不健全鎮守府   作:犬魚

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ザ・日常回

【登場人物】

提督(キュウシュウ男児)
フィッシャーマンズ・スープレックス

五月雨(白露姉妹の六女)
スクリュードライバー

秋月姉妹(あの高さに届くのかよ…ッ!)
基地には珍しい根が真面目で礼儀正しいロックな姉妹、かなり稼いでいるのに常な貧乏そうに見える不思議


提督と五月雨となんやかなフィッシング

「たまには釣りでもするか…」

 

おにぎりを作れだのお茶漬けを作れだのワケのわからん仕事を上に目をつけられない程度のなあなあな感じにこなす五月晴れの執務室、たまにはこの暑すぎず寒すぎないゴキゲンな陽気の下、魚釣りでもするかと考えた俺は五月雨と共に釣り具セットを持ち海へと来ていた…

 

「サミダリューン、今日は絶好の釣り日和だとは思わんかね?」

 

「まぁ、絶好かどうかは釣り博士ではないので知りませんが良い天気だと思いますよ、あと、五月雨です」

 

五月雨は被っている麦わら帽子のツバを掴み、微妙に風が強いですねと言いつつその辺に折りたたみの椅子を置き、クーラーボックスからペットボトルのお茶を取り出した

 

「ほぉ、卿は準備がいいな」

 

「むしろ提督の準備が悪いんだと思いますよ、はい、お茶、大事に飲んで下さい」

 

「うむ」

 

五月雨からペットボトルを受け取り、とりあえずそこら辺の堤防にでも座って釣るかと辺りを見回してみると、堤防の先に先客が座っていた…

 

「キタっ…!キタよ!AKI姉ちゃん!」

 

「落ち着いて!落ち着いて竿を引くんだTERU!そう、落ち着いて!違う違う!落ち着いて!ほら!全然落ち着いてない!」

 

対空防衛の要、その防空力たるや艦隊におけるエクスカリバーと言っても過言ではない頼れる防空メイト………貧乏姉妹こと秋月姉妹は竹竿的なもので海の魚達とアツいフィッシングバトルをしているらしい…

 

「大きい!コレ絶対大きいよ!すんごい引きだよ!」

 

「チクショウ!HATSU!網!虫とり網みたいなやつ!早く!」

 

「あったよ!虫とり網みたいなやつ!」

 

「でかした!」

 

…それ虫とり網じゃねーでタモ網って言うんだがな、いや、よくよく見たら初月が持ってきたアレは………虫とり網だ!?間違いない!あのシャバい見た目はまごうことなき虫とり網ッ!?

 

「今日の晩御飯…っ!クッ!釣るんだ…っ!みんなで食べるんだ!」

 

「TERU!ガンバレ!TERU!」

 

「もーちょいだよ!もーちょいだよTERU姉ちゃん!」

 

次女のTERU(巨乳)の身体を支えるAKI姉ちゃん(巨乳)

そして妹のHATSU(貧乳)は虫とり網を水面に構えている、実に仲の良い姉妹の連携プレイは見るものをアツくさせてくれるのだよ…

 

ーーー

 

「…さて、釣るか」

 

「そうですね」

 

貧乏姉ま……秋月姉妹の死闘を邪魔するのもアレなので、別のポイントへと移動した俺と五月雨は互いに釣竿を海面に垂らし、俺は手持ちの基地スポを、五月雨は最近買ったらしい文庫本を片手に魚信が来るのを待っていた…

 

「meたちは倒しに来たんじゃない、殺しにきたネ!問題発言連発のアイオワに非難殺到か…」

 

そういやイメトレ…?違うな、イントレなんとかだったか?アイツ、入隊前はアメフトのチアリーディングとかやってたらしいとアイオワから聞いたが、あのムッチムチバディで跳ぶ様はスカイ・ママと呼ばれて地元では大人気だったそうな

 

「しかし釣れねぇな」

 

「餌付いてないんじゃないですか?」

 

