不健全鎮守府   作:犬魚

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ティーパーティーから続く妙に長いお話も今回でようやく最終回、無駄に長かったのです

【登場人物】

提督(中佐)
接待する大人、ツキはだいたいそこにある

九頭提督(中将)
接待される大人、天国なんてあるのかな?




提督と九頭中将とNight club!

風営法に則り、主に酒類などを提供する夜の店、倶楽部HO-SHOW…

オーナーであるビッグ・ママこと軽空母鳳翔が経営するこの店は若いは軽巡以上から働く事が許され、日々のお小遣いに困る重巡や酒が本当に好きな空母、短時間でラクして稼ぎたいと言うニーズを叶えてくれるのと引き換えに、おっさんのいやらしいセクハラに耐え忍ぶこと、忍道を教えてくれる…

 

さて、あとは重要なコトをもう一つ言っておかないとな……え〜…アレだ、アレだよ、このお話に登場するキャラクターは全て18歳以上です!

 

これを最初に明記しておけばだいたいなんとかなる、エ●ゲーとかやったコトあるそこのオマエ!わかってるよな?いいか?18歳以上だ、あきらかにコレはJCとかJSだろォォォ!とかツッコミ入れても18歳以上ったら18歳以上だ!だから色々許される!見た目はアホガキそのものである駆逐艦や海防艦が酒類を提供してもOK!そう……セーフ!圧倒的セーフ…っ!生き残り…っ!とどのつまり……合法…っ!

 

「前置きが長いんだよ、ボーイ」

 

「ボーイはやめてくれよ、ママ」

 

ビッグママこと鳳翔は無駄に長い煙管をトントンと叩き、ま、今回は協力してやるけど次はないからねと言っていつも通りにカウンターの奥にある椅子に座って新聞のスポーツ欄を読み始めた…

 

「フーッ〜…アイオワまた完封!無傷の4連勝か……やっぱアメリカさんは違うねぇ」

 

「アイツは今季もやりますよ、特に今季は肉体改造したサラトガにも注目したい」

 

「フーッ〜……肉体改造ねぇ」

 

来週からの大鯨ホエールズとの4連戦、アイオワ、サラトガ、そして新加入のイントレピッドをどこで使うかがゲームの鍵になるだろう…

 

「フーッ〜………ボーイ、ボチボチ時間じゃないのかい?」

 

「オーゥ!さすがママだ、そろそろ時間だよ!それじゃ、今日は無理言って悪いね!ホント悪いね!」

 

今日、この店に来店するお客様は先の佐世保決戦編にて俺とアツい死闘を繰り広げた海軍中将、九頭路里中将…

 

…そして、その九頭中将を迎え撃つべく今回この倶楽部HO-SHOWに集められし精鋭達が倶楽部HO-SHOWの重厚かつエグゼクティブな扉を開いた…!!

 

◆◆◆

 

「おっさんマジでけーなオイ!」

 

「まるで岩みたいだなオイ!」

 

「すげぇ!!なんだこの丸太みてーな腕!すげぇ筋肉量だなオイ!」

 

倶楽部HO-SHOWのエグゼクティブソファに深く座り、注がれたオレンジジュースのグラスを手にとるコトなく、まるで古代からそこに存在する巨木のようにどっしりと座る九頭路里中将の周りには………睦月姉妹のアホどもがおっさんおっさんと群がってキャッキャとハシャいでいた

 

「………中佐殿」

 

「なんでしょうか?九頭中将」

 

「ちょっと某の頰を殴ってはくださらぬか?ワリと強めに」

 

不動なる巨岩、九頭中将の目は“まるで夢を見ているみたい”と言いたげな眼をしているので、俺はそこらでチーズを食べていた三日月を手招きし、九頭中将の頰の辺りを指差した

 

「ミカァ…やってくれるか?」

 

「いいけど…どのくらい?」

 

俺は“遠慮なんかすんな、思いっきりブチかましてやれ”とだけ指示を出してやると、三日月はテーブルにあったガラス製のゴツい灰皿を手にして思いっきり九頭中将の頰をブン殴った

 

ゴシャアッッッ!!(灰皿)

 

「んごぉ!!?ご…ほぉ…!!」

 

すげぇ、三日月の灰皿殴打を喰らってなおソファーから転げ落ちねぇなんて…こいつぁとんだタフ・ガイだぜ

 

「ごふっ……三日月タンからの一切の容赦のない一撃、ふ、ふふふ……ありが……」

 

