不健全鎮守府   作:犬魚

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陽炎型フェア実施中のアツい陽炎カツドウ

【登場人物】

提督(いけないなぁ、神のことを悪く言っては…)
中間管理職上司

舞風(ダンサー)
…心が踊らない

野分(プリンス)
通称のわっち、趣味はシルバ●アファミリー

嵐(あらし)
健康(オタク)被害の第一人者、そのおかげか、健康

萩風(ハギぃ…)
健康オタク、笑顔が可愛いが健康オタク、あと、下着の色が誘っているが健康オタク


提督と第四駆とダンスの達人

今日も元気に暑い中、喫煙所へと向かっていると、体育館の方からアツいナイスガッツ溢れる声とドッタンバッタン暴れる音が聞こえてきたので何事かと思って近付いてみると…

 

「ウゲエエェェェェ!!」

 

体育館の出入り口から笑顔がステキなアイドルみたいな顔した子、陽炎姉妹の十七女、萩風が転げながら外へ飛び出し、その、キラッキラなアイドルと見まごうルックスからキラッキラなゲロを吐いていた…

 

「だ…大丈夫かぁ……ハギィ!」

 

そして、その萩風を心配するように出入り口にもたれかかり足元がフラフラしている陽炎姉妹の十六女、嵐も口を抑えて前のめりになり、外に向かって光るゲロを吐いた…

 

………な、なんなんだ?一体?何故この二人がいきなりゲロ吐かにゃならんのだ?ハッ!?まさかアレか?俺か!俺の出す溢れるプレッシャーがコイツらに恐怖を与えてしまったのでは?これはいかんな、俺はこの基地に所属している艦達には常に友達になろうじゃないかと親しみを込めているつもりなのだが……参ったな、ゲロを吐くほど怖がらなくていいじゃないか

 

「と、まぁ…小粋なテイトクジョークはいいとして、体育館で一体ナニが…?」

 

俺は体育館の出入り口から館内の様子を覗いてみると、そこには金と銀の二人がハァハァ言いながら睨み合っていた…

 

「まったく!どいつもコイツも情けねー!もうヘバったんかー!あー!?ヤル気あんのかー!」

 

床板を踏み抜く勢いでバシバシと床ドンする金の方…

陽炎姉妹の十八女、舞風…っ!噂ではかつてあのチンピラ空母、赤城とケンカして勝った事もあるらしい第四駆一のおきゃんと噂されている…

 

「舞風ェ!やりすぎだよ!そんなのじゃ誰もアンタについて来ないよ!」

 

そして相対する銀の方、陽炎姉妹の十五女、野分…

クール&スタイリッシュなその容姿や性格から“レズの王子様”と皆に親しまれており、2月の基地スポのバレンタイン特集、チョコをあげてもいいメンズランキングで、俺、天龍、木曾のスーパーハンサムボーイズを抑えて堂々の首位を獲得しているッ!

 

「こんなレヴェルじゃあ来月のジャペンオープンは勝てないのよ!私達の目標はナニ?優勝じゃないの!」

 

「そうね、優勝よ……でもね、舞風ェ…今のままじゃ私達は絶対に上手くいかない、わかるでしょ?」

 

「クッ!!………野分ェ!!」

 

ビタンッ!!(ビンタ)

 

舞風のアツいビンタがのわっちの頬を打ち、のわっちは床に転がった…

 

「クッ!!アンタならわかってくれると、わかってくれると思ったのに…っ!」ポロポロ…

 

「舞風ェ…」ポロポロ…

 

………なんだこれ?よ、よくわからんが、うん、まぁ、よくわからんがケンカは良くないな、うん、ケンカは!よし、ここは理解ある大人として、そして責任ある彼女らの上司として止めに入るべきだな、うん

 

「まぁまぁ、待ちたまえ君達!ケンカは良くないぞォ!うん、提督は仲良し姉妹がケンカするのは感心せんなぁ!」

 

「提督ェ…」

 

俺はとりあえずスタイリッシュに舞風とのわっちの間に入り込み、これは一体何事か?私にわかるように説明したまえと溢れる知性で事情を聴いてみる事にした

 

「提督ェ…も知ってると思うけどさ、来月は大きな大会があるんだ…」

 

「大きな大会……?あぁ、あれな」

 

アレな、そういやこないだ上からFAX来てたわ、少し大きな中規模!ってやつだな、うん、アレか…

 

「私達、これまでも全国目指してたけど、今年こそは全国行きたいんだよ!」

 