「んなワケねぇだろ、ちゃんと付いとるわい」

 

「ちなみに私のは餌も針も付いてません」

 

「仙人か、オマエは」

 

コイツ釣りをなんだと思ってるんだ?釣りってのはそう……アレだ、人と魚による釣るか釣られるか、食うか食われるかを賭けた聖なる戦い、聖戦に等しき戦いだぞ?ほら、あっちの堤防見ろ、今夜のメインディッシュを釣り上げて喜びのあまり次女を胴上げしてる貧乏姉妹を………あ、落ちた

 

「まぁ、そんなファッションフィッシングに興ずるオマエを、それでも許そう」

 

「はぁ、それはどうも」

 

五月雨は特に気にした様子もなく文庫本のページをめくり、ペットボトルのお茶を口に含んだ…

 

「しかし釣れんな」

 

「ポイントが悪いんじゃないですか?」

 

「ふむ…」

 

たしかに、こやつの言うコトも一理あるやもしれん、釣りにおけるポイントの選定とは言うなれば遠足の前日に購入するおやつの選定に等しい、300円と言う金額で如何に効率的に、なおかつバラエティと分量にとんだお菓子を購入するかを考え、最適な答えを導き出す事をこの国の子らは幼少期より鍛えられてきたのだ………だが!

 

「俺はここを動かぬ」

 

「はぁ?」

 

俺の導き出した答えは、まだ、この場に留まるコトだ

そう、安易なポイントの移動はするべきではない、男とは時に留まり、耐える時もあるとおばあちゃんが言っていたからな!

 

「まぁ、別に私は構いませんけど……あ、なんか引いてますよ?」

 

「よっしゃあ!!フィーッシュ!!」

 

俺は竿を掴み、リールをグルグルと巻いて全力で引き上げる!この引き……なかなかの大物とみた!!

 

「ぬぅ…!なかなかのパワーとスピード!五月雨、槍を持て!槍を!」

 

「ありませんよ、槍なんて、虫とり網ならありますけど」

 

「なんで虫とり網なんだよ!えぇい!まぁいい…!このさい虫とり網でもいいから獲物が海面に出てきたら掬え!」

 

オラオラオラオラオラオラオラァァァァァ!!これが人類の力じゃあ!たかが魚類如きが人間様に勝てると思うなよコラァ!!

 

「あ、なんか浮いてきましたよ」

 

「よし!掬え…っ!」

 

「…なんか思ったより小さいですね」

 

たしかに、浮いてきた魚影…?魚影かコレ?なんか四角い形に見えるんだが…なんと言うか、そう、アレだ、まるで折りたたみサイズの携帯電話のような…

 

『トウッ!!』

 

上手いこと虫とり網で掬い上げたそいつは勢いよく網から飛び出し、地面に着地した

 

「…なんだこれ?」

 

「アレじゃないですか?168さんのケイタイ」

 

「あぁ、そういやなんか変なケイタイ持ってたな、アイツ」

 

たしか海外製で手足が生えて動き回るよくわからんヤツだったか…

 

『マッタク、168ノヤツメ、ケータイハ投ゲルモノデハナイトイツモ言ッテイルノニ、困ッタヤツダ』

 

168のケイタイくんは俺たちに救出感謝すると礼を言い、スタスタと歩き去った………そうか、最近のケイタイってのはキチンと礼が言えるんだな、これまさにIT革命、ITレボリューションや…

 

「どちらかと言えばテクノスタブーに引っかかる系だと思うんですけどね、アレ」

 

「なんてコト言うのかねこの子は…」

 

 

その後、釣りに飽きた俺たちは釣り具セットやらを持って歩いていると、ダイコンの入った籠を背負った秋月姉妹のなんか白い子にAKI姉さん達を見なかったかと聞かれ、あっちで釣りをしていると教えると、お礼にダイコンを一本進呈された………きっとあの白い子は良いお嫁さんになるだろう





次回、戦慄!三すくみの戦い!日・英・露!

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