不健全鎮守府   作:犬魚

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KAITAIの闇に挑む闇の深いお話

【登場人物】

提督(任務に忠実)
捧げる

五月雨(任務にはまぁまぁ忠実)
提督に非があるなら叱ってやるのも仕事、もしそれでダメなら…

ハルサメ(白髪)
壮絶な拷問の末に髪が白くなり、両足を失ったものの、強い憎悪と復讐心で怒りの力ゼス●スに目覚めた、と言う設定で落ち着いた



提督とターヘルな穴とミア

デイリー任務とはなんぞ………?

いつから日12回出撃でなくてはならなくなった?いつからオリョール海と決められたのだ?いつから消費資材によってしか勤務の評価をしないようになった?なぜこんなにも周りを気にして赤疲労になった?なぜつまらん規則で自分達の首をしめ続けるのだ…?

 

今日は、そんなデイリー任務にまつわるお話…

 

 

「あ〜…まったく、毎日毎日めんどくせーなぁ、なぁオイ?」

 

「面倒くさいと言ったものの、日課ですからね」

 

今日も元気にブツを乗せた台車を押し、俺と五月雨は基地工廠の奥にある“あの部屋”へと向かっていると、通りがかりの自販機コーナーで、スカートに手ぇ突っ込んで大アクビしている白髪のヤツが居た…

 

「よぉ、ハルサメ、朝から自販機の前でオ●ニーとはふてぇヤローだな」

 

「ん…?ゲッ!?テイトク!」

 

「ナニがゲッだ、舐めてんのかテメーは」

 

白露姉妹の五女、ハルサメ………そう、コイツはハルサメであり断じて深海棲艦の姫級ではない、まさか徹底的正義を掲げし誇り高き海軍の基地に、人類の天敵である深海棲艦が、それも危険度で言えばブッちぎりでヤバい姫級が居ついてるなんてコトはありえない、もし仮にそんなコトがバレでもしたらバスターコール待ったなし!海軍最強艦隊がこんなチンケな基地を消し炭にするだろう…

 

「おはようございます、ハルサメちゃん」

 

「お、サミーじゃん、オハヨウ」

 

ちなみに五月雨のヤツ、最初こそ多少訝しんだものの、すぐに面倒くさくなったのか、厄介事は御免なのか、この危険生物を姉の春雨として受け入れ、今では普通に姉妹として接しており、たまにお買い物に行くぐらい仲が良いらしい…

 

「ってかアサから二人シてナニシてんの?」

 

「ご覧の通り、台車で箱を運んでいるのだが?」

 

「いや、ソれは見ればわかるけど……なんなの?ソれ?お菓子?」

 

駆逐棲…ではなく、ハルサメは台車に乗せてある箱に興味を持ったらしく、箱の中身がなんなのかを尋ねてきた

 

「肉だ」

 

「肉?」

 

「あぁ、今日の“解体”ノルマ分のな」

 

「か…解体ッ!?」

 

なんかよくわからんかハルサメのヤツはドン引きしたらしくヒィと小さく呻き声をあげて後退りした

 

「え………?ナニ?解体って……?誰かヤったの?」

 

「ナニ言ってんだオマエ、これは普通に食堂で余ったクズ肉だ」

 

「あ、ソうなんだ…」

 

ハルサメはなんだよビビらせやがってーとか言いながら五月雨の背中をバシバシ叩き、その、無駄に長い髪を手に取りトリートメントはしているか?と小粋なハルサメジョーク言って五月雨から水平チョップを喰らった

 

「で、このクズ肉を基地の地下にある“解体室”に……いや、解体室と言えるか?アレは」

 

「さぁ?どちらかと言えば“穴”っぽいですよ」

 

「まぁ、たしかに……穴だな」

 

「あの〜…え?ナニ、その解体室だか解体穴だかにソのクズ肉を持って行ってナニスんの?」

 

「ナニって………生贄に捧げるんだが?」

 

「イケニエ…っ!?」

 

まぁ、正確には生贄ではなく、ただの肉なので生贄の代わりと言ったところだが………毎日、だいたい駆逐艦のアホガキ二人分くらいの量の肉を用意し、穴に放り込むのがこの基地では日課になっている

