【登場人物】
提督(近接パワー型)
ゴーストタイプにはからっきし
夕張(ア●ルアームズ)
天才的な科学力を持つ科学の子、科学で説明できないものは信じない
プリンツ・オイゲン(近接パワー型)
提督とは一目合ったその日から尋常ではない天敵
ビスマルクさんを敬愛している
「最近、出没るらしいです」
「…はぁ?」
春はAKEBONO!YO-YO-白くなりゆく山際!少し明るい春の執務室、特に急ぎの仕事もないので古鷹さんから借りたゴールデンカ●イを読みながら鼻毛を抜いていると、五月雨のアホンダラが一枚の書類を俺の机に置いた…
「…出没るとはナニかね?熊でも出没るのかね?」
「いえ、最近、深夜に海外寮でよくわからないジャパニーズホラーが出没しているそうです」
「ナニがジャパニーズホラーだ、舐めてんのか」
「で、正体不明のジャパニーズホラーにビビってビスマルクさんが夜トイレに行けなくて困っているそうです」
「よし、直ちに殲滅部隊を編成しろ、生かして帰すな、むしろこの世に生きる喜びと悲しみをその身にわからせてやれ」
俺の敬愛する気高く美しいビスマルクさんを困らせるとはなんて野郎だ!生かしちゃおけねぇ…!ナニがジャパニーズホラーだ!っーかジャパニーズホラー…?
「…しかしサミーよ」
「なんですか?」
「ジャパニーズホラーってなんだ?」
「う〜ん……平たく言えばなんかスカッとしない感じのジメっとした感じの後味悪い恐怖ですかね、ほら、アレですよ、アレ、ビデオから出る不気味な女とか、きみ悪い子供とかそんな感じの」
「あー!あー!知らない!そんなヤツぁ知らねー!そんなヤツは存在しねぇ!アレだよアレ、そんなのは人の心の弱さが作りだした幻覚的なアレだ!」
冗談じゃねぇよ!!仮に、そう仮にだ、そんなヤツらと遭遇したら卒倒するわ!いやいやいや、別にアレだよ?別にビビってるワケじゃねーよ?ただアレだな、そう、アレだよアレ、相性?相性的なものが合わないっーか、ほら?アレだよ、俺なんかほら、俺の拳が血を求めている系だしー!やっぱ拳が通じない相手にはちょっと相手悪い的なー?
「…まぁ、そう思って今回も1人で深夜の見回りできないビビリくんの提督の為に頼れる仲間に声をかけておきました」
「ハァ?誰がビビリくんだって?オイコラァ?」
「まぁ、今回も私はお付き合いできませんので、頑張ってください」
「オイ、誰がビビリくんだとコラ?ビビってねーし、っーか見回りぐれー1人できるしー?」
「そうですか、では声をかけておいた人達には断りを…」
「いや、せっかく声をかけたんだ、そのまま来て貰おうじゃないかね」キリッ!
「…ビビリくん」
「ハァ!?ビビってねぇーしぃー?」
◆◆◆
AM02:00 基地施設内にある海外艦の住む部屋、ナショナル寮…
「フーッ〜…異常なし!帰るか」
「まだ来たばっかりじゃないですか」
深夜のナショナル寮に前に集まったアツき見回り組の精鋭、今回もバックパックを背負ってやって来たアンチオカルトの申し子、スーパーサイエンス軽巡夕張…
「っーかテメーなんかいらねーんだよ、クソアトミラールが、今すぐ死ねよ」
俺の敬愛するビスマルクさんにまとわりつく害虫、ケツプリことプリンツ・オイゲン…
「あ?なんだとコラァ?オイ、なんだこのクソプリンが、賞味期限切れてんのか?あ?」
「ア゛ァ!?ブッコロすぞォ!?」
俺とプリンツは互いにメンチを切りつつアンアン唸り上等か?あ?上等か?と上等合戦を繰り広げていると夕張が空気読めずにまぁまぁまぁと仲裁に入って来たので俺の腹パンとプリンツの股間蹴りが炸裂した
「おごぉ!!」
「チッ、まぁいい…今日はビスマルクさんの夜の安心の為に見回りだ、足引っ張んじゃねーぞ」
「ペッ…!!テメーこそ足引っ張んなよ、クソザコが」
ったく、なんでよりによってコイツに声をかけてんだ五月雨の野郎は………いや、これはもしかしてアレか?このチャンスに乗じてこのクソプリンをブチ殺すか
「オイ、夕張、いつまでアヘってんだ、とっとと行くぞ」
「お……ぉぉぉ…ちょ、ちょ…待ってくださいよぉ」
夕張はお腹と股間を抑えつつ気色の悪い笑みを浮かべてフラフラと立ち上がった
こうして、俺と夕張とプリンツの3人、アンチジャパニーズホラー科学隊は深夜のナショナル寮へと足を踏み入れた…
ーーー
さて、まずは1Fなワケだが…先頭を歩く夕張は手持ちに懐中電灯を照らしてフンフンと鼻歌交じりに歩いていた…
「ちょ、夕張クン!もうちょっと、もうちょっとゆっくり歩こうか!」
「そ、そーですよ!ユーバリーさん!そんな焦らなくてもいいと思うなー!私ーっ!」
夕張はそんな急いでるつもりはないんですけどねーと言いながらヘラヘラ笑い、いざって時は大丈夫ですよと言って背中のバックパックから1本のロボットアームを取り出した
「この………ドリルでね!」ドヤァ!
