【登場人物】
提督(モナリザってありますよね?)
大きいものは比較的すんなり覚えるタイプ
浜●(かわいい系)
マジかよオイ…
Richelieu(オシャレディ)
オシャレの勉強とスーパーモデル体型の維持はかかさない農家の娘
しょーもない書類仕事に飽き、タバコでも吸いに行くかと執務棟の廊下を歩いていると、階下の中庭でなにやら見覚えのないのがウロウロしていたので声をかけてみた
「よぉ、え〜……」
「あ、て、テイトク…コンニチハ」
…誰だっけかコイツ?イマイチ見覚えがないが、なんか見たコトある気がする誰か……?いや、待て待て、提督はこの基地にいる仲間は皆“家族”と心から思っているのでモチロン知っているのだよ?ただちょっとアレだ、ド忘れ的なアレだよ、アレ、家族と言ってもたくさんいるとたまにこんなコトだってある!
そしてこの提督は溢れる知性でこの前髪が妙に邪魔っぽい何者かが夕雲型の誰かだと気付いた、だって夕雲型の制服着てるしな!夕雲型じゃないのに夕雲型ヅラして夕雲型の制服着てる不届きなヤカラなどそうは居まいて…
「え〜………キミ」
「は、はぃ…」
メカクレガールは妙にキョドっており、その視線をそわそわさせている………たぶん、だって見えねーし
「キミは〜…そう、アレかね?最近ウチに来たアレだね、うんうん」
「は、はぃ…最近来ました、ここは…ふーちゃんと…なっちゃんも居るし、色々教えてもらってます」
「うんうん、そうかそうか!」
うんうん、ふーちゃんとなっちゃんか……うん!誰だそいつら!まったくわからん…ッ!!この子の名前すらわからないこの状況で新たに追加されたワケのわからん情報ッ!とりあえず、溢れる知性でこの子の名前がふーでもなーでもないコトは推察できたのだよ
「テイトクは……その、見回りかナニか……ですか?」
「まぁ、そんなところだな」
「そう……なんだ、じゃない…!ですか」
「ハッハッハ、別に構わんよ」
実際は書類仕事をバックレてタバコ吸いに行くところだが、まぁ、このメカクレガールがそう思っているのならそう言うコトにしておいてやらないとな、提督は子供の夢を守るタイプの大人だからな!しかしこの子の名前なんだっけか?たぶん夕雲型だからなんたら雲か…?
「あ……あの?」
いやいや、夕雲型と言ってもキヨシとかアサシとかキタローくんみたいに雲っぽく無いのもいるよな?むしろキタローくんってホントの名前なんだったっけか?キタローじゃないよな…たぶん
「あのぉ…」
思い出せ…っ!え〜……なんだっけ?このメカクレガールの名前は!?誰だ?夕雲か!?違う!夕雲はもっとこう…バァンって乳あるもんな!じゃ、巻雲か?いやいやいや、違うな、巻雲はたしかメガネだ
「あのぉ……テイトク?」
「ん?あぁ、すまんすまん、少し考え事をしていてな」
「そ、そうですか…」
メカクレガールは俺の顔を覗き込んでいたらしく、気がつくと顔が近かったが、その鉄壁の前髪で両目どころか片目すら見えなかった………しかし良い匂いするなこの子、なんと言うか、こう…まるで清涼感漂う美少女的な
「ふむ、トリートメントはしているかね?」
「え?あ、はい……一応、わた、私の髪、ちょっと痛みやすいって、なっちゃんが…」
「ふむ…」
なっちゃん………?そうだ、まずはそのなっちゃんとか言うヤツを思い出せば自ずとこの子の名前も思い出せるやもしれん、なっちゃん…一体誰のコトだ?なっちゃんとか言うからにはおそらく名前に“な”のつく人物、つまり、導き出される結論は……
「…長門?」
「はい?」
「いや、ないな、すまん、忘れてくれ」
ないな、長門だけはない、むしろこのメカクレシャイガールがあの長門をなっちゃんとか呼べる存在だとしたらこの子は戦艦を超えた戦艦、いや、戦艦を超えた戦艦、そのさらに戦艦を超えた戦艦と言っても過言ではない超戦士と言っていいだろう…
しかし長門じゃないなら誰だ…?ハッ!?那智!間違いない!妙高姉妹で唯一危険物乙種とフォークリフトの免許を持つインテリ次女!那智だ…っ!間違いない!
「なるほど、なっちゃんがな…フッ、まぁアイツもなかなかアレでハナシのわかるヤツだ、そうかそうか」
「え?あ、はい…なっちゃんは、ちょっと乱暴なトコ、ある…けど、実は優しくって…」
ちょっと乱暴…?アレが?
