【登場人物】
提督(チキン野郎)
迷ったら、チキンにする
雲龍(妖●仙人)
雲龍姉妹の長女、超絶ワガママ、ただし、ワガママボディである
「腹減ったな」
窓の外には梅雨のNAKA休みで穏やかな天気が広がるSORA、書類を読んでは捺印し、書類を読んでは捺印する精密機械のような作業に従事していると、ふと、自分のお腹がペコちゃんなコトに気付いた俺は、同じく執務室に居る髪の長いヤツに今日ランチなんにするー?キャハーっと親しみと理解ある上司風に問いかけてみると、マジキモいんですけどと言いたげな微妙なツラを返されてイラっときた
「マジキモいんですけど」
「マジキモくない、提督だ」
「はぁ…?あ、今日、私は春雨姉さんと外に食べに行きますので、提督はどうぞごゆるりと一人中庭のベンチでラ●チパックでも食べながらピク●ックでも飲んだら如何ですか?」
「いやだわこの子ったら、そこはアレだろ?アレ、よければ提督もご一緒にどうですか?って誘う感じだろ、ったく、髪なげーくせに空気読めねーなオマエは」
「髪長い関係ないですよ、なんです?提督も私達とちょっと意識高めでオシャレなスウィーツ付きバイキングに行きたいんですか?」
「ハッ?冗談じゃない、っーか春雨姉さんと…って、オマエら仲良いんだな」
「えぇ、まぁ」
まぁ、その春雨姉さんは春雨姉さんであって春雨姉さんではない春雨姉さん的なナニかなんだが……ワリと昔からそうだったが、五月雨は春雨に対してだけは妙に親近感を持っており、オモテに出す事はないが村雨と海風には憎悪に近いドス黒いものを持っている、その理由は………まぁ、アレだよ、アレ、まぁ、なんっーか…ほら、アレだよ
「ふむ、そうかそうか…まぁそうか、そうだな!姉妹はやはり仲良くしないとな!仲良く!カッカッカ!」
そう、姉妹は仲良くするものだ、仮にその姉が見た目だけよく似てる別人な気もしなくもないが、断じてそんな事はない、ウチに居る春雨は春雨だ、みんな大事の俺の家族じゃねぇか…
「そんな
「はぁ?」
俺は財布から千円札を取り出し五月雨の手に握らせてやる…
「コレ、少ないけどとっておきなさい、二人で帰りにジュースでも飲みなさい」
◆◆◆
「さて…どうすっかな」
五月雨のアホンダラと別れ、執務棟をブラブラと歩きながら今、食べるべき昼食について考えてみる……今日はコレと言って何が食べたい的なものはないんだよなぁ〜
こーゆー時はアレだよ、アレ、ほら、選択肢選ぶ感じのエロゲーの主人公みたいに選択肢とか欲しくなるな………よし!でろ…っ!選択肢!でろ…っ!目覚めろ俺の主人公パワー!
【① 膣●に出す】
【② 膣●に出す】
【③ 尻●に出す】
あ、なんか出た!!でもなんか違う!今求めてる選択肢はそれじゃない!今そーゆーシーンじゃない!クソッ!もう一度だ!
【① 明石の店で菓子パンと飲み物買って中庭に行く】
【② マミーヤに行く】
【③ 殺してでも うばいとる】
よし!また出た!っーか③!③の選択肢は今じゃないだろ!今じゃ!誰から何を奪うんだよ!?
まぁいい、とりあえず五月雨の予言に従うのもシャクだし…俺が選ぶ選択肢は②!マミーヤのとこ行って日替わりでも食うか…
こうして、俺は②の選択肢を選びマミーヤの店へと移動した…
ーーー
「いらっしゃいませ、今日の日替わりはベーコンエッグとワカメ汁のみそ汁とサンマの塩焼きと山盛りのキャベツです」
…ごきげんな昼食だ、このブタ乳女め、俺が今、イチバン食べたいものってのをワカっていやがる…
「からあげ定食くれや」
「からあげ定食ですね、伊良湖ちゃん、鶏殺して来て、今すぐ」
こだわりの間宮からあげは鮮度が命、やはり死にたてが一番らしい、まったく…もし俺がもう少し若かったらこのアマ、調理台に押し倒して麺棒でファックしてやるところなのだよ
そんなワケで、間宮お手製からあげ定食(1980円税別)を手に、適当に空いている席を探していると、丁度空いている席があったのでそこに決めた
「はぁ、よっこらセメタリー」
「…む」
「ん?おぉ、なんだ、雲龍……オマエも居たのか?珍しいな」
よく見たら俺の合席には頭が白くておっぱいデカくて目に光のない仙人みたいなのが座って山盛りのキャベツをモサモサと口に入れていた…
雲龍姉妹の長女、雲龍、見てのとおり、おっぱいの大きいやつだ
「別に珍しいことないよ、私は毎日ここで食べてる」
「ふ〜ん、そうなのか」
「天城の作るご飯はヘドロみたいな味がするし、葛城に作らせたら濁ったドブ川みたいな味がするのよ、だからここで食べてる」
「サラっとヒデーこと言うな、っーか妹をディスる前に自分で作れよ」
「私が?嫌よ、めんどくさい、食事はお腹が空いたら妹が用意するものよ」
なんと言う傲慢…っ!なんと言う圧倒的長女…っ!長女絶対君主制の多い姉妹艦の中でもこれほどワガママでかつワガママボディの者が居ただろうか…ッ!!このワガママはまさしく猛るこの星の“我”!決して己を見失わず揺るがない“我”だ!