パンパンパンパンパン!(往復ビンタ)

 

「ナニやってんだミカァ!?」

 

「…え?だって、なんかキモいし…」

 

すげぇよミカは、たとえ海軍中将が相手だろうがまるでメじゃねぇ、三日月はこいつは別に死んでもいい提督でしょ?と言って再びチーズを食べる、そうさ、三日月にとっての提督は俺だ、こいつの前では俺は常に最高にイキでイナセな提督じゃなきゃならねぇ…

 

「しかし同志中佐……某、てっきり暁ちゃん居るものと胸をワクワクさせて来たのですが……あ、いやいや!決して睦月型のエンジェルス達が不満と言うワケではないでござるよ?ござるでしょう!」

 

「誰が同志中佐だ」

 

「はぃ?」

 

「あ、いや、失礼」

 

いかんいかん、この唾棄すべきガチロリコンのペド中将は何の因果か俺を“同志”と思っているらしく、とりあえず大人である俺は話を合わせる形でなあなあの対応をしているが、たまにこうしてボロが出そうになる…

 

「暁ちゃんなら少し遅れて……いや、そろそろ来る頃です」

 

「なるほど」

 

暁ちゃんにはここに来る前に、俺が事前にマミーヤで注文しておいたケーキ、マミヤ・ザ・スペシャルフェイバリットシリーズの1つ“天地を喰らうサトゥルヌス”なるケーキを受け取ってから来る手筈になっている…

 

そして、噂をすればなんとやらと言うものか…HO-SHOWの扉をキチンとノックし、その身の丈以上にもなろう巨大なホールケーキを抱えた一人前のレディ!暁ちゃんがやって来た

 

「お待たせしたわ!暁がケーキを持ってきたわ!」

 

…そして、そんな暁ちゃんの後ろにもう1人の人物ッ!まるで黄金の獅子のように光るサラッサラのキンパツを靡かせて立つ一人前のレディ!ビスマルクさん!

 

「フッ…この私も来てあげたわよ、テイトク」

 

「び、ビスマルクさん…!?」

 

「何故…?愚問ね」

 

ビスマルクさん曰く、マミーヤでバウムクーヘンでも買おうと立ち寄ったところ、たまたまケーキの受け取りにやって来た暁ちゃんと会い、暁ちゃんの受け取ったケーキがとても美味そうだからそれに興味を持った……ただそれだけのコトらしい

 

ビスマルクさんはあくまでも優雅に俺の横に着席し、逆隣に座る九頭中将をチラリと視線を向けた

 

「ふ〜ん……アナタがサセボ?のテイトクなの?」

 

「はぁ、九頭と申します」

 

「ふ〜ん」

 

あの九頭中将の目を俺は知っている、まるで養豚場の豚を見る目だ…

 

「テイトク!暁の座るところないんだけど!?」

 

そりゃそうだ、暁ちゃんの席なんてものは最初から用意していないからな、だがこれも俺の完璧なる作戦の一つ!

 

「あれれー?おかしいなー?あ、そーだ、九頭中将の膝とかお貸し頂けないですかねー?」(棒読み)

 

「い……今、なんと……?」

 

「あ、いやー、九頭中将だったらお身体大きいし暁ちゃんぐらいなら膝に乗せても大丈夫かなーって?」(棒読み)

 

俺の殺人パスを受け、九頭中将はカッ!と眼を見開き“まことでござるか…!?それはまことなんでござるのか!同志!”と俺の脳内に直接話しかけてきた……中将ともなるとまるでNTのような技を使えるんだな

九頭中将は“かたじけねぇ…ッ、かたじけねぇ…ッ!”とアツい涙を心の中で流しているのだろう、俺には見えるのだよ

 

「も…勿論でござ……いや!勿論構わないですぞ!えぇ、構わない!イエスです中佐、イエス、えぇイエスです中佐!」

 

「じゃ、暁ちゃんはそっちで」

 

「はーい」

 

一人前のレディである暁ちゃんは特に何の疑いも迷いもなくクズロリ…じゃない、九頭中将の膝の上へと座り、暁です!とキチンと挨拶をした

 

「九頭路里中将ですぞ……ではない、んんっ!うん、まぁ、特に気を遣わないでくれて良いでござ……んんっ!げふんっ!」

 

勝ったなこの戦い…

 

「…ねぇ、テイトク」

 

