【登場人物】
提督(吹き荒ぶ風)
好きな菓子パンはマンハッタン
明石(渇いた大地)
好きな菓子パンはバナナクリームサンド
「っしゃ!!オラァ!!」
「うぉー!!あの高さで届くのかよッ!」
「速攻ォー!もう1点取るぞォー!」
今日も元気にアツかりし夏の日、本日、当基地では地元の砂浜を使いアツかりしビーチバレー大会を開催していた…
世間的にはお堅いイメージを持つ海軍だが、当基地では地域と共存し、皆様に愛される海軍となるべく地域との癒着……じゃない、日々、地域の有力者達と円滑な関係を築いてきた中で、観光資源の少ない寂れた砂浜に若者を呼び込みたいと言う地域の声を聞き、今回、このビーチバレー大会開催に至ったワケだが……
「S席8000円、S席8000円、チケットあるよー」
「史上、最もアツかりしエンターテイメント!目の前でアバレるワガママボディ!こんな機会、滅多にないんだからねー」
チケットは飛ぶように売れ、そして、このアツかりし炎天下にドリンクも飛ぶように売れている、明石の野郎はここぞとばかりにビールサーバーを持ち出し、自らも背負って今も元気に売り歩いているらしい…
「で?今どーなってんだ?」
「ベスト4が決まったところですね」
俺は主催者テントで冷たいドリンクをクーラーボックスから取り出し、夏の陽射し対策に麦わら帽子を被っている五月雨に冷たいドリンクを1つ渡してやった…
「今残っているのは長門さん陸奥さん組、アイオワさんサラトガさん組、イントレピットさんガンビアさん組、白露姉さん熊野さん組ですね」
「ふむ…」
大戦艦級に恥じない安定の実力を持つナガムツコンビ、そして世界最大・最新・最強のステーツの実力とそのダイナマイトバディを武器に集まったお兄さんお父さん達をカチンコチンにするアイオワとサラトガ、そして同じくステーツから来たダイナマイツな刺客!スカイ・ママと呼ばれる華麗かつワガママな空中殺法でコートのネットとワガママボディ揺らすイントレピットとガンビアのニューフェイス、ノースアメリカンコーポレーション………まさにベスト4に相応しい好カードが出揃ったな
「白露姉さんと熊野さんもいますけどね」
「アイツらはどうでもいい」
まぁ、白露ねーちゃんは最近多少おっぱい大きくなったらしいがそれでもこの好カードには劣る、まぁ、たぶんこの準決勝で消えてくれるだろう…
「あと、そのベスト4なんですけど、今、現在進行中で問題発生中なんですけど」
「あ?」
五月雨に言われ、ビーチの方を見てみると、勝ち残ったベスト4ではない謎のコンビがコートに颯爽登場し、腕を組んでおっぱいを強調していた…
『フッフッフ…ビーチバレー大会と言うのならそれなりのラインナップを揃えないと』
『弱体チームの参加はご遠慮願おうじゃない?ねぇ?白露姉さんに熊野さん』
見るからに頭の悪そうな二人組に煽られ、誰が弱体チームですわー!と飛びかかった白露ねーちゃんと熊野のコンビは戦慄のツープラトン!肉便キングダムを喰らい、グワシャ!!とアツいビーチと言う名のコートに沈んだッ!!
『カーッカッカッカ!』
『貴様らに名誉などあったものかーッ!』
ベスト4!最後のチームは帰ってきた戦慄のビッチコンビ!!難攻不落のビッチ兵!鈴谷と、最強のDNAを継がせる準備はOKの恵体!村雨のビッチボンバーズッ!!
「なんか前に同じモノを見た気がするんだが…」
まぁ、たぶん気のせいだろう……たぶん
「いいんですか?アレ」
「観客席は大興奮だしいいだろ、たぶん」
◆◆◆
とりあえず、運営テントの方は五月雨のアホンダラに任せ、俺は会場の見回りと言う名の買い食いツアーに興じていると、今日も本当に金が好きなオーラをプンプン放つピンクのヤツが歩いていたので声をかけてみた
「よう、クソヤロー」
「誰がクソヤローですか」
お金大好きクソヤローこと明石はビール買いませんか?ビールと勧めてきたのでとりあえず丁重に断った
「クッ!提督すら買わないとは…!」
「だって高いじゃん」
「高くありません、一杯950円の良心価格です」
「高けぇよ、どんだけボッタくってんだ、オマエは」
明石曰く、とりあえず今日は水着とか着てるし、水着効果でバカどもを悩殺して100杯は売る気マンマン野心マンマンでいたらしいが、現在のところ明石の売った数は僅か2杯、これは、現代の貨幣価値に換算すると1900円に相当する……
「ちなみに、アルバイトの山風ちゃんは既に800杯近く売ってくれました」
「アイツすげぇなオイ」
「えぇ、山風ちゃんはちょっと歩くだけで飛ぶように売ってきます、えぇ、飛ぶように」
世の中、山風に対して甘すぎるんじゃないだろうか…
提督は心配になってくるのだよ
「あと、今回は山風ちゃんだけでなく今回新しく雇ったバイトの子もメチャメチャ売ってます」
「新しいバイトだぁ?」
「えぇ、最初はちょっとどうかな?って思ったんですけど、マジビビるぐらい売ってきますよ、正直、ビビりすぎて脱糞しそうですもん」
「女の子が脱糞とか言うんじゃないよ」
しかしこのバカが思わず脱糞しそうなほど売ってくるだと………?そんな逸材がウチに居たとでも言うのか?
