不健全鎮守府   作:犬魚

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なんやかんやでダラっと500回、500回目もダラっと平常運転

【登場人物】

提督(ヘタレオブヘタレ)
甲勲章は一つも持たないヘタレ

五月雨(秘書艦)
めんどうくさがり屋、一応付き合ってくれる

浜風ちゃん(出番なし)
真面目な良い子


提督と底なしの奈落

「さて、なんやかんやでハンサムな提督が有能かつ芸術的に部下達と共に勝利に導く一大叙情詩、ハンサムーン戦記も500回目を迎えたワケだが…」

 

暑いのか寒いのかよくわからない季節の変わり目に突入したであろう初秋の執務室、俺は自分のデスクでなるたけ重厚感溢れる感じに机に両膝をつき、秘書艦席に座る青髪ロング子に、卿はどう思うかね?と問う…

 

「はぁ…?そうですね、500回ですか……メタいコト言いますね」

 

こやつめ、実に冷静で的確なツッコミを……だが、全て許そう、何故なら私達は“完璧”なのだから

 

「さて、では…節目と言うコトで今回も浜風ちゃんをレ●プしたいと思う」

 

「そんな毎回レ●プしてるみたいなコト言って…」

 

「やはり私としてはクロロフォルムを用いて意識を狩りとり、薄暗い部屋に連れ込んだ後に四肢をベッドに縛るのが良いと思うのだが……卿はどう思う?」

 

「いや、毎回毎回同じコト言ってますけど、そもそもレ●プどころか未遂にすら持ち込めないヘタレオブヘタレな現実に対して目を向けるべきでは?」

 

「なん……だと?」

 

こ、こやつめ…!実に冷静かつ的確に痛いところを突いてきおるわ!たしかに……俺は未だに浜風ちゃんが好きな音楽のジャンルすら知らないし、楽しくお喋りしたコトすらない仲ッ!目を合わせただけでなんか気恥ずかしくなり目を逸らしてしまい、逸らした先の浜風っぱいをガン見してしまうぐらいだ…

 

「なるほど……ククク、そうか、なるほどなるほど、卿の意見は正しい」

 

「はぁ?」

 

たしかに、俺は今まで浜風ちゃんをレ●プしたいと言う欲望が先行し過ぎて大事なコトを失念していたらしい

 

レ●プとは則ち戦いであり、ヤるか、ヤられるか、レ●プをする者はモチロン自分がヤられる覚悟が必要なのだ、つまりは膣●射精していいのは腸●射精される覚悟があるヤツだけだ!

 

「つまりサミダリューン、卿の意見はこうだな?格闘技とセ●クスは似ていると…」

 

「…はぁ?」

 

五月雨はナニ言ってんだコイツ?イカレているのか?みたいな顔をしているが……なるほど、さすがは我が頼れる秘書艦、10のレ●プを極めしレ●プマスターと呼ばれしまさしく真の勇者よ

 

「…まぁいい、たしかに今までの俺は些か後ろ向きであり、積極性に欠けていたのは認めよう」

 

「積極性はそれなりでしたよ?それなりに」

 

「だが!今回は違う、俺はヤると言ったら必ずヤる!」

 

「…はぁ?」

 

そう…“犯す!”じゃない!“犯した!”なら使っていい!“ブチ犯す!”と頭の中に思い浮かべた時には、既に“行動”は終わっているのだ!

 

「よし、では行くぞ…付いて参れ」

 

「え?ノープランですか?」

 

「ノープランじゃない、俺には既に視えているのだよ、未来が」

 

そう、見果てぬ先まで続く俺達の戦いのロードがなッ!!

 

◆◆◆

 

「本日のオススメはブルーベリー・カオス・MAX・パフェです」

 

「チー……いや、そこのティラ・ミスでも貰おうか、あとコーヒー」

 

「私も同じもので」

 

「本日のオススメはブルーベリー・カオス・MAX・パフェです」

 

甘い物も辛い物も販売する、常にゴキゲンな価格設定で販売するスイーツショップ・マミー屋、スイーツではなくスウィーツと呼ばないとイチイチ文句タレる心は狭いがケツはデカい間宮の営むこの店で、俺達は浜風ちゃんをイイ感じにアレするべく綿密なプランを立てる為、ま、お茶でも飲みながらハナシでもしよーやとやって来たワケだが…

 

「3550円です」

 

「高けぇよ、なんで恥ずかしげもなくそんなクソ高い価格で勝負できるんだよオマエは」

 

「高くありません、適正な価格設定です」

 

相変わらずタチ悪いなコイツ……だが、超強気の価格設定なだけあって味は確かだ、正直言って吐きそうになるほど美味い、一口で身体中のグ●メ細胞が歓喜の声をあげるのがわかる

 

「早く払ってください」

 

「うるせーな、オラ!釣りと領収書よこせ、手書きの」

 

「ウチ、手書きの領収書やってないんですよ」

 

「ウソつけ、いいから早くしろよデブ」

 

「あ゛?」ピキッ!パキッ!