「でも、天城も葛城も料金以下のクソマズい料理しか作れないからここで食べるしかないのよ」
「ふ〜ん」
そう言って雲龍はサンマの塩焼きを口に放り込んで咀嚼し、ペッ!と骨組みだけを器用に吐き出した、ってか器用すぎるだろ!?どうやったんだコレ!?
「提督のそれ美味しそうね」
「美味いんじゃねーの?なんたって新鮮な殺したての間宮ランチだしな」
「頂戴」
「やだよ、オマエ自分のあるじゃん」
「全然足らない、むしろいつも足りてない、天城がケチだからいつも日替わりランチ分のお金しかくれない」
…そう言えば、天城のやつ、前に会った時に最近は温泉旅館でショーのアルバイトしてるとか言ってたな、たぶんあのワガママボディで棒をクルクル回ったりしてるんだろう
「違う、天城と葛城は手品ショーしてるって言ってた」
「こ…こいつ!俺の心を読んだのか!?」
さすがは仙人みたいな空母なだけはある、たかが人間の心を読むなど朝飯前ってヤツか…
「天城のおっぱいの谷間から鳩出したりしてる」
「なにそれ超見たい」
「私から言っておいてあげる、かわりにそのからあげ頂戴」
「ダメだ、っーかオマエ、何個とる気だ?」
「全部よ」
むしろその定食そのものをよこせと言って雲龍は俺のからあげ定食が載った盆をグイグイと引っ張る
「ちょ!おま!やめ…!やめろ!なんだよオマエ!今さっき日替わり食ってたじゃん!?」
「全然足らない、お腹空いてしょうがないのよ、くれないなら提督をもぎたてのパイナップルみてーにしてやるわ」
「それ禁煙中の俺ェ!?」
「いいからよこしなさい!お腹空いてお腹空いてお腹空いてしょーがないのよ、噛むわよ!」
な、なんてヤツだ…チンピラ空母の南雲機動組よかマシだと思っていたが、こいつもとんだモンスターだよ、まさしくモンスター空母か…ッ!
俺の盆をグイグイ引っ張る雲龍に対し、俺も自分の定食を守るべくグイグイと引っ張った
「チィ…ッ!」
バチバチバチバチバチバチ!(サン●ガ)
「あ痛ァ!!痛い!痛い痛い痛い痛い!ちょ!待てよ!痛いって!」
雲龍の横髪みたいなのから電気みたいなのが発射され、俺にビリビリショックを浴びせてきた!!
「ちょ…!おま、なんだその能力!?電気か!?」
「電気よ」
そうか………電気か、コイツはとんだカミナリ様じゃねーの?ってか、サラっとゆーなよな、コイツ
「よし、立て雲龍コラ、タイマンだ、俺に勝ったらそのお腹がパンパンになるまで食わせてやんよ、あと、俺が勝ったらお前のその腹がパンパンになるまで注いでやんよ」
「いいじゃない、やってみれば…?」
椅子からゆらりと立ち上がった雲龍は横髪からさらに激しい電気……いや、これはもう雷!稲妻と言っていいレヴェルだろう、へへっ…!面白しれぇ…これが“雷帝”ってワケか!上等だよこのヤロウ…
「行くぞォ!ゴングを鳴らせ!戦闘開始だァ!」
「消し炭にしてやる…」
俺達は互いに椅子とテーブルを蹴り、今、正面から激突しようとしたその瞬間、俺達の間におそろしく精密なコントロールで投擲されたであろう包丁が突き刺さった!?
「こ…これは」
「まさか…」
包丁を投げた主は恐ろしくニコニコと笑みを浮かべながら“私の店でうるせーよ、殺すぞ”と一言だけ言って床に刺さった包丁を拾った
「あ、そうそう雲龍さん、この包丁、最近セラミック製に変えたんですよ」
「へ、へぇ…」ガタガタ
あかん、完全に電気対策されてる、ってかあの雲龍が超ビビってる
「あと提督、黙って食べてください、食事とは言うものは誰にも邪魔されず、自由で、なんというか救われてなきゃあダメなんですよ…わかりましたか?」
「は、はい…スイマセンでした」ガタガタ
なんだこの女ぁ…超怖ぇぇぇ、ヤバい、俺ビビって金出しそうになった、ナニが給糧艦だ………!コイツこそ本物の