不健全鎮守府   作:犬魚

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サラサラキンパツと赤い髪の女の通常運転回

【登場人物】

提督(拳系)
気に入らないヤツは誰でも殴るバイオレンス提督、権力に弱い

Jervis(サラサラキンパツ)
気に入らないトゲチビは誰でも殴るバイオレンスリトル淑女

Ark Royal
女騎士、騎士道大原則はだいたい覚えた


提督と禁断の豪速!Jervis

朝晩だけではなく日中の寒さも厳しくなってきた今日この頃、タバコでも吸って休憩するかと考えた俺は明石の店でアツい缶コーヒーと菓子パンでも買うかと廊下を歩いていた…

 

「あ!Darling!」

 

「あ?」

 

廊下の先50m、オシャレな帽子がトレンディーなキンパツの子供がおそるべきスタートダッシュを切り、こちらに向かって猛然とダッシュして来た!

その初速から加速、そして最高速への到達はおそらくは1秒にも満たないだろう……並みの将校程度ならその超速ダッシュからのタックルをまともに被弾しテイクダウンを奪われるだろうが、この俺は違う!その程度のスピードでは俺を捉えるコトは……

 

ドスンッッッッッ!!(ロイヤルタックル)

 

「オゴォ!!」

 

「あはははー!Darlingだー!Darlingナニやってるノー?ねー?ねー?ヒマならJervisとオシャベリしまショー!」

 

自●系(ロ●ア)の俺にダメージを…ッ!なるほど……大した覇気だ、暁ちゃんにも匹敵する武装色ッ!

 

俺はお腹に受けたロイヤルタックルのダメージに床を転げ回りたい衝動を抑え、苦悶を表情には出さないようににこやかにジャーヴィーくんを引っ剥がした

 

「ハハハ、元気があってなによりなのだよ」

 

「あはははー!Darlingヒマなんでしょ?ねー?」

 

「ハハハ、いや、残念だが提督はこう見えてなかなか忙しいものでね」

 

本来ならば、駆逐艦のクソガキが俺にタックルでもかまそうモノならアイアンクローで掴んでから画面端を右へ左へビッタンビッタン叩きつけて暗黒パワーの爆発を喰らわせてやるところだが、このジャーヴィーくんは“あの御方”が大層可愛がっておられる英国式リトル淑女、その身に何かしらあった場合“あの御方”の逆鱗に触れ、日英開戦の火蓋が切って落とされるかもしれない故に下手に扱えない政治的事情があるのだよ…

 

「ねー?あ、マミーヤ行きまショー!マミーヤ!アタシApplepie食べタ・イー!ねー?」

 

「あ?アプ…?あぁ、アレな、アレ、アッパーな」

 

俺の袖を掴んでグイグイ引っ張るグイグイくるタイプの子、ジャーヴィーくんは陽気に、そして無邪気にケラケラ笑っている、クッ………正直めんどくさいんだよな、俺はこーゆーグイグイくる気難しくて繊細な今風の子は苦手なのだよ

 

…そんなふうに考えていると、背後からジャーヴィーくんのものではない流暢な英語的なもので声をかけられたので振り向いてみたら、赤い髪の誇りと意識だけは高そうな女だてらに騎士みたいなのが手を振りながら歩いて来た…

 

「ハッハッハ、Admiral、ハッハッハ……ん?Jervisも居るのか?」

 

「よぉ、騎士サマ」

 

「ゲッ!Ark!」

 

ジャーヴィーくんはゲッ!と露骨に顔をしかめ、俺を盾にするように後ろに回った、たぶんジャーヴィーくんはこの騎士サマが苦手なんだろう…

 

「Jervis、我が女王陛下がお前を探していたぞ」

 

「ladyが…?」

 

「たしかdressをsizeがどうとか……まぁ、急ぐ話でもなさそうだったが」

 

「じゃアトでイイ、アトアト!今からアタシはDarlingとマミーヤでSweetie食べに行くんダカ・ラー!」

 

ジャーヴィーくん、提督はそんな約束してないのだよ

 

「…そうなのか?」

 

ロイヤル騎士ことロイヤル空母はそうなのか?と首をかしげて問いかけてきたので、俺はその千載一遇のチャンスを最大限に活かすべく冷静で的確な選択肢を選ぶ!

 

「いや、残念だが提督はこれから所用があってね、あぁ…そうだ!アーック・ロイヤルーンくん、なんならキミがジャーヴィーくんとマミーヤに行ってはどうかね?」

 

俺は財布からスタイリッシュに高額紙幣を抜き、騎士サマの騎士のワリにスベスベな白い手に握らせてやる!

ジャーヴィーくんをこの女騎士に押し付け、俺は大手を振って喫煙所へと行ける理想的展開…ッ!