コイツ、なんでそんな執拗にドリルをこだわるんだよ…今までの反省がまるで活かされてねぇよ、今までそのドリルがオマエのア●ル以外を衝いたコトあったか?バカかコイツは…
「…っーかプリン、オマエなに?アレか?オマエアレだろ?ビビってんの?」
「は、ハァ!?ビ…ビビってねーしぃ!ってかユーレーとかいるワケねーしぃー!アトミラールこそナニ?ブルってんの?え?ブルってんの?」
「ハァー?ブルってねーしぃー!オマエこそナニ?パンツちょっと濡れてんじゃねーのぉー?」
「ハァ!?濡れ!濡れてねーし!仮に濡れてたにしてもおし●ことかじゃねーし!アレよ?アレ!ビスマルクのアネゴのお美しいお姿を思い出して……ハァハァ…うっ!アネゴ!」
「あのー………ちょっといいですか?」
俺とプリンツがアツいビスマルクさんトークに火花を散らしていると、夕張の野郎がちょっといいですかー?と話しを割った
「なんだ?」
「なんですか?」
「いえ、大したコトではないんですけど、なんか足音が聞こえませんか?」
「あー?足音だぁ〜?」
………たしかに、なんか廊下の先からなんか足音っぽいのが聞こえる気がするが、なんと言うか…足音と言うか、重厚な金属の鳴る音と言うか…
ガシャン!!……ガシャン!!……ガシャン!!
「…なんだ?」
なんか廊下の先から歩いて………歩いて……
『コオオオオオオォォォォォ…』
歩いて来たのは隻眼鬼面を付けたジャパニーズサムライアーマー…!!って!!鎧武者かよォォォォォォォォォォ!!え!?ナニ!?そっち系!?ジャパニーズホラーってそっち系なのォォォォォ!?
「バカな…!わ…私のレーダーに引っかからなかった!?」
夕張はいつもの戦闘力を測るアレみたいなのをカチカチと押しつつ珍しく戦慄していた
「クッ!あんなガラクタみたいなのがこの私の!この私の最高の科学力を上回るステルス性能を有しているとでも言うのですか!」
夕張はそんなオカルトミトメラレナイワー!とか叫びながらドリルアームを取り出し、目の前に現れた恐怖の鎧武者に向かってダッシュした!
「この時代遅れのさまようよろいがーッ!!」
ザンッ!!!
鎧武者の間合い入った瞬間、夕張は己の信じる自慢のドリルを届かせることなく一刀両断されて床に転がり、その衝撃でアームが変な角度に曲がったドリルは夕張のア●ルを衝いた
「んほぉ!!ンギィイイイィィィィ!!」
…夕張はア●ルにドリルを突っ込んだまま汚い水溜りを作って動かなくなった
『我、強者と、死合う…』
オイオイオイ!なんだこのさまようよろい!?メチャメチャ強えーぞオイ!?なんだコイツ!なんでこんかヤベーのがウチの寮をウロついてんだよォォォォォ!!
『我、強者と、死合う…』
ま、まぁ…アレだ、足がなかったり、なんか半透明だったり、貞●だったり、俊●クンとかじゃねーってなら話は通じるよな、よし!話し合いだ、真心を持って話せば誠意は伝わるハズ…
「あ…あの、鎧武者さん?鎧武者さんはどちらの武将さんで?アレですか?源氏ですか?」
『我、強者と、死合う…』
「ですよねぇー!違いますよねー!やっぱ時代は平氏にあらんずばですよねー!」
『我、強者と、死合う…』
あ、ダメだコレ、話し合いとか無理なタイプだわ…
「…プリンツ」
「気安く名前呼ぶな、なに?」
さっきの夕張を一刀両断した一撃から、コイツが尋常ではない鎧武者だと言うことを見抜いた俺とプリンツはとりあえずどうしたものかと互いに身構えている
足がある以上、ユーレーじゃねぇんだからこっちのパンチも効くだろう、そして、コイツがウロウロと徘徊しているせいでビスマルクさんが困っているってなら俺たちの答えは一つしかない
「やるぞ、手ぇ貸せ」
ヤツは強い、おそらく1人では勝てないだろう…それは俺だけではなくプリンツも本能的に理解しているらしい
「ハッ?足引っ張らないでよ、クソアトミラール!」
「上等だよテメー!アイツを殺ったら次はテメーだからなァ!!行くぞォォォォォ!!」
神話の時代から続いていたのであろう不倶戴天の天敵同士が、今、一つの目的の為に手を組み、かつてない強大な敵へと挑む………!!
◆◆◆
翌日、史上最悪の敵との激戦を繰り広げた俺とプリンツ、そして夕張の3人は朝、女王陛下の朝食を用意する為に早起きしているクッ殺女騎士に発見され、医務室へと緊急搬送された…
「…で?ナニやってたの?アナタ達は?」
「ハッ!寮の見回りです!」
「そうですアネゴ!昨日は見回りしてました!」
ベットから動けない俺とプリンツを心配し、ビスマルクさんが医務室に来てくれた
「ふ〜ん………まぁいいけど、プリンツ、さっさと起きてロ●ムに餌をやって頂戴」
「はい!」
「あ、そうそうテイトク…寮の自販機、100円玉が入りにくいんだけど」
「ハッ!すぐに修理します!」