 

「え?ナニ?イケニエってなんなの!?」

 

「上からのノルマでな、生贄に捧げないと大変なコトになるんだよ」

 

「いやいやいや、ノルマでイケニエって!ソんなの絶対おかシいよ!?なんなの!?海軍怖いよ!闇が深スぎるよ!」

 

ハルサメはこえーヒューマンマジこえーと小粋な深海ジョークを言いつつガタガタと震えているが、人類を襲う天敵である深海棲艦には言われたくないものだ…

 

「………ちなみに、ソのイケニエを捧げなかったらどうなるの?」

 

「どうって……そりゃオマエ、基地の奥に封印されてる終焉の魔獣Ωアポカリプス・カラミティノヴァ・デスビーストが封印をブチ破って復活してこの基地を灰にするに決まってんだろ」

 

「ナニソのモンスター!?え……?なに?アポカリョー?」

 

「終焉の魔獣Ωアポカリプス・カラミティノヴァ・デスビーストだ」

 

「えー………?ナニソの厨二病みたいな名前のモンスター…」

 

「オイオイ、終焉の魔獣Ωアポカリプス・カラミティノヴァ・デスビーストを舐めるなよ、昔、俺は解体任務なんかやらねー!ってゴネた基地があってな、解体ノルマをやらずに放置していたら、終焉の魔獣Ωアポカリプス・カラミティノヴァ・デスビーストが復活し、その海軍基地と3つの国と7つの町、そして2つの山を地図から消す大災害が起きたコトもあるんだぞ」

 

「ヤバスぎだろォ!!なんだよソいつ!!なんでソんなバケモノ海軍基地の地下に棲みついてんだよォォォ!」

 

「そして、その大破壊(オーバードライブ)の反省を経て、海軍基地では毎日生贄に捧げるようにキチンとノルマ制になったワケだ」

 

「いやいやいや、ソいつワタシらよかヤバいじゃん!?深海棲艦よかソいつ討伐シろよヒューマン!」

 

「無茶ゆーな、終焉の魔獣Ωアポカリプス・カラミティノヴァ・デスビーストは神、神に挑むなど俺たち人類には早すぎるのだよ」

 

しかしいつの日か、そう…いつの日か封印を破り、この世に完全復活した終焉の魔獣Ωアポカリプス・カラミティノヴァ・デスビーストが人類に審判を下す時が来るだろう

 

「…聞きたくなかった衝撃の事実だよ、いや、マジで」

 

「人類に逃げ場なし!ってヤツだなぁ、ガハハハ」

 

「や、笑い事じゃねーシ…」

 

ハルサメは缶のミルクティーを飲み干し、自販機の横にあるゴミ箱に投げつけたが、缶はゴミ箱のフチに当たって床に落ちた

 

「あ、やべ」

 

「やべ、じゃねーよ、横着するんじゃないよこの子は、キチンと捨てなさい、キチンと」

 

「ヘイヘイ…」

 

ハルサメは床に落ちた缶を器用に足のつま先で蹴り上げて空中に上げ、自身も飛び跳ねて片足で弧を描くように空き缶を切り裂き、真っ二つになった空き缶はゴミ箱内に落下した……こやつめ、明石の店で買ったとか言うナノテクの義足とゼス●スを使いこなしておるわい

 

「さ、部屋に帰ってゲームしよ…」

 

「ゲームしよ、じゃねーよ」

 

「いや……今、部屋戻ってもユウダチとムラサメの姉がイビキと歯ぎシりでうるセーシ、サミーの部屋でゲームシていい?」

 

「いいですよ」

 

いいのかよ!?なんだ…?コイツらマジで仲良いのか!?オマエはそれでいいのか五月雨ェ!そいつはオマエの本当の……いや、へへっ、本物とか偽物とか関係ねぇ、コイツはハルサメ、五月雨の姉、春雨さ…

 

「ゲームするのはいいですけど、ベッドでオ●ニーとかしないでくださいよ」

 

「シないよ!」


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