そんな新たな事実について考えていると、明石サーンとか呼ぶ声と共に、ビールサーバー的なものを担いだ何者かがやって来た…
「もうなくなったー!」
「新しいのが、欲しいです」
ビールサーバーを担ぎ、やって来たのは海防艦の事案コンビ、佐渡クンと対馬の二人…
「あーはいはい、もうなくなったの?早いねぇ、じゃ、おねーさんのを使ってね」
明石のアホはよっこらセンチュリオンとか言いながら自分の担いでいたビールサーバー(残48杯)を佐渡クンに手渡し、佐渡クンはそれは対馬に押し付けた
「オイ明石、オマエこんなガキどもまで雇ってんのか?」
「えぇ、1杯30円のバックで」
鬼…っ!!正真正銘、本物の鬼…っ!!原価1杯辺り約200円!販売価格950円!利益750円から30円をバックとして支払って純利益720円を荒稼ぎ…っ!それも、何も知らない“
「オマエ、マジで最悪だな」
「ハッ?なんとでも言ってください、いいですか提督、金こそ全てです」
佐渡クンと対馬は今現在で300杯は売っているらしく、単純計算で約9000円のバイト代…
「金こそ全てです」
「二度言うな」
明石は佐渡クンと対馬に助かるわーおねーさん助かるわーとか言って後でアイス買ってあげるからねーとか言って二人頭を撫で、もっと頑張ってきてねーと二人を送り出した………マジで最悪だよコイツ
「まったく、笑いが止まらんですよ」
「ナニがまったく笑いが止まらんですよだ、二杯しか売れてないクズが」
「………なんででしょうね」ポロポロ…
俺の冷静で的確な指摘に、一応、ちょっと傷ついてるらしく、明石は自分の腹をむにーっと掴んでなんででしょうねーと涙を拭いた
「まぁいいです、例え私が売らなくとも私には最強の売り子である山風ちゃんが居ます、それに!山風ちゃんに匹敵する新しい人材が〜…」
とんでもないクズだよコイツぁ〜…と正直ドン引きしていたその時、ふと、か細い声が後ろから聞こえる気がしたので後ろを見てみると、なんか前髪の長い子が立っていた…
「あ……あの、あ…明石、さん、その……」
「ん?」
「ヒッ!?あ……ぁ、テイトク、その、こんにちは…」
…誰だっけコイツ?なんか見覚えはあるんだが……
「あ、浜波ちゃん、もしかしてもう売っちゃったの!?」
「え?あ、え…あ、はぃ、それで……新しいやつを」
「ちょっと待ってねー、おねーさんのを……って、私のもカラだよ!よし、補充しに行こ!補充!」
「あ、はい…」
あぁそうだ、浜波ちゃんだ、浜波ちゃん、そうそう、浜波ちゃんだったな、このメカクレガール……へぇ、このシャイガールがバイトするとは…
シャイガールすぎてあまり売れてなさげだが、頑張っている姿とその姿勢に提督は大いにエールを送りたいのだよ
「ちなみに浜波クンはどれくらい売ってるのかね?」
「え…?」
「浜波ちゃんはスゲーですよ、今日だけでもう700杯は売ってます」
「ハァ!?」
ま…マジか、こ……このメカクレシャイガールが?
「浜波ちゃんはなんかよくわからないけどメチャメチャ売ってくるんですよ」
「ふ〜ん」
…明石の奴はよくわかっていないようだが、たぶんアレだ、この浜波ちゃんの前髪に隠された真実の“美”が、その力の片鱗を見せているのだろう…
「浜波ちゃん前髪邪魔くない?おねーさん散髪しようか?」
「あ、いや…いえ、いいです…」
そしてさすがは明石、金以外には何の興味も持たない金の亡者故に、浜波ちゃんが持つ“超絶美少女のオーラ-
「…まぁいいわ、とりあえずバイト使うなとは言わんが、ほどほどにしとけよ、ほどほどに」
「はいはい、ほどほどに荒稼ぎしますよ、ほどほどに」
クズ…っ!!まっことクズ…っ!救えない……っ!!
俺は明石のクソヤローの股間を蹴り上げ、浜波ちゃんにガンバリたまえよとエールを送り、その場をクールに去った…
◆◆◆
「ただいま」
「ただいま、じゃないですよ、どこまで長糞しに行ってるんですか」
「女の子が長糞とか言うんじゃないよ、この子は」
運営テントに戻った俺は浦風の屋台で買った焼きそばを五月雨に渡し、ついでに、コマさんの屋台で買ったアイス的なものを与えた…
「で?どーなったんだ?バレーは」
「ナガムツコンビが優勝しましたよ」
「ふ〜ん」
ちなみに、はぐれビッチコンビはアイオワの殺人サーブで二人ともビーチにメリ込んだそうだ