【登場人物】
提督(フラグ準備中)
女子供に容赦しない鉄拳の持ち主、男にはもっと容赦しない
Samuel B.Roberts(自由)
アメリカ、スーパーポリスアカデミーからの刺客
クジラ的なものはたぶん銀●万丈的な声で喋る、たぶん
「………はぁ?マジですか?」
執務室で鼻をほじりつつ大将殿からの電話に懇切丁寧に受け答えをしつつ頼れる秘書艦様にコーヒーを一杯貰えるかね?と催促するべく指をパッチンした…
「OKネ!」
…………ん?
『まぁ、特にオマエと天海元中佐には強い恨みを持っているからなァ、カッカッカ!』
「カッカッカ!じゃねーよ、何一つ笑えねーよ」
…そう言えば、今日は五月雨のヤツは休暇を取っているハズだが……?では、今、そこでコーヒーを淹れているのは誰だ?
青…?いや、違う、青と言うよりもっと薄い青、そう、まるで真夏のスカイブルーの爽やかさすら感じる空色、この子はたしかネオアメリカ!スーパーポリスアカデミーから来たスーパールーキー、名前はたしか…
「OK……OK……サムはデキる子、サムはデキる子……アツいCoffeeクライNo problem……No proble…」プルプル…
「!」
めっちゃブルブルしてるッッッ!!アツいコーヒーを載せたトレイをめっちゃブルブルさせたサミダ……じゃない、サミなんとかクンは全神経を集中させてブルブルさせながらこっちにコーヒーを運ぼうとしてい……
「あっ!ああっ!!」
期待を裏切らない子らしいサミなんとかクンはワイルドに前のめりなコケっぷりで転倒ッッッ!そしてトレイに載せていたアツいコーヒーはカップごと飛び、未だ通話中の俺の方へ………えっ…?浴びせる…?ぶつける?パスッッッ?えっ?
「って!!アツイィィィィィ!!」
『なんだッ?どうしたァ?オイ!』
「…な、なんでもねぇです、ただ…ちょっとアツいのぶっかけられただけで…」
『なんだ、つまらん』
つまらんじゃねーよ、このクソオヤジが…
『まぁいい、とりあえず用件は以上だ、あぁ…あと、今度の合同演習には五月雨ちゃんも連れて来い、大将サミちゃんに喜んで貰いたくて高い焼き肉奢ってや…』
「うるせぇよ」
田舎のお祖父ちゃんか…ッ!孫可愛いがりか!ったく…
俺は受話器を電話器に叩きつけて通話を終了し、まずは大きくため息を吐き、それから努めてクールに目の前でスイマセンスイマセンと頭を下げ続けるリトルガールに過ちを気に病む事はないと右手を挙げて応えた…
「Sorry!Sorry Admiral!アツかったでしょ?」
「気にする事はないよ、え~……サミ、サミ……」
「Samuel B.Roberts!サムでいいよー!」
「あー…そうそう、サムくん、サムくんだったな、ハッハッハ、サムくん」
そうそうサムくんだ、スーパーポリスアカデミーから来たボインじゃないアメリ艦、しかし今はボインでないにせよ、この子はいつの日か必ず生唾ゴックンのビシバシボディになるだろうと提督は予感しているのだよ
「Admiral、服ヨゴレたから脱いで脱いで!」
「ん?あぁ、そうだな」
コーヒーのガンコな染みを放置するのは良くないな、うん
「ハヤクハヤク!hurry!hurry!hurry!hurry!hurry!」
「ちょ…!ちょっと待とうな!ちょっと落ち着こうなァ!?サムくん!」
サムくんは俺の上着をブンどり、ついでに、ズボンのベルトをカチャカチャと引っ張りジッパーを下ろそうと必死になっている…っ!