 

---

 

正直、あの時は死んだと思いましたね、嗚呼…これは命を諦めるしかないな、と…

 

「さて、では浜風ちゃんを麺棒でフ●ックする画期的なプランについてだが…」

 

間宮から麺棒で強烈な打撃を浴び、右の奥歯がバイバイキンしたせいか、ティラミスとコーヒーがイチイチ傷に染みる苦痛を味わいつつ、俺は五月雨に卿の意見を聞こうと問いかけた

 

「そうですね……甘い物でも差し入れて油断したところにブスリとかどうですかね?」

 

「…て……天才か?」

 

オイオイオイ、ティラミス食べながらとんでもないコト言うよこの子は、準備も無しにいきなりブスリとはこいつはとんでもない鬼畜レ●パーなのだよ…

 

「まったく、恐ろしいヤツだなオマエは、なぁオイ?」

 

「そうですかね?」

 

「まったく、オマエとならどんな困難にも立ち向かえる気がするな」

 

「いいコト言ってるようで、困難=レ●プってところが残念でなりませんね…」

 

う〜む、このティラミス食ってるガールとは思えない殺人ストレート……だが、全て許す、何故なら私は理解ある提督なのだから

 

「よし、では早速甘い物を入手するか…」

 

幸いにもここは甘い物も辛い物も売っている店、マミー屋、ミル●ークからノンシュガーの角砂糖まで取り扱っているハズだ、しかし…

 

「…浜風ちゃんって、生クリームとか大丈夫なのかな?」

 

「さぁ?」

 

「いや、差し入れすんだし、出来れば好きな物がいいじゃん?生クリーム系とかチョコ系とか、もしかしたらアンコとか好きかもしれないじゃん?」

 

「はぁ…?」

 

五月雨はナニ言ってんだコイツ?みたいな顔をしつつコーヒーにカップミルクをドボドボと入れ、ブラック派の俺が使用しなかったカップミルクを手にとり、それもドボドボと入れる…

 

「別に差し入れはただの口実ですし、なんでもいいんじゃないですか?」

 

「バカオマエ!!例え口実だとしてもアレだ……ここでテキトーな物を買って行ったとしよう、おそらく浜風ちゃんは優しい子だ、きっと顔は笑って口ではありがとうございますとキチンとお礼を言ってくれるだろう…」

 

「はぁ?」

 

「しかし……内心では、このおっさんテキトーなモン買ってきやがったよ、ま、どーせスウィーツをスイーツとか言ってるんだろーし、ウケるー……と思うに違いない」

 

「だいたい事実じゃないですか、ってか、提督の考える浜風さん結構チャラいですね」

 

「浜風ちゃんはチャラくない!」

 

「はぁ?」

 

そう、浜風ちゃんは断じてチャラくない、朝はよく廊下の窓とか拭いてるし、磯風のバカが練成陣無しで練成した危険物もキチンと処分してるし、あ、そういや今度、危険物と毒劇物の資格取りたいとか言ってたと浦風から聞いたな…

 

「よし、では甘い物を仕入れる、卿の意見を聞こうか!」

 

「もうめんどくさいし、ショーケースに並べてあるやつ右から左まで1個づつとか言ったらいいじゃないですか?」

 

「……やはり天才か?」

 

◆◆◆

 

マミー屋で甘い物を仕入れ(総額11880円税抜)俺たちは寮の廊下で窓拭き掃除をしている浜風ちゃんを発見したのだが……

 

「浦風さんもいますね」

 

「邪魔だな」

 

「どうするんですか?」

 

「………消すか」

 

正直、浦風はどうでもいい、今、浜風ちゃんと仲良く世間話的なお喋りをしながら窓拭き掃除をしている浦風には殺意すら覚える

 

「五月雨、とりあえずアイツ消してこい、手段は問わん」

 

「普通にイヤですよ、めんどくさいし、この際、浦風さんもまとめてどうですか?」

 

可愛い顔してなんてコト言うのかねこの子は…

 

「ダメだ、何故なら俺はプロなのでターゲット以外を巻き込むなどプロでないコトはできない」

 

「何がプロですか」

 

「サミダリューン、何かないか?」

 

「そうですね………とりあえず気さくに挨拶する感じで近付いて浦風さんのボディに悶絶ボディ入れて、驚いた浜風さんにそのままブスリとかいいんじゃないですか?」

 

「オマエすげーな、よくそんなとんでもない鬼畜コンボがスラスラ思いつくな」

 

「そうですかね」

 

まったく、この俺ですらブルっちまう程の鬼畜だよ、コイツは…

 

「よし、では行くか…」

 

「はい、これ、スウィーツ入った箱です」

 

「…そんなお弁当忘れてますよ的に渡されてもな、まったく、オマエは俺のオカーサンかっーの」

 

五月雨からスウィーツ箱を受け取り、俺は窓拭き掃除に従事する浜風ちゃんと浦風へと近づく、射程まで約15メートル……まずはイッパツ、そう、イッパ…

 

「あ痛っ!」

 

足がもつれてコケた

 

「ナニやってるんですか?」

 

「バカ、ちょっとキンチョーしたんだよ、キンチョー……って、あ痛っ!」

 

立ち上がろうとして、またコケた俺は浜風ちゃんの居る先の廊下にとんでもないモノを見てしまった

 

「オイオイオイ…」

 

谷…っ!!絶壁…っ!!あり得ない…ッ!!何故寮の廊下がいきなり奈落の谷が…!いや……これはアレだ、そう、アレだ

 

「とんだところで……“護身”完成ってか」

 

「はぁ?」

 

危うきに近寄れず、つまりは浜風ちゃんはそれだけ危うき存在と言うワケだ…

 

「五月雨」

 

「なんですか?」

 

「肩を貸してくれ、どうやら俺は一人では行けないらしい」

 

「え?普通にイヤですけど」


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