【登場人物】
提督(糖)
まるでSFを信じる柔軟性と中二病を患う大人、しかし、本当に患…
アヤセ(仮)
未来から来た謎の未来戦士、偽名
100%厄介事の火種であろう所属不明で正体不明で謎の艦娘?は遣いに出した五月雨の呼びかけに意外にも素直に応じ、とりあえずお茶でも飲んで話をと言うワケで当基地へとやって来たワケだが…
「コーヒーをどうぞ」
「ありがとうございます、いただきます………うっ!」
お客様用の席に座り、五月雨のコーヒーに口を付けた謎子さんはとりあえず顔をしかめ、マジかよコレと言いたげな表情でこちらに視線を向けてきたので俺は努めてCOOLで紳士的な対応をとるコトにした
「いただきますと言ったからには飲んで貰おうか、それともマズいから飲むのはイヤか?」
「クッ…!」
「誰のコーヒーがマズいですか、失礼な」
五月雨のヤツは誰のコーヒーがマズいんですか?と言いつつ棚からお茶菓子を出して皿にブッこんで謎子さんのテーブルに置く、ちなみに、謎子さんは苦笑いしつつもそれ以上カップに手をつけるコトはなかった…
「で?君は何者なのかね?軍の新型か何かか?」
「……違う」
え?違うのか……オイオイオイ、俺はまたてっきり俺の知らない新型的なナニかかと思っていたのだが
謎子さんは五月雨の方をチラリと見て、再び俺の方に視線を向けた
「その………あまり人に聞かれたい話じゃないから、できれば人払いをお願いしたいんだけど…」
「なに?」
なるほど、これは100パー面倒事系の厄介事だ、関わり合いになると絶対ロクな目に合わない感じのアレだろう、この謎子さん、俺は一目でただの厄介オブ厄介だと気付いたね!
「…ここには3人しか居ないが?」
「…この、青い人……えっと、その五月雨さんが居るのはちょっと…」
「フッ、そこの青髪ロング子は私自身も同様だ、卿はそんな事も知らんのか?」
謎子さんはナニ言ってんだコイツ、マジ面倒くせぇみたいな顔をしているが、なんとも失礼なヤツなのだよ…
「まぁいい、あえて聞かせたくない話があると言うコトだな、だが、後で私が話せば同じコトだぞ?」
「それは……まぁ、ご自由にどーぞ」
ふむ、まぁ、アーにはアーに向いた話を、ベーにはベーに相応しい任務と言うものもある、五月雨はとりあえず空気読んだらしく、じゃ、私はマミーヤ行ってアマイモンでも食べて来ますと言って退室してしまった…
あの野郎、隣室でブラスター持って待機しますぐらい言えんのか…
ーーー
「では、改めて話を聞こうか、Ms.」
「Ms.って何よMs.って…」
「私は君の好きな音楽のジャンルどころか名前すら知らんからな」
「あ、そーか………えっと、えー……これ言っていいのかな?いや、やっぱマズいかな…名前は」
「ナニぶつぶつ言っとんのかね?」
「え?あ、あぁ……えーっと、あ!アヤセ!アヤセって呼んで、うん、それで行こう!」
ナニ言ってんだコイツ、どんだけ胡散臭いんだよ、まぁいい……とりあえずMs.改めアヤセ(仮)は名前も名乗ったところで本題なんだけどと前置きを置き、あまりにも衝撃的な話を始めた…
まず、自分はこの時代の艦娘ではなく未来からやって来た未来艦娘であり、今から約20年後、深海棲艦の脅威は無くなったが深海棲艦を超える新たなる人類の脅威、人造艦娘が出現し、未来の世界は絶望の世界になる…
人造艦娘に立ち向かうべく、大和さんや武蔵を含む絶斗戦士達が何人も戦いを挑んだが全て返り討ちに遭い、戦える戦士はみんな人造艦娘に殺されてしまい、今、未来世界で戦える戦士はこのアヤセ(仮)だけになってしまい、アヤセ(仮)は未来から過去を変える為、タイムマシンに乗ってこの時代にやって来たらしい…
「…ハハッ、まるでSFだな」
「でも事実よ」
実に荒唐無稽な話だが、この女、アヤセ(仮)が嘘を言っているようには見えない、とりあえず俺はアヤセ(仮)が嘘を言っているのか確認すべく頬をベロリと…
ビタンッ!!(ビンタ)
「アイタァァ!!」
「ナニすんのよこのクソ野郎!!」
なるほど、手首のスナップといい、腰の入り方といい、健康的なイイビンタだ!こんなスゴくイイビンタが出せる者が嘘を吐くとは思えないな
「フッ、信じよう、君が嘘を言っていないと言うコトを」
「…信じてくれたのは助かるよ、でも、私にそれ以上近付かないで」
「しかしアヤセ(仮)くん、君が未来から来たのは信じるが……何故ここに来たのかね?」
五月雨の話では、近海で暴れていたのも単に道に迷った成り行きだったらしく、そもそも、この基地に、いや、俺に会いに来たらしいのだが…
「………母さんがアンタならなんとかしてくれるって」
「はぁ?」
「母さんが、過去に行ってアンタに頼めばきっとなんとかしてくれるって言ったのよ!」
「ほぉ…お母さんが、ちなみにアレかね?その、タイムマシンを作ったのもお母さんとか…?」
「そうよ、母さん………夕張母さんは天才だもの、ある意味の」
「………は?」
コイツ、今なんて言った?夕張…?母さん……?夕張……夕張ってアレだよな、昨日、ツナギ着て棒アイスしゃぶりながらペルチェ素子で簡易クーラー修理してた…
え?ナニ?コイツ、夕張の娘なの!?嘘だろ!
