【登場人物】
提督(敗北者)
永遠に甲になれない哀れな敗北者じゃあ!
Jervis(メガアンラッキー)
グイグイくるタイプのロイヤル禁断の豪速
佐渡さま(ノーリスペクト)
涼月が栽培していたピーマンを食べつくし、秋月姉妹に深刻なピーマン不足をもたらし害獣認定された
「えー…約半年ぶりとなる作戦海域、今回も皆さんの頑張りもあり、無事に完了する事ができました……と、まぁ、クソの役にも立たない前置きはいいとして、ここから先はお給料の時間です、サミー、アレを」
手押し台車に載り、運ばれてきた毎度お馴染みジュラルミンケース…
その中身は当然ながら現金…っ!キャッシュ…っ!マネー…っ!唸りをあげる欲望の化身…っ!!金ッ!!当基地ではみんなの頑張りをわかりやすいカタチにし、現ナマ手渡しで支給している…
頑張りとは何か?最高のチームワークとは何か?かつて鹿島先生に問いかけた事があるが、当時の鹿島先生はその答えを答える事ができなかったが、おそらく、今の鹿島先生なら大正解の答えを答えるコトができるだろう…
「はい、じゃ〜…今回のMVPチケット獲得第1位は〜…朝潮型の皆さんでーす、はい拍手〜」
「よっしゃあ!!」
「やったッッッ!1位よ!1位…ッ!」
「もしもしママ?私1番になったよ!お給料いっぱいでたから!うん!うん!大丈夫だって!」
今回のMVPチケットランキングはなかなかの混戦になったが、やはり今回、最も凶悪かつ衝撃のダメージ量を叩き出し続けた朝潮姉妹の成果は大きい、あの、タフなコトに定評のあった集積なんちゃらを目が合っただけで股間に金的カマすのはなかなかデキるコトじゃない…
俺は壇上に上がった朝潮姉妹、その、代表として前に出た長女朝潮にCongratulationsと声をかけてアツいシェイクハンドをし、ギッシリと欲望の詰まったブ厚い茶封筒を手渡した
「はいみんな拍手ぅ〜…」
パチ……パチ…(拍手)
「さて次、ドンドン行くぞぉ~ドンドン、次、MVPチケットランキング第二位のお友達は~………英国から来たスーパールーキー、ラッキー・ジャーヴィスく~ん、はいみんな拍手ぅ~」
「Battle honor? Lucky! I'm glad I have been able to help! Doing?」
うん、早口過ぎてナニ言ってるかはよくわからないが、とにかく嬉しそうに飛び跳ねているジャーヴィーくんは赤い髪の女騎士にさぁ!行って来い!と背中を押され、俺の居る壇上までかけ上がり、勢い良く俺の腹に向けてロイヤルダイヴを敢行してきた
「グヘァ!!」
「Darling!ワタシやったネー!やったネー!コレはモーケッコン待ったなしでいいでショー?ね?ネ?そーしまショー!それがいい!それが一番ネ!」
「ま……まぁ、ジャーヴィーくん、うん、ちょっと離れたまえ、うん、近い、顔が近い」
本来なら、提督様にダイヴを敢行してくるようなクソガキには必殺の合気で顔面掴んでグルングルン回転させて床に叩きつけてドロドロにしてやりたいところだが、今はマズい、今、この場には陛下もおられるのだ、陛下のお気に入りであろうこのクソガキに合気を炸裂させようものなら、陛下大激怒→第三次世界大戦勃発になるであろう事はもはや常識…
故に、俺はグイグイくるジャーヴィーくんを優しくひっぺがし、皆が見てる前でいきなり飛び込むのは良くないなと当たり障りなく注意した…
「エー!別にいいじゃナーイ?」
ジャーヴィーくんはケラケラ笑いながらDarlingはホント、ケン・キョーネーとワケわからんコト言っているが…
あと、壇下から、死ねー!だのブッ殺すぞクソガキャ!などアツい声援がそれなりに飛んできており、チラっと見えた緑のトゲトゲしい頭が海風ねーちゃんと白露ねーちゃんの二人がかりで押さえつけられて注射のようなものを打たれて外に引きずられて行く姿が見えたが……たぶんインフルエンザの予防接種かなんかだろう
「とりあえず、ほら、お給料だ、ほら、これ持って降りなさい、な?」
「うぉ!!ブ厚…!エ…?コレ、Jervis貰っていいノ?」
「いかにも、キミのモノだ」
「アリガ・トー!!Darling!」
ジャーヴィーくんは嬉しさのあまりか、再び俺にロイヤルダイヴで飛び付いてきたが今度は回し受けでキチンと迎撃し、丁重にお帰り願った…