「ほぉ…」

 

全国…?あぁ、アレか…?俺も詳しい概要は聞いてないが今年の作戦海域はワリと広いんだな、へぇ、知らなかった

 

「でもこんなレヴェルじゃまだ通用しない…!だから私は、みんなの為にもっと上手くなる練習を…!」

 

「みんなの為…?舞風ェ…それは違う、今、アナタがやってるのは自分の為よ、チームの為じゃない」

 

「野分ェ…!!」

 

「アナタはチームの為とか言って自分を押しつけてるの、ホントはわかってるんでしょ?」

 

「野分ェ…」ポロポロ…

 

「ま、まぁー!落ちつきたまえ!な?二人ともそうエキサイトせずに!な?落ちつきたまえ、Cool、こーゆー時こそBe cool…私は冷静だなのだよ」

 

…う〜む、提督的にはそんなにレベル低くはないと思うんだけどなぁ、とりあえず四駆全員85はあるし、それなりにやれると思っているんだが……随分と志が高いじゃないか

 

「とにかく、今のままじゃ舞風ェ…アナタにチームはついて行けないし、ついて行かない、ただ、勝ちに拘るだけのアナタのダンスは…」

 

…ダンス?あぁ、ダンスな、ダンス、そういや前に赤城が言ってたな、作戦中に事故るよーなヤツは舞風と(ダンス)っちまったんだよ…ってな、なるほど、コイツらにとってダンスとは、戦闘行為(ダンス)と言うワケか……随分とシャレているな

 

「野分ェ…」ポロポロ…

 

「舞風ェ…前はもっと楽しそうに(ダンス)ってじゃない、でも今のアナタはちっとも楽しそうじゃない、私だけじゃない、萩風も嵐もそう思ってる」

 

のわっちは舞風の肩を優しく掴み、まるでレズの王子様のように優しく舞風を抱きしめた、その破壊力たるやおそらく並みのレズならキュン死確実だろう…

そして、外で光るゲロを吐いていた二人、萩風と嵐もいつの間にやら口をゆすいでキチンと水分補給して戻ってきたらしく、二人もアツく舞風に抱きついた!

 

「野分ェ……萩風ェ、嵐ェ…私、私ぃぃぃ」ポロポロ…

 

「いいのよ舞風ェ…」

 

「そうよ舞風ェ…私達一緒のチームじゃない?」

 

「ヘヘッ!そうだぜ舞風ェ!」

 

な…なんかよくわからんが、とりあえずケンカは終わり、みんな仲良し第四駆の仲間に戻ったらしいな、うん…なんかよくわからんが…

舞風は変われるかなぁー?アタシ!変われるかなぁー?と言ってオイオイ涙を流し、空気読まない嵐が変顔で“ムリ”とか言って笑いを取ろうとして萩風からスゲー痛そうなビンタを喰らって床に転がったが、まぁ、とりあえず話は終わったらしい…

 

「ま、まぁ…仲直りできたならいいだろう、うん、まぁ…うん、なんだ?仲直りの印と言ってはなんだ?これで仲良くアイスでも食べなさい」

 

俺は財布から紙幣を取り出し、舞風に手渡してやると第四駆の仲良しチーム達は俺にキチンと礼を言って頭を下げ、嵐がよっしゃ!オレ、チョコミントーと言ってたら萩風からあんな歯磨き粉みたいな味!身体に良いワケないでしょ!とビンタされて床を転がった…

 

ーーー

 

「と、言うコトがあったワケだが…」

 

喫煙所で一服し、執務室に戻った俺は自分の席でクロスワードパズルの雑誌を読んでいた五月雨に第四駆逐隊達は来月の作戦海域に向けて頑張っていたぞと教えてやった…

 

「…はぁ?」

 

「はぁ?じゃないよこの子は、アレだよアレ、提督は頑張る彼女達に感動したのだよって話だ」

 

「へぇ…」

 

五月雨は大した興味もないらしく、クロスワードパズルになにやら書き込みしている、まったく、なんて冷たいヤツだ、白と青の寒色系コーデなだけあるのだよ…

 

「あ、そうそう、その第四駆逐隊の人達ですけど、来月有給の申請きてますよ、なんかジャペンオープンに参加するとかなんとか…」

 

「ふ〜ん、なんだそれ?ゴルフかなんかか?」

 

「ダンスですよ、たぶん」

 

「ふ〜ん」

 

……………ダンス?


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