不健全鎮守府   作:犬魚

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忘れられがちだけどクズの人

【登場人物】

提督(クズの人)
女子供にも容赦しないDV男

福江(10女)
2-4産、6-3は勝率悪いので早々に諦めた

五月雨(部下)
専業秘書艦、もう3年くらい出撃してない







提督と生意気な新入生

「あ、そうそう、新しい人が来るんですよ」

 

「ふ〜ん」

 

五月も終盤戦に突入しつつある今日この頃、執務室で経費の書類を整理していると、机にアツい茶を淹れた湯呑みを置きながら無駄に長い青髪を揺らす青髪ロング子はしれっと大事なコトを言った………しれっと

 

「ちょっと前にもあったなこのパターン、で?今度こそおっぱいデカい系か?」

 

「さぁ?とりあえず艦種は海防艦の子です、択捉型の」

 

「はいきたよ!また来たやがったよ!ナニが択捉型だよ!もうウンザリだッ!」

 

俺はまるで正体不明の殺人鬼がうろついている洋館に閉じ込められた仲間達とバーベキューに来ただけの青年のように大きく身を振り手を振り、黒檀の机に両手を叩きつけた

 

「まったく…ウチは海軍のエリートを養成する幼年学校じゃねーっーの、それを上は一体ナニを考えている?あ?」

 

「さぁ?そんなコト私に言われても知りませんよ」

 

五月雨は履歴書っぽい書類を俺の机に置き、とりあえず配属の辞令出てるし文句があるならご自分でどうぞと言ってオレンジジュースの入ったグラスとカントリーマ●ムの入った小皿を置いた

 

「まったく……で?コイツはいつからウチに来るんだ?」

 

「もう来てますよ、扉の向こうで絶賛待機中です」

 

いやだわこの子ったら、なんて仕事が早いのかしら?コイツのこーゆートコがムカつくんだよ、とりあえず、イヤなコトはさっさと済ませて今日は熊野としゃぶしゃぶ食いに行く予定があるのだよ…

 

五月雨が扉の向こうに次の方どうぞーと声をかけると、珍しく執務室の扉をキチンとノックするなにやら小生意気そうなガキが入ってきた

 

「択捉型海防艦、福江だ!」

 

「ほぉ、なかなか元気があって宜しい」

 

履歴書的な書類を見るに、択捉型の10番か…ふむ、取り立てて目を引く数字もない、ごくごく一般的な海防艦…

 

「まぁ、最初はファームでガンバって貰うコトになるが、ウチはやる気のあるヤツはバンバン登用していくのが方針だ、是非ガンバってくれたまえ」

 

「了解だ!私は誰にも負けない…ッ!」

 

オイオイオイ、こりゃまた随分とやる気満々じゃねーの、たかが海防艦のルーキーと思っていたが…こりゃちょっとお灸をすえてやらないとなぁ

 

「誰にも負けないか……フッ、その心意気は良いが……福江クン程度のルーキーはこの海にはゴロゴロいる、そして、この先の海には途方もねぇ力を持った海の強者達がな」

 

「関係ない!全部ぶっ倒すんだ!」

 

「ククク、威勢の良さだけは一人前だ、いいだろう…君に教えてあげよう、絶望を…どうしようもない絶望を」

 

「やってみろこのヤロウ!私はナニをされても負けない!たとえこの身体をズタズタにされても心だけは負けない!」キリッ!

 

うん、今、提督はこの子の将来が心配になったのだよ…

 

俺は福江くんの小柄な身体に容赦なく真紅の衝撃を撃ち込んだ

 

「スカーレ●トニードルーッ!!」

 

「うっぎゃあァァァァァ!!」

 

福江くんはうっぎゃー!!と叫びながらゴロゴロと床を転げ回った

 

「鬼か」

 

「鬼じゃない、提督だ」

 

青髪ロング子は、コイツマジでやりやがったよ大人げねぇと言いたげな目をしていたがそんな事は関係ない、そもそもアレだ、忘れられがちだが俺は女子供にも容赦しない男だ

 

「ぅぅぅ…痛い、痛いよぉ…」

 

「痛いか?もう負けを認めるかね?」

 

「…ま、負け……?イヤだ!私は負けない!」キリッ!

 

「スカーレットニー●ルッ!」

 

「うっぎゃあァァァァァァァァァァ!!」

 

福江くん再びはうっぎゃー!と叫びながら床をゴロゴロと転げ回った

 

「痛ぁ…痛い、痛いよぉ…」

 

「負けを認めるかね?」

 

「負け……ない!絶対負けない!」キリッ!

 

このボウヤ、なかなか強情じゃないか…どうやらとどめのアン●レスまで撃ち込む必要があるらしい

 

「ならば受けてみせよ!真紅の衝撃をーッ!」

 

「はいはい、大人げない真似はやめてください」

 

さすがにこの惨殺劇を見かねたのか、いつもは面倒くさい事に積極性のない五月雨がこの辺でいいでしょう?と俺の放ったスカーレ●トニードルを掴んで容赦なくネジ曲げた

 

「うっぎゃあぁぁぁぁぁ!!指がッ!俺は指がァァァァァ!」

 

「福江さん、この人は上司ですけど基本的にはクズの人なので話半分くらいに聞いていたらいいですよ」

 

「あ、あぁ…ありがと、え…っと」

 

「五月雨です、とりあえずわからないコトがあったら姉妹の子や他の海防艦の先輩にでも聞いてくださいね」

 

「わ…わかった!」

 

ーーー

 

とりあえず面接も終了して福江くんも退室し、俺は破壊された右手の人差し指を固定した…

 

「鬼か」

 

「鬼じゃありません、五月雨です」


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