「ハッ!なんでしょうか?ビスマルクさん!」

 

「…心なしか、あの大男、この私に対してとあのちっこいの……アカツキだっけ?に対してと随分と対応が違う気がするのだけど?」

 

「ハッ!それは………たぶんアレでしょう、そうたぶん…アレ、ビスマルクさんが美しすぎるのでやはり中将と言えど緊張しているのかと?」

 

「………フッ、なるほどね」

 

フゥゥゥゥ…セーフ!危ない危ない、あやうくビスマルクさんの誇り高く気高いPRIDEを刺激するところだった、正直、あのクズロ…九頭中将はガチロリコンのペド野郎なのでビスマルクさんは完全にストライクゾーンから外れている、頭部直撃のMAX165キロの殺人ストレートコースだ

 

「中将さん、暁がケーキをとってあげるわ!」

 

「キタコレ!………じゃない、あ、ありがとう」

 

「…そこの大男、この私、ビスマルクがドリンクをグラスに注いであげるわ、光栄に思いなさい」

 

言っておくけどこんなサービス滅多にないんだからね!とまるで銀河級の歌姫みたいなコトをビスマルクさんが言ってみるが…

 

「あ、はい」

 

九頭路里、塩対応、圧倒的塩対応…っ!圧倒的関心の無さ…っ!

 

「………テイトク」

 

「ハッ!なんでしょうかビスマルクさん!」

 

ビスマルクさんはあきらかにイラついた様子でこちらを睨み、これは一体どーゆーことかしら?この私、ビスマルクがサービスをしてやろうと言ってるのよ?と俺の腕をガクガクと揺らす

 

「ハッ!お、おそらくはビスマルクさんの発する美のオーラにやはりまだ緊張が取れていないものかと…?」

 

「緊張が取れていない男があんな顔するのかしら?」

 

暁ちゃんから受け取ったケーキを食べ、これは本当に美味しいですなぁ!とマッスルスマイルを浮かべるクズロリ……いや、もうクズロリでいいや

 

「…そこの大男、ちょっとこっちのチョコを食べてみなさい」

 

ビスマルクさん無言でケーキのチョコレート部分をカットし、皿に乗せてクズロリの鼻先にずいっと押し出し、クズロリはそれを食べ…

 

「………はぁ、まぁ、普通に美味いっすね」

 

クズ…っ!!圧倒的クズロリ…っ!いっそ清々しいまでのソルティな対応っ!

いかん!ビスマルクさんのPRIDEゲージがみるみるレッドゾーンへと突入している!このままではこの場は怒りの日が流れるバトルフィールドになりかねないッ!

 

「ビスマルクさん!ビスマルクさん!ビスマルクさァァァァァん!ザッハトルテ!ザッハトルテ食べませんかザッハトルテェェェェェ!!ママ!アレ出して!アレ!とっておきのアレェェェェェ!!」

 

「…あら?ザッハトルテがあるの?気が利くのね、丁度食べたかったのよ」

 

…セェェェフ!生き残り…っ!良かった、たまたま貰い物のザッハトルテがあって

 

「うんめー!なんだこのケーキ!メチャウマだぜオイ!」

 

「ぷくぷくぷー、あ、弥生鼻先にクリームついてるぴょん」

 

「だから?」

 

睦月姉妹のアホガキどももケーキに群がりゲラゲラ笑いながら食い、クズロリの周りでおっさんまだ食えんのか?おっさんまだ食えんのか?おっさんのイイトコ見てみたいとか言って生クリーム的なものをクズロリの口にグイグイとか突っ込んでいるが………うん、まぁ、クズロリコンが満足ならそれでいいか

 

◆◆◆

 

九頭路里中将の来訪から数日後、ようやく通常営業へと戻った執務室…

 

「提督、佐世保から色々書類が届いてますよ」

 

「…書類ケースに入れとけ」

 

「見ないでいいんですか?」

 

「今日はもう店仕舞いだ」

 

明日やればいいコトは明日やる、働き方改革ってヤツだな、こいつは…

 

「あと、倶楽部HO-SHOWとマミヤから請求書が届いてますよ、結構な額の」

 

「結構な額か…」

 

「えぇ、かなり」

 

「…よし、来月から経費抑え気味で営業しような!」

 

「そうですね」





次回は通常回……な気がする遅れてきた新人回、生きていた“B”の意思!

ハァ…ハァ…“B”はまた、必ず嵐を呼ぶ!

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