ーーー
「えー…最下位、浜波クン」
「………500円」
無事にお給料の時間も終わり、最後の浜波クンがガックリと肩を落として壇上をトボトボと降り、降りた先で沖波クンや藤波クンに肩をバシバシ叩かれている姿を見て、彼女の持つ無限の可能性を改めて確信した…
「えー…じゃ、今回も無事に作戦終了ってコトで、皆の労を労うべくささやかだが酒と料理を用意した、皆、存分に飲み食いしたまえ」
いつものように、体育館に運ばれてきた料理と酒…
福利厚生を充実し、働きやすい職場である事を皆にアピールすることを忘れないコトもこの基地の絶対支配者である提督の仕事でもある
「ヒャッハー!水だぁー!」
「なんだこのチーズ!味が薄いっーか、普通にチーズっーか」
「馬鹿野郎、そいつぁトマトと一緒に食べ………って!ンマァァァァァァァ!!なんだコレェ!!」
クズどもはキャッキャとハシャぎながら酒や料理を目につく先からDAITANにブッこんでいき、宴の開始から僅か15分ほどで肩がぶつかっただのぶつかってねぇーよだの、いつもの殴り合いが始まった…
「さて……」
俺も何か食うかと考え、早速長テーブルのエリアへと行き、めぼしい食材を物色する…今日はアレだな、そう、なんて言うか肉の気分だ、うん、肉、悪くないな
「あ、対馬!なんだそれ!なんだよそれ!スゲー美味そうだなー!佐渡さまにもくれよー!」
「あっちにあるから自分で取ってきたらいいと思う……けど、まだ、いっぱいあったし…」
食材を物色していると、新世代の悪の申し子と名高い生粋のS、自称も他称も佐渡さまと、常に瞳孔が開いてる妹の対馬クンがいた…
「バッキャロー!佐渡さまはお前が持ってるやつが欲しいんだよ!」
「え、えぇ…?」
お前の大切なものを奪う喜びをくれないか?佐渡さまはすぐ手に入る串になど興味はない、他人の物を奪うと言うスパイスがより一層、味を引き立てるのだ……さすがは海防艦佐渡、まさしく邪悪の新世代よ…
「……じゃあ、はい、あげる」
対馬クンは言ってもムダだと既に悟っているのか、佐渡さまに持っていた串を手渡し、佐渡さまはヒャー!ウンメー!とか言いながらワイルドにかぶりついた
「ング…んぐっ!ブハァ!そーだ、貰ってばっかじゃ悪いし、対馬!佐渡さまのも分けてやるよ!」
「え!?」
「有り難く食えよー!」
そう言いつつ、佐渡さまは皿に載せていた山盛りのピーマンを対馬クンの皿にヒョイヒョイ載せ、箸でつまんで対馬クンの口にグイグイ押しつける!
「ちょ!やめて…!佐渡さま、やめて!」
「バッキャロー!!ピーマンは身体にイイんだぞ!フザケンナんよ!オラッ!口開けろ!オラッ!口閉じんなコラァ!」
「い、いらない…!そんなにいらな…んぐっ!!」
「よく噛めよ!オラッ!口の中でちゃんと味わってからゴックンしろよ!できなかったら対馬のオレンジジュースにウーロン茶とかメロンソーダとか混ぜるからな!」
「うぅ…ぅぅぅ」ポロポロ…
…さすがは新世代の悪のスーパーエリート、海防艦佐渡、フッ、これからの成長が楽しみで仕方ないな…
◆◆◆
それなりにテキトーに飲み食いし、タバコでも吸うかと体育館の外に出てそこらに座っていると、いつものしょーもない一口スイーツを片手に、寒色系駆逐艦がぬらりと現れた…
「お疲れ様です」
「おう、お前もな」
「まぁ、私は今回も出てないですけど…」
そう言って五月雨はケーキを口に放り込み、これは甘いですねとか言って頷いているが………たしかに、コイツ、いつから前線に出なくなったか?
「明日は新人さんの面接あるのでビッとした制服でお願いしますよ」
「バカ言うんじゃないよこの子は、それはナニか?いつもはビッとしてないっーのか?」
「してないですね」
「カッカッカ!こやつめ!言いおるわい!カッカッカ!」
五月雨曰く、クリーニングしたのがロッカーに入ってるからそいつを着なさいとのコトだ、まったく、相変わらず痒いところに手が届くのがムカつくわい
「しかし新人か……今度は何人だ?3人か?7人か?」
「5人です」
「5人か…」
また微妙な数だなオイ、まぁ、ウチに配属されるぐらいだ、さぞかし有望なんだろうなぁ〜………さぞかし
次回は新人面接回
敗北を知りたい…
集まった5人の最強新人艦襲来ッ!!