【登場人物】
提督(悪手打ちの王手詰み)
浜風ちゃんの前ではいつだってデビューしたてのグリーンボゥイ
有馬優(準備はしてた)
おとなしく見えて、やる時はやる
有馬玲一郎(イケメン眼鏡)
優と貴子の兄、本物のイケメン眼鏡男子
過保護の貴子とはまた違ったベクトルに優には激甘、優のお願いはだいたいなんでも聞く姿勢
前回までのあらすじ
友情を失った
とりあえず山風とジャーヴィスのクソガキ様達もおとなしくなり、お嬢様と上辺だけでも仲良くお喋りしたり、有馬姉や執爺ともなんやかんやお喋りしている姿を見ながらあまりアツくないティーを飲んでいると、なにやら俺の袖が微妙に引っ張られている気がするので何事かと思って見てみるとお嬢様だった
「///!?」
「え〜…っと、あ〜…何か?」
参ったなぁ、提督こーゆーどう扱っていいかわからない繊細でおとなしい子苦手なんだよなぁ、本来ならめんどくさけりゃ丁度いい高さにある顔に問答無用の膝をブチを込むのが俺と言う快男児だが、さすがにこの相手にはそうはいかない……もし実行すれば黒服全員+メイド全員が瞬時にチャカを抜き、俺はミンチよりひでぇやになるだろう…
そんな事を考えていると、お嬢様は部屋の扉を指さしてクイクイと俺の袖を引っ張る………なるほど、これはアレだな、ウ●コだな!!
「///」
まったく…そりゃそうさ、お嬢様だって天然自然の中から産まれたこの地球の産物、アイドルだってウ●コするんだ、お嬢様とてウ●コぐらいするだろう
そしてそのウ●コをする為にトイレの前まで付いて来て欲しい、なるほど……お嬢様ともなるとツレションなどした事は当然ない、きっと映画やドラマの物語の中、いや、もはや神話の域とも言えるぐらいの伝説なのだろう…
その、庶民的カルチャーであるツレション……いや、この場合ツレウンか、それを実行したみたいと言うワケだな
「…わかりました、お付き合いしましょう」
「!?……////!?」
俺はお嬢様の手を取り、ミスディレクションをオーバーフローしながら扉の前に、そして部屋の外へと移動した
……一応、そう!一応、念の為に声を大にして言っておくが俺はあくまでトイレの前にまでしか行かない!勿論、中に入るなどもってのほかだ、俺はあくまで紳士としてごく当たり前の事をしているだけに過ぎない、俺の紳士道に女子便に入りそのまま聞き耳を立てるなど紳士として恥ずべき行為は当然ない!勿論ないからな!
ーーー
さて、そんなワケでティーパーティーから抜け出し、廊下を歩く俺たちだが………はて?トイレってあっちにあるのか?俺はお嬢様に付いて歩く形で歩いているが……さっきからどうにも下の階に向かっているようにしか思えないんだが……あと、なんかここ従業員用の通路とかじゃないのか?
「///……♪」
…まぁ、よくわからんがご機嫌そうなのでいいか、ハッ!?まさか実はウ●コじゃなくてちょっと散歩したかった的な!?
そんな事を考えながら歩いていると、お嬢様は従業員用の通用口みたいな扉を開けて建物の外へと出ると、その先に一台のバイクと一人の男が立っていた
「…優、来たか」
「/////!」
お嬢様はバイクの横に立っていた一目で見ただけで尋常ではない良い仕立てのモノとわかるスーツを着た冷徹鬼畜上司系眼鏡男子の腰の辺りに抱きついた
「…うむ、まぁ……うん、元気ならそれで良い」
一目でわかる只者ではないイケメン眼鏡男子はお嬢様の頭を軽く撫で、お嬢様も手を離してイケメン眼鏡男子に頭を下げる……はて?どっかで見た事あるな、このニイちゃん…
「///」
「…優の兄、有馬玲一郎だ、君の話は何度か聞いている…」
有馬玲一郎……?あぁ、アレだ!!政経雑誌とかガ●アの夜明けとかでたまに見るアレだ!?妹と違ってどっちかと言えば露出は少ないが、大企業様である有馬の現トップ…ッ!!
