【登場人物】
南方棲姫(帰って来た)
約5年振りとなる電撃復帰
戦艦棲姫(いつもいる)
深海屈指のハードパンチャー、情にアツい
重巡棲姫(出オチ)
ヴォアー
第一海域を制し続く第二海域、ラバウル/中部ソロモン海域での戦い…
『バ…バカナ!深海雨雲姫ガ!次!重巡棲姫デロ!』
『前半ボス重巡棲姫、行キマス!グオゴゴゴ…………ヴェアー!』
いつもの
「チクショウ!なんて空襲だ!」
「痛てぇ!!なんだこのキモい鳥!噛むぞ!めっちゃ噛むぞ!」
「なんとかならねぇのかチクショウ!」
「あったよ!涼月と10cm高角砲+高射装置が!」
「でかした!」
途中、ハゲしい航空攻撃や戦艦レ級、タフなディフェンスに定評のある戦艦棲姫などの戦い!笑いあり、涙ありの大冒険を経てチームは海域最奥へとやって来た!
◆◆◆
『イラッシャ〜イ、カンゲイスルワァ〜』
南方棲鬼、約五年振りとなる一軍復帰のこの戦い、致命的な怪我で五年もの間シーズンを棒に振り、この長い間、深海病院での深海リハビリを経てファームで己を鍛え直していた…
怪我で苦しむこの五年の間に、深海には新しい戦力が次々と現れ華々しくデビューしていく姿を横目で見ながらトレーニングをする日々………自分にもかつてはあんなキラキラした時代があった、まだ新人だった南方棲鬼のデビューは2013年夏、当時驚異の二段階変身を持つ深海期待のゴールデンルーキーともてはやされ、華々しくデビューしたものだ…
だが、彼女の栄光はその夏だけだった…ッ!!
その年を最後に彼女は表舞台から姿を消す事になった、その年秋、南方棲戦姫として登板した際、無茶なフォームが災いし肩を壊した…
そして、2015年秋…
『……南方ォ、オマエソノ荷物』
『ナンダヨ?ドケヨ、
あの夏以降、何度か南方海域を舞台とした戦いがあったが自分に声をかけられる事はなかった…
南方棲姫はもう自分が登板する機会はきっとないだろうと感じ深海を退団する決意を固めていた
『チョ!待テヨ!オマ、オマエ!チョ!待テヨ!南方ォ!辞メルンカオマエ!?』
『ッセェーナ、モォイイダロ』
実家の両親からは実家に戻って家業の深海魚養殖をしてはどうかと何度も誘われたが、その度に南方はまだ現役でいたいと強い意志を伝え、今まで現役生活を続けていた………が、それももう限界にきていた
出撃チーム発表の度に呼ばれない名前、南方棲姫はもう限界だと悟り、退団を決めた
『ナニガ南方棲姫ダヨ、南方海域デ出ナイトカモォ南方イラネーダロ?全部ツ級デイイダロ?』
『チョ、待テヨ南方ォ!考エナオセ!ナ?考エナオセッテ、ナ?マダ南方ハ現役デ行ケルカラ!』
『オマエニハワカンネーヨ!
戦艦棲姫、同年にデビューしたもののシーズン的に後輩にあたる彼女は南方棲姫と違い、以降も様々な戦いにてレギュラーを勝ち取り、今や一軍定着となっている深海棲艦界の生きるレジェンド…
そんな彼女がデビューしたのは2013年秋、約5年前だったが、その時、同作