「いや…しかし」
「なによ?」
夕張の娘と言われると、たしかに……どことなく似ている気がするな、期待性も将来性もなさげな胸板に、五月雨もイラつく細い腰と妙に丈が合ってないせいでヘソチラするファッション……ただ、夕張のアホ面と違い、その顔には凶暴性と同時に溢れる知性を感じる、おそらくは過酷な未来世界で育ったからだろう…
「そうか、夕張が…」
「夕張母さんは艦娘として戦う力を失い、人造艦娘との戦いには参加出来なかった事をいつも悔やんでいた、でも、夕張母さんは未来を救う為にタイムマシンの研究をしていたのよ…」
「なるほど……するとナニか?君は夕張から艦娘の戦い方も教わっていたのか?」
「違う…」
アヤセ(仮)は苦々しいと言いたげに顔を伏せ、ポケットから一枚の写真を取り出した…
「…この人が私に戦い方を教えてくれたのよ」
写真に写っているのは、まだ少女と言える幼さを残したこのアヤセ(仮)と、精悍な顔ツキと抜群のプロポーション、そして一目で一流の戦士とわかる見覚えのない大人の女……
「誰だコレ?」
「………清霜さん、偉大な戦士よ」
「えええぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!き、清霜ォォォォォ!!?」
オイイィィィィィィ!!清霜、清霜ってアレだろ?アレ!あのアホで有名なあのキヨシだろォォォォォ!!ちょ、待てよ!キヨシ、昨日なんかリベッチオとカブト虫バトルするんだー!とか言った虫取り網振り回しながら廊下走ってるのを香取先生に見つかりオシリペンペンタイム突入して半泣きで反省文書かされてたアイツだろォォォォォ!!
え?キヨシ…?いやいやいや、ない!それはない、だってほら!この写真に写ってる人、完全に数多の地獄を見てきた感ある強キャラ感溢れる戦士だぞ!!
アヤセ(仮)くん曰く、大戦士清霜さんは怒りと悲しみの中で力に覚醒した伝説の戦士、戦艦を超えた駆逐艦、
「…清霜さんは多くの仲間を失い、何度となく人造艦娘から人々を守ってきた偉大な戦士よ、でも、そんな清霜さんは最後に私なんかを守る為に…ッ!!」
一体、未来の清霜に何があったのかはよくわからんが、とりあえず、このアヤセ(仮)が今の清霜に会ったらどんな悲しい顔をするか……偉大な戦士清霜さんがアホなんて知ったら立ち直れないんじゃないだろうか
「そうか…」
「私は未来を救う為、託された想いを決して無駄にはできない……」
だから協力して欲しい!未来を救う為に!アヤセ(仮)は人造艦娘を作り出した狂気のマァァァドサィィエンティストォォォ!ドクター・モロを見つけ出し、この時代でそいつをブチのめす!そして、可能であれば人造艦娘の弱点的なものを知りたい!そう続けた…
「なるほどな…だから協力して欲しいと」
「そうよ」
「まぁ、話はわかったが………ちょっと気になるコトがあるんだが」
「なに?答えられるコトなら答えるよ」
「いや、未来の夕張が過去の俺に頼れって言って送り込んで来たのはわかったが………未来の俺は?」
まぁ、未来の夕張が過去の俺に頼れってコトは、その……なんだ?やっぱ俺はアレなんだろうな、一応、予想はついているが
「死んだよ」
「そうか…」
「私はよく知らないんだけどね、夕張母さんから聞いただけだし」
グゥゥゥム、そうか…幸か不幸か、絶望の未来に俺は居ないのか、やはりアレだろうか?心臓病的なアレでポックリと…?ある意味、絶望に打ちひしがれている俺に、アヤセ(仮)はポケットからなにやらカプセル状のクスリを取り出した
「…コレ、夕張母さんから預かったのよ、提督にって…」
「これは?」
まさか、心臓病の特効薬かッ!でかした!未来夕張!
「糖尿病の特効薬よ、提督の死因は“糖”だし…」
って!!糖尿病かよォォォォォ!!なんなの未来の俺ェェェェェェ!!!
次回は③
オッス!オラ提督!ひゃー!未来がそんなコトになってるとは、オラおでれーたぞ!それに、大和や武蔵でも勝てねぇ人造艦娘を作ったドクター・モロをブッ倒さねぇと未来はメチャメチャになっちまう!
次回、悪魔の野望を撃ち砕け!集結!100億パワーの戦士達!
ゼッテー見てくれよな!