味
祥鳳(2)
瑞鳳の姉、妹とはあまり似てない
久々に外で良い感じに飲み歩き、寒いしさっさと帰って寝るかと考えながら歩いていると、上着のポケットにタバコがない事に気付き、とりあえず、改白露型のラノベヒロインみたいな顔のンミカゼくんがバイトしてる近所のロー●ンに寄る事にした…
「いらっしゃいませー、あ!テイトク」
「あ?」
誰だっけコイツ?なんか見覚えがあるような……ないよな、いや、たぶんないな、ないない、こんな知り合い俺には居ないハズだ
「テイトクじゃない、ハンサムな提督だ」
「何がハンサムだよ!」
「むしろキミは誰だ?who are you?」
「瑞鳳っ!軽空母の瑞鳳だよ!なんで自分のトコの艦を把握してないの!?ってか今更ぁ!?私、けっこー前から居るよ!?」
「瑞鳳…?あぁ、あの半裸の人の妹のヤツか」
「お姉ちゃんに謝れェ!!!」
そうそう、ズイホーくんだ、ズイホーくん、なんか見覚えのあるガキだなと思ったが…そう、合法軽空母のズイホーくんだ
「ハッハッハ、まぁそうエキサイトするんじゃないよズイホーくん、他のお客様に迷惑がかかるぞ」
「…クッ!」
まぁ、他のお客様は居ないようだが…相変わらず流行ってねぇな、このコンビニ、場所悪いんじゃないのか?
「まぁ、バイトを頑張っている顔見知りのよしみだ、提督様がここでお買い物してやるからありがたく思えよ」
「クッ…!ふん、じゃ、いっぱい買って行って下さいよ、いっぱい!」
「承知したーッ!」
俺はまず、スタイリッシュに雑誌コーナーへと歩き、とりあえず今週のヤン●ガを手に取ってパラパラとページをめくった
「すげぇよこの鳥頭、なんて鳥頭だ!」
「立ち読みすんなァ!!」
スタイリッシュに雑誌を読んでいた俺のケツにズイホーくんの勢い乗った力強いキックが炸裂し、俺の膝が危うく崩れかけた
「んほぉ!!こ、このガキ!ろ……ロ●アの俺に攻撃を…っ!?」
「立ち読み禁止ッ!立ち読むな!ヤン●ガを!」
「チッ、うるせぇなオイ…へいへい、ヤン●ガ読まなきゃいいんだろ?ヤン●ガを…」
俺はヤン●ガが棚に戻し、近代麻●を手に取ってページをパラパラとめくっていると、再びズイホーくんのキックが俺の尻に軽快かつ小気味よい音を立てて炸裂した
「んぎいぃぃ!!コイツ…!武装色を!」
「立・ち・読・み!立ち読み禁止!」
「クッ…!大したヤツなのだよ、しかしいいのかなズイホーくん、レジに居なくて」
「いいよ、どうせお客さん居ないし!ほら!早く買い物してよ!買い物!」
ズイホーくんは普段は絶対に使わない買い物カゴをズイズイと俺の顔に押し付けてきた
「痛い!ってか近い!近い近い!わかった!わかりました!わかったってばよ!買いますよ!買えばいいんでしょ!お金払えばいいんでしょ!お金払えば!」
「万引き主婦か!ふん、早く買ってよね!」
ズイホーくんはさっさとしろよグズがと可愛い顔してとんでもない暴言を吐いてレジへと戻って行った、まったく、可愛い顔してとんだ狂犬なのだよ、お姉さんの顔が見てみたいものだわ
「さて…」
とりあえず本当に必要なものはタバコだけだが、とりあえず発泡酒と適当なつまみでも買って行くか………いや、ついでにコイツも買っておこう
俺は買い物カゴに発泡酒とつまみとゴムを放り込んでレジへと持って行き、カゴをレジカウンターに置いた
「………こんだけ?」
「あとタバコの42番3つ」
「………チッ!」
この店員舌打ちしやがったよ!お客様を目の前にこれでもかと言わんばかりに可愛い顔して舌打ちしやがったよ!とんでもない店員だよコイツ!絶対客商売向いてないよコイツ!
「タバコタバコ〜……コレかな」
「違う、もっと上だ」
「チッ…!別にいいじゃん、コレで」
「よくねーよ」
ズイホーくんは足踏み台に乗り、よっこらせいとババくさいコトを言いながらタバコを取り、レジに持ってきてバーコードを読み取った
「ボタン押して、ボタン、私はスモーキーですってやつ!」
「スモーキーじゃない、スモーカーだ、あと、このボタンは喫煙者ですじゃないで私は大人ですボタンだ、大人でない者が押せば神の逆鱗に触れ、裁きの稲妻に処されるんだぞ」
「え!?ホントにぃ!?」
ズイホーくんはウソだろ承●郎みたいな顔をしてバーコードリーダーを持つ手がプルプルしていた
「試しに押してみるかね?大人のズイホーくん」
「え……?いや、うん……それはまたの機会に…」
「まぁそう言わずに!」
俺はズイホーくんの華奢な腕をズイっと掴み、年齢認証ボタンへとズイズイと近付ける!