「あ、どうも…」
マジかよ、あらら…えれぇのと会っちまったよオイ、俺はとりあえず有馬兄と挨拶を交わす、なるほど…あのデカパイ妹も相当なエリート特有のエリート覇気を持っていたが、兄はそれ以上だ…
俺との挨拶もそこそこに、有馬兄はお嬢様をひょいっと持ち上げて後ろに停めてあったバイクの後部シートに乗せてヘルメットを手渡した
「…大丈夫だ、貴子には俺から伝えておく、行ってくるといい」
「///」
…え?何が?正直よくわからんのだが、え?なに?お嬢様、お兄さんとお出かけするの?と考えていると、有馬兄はバイクのキーっぽいものを俺にぽいっと投げ渡し…
「…任せたぞ」
一言、ただその一言だけ言い残しスタスタと建物内に去ってしまった…
「え…?ナニこれ?もしかしてお嬢様連れてどっかフラッと遊びに行けとかそんな感じ?」
「////」コクコク
「あー……そーゆー感じなんだ…」
ってか!!オイ!!口下手か!兄!有馬兄ェ!!口下手過ぎるだろ!?アレをいい感じにアレしとけ的なアレか!通じるか…っ!そんなもの…っ!いや、まぁ、通じたけど…
「ハァ〜………ま、しゃーなしだな」
別に誘拐じゃねぇし、正直、あーゆー場よりはその辺をブラブラする方が俺としても性に合う、俺は有馬兄の用意したバイクに跨り、キーを挿し込んでエンジンを始動させる……なるほど、なかなか良い感じに整備されている、コイツはゴキゲンらしい、よしよし、いい子だ、今、お前に生命を吹き込んでやる!
「お嬢様、しっかり掴まっといてください」
「//////!?」
◆◆◆
…そんなワケで、お嬢様を連れて街へとやって来たワケだが………とりあえずバイクは駐車場に停め、街をブラブラしてみる、ただ、さっきからズボンに入れてる俺の電話が鬼電に震えっぱなしで、チ●ポジ的にチ●コに刺激を与えているが、まぁ…とりあえず無視の方向で
「///…♪」
ま、籠の鳥だって少しぐらい自由に羽根を伸ばしてもバチは当たらんだろ
…しかし陽射しが暑いな、オイ、タフ・ガイである俺はいいとしてお嬢様にこの暑さは身体に良くないやもしれぬ、どっか適当なとこで適度なご休憩など………ん?
「いや、とりあえずアレか…」
ーーー
「お嬢様、ちょっといいか?」
「?」
物珍しげにそこらを眺めていたお嬢様を手招きし、人を疑う心を持ってるのかすら怪しいお嬢様の頭にそこらの店で買った白いつば広帽を被せてやった……まぁ、安物ですけど
「その帽子を預ける」
「///!?///!!」
ついでに、いつかきっと返しに来い!156㎝ぐらいになったらな!と気の利いたテイトクジョークを交えてみる、よし、これでUV対策も万全だ…
「………はぃ、かならず……」
「え?なんだって?」
お嬢様は帽子の両つばを掴んで恥ずかしそうにしているが……まぁきっとアレだ、UVがキツいんだろ
いや、良い事した後は気分がいいなぁオイ!やっぱアレだな!ママ●ードボゥイとか読んで女の子の気持ちを機敏に察する俺もなかなかのモンってワケだな!ガハハハ!ガハハハハハ!
「あ、とりあえずあの店でも入りますか?あの店」
「/////」コクコク!
まぁ、そのうち迎えのモンでも来るだろ、たぶん…
◆◆◆
………その後、コーヒー飲んでたら黒塗りの高級車で乗りつけた有馬姉率いる黒服の皆さんにFreeze!とチャカ突きつけられ、執爺からスゲーメンチ切られ、有馬姉からどう見てもキレてらっしゃるのにスゲー丁寧な礼を言われ、山風とジャーヴィスから執拗にローキックの連打を浴びた俺の両足は既にズタズタになっていた、やっぱ仲良いのか?コイツら…?
「…チッ!」
「Darlingからpresentを…ッ!Darlingからpresentを…ッッ!!」
…山風とジャーヴィスはお嬢様にもはや隠す気すらなくスゲーメンチを切りガリガリと爪を噛んだりしている
「いや、まぁ…本日はありがとうごさいました、お兄…有馬玲一郎氏にも宜しくお伝え下さい」
「あぁ、伝えておこう」
有馬妹はボソッと“この拳でな”と呟いていた気がするが、まぁ、聞かなかった事にしよう
「では、我々はこの辺で…」
「あぁ、瀬長、彼らを駅まで……本当に駅まででいいのか?」
「えぇ、帰りの道中に寄るトコあるんで」
俺の左右に引っ付いて離れないこのヤンチャキッズ達のゴキゲンとりをしとかねぇとなぁ〜…
「わかった………まぁ、優も今回の茶会は十分に満足したみたいだしな、その点だけは感謝する」
「はぁ、どうも」
その点だけ、と、おっぱいを強調し、有馬妹は一応社交的な礼を言い、執爺に俺たちを駅まで送るように伝え、ようやくこの色々と内臓に悪いティーパーティーは終わりとなった………
そして、車を降りた駅前…
「…買い物、買って欲しいもの、ある!」
「Darling!アタシもボーシ欲しい!」
「いや、被ってるじゃん‥オシャレなやつ、提督的にはそれ似合うと思うよ?」
さて……適当にコイツらの機嫌とってさっさと基地に帰るか、帰ったらまずはカレーでもダシにして鈴谷のアホをおちょくってここ数日のウサでも晴らすか…
次回から和やかティーパーティーの裏モード
提督から下された主命、必ずや…