【登場人物】
五航戦
タフ&ガッツ溢れるプレーに定評のある超装甲姉妹
姉が病んでいる(精神ではなく、肉体が)
多摩(3)
よく見ると美少女に定評のあった木曾の姉、球磨ねーちゃんよりは優しい、らしい…
第三ステージ、エンガノ岬沖へと進むチームは特に危なげなく安定した航打に優れ、相手からの攻撃はキチンとシャットアウトしていた…
「っーか誰だコイツ?」
執務室で現場から送られてくる映像を見ながらアツいティーを飲む……ゴキゲンなティータイムだ、まぁ、ゴキゲンかどうかはいいとして、誰だコイツ?ウチこんなイケメン居たか?
「瑞鶴さんです」
「ズィーカク?」
「えぇ、瑞鶴さんです」
同じくテレビを見つつ茶請けのマルボーロに手を伸ばして口に放り込む五月雨はズィーカクさんですよとかワケのわからんコトを言っていた…
「ナニ言ってんだオマエ、イカレてんのか?」
「イカレてないです」
「オマエ、アレだよ……ズィーカクったらアレだろ?五航戦の妹の方だろ?たしか」
「えぇ、翔鶴さんの妹さんですね」
どいつもこいつもプッツンしてる空母の中でも比較的まともな五航戦姉妹、姉の方は日頃のストレスのせいか、まだ若いのに頭が真っ白になり、よく吐血しているが、妹を可愛がる事におそらくは人生の全てを捧げている姉の中の姉、姉の鑑オブ姉の鑑と言えるだろう…
そして、そんな姉に可愛がられて育ったらしい妹はやや口は悪いが素直な良い子である…
「しかしサミダバートよ、この映像に映るのは私が知るズィーカクとはやや趣きが異なるのだが?」
「アレですよ、アレ、なんかお姉さんが今回の決戦の為に夜なべしてあつらえてくれた超素敵な一張羅らしいですよ、あと、五月雨です」
「なるほど………超素敵な一張羅か」
まるでこのまま舞踏会に参加して大丈夫……いや、どちらかと言えば武闘会か、なるほど、あの白髪姉が無理して吐血して仕立ててくれた最高の陣羽織と言うワケだな
◆◆◆
第三ステージ、エンガノ岬沖を進む御大将、ジンバーズイカクいざ出陣エイエイオーと気合い湧く瑞鶴率いる空母機動艦隊…
「くたばれ加賀ァァァァァァァ!!!」
『加賀ァ!?誰ダヨ!?』
迎え撃つは最近仲間達からも空母おばさんとディスられる空母棲姫率いる深海連合艦隊、とびっきり空母対空母の戦いは熾烈を極めていた…
いつものようにケチョンケチョンに負かしてやろうかねぇ〜…と息巻いていた空母おばさん率いる連合艦隊は、まさかやって来た敵が戦国武将のような出で立ちだとは予想だにしておらず、むしろ戦国武将を中心に伊勢だか日向だかの猛将伝に、ちとだかちよだかよくわらない絡繰師みたいなヤバいヤツが揃う鉄壁かつ完全武装の布陣…ッ!
『チョ!待テヨ!』
『空母オバサン!!ヤバイ!コイツラヤバ…グワアアアアアアアアア!!』
『ツ…ツ級ーッ!?』
圧倒的破壊力と突破力、あの陣羽織…ッ!只者ではない…ッ!!戦慄が走る深海連合艦隊に、この戦、おそらくは勝てぬと思わせるには十分であった…
『ソウ言エバ聞イタ事ガアル……海軍ノ怪鳥!ずぃーかく将軍!』
『バ…馬鹿ナ!ずぃーかく将軍ハ練度最大トナリ既ニ引退シタノデハ!?』
『帰ッテ来タンダ…!戦場ニ!海軍ノ怪鳥ガ!』
海軍の怪鳥、瑞鶴…
閻魔の一航戦、鬼の二航戦、奴隷の五航戦と数えられた正規空母寮でも最下位カーストの地位に甘んじていたものの、改二改装を経て中破状態でも牙を剥くタフ&ガッツを持つ装甲空母へと超進化を遂げた
ちなみに、装甲空母に超進化したものの、一・二航戦パイセンには頭が上がらず、地味な嫌がらせを受けている、主に姉が
「あームカつくわー!なんっーかアンタ見てるとムカつくセンパイ思いだすのよ、ごめんね」
『ゴ…ゴメンジャネーヨ!ナンダヨ!ナンナンダヨ!?火ノ塊ニナルトコダッタジャネーカ!見ロ!オマエラノ攻撃デ私ノ艦隊モ下着ハボドボドダヨ!』
「ごめんごめん、ってかアンタ下着穿いてたの?」
穿いてたよクソがとキィーキィー文句を言う空母棲姫に悪かった悪かったとイマイチ誠意の感じられない態度で頭を下げる瑞鶴に、今回も可愛い妹の為に一緒について来た白髪の姉がまぁまぁと妹を窘めた
「瑞鶴、早くこのアカガ……じゃない、空母棲姫をサジナワセてヤマコトバニしてあげましょう?」
「ん、まぁ……そうだね、うん」
『誰ヲさじなわせるッテ!?アァ!?舐メテンジャネーゾコノ糞鶴ガァァァァ!』
空母棲姫はまるでダヴィンチの絵画のような躍動感溢れるポーズで飛びかかってきた、が!その躍動感を凌ぐであろう野性的かつ闘争本能に満ちた一撃が空母棲姫の腹に突き刺さった
「にゃー!!!」
『オゴォ!!オ……オエエェェェェェ』ビチャビチャ
さらに、空母棲姫に馬乗りなった猫化の猛獣を思わせる圧倒的な野性がちょ!待てよ!ちょ!やめ…やめてと懇願する空母棲姫の顔面を容赦なく滅多打ちにし、空母棲姫が動かなくなったところでようやくそのキャットパンチの連打を止めた…
「ふーっ………久々にハシャいだにゃー」
軽巡多摩、闘争本能の塊である
「コイツたしか大将首だから給料期待できるにゃ、明日は木曾の大好きなハンバーグにしてやるにゃー」
「おー、さすが多摩ねーちゃん、私ビビって金出しそうになっちゃったよー」
「北上、帰ったら正座にゃ」
「えー…マジでぇー」
こうして、第三ステージも無事にエイエイオーとカチドキをあげ、艦隊は帰還した…