「嫌ァァァァァァ!!電気ビリビリヤダァァァァァァ!!」
「ウヒャヒャヒャ!叫べ叫べ!無様にみっともなく泣き叫べ!その悲痛なる悲鳴が俺の“欲”を満たすのだよ!」
「やだやだやだやだぁぁぁぁ!!裁かれたくない!裁かれるのは嫌ァァァァァァ!!たすけて…たすけてー!!たすけてお姉ちゃーん!お姉ちゃぁぁぁぁん!!」
ズイホーくんは本気‼︎と書いて本気で嫌なのだろう、残った片手でレジカウンターに必死にしがみついてイヤイヤと涙ながらに訴えているが、俺もそこまで鬼ではない、俺はただ、ズイホーくんが跪き、許しを乞う姿が見たいだけだ…
「ファファファ、さぁ…ズイホーくんを大人にしてやろう」
「嫌ァァァァァァ!!お姉ちゃん!!お姉ちゃん!!お姉ちゃぁぁぁぁぁん!!」
年齢認証ボタンにズイズイと引っ張り、もうすぐ押すぞ!押すんだよ!とあと一歩まで迫ったその時!!ズイホーくんの細腕を掴む俺の腕にどこからか飛んできた鋭利な矢じりのような金属が突き刺さった!
「む…?これは……羽根?」
矢じりのような羽根的なものが飛んできた方向を見ると、コンビニの自動扉が開き、まるでデスクイーン島のマグマのような攻撃的小●宙を撒き散らしながら新たなる客が入店して来た…ッ!!
「お、お前はーッ!!」
「お、お姉ちゃん!!来てくれたんだね!」
しょ……祥鳳型軽空母、祥鳳ーッ!!
「フッ…妹からその汚い手を離して頂けますか?」
この列島大寒波の中で、平然と肩出しファッションを敢行しサブイボ一つ見せぬとは、軽空母祥鳳、まさしく闘争こそ本性!煉獄こそ故郷!戦士の極みとはこやつにこそ相応しい…
「お、お姉ちゃん!!」
「フッ、遅くなったわね瑞鳳、ユン●ルを買いに来たわ」
「ユン……!?あ、あの………お姉ちゃん、すごく言いにくいんだけど、実はもうユン●ル全部売れちゃって…」
ズイホーくんは物凄く言いづらいそうにごめんねーと言って姉に頭を下げた
「な、なにーッ!!ば……バカな、あのユン●ルが!?全て売れてしまっただとーッ!」
「いやぁ〜…なんか、うん、ケッコー売れたよ?」
地獄をみた戦士、祥鳳くんはガクンッと片膝をつき大きく吐血した
「ブハァ!!」
「大丈夫か祥鳳くん!?おま……お前!ズイホー!お前なんてコトするんだ!?」
「えぇぇ…!?」
「クッ……!まさか瑞鳳が1人でユン●ルを売り切るなんて、フフッ…まさかね、まだまだ青二才のボウヤだと思って侮っていたわ」
祥鳳くんはフラフラと立ち上がり、妹の手をアツく握り締め、男の顔になったわね…!と姉として複雑な想いを抑え、妹の成長を認め讃えた
「え…?あ、あぁ…うん、ありがと」
「私はてっきりユン●ルが売れなくてメソメソと泣きべそをかいているのかと……フフッ、もう私の後ろにいた泣き虫さんはもう居ないのね」
「いつのハナシだよ!!やめてよ!」
美しい姉妹の絆にえぇハナシやと感動していると、祥鳳くんは俺の方を向き、妹が立派にレジ打ちをしている姿を見せてくださいと頭を下げた
「妹のレジをよろしくお願いします!」
「お…おう!」
「やめてよ!恥ずかしいじゃん!?」
…とりあえず、なんか色々空気がアレになったので俺は年齢認証ボタンを押し、ズイホーくんは他の商品もカゴから取り出してバーコードリーダーで読み取る
「え〜っと、ビールと〜…鶏皮と〜…裂けるチーズと〜」
「頑張って!瑞鳳、頑張って!」
姉が見守る中、ヒョイヒョイと商品をピッピするズイホーくんの手が止まった
「ん?ナニこれ?お菓子?……化粧品?」
なにやらオシャレなパッケージの小箱を手に取り、頭をひねるズイホーくんは、まぁいいやーとバーコードを読み取った、そして…
「…………提督」ピキッ!パキッ!
姉の背後に確かに見える攻撃的イメージ………この小●宙はまさに、不死鳥ッッッ!!
「え…?いや、祥鳳クン?提督だって大人だからさぁ、これぐらい買ってもいいじゃないかなぁ?責任ある大人だしさぁ?」
「何故、わざわざ瑞鳳がレジに居る時にタイミング良く買う必要が…?」
あかん、コレ完全にキレてる、キレてるわー…メチャメチャキレてるわー
「ねぇ?コレなんなの?香水…?にしては軽い?」
「え?ゴ………ムっはぁぁぁぁぁ!!」
ズイホーくんの質問に、極めて紳士的に答えようとした俺の頰を驚くほど強烈な拳がメリ込んで殴り抜けた
「瑞鳳は知らなくていいのよ」
「えぇぇ…?でもお店の商品だし、知ってないと…」
「知らなくていいの」ギロッ
「は…はぃ、し…知りません、知りたくないです」ガタガタ
ズイホーくんは小刻みに震え、お姉ちゃんごめんなさい良い子にするからぶたないでと呟きながらレジ会計の数字を出し、祥鳳くんは俺に早く金出せよ…っ!と腹パンして財布を出させて会計を済ませ、俺は襟を掴まれたままズルズルとコンビニの外まで引きずられて店を後にした…
「あ、ありがとーございましたー」ガタガタ
次回は前後編で北の刺客と演習回、メインヒロイン様もでるよ!たぶん!