 

「ふむ……残念だが私もそれほど暇でないのでな、それにAdmiral、あまりJervisを甘やかすのはやめて欲しいな」

 

「ハァ!?ちょ!Ark!DarlingがJervisをアマヤカ・シーてるッテ!?」

 

「女王陛下からも不要な甘やかしは控えて欲しいと言われていてな」

 

「いや、提督は別に甘やかしてるつもりは…」

 

………いや、陛下から見れば俺はこのガキに甘く見えているのか?そ…そうか、ならばそうなのだろう、自覚なかったな

 

そしてジャーヴィーくんも女王陛下の御名が出たとなればそれ以上の反抗は出来ないらしく、悔しげに頬を膨らませてアル中のポーラみたいにプルプルその身を震わせている…

 

「まぁ、そんなコトはどうでもいい、それよりAdmiral、少しだけ話をいいか?時間は取らせない」

 

「なんだよ?言っておくが金ならないぞ」

 

「そうなのか?」

 

コイツは小粋なテイトクジョークも通じんのか…

 

「金がない………ふむ、まぁそこは女王陛下に相談しよう、それでだ…」

 

「オイちょっと待て、今なんで陛下の名前が出た?ナニを陛下に相談するつもりだ?」

 

オイオイオイ、冗談じゃねーぞ!偉大なる陛下に俺が金欠に喘ぐ資金面に難あり男とか報告するつもりじゃねーだろうなオイ、冗談じゃねーぞコノヤロー

 

「いや、実は女王陛下からAdmiralと流行りの映画でも見て落ち着いた雰囲気の小粋なrestaurantで食事でもして来たらどうかと言われてな…」

 

「…はぁ?」

 

「女王陛下曰わく、国は違えどやはり共に戦う仲間として日頃より親睦を深めておくべきではないかと…」

 

ちなみに陛下はこうも仰られていたらしい……

“特に、ArkはAdmiralと親しい間柄みたいですし!特に!”と…

 

「そこでこのArk Royal、女王陛下に代わり、英国の代表としてAdmiralと立派に親睦を深めようと…」

 

陛下ァァァァァ!!!ナニ言ってんのあの方ァァァ!!押し付ける気だよ…ッ!このクッ殺女騎士を…ッ!!

 

「まぁ、金がないと言うなら仕方ないので、とりあえず資金については女王陛下に一応相談してNelsonにでも出して貰おう、なに、心配はいらない…アイツは貴族だ、金なら持っている!」

 

「ちょ!待て!あるよ!!映画見てメシ食う金ぐらいあるわい!」

 

「そうなのか?」

 

「そうなんだよ!!」

 

冗談じゃねぇぞクソが…英国サマに金なんか出させてみろ、どんだけロイヤルーンなコトになるかわからん…

 

「そうか、あぁ、あと、女王陛下から食事はこちらのリストから好きに選んでくれと…」

 

「………オイ、これ値段書いてないぞ」

 

「そうなのか?ふむ、印刷ミスか…」

 

そんなワケねーだろ!ないんだよッ!最初から値段なんて記載してないんだよ!そんなもの気にする客が来ていい店じゃねぇんだよ!

 

「私の好きなモノと問われてカツ・ドゥーン辺りで良いのではと言ったのだがな、何故か女王陛下から失意と諦観の眼差しを向けられたが…」

 

「だろうな…」

 

「あと、流行りものと言うコトで、私としてはこのガチムチでムキムキの男と肩口で袖捲りしてる青いムキムキ男が殴り合っているcinemaが良いのではと提案したのだが、何故か女王陛下は哀しそうなお顔をして両手を顔を覆われてな……」

 

「そりゃなるわい」

 

ちなみにその映画はアキラ・ト●ヤマの大ファンのリシュリューが見たいとか言ってたな…

 

そんなポンコツ女騎士に、俺も陛下ほどではないにしろ頭が痛いと感じ始めていたその時……ッ!!

 

「………ちょっと、黙っテ聞いテりゃ好きカッ・テー言いやがっテー…」

 

「ん?」

 

プルプルと身を震わせていたジャーヴィーくんがキッ!と顔をあげると、クッ殺女騎士のスネをおもいっきり蹴った

 

ビタンッ!!(ロイヤル・ローキック)

 

「ア痛ァァァァァ!!」

 

「cinemaだァ…?restaurantだァ…?」

 

「クッ…!Jervis…!!」

 

「そんな!まるで!!Dating CourseみたいナPlan!!Plan!!」

 

ジャーヴィーくんは怒り狂ったように地団駄を踏みクッ殺女騎士サマにビシッ!と指を向け…

 

「………そうなのか?」

 

そうなのか?とこっちに聞いてきた……嗚呼、やっぱダメだ、コイツ

 

「許せない!許せない!ユ・ル・セ・ナ・イィィィィ!!」

 

ジャーヴィーくんは私は許しませんよーッ!と吠え、荒ぶる力を持て余したのか、ファッークス!Ladyにヒトコト文句言ってヤル・ワー!!と叫びながら廊下を猛然とダッシュした!!

 

『廊下を走るな!』

 

『アフンッ!』

 

………なんか廊下の先で香取先生に殴られて転がった姿が見えた気がするが、見なかった事にしよう

 


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