「あ、でも、ふーちゃんの方が乱暴って言うか…」
「ほぉ…ふーちゃんが」
とりあえず、なっちゃん=那智は判明したがこの子の名前は未だに判明せず、もう1人の謎の存在、ふーちゃんなる名前から推察するしかあるまい…
しかし、ふーちゃんか……これ一体誰を察しているのか?ふー、ふー…か、いや、もしかしてコレは名前ではなく、WHOでは?何者でもないWHO、もしくは世界保健機構……こいつはなかなかの難問だ
今わかっている事と言えばWHOちゃんは那智よりも乱暴者と言う僅かな情報のみ、正直、那智より乱暴なヤツなどごまんと居るしな…
「ふーちゃん、よく…おきちゃんに関節技みたいなのかけてて…」
「ほぉ…」
おきちゃん…?おき……ハッ!?オキシジェン・デスト●イヤーか!?なるほどな、ふーちゃんはおきちゃんに関節技をかける、つまりコレはいつでもゴ●ラを殺す準備は整っていると言う意味……となると、導き出される結論は
「…あ、でも、2人ともホントは仲良くて…」
「なるほどな」
うん!わからん!この子の名前がまったくわからん!と、言うか!誰なんだこの子は?なんかウチには珍しく可愛い系みたいな感じすぎるわい、そもそもなんだその前髪は?エロゲーか?エロゲーの主人公か?もしくは前髪あげたら超絶美少………
「ハッ!?」
「ど、どうしたんですか?」
「思い……出した!」
そうだ、あの五月雨ですらその素顔をちょっと見ただけでマジかよオイ、なんだこの美少女ヒロイン!?みたいな顔して戦慄してたあの子………えっと、名前!名前が出ない!名前が、えー…なんだっけ?マジで、たしかハ……そう、ハ、ハマ?
「浜風ちゃん…?」
「え…?えぇ?浜風…ちゃん?」
違うな、浜風ちゃんはもっとこう…バァって大きいもんな、じゃない、浜だ!そう!浜…っ!この子の名前は…っ!何故だ、何故思い出せない!
「クッ!」
「あ、あの…」
俺はとりあえず浜なんとかちゃんの顔をジッと見つめてみる、透過率0%の鉄壁の前髪、色素の薄い髪の色と肌の色、そしてなんか美少女特有のなんかすげーイイ匂い、よく見ると、何故これほどの美少女が今までノーマークだったのか理解に苦しむレベルだがその理由はわかる、この子は性格的に自己主張に弱く、なおかつその前髪で真の顔を隠しているからだ!
「なんて惜しい存在だ…っ!」
「は、はぁ…?」
おそらくこの子が本気を出せばメインヒロインどころか、それまで居た誰もが霞む超絶美少女ヒロイン降臨となり世の男児達は熱狂するだろう、おそらくは………女神、この子は腕を失ったビーナスと同じく、そのポテンシャルを最大限に引き出してはいないのだ…
そんな現代のビーナスを前に、俺は己の無力に歯痒さを感じていると、薔薇のエッセンスを放ちつつ美しい鼻歌をフンフン歌いながら豪奢なキンパツが歩いて来た
「Tu crois, o beau soleil〜♩……ん?あら、amiralじゃない?ナニしてるの?こんなところで」
「ゲェーッ!オマエはーッ!」
フランスから来たパリっ子気取りの農家の娘!かませ犬!かませ犬のリシュリュー!!
「誰がかませ犬よ…っ!?」
「ハッハッハ、すまんすまん」
「まぁいいわ、私とamiralの仲だし……で?amiral、その子ナニ?」
リシュリューは浜なんとかちゃんを指差しコレなんですか?と重ねてフランス語で問いかけてきた
「…浜………ハマちゃんだ」
「ハマチャン?」
「は、はまちゃん!?」
なんかハマちゃんもびっくりしているっぽいが、まぁ、名前を間違えるよりは良いだろう
「そうだ、リシュリュー、オマエ、ハマちゃんに自己主張とはなんなのかを教えてやってくれないか?」
「…はぁ?なんで私がそんなコトを…」
「大丈夫だ!オマエなら出来る、何故なら俺はオマエを信じているからだ!」
「そ…そう?ふふ、そうなの?なら、教えてあげてもいいわね」
チョロいなコイツ……このリシュリュー、基本的には些かアレだがパリっ子気取りなだけあって自己主張性は強い、おそらくこのアホから学べばこのハマちゃんも誰もが羨み、そしてマジかよオイと振り返る超絶美少女としてその真の力を開放する事ができるだろう
「フンフン………ふ〜ん、ま、素材は悪くなさそーね」
「あ、あの…っ」
「ちょっと、動かないでくれる?」
「は、はぃぃ…」
リシュリューは早速ハマちゃんの顔や髪にペタペタ触ったりしトリートメントはしているかしら?と聞いたりしている
「ってか、前髪邪魔ね…」
「あ…」
「!?」
その時、リシュリューに電撃が走る…っ!丁度リシュリューが陰になって俺には見えなかったが、どうやらリシュリューはハマちゃんの素顔を見てしまったらしく、軽くブルブルと震えながら俺の方を見て“マジかよオイ”と言った顔をして首を横に振った…
「ど………どうだ?」
「Déesse………Déesseの降臨よ」ポロポロ…
当基地きってのオシャレディ!美の信奉者であるリシュリューは尊い…!尊すぎる…っ!と言って涙を流した、ば……バカな、あの己の美を信じて疑わないリシュリューですら膝をつき、敗北を認める真実の美だとでも言うのか!?この子は…っ!
「あ…あの、だい…大丈夫ですか?」
「Ma déesse, je vais donner ma vie…」ポロポロ…
「え?…え?す、スイマセン、英語?よくわかんなくて……あ、あの…あのっ!テイトク…っ!?」
この後、ハマちゃんと別れた俺とリシュリューは真実の美とは何か、我々、美の信奉者達はこれからもこの世界にあるまだ見ぬ美を見つけ、そして護ることを誓った…