「そ……sorry、チョ…ちょっとコーフンしちゃって…」
「う…うむ」
なんともそそっかしい子だな、とりあえず、提督のズボンは大丈夫、No problemなのだよと伝え、上着だけをサムくんに渡してあげた
「OK!サムがセンタクするネ!」
「いや、そうしてくれると助か……」
「クンカクンカ…スーハースーハー……!」
ちょ!ナニやってんの!?この子ォォォォォ!!本人!本人目の前でとんでもないコトしてるよッ!ドン引きだよ…!心が広くハンサムな事に定評のある提督だってドン引きだよ!
「ちょ!サムくん!サムくん!ナニやってんの!?」
「…え?あ、コレはアイオワティーチャーが教えてくれたネ、こーするとAdmiralがburger奢ってくれるって」
ナニ教えてんだあのパッキンボインは…
「そんなモンしなくともバーガーぐらい奢ってやるのだよ」
「ホント!?」
「勿論だ」
サムくんはキャッキャとハシャぎながら俺の上着をブンブン振り回して全身で喜びを表現している、なるほど……これはアレだな、たぶんこの子はアレだ、うん、アレなんだろう、うんうん
そんなサムくんの夏の宿題の進捗状況が心配になるところだが、まぁワカらないところはアイオワのバカに教え………いや、バカだった、あの女じゃダメだ、ならサラト………いや、サラトガも結構抜けてるって噂を聞いた事がある、やはりMAJORはだいたい大雑把なのだろうか…
「……ん?」
そんなワリとどうでもいい事を考えていると、サムくん………ではなく、サムくんの肩掛け鞄と目が合った、いや、正確には肩掛け鞄の中に入っている奇妙な生物となんだが…
「…サムくん」
「ナニ?Admiral」
「その……そいつ、それ」
「ソレ…?」
俺はサムくんの肩掛け鞄を指差してみると、サムくんは察してくれたらしく、そいつを鞄から取り出した
「この子はJason!唯一のトモダチ!」
「Jasonか…」
…っーか、唯一のトモダチとかこの子サラリととんでもないコト言いやがったよ
「しかしジェイソンとはまたエラくゴツい名前だな…」
俺は妙に男らしい顔つきをしている鯨的なナニか、ジェイソンを触ってみようと手を伸ばしてみると…
「No!Jasonは他人には決して懐かないネ!!」
「…え?噛むの?コイツ」
「噛むよ、前にガンビーが噛まれてベイベイ叫びながら緊急手術受けたネ」
…そうか、噛むのかコイツ、う~む…実はコイツ鯨的な生物じゃなくて宝貝的なナニかなんじゃないのか?
「………まぁいい、ときにサムくん」
「ナニ?」
「今更だが、君は提督に何か用があって来たのかね?」
そうだ、よく考えると今日は五月雨が居ないので執務室でノビノビとエロ本でも読もうと思っていたのだが、五月雨ではなくサミュエルくんがコーヒーを淹れてくれた不思議………いや、まぁ、正確には淹れた物を飲んでないが
「モチロン!今日はサムがヒショ・カンしてイイデスヨーってヒショの人に言われて来たネ!」
「…はぁ?」
サムくん曰わく、ベンチで紙パックのジュースを飲んでいたら、今から街にお買い物に行くところだと言うヒショの人から暇だったらヒショ・カンしてていいですよと言われてやって来たらしい…
あの野郎、俺が真面目に仕事しないか何も知らぬ刺客を放って来たか…ッ!
「アト!ヒショの人からAdmiralが指パッチンしたらCoffeeの合図って聞いたよ!」
「ふ~ん」
アイツ、テキトーなコト言いやがって…そんなルール、いつ俺が採用したのだよ
「二回鳴らしたら二杯!」
「いや、それは多分違うんじゃないかなぁ…」
結局、その日はサムくんに秘書艦業をやって貰ったのだが、まぁ……なんだろうな、この子はよくコケる子だと言うコトはよくワカった、そして………スカートの下はまさしく自由の国だと言うコトに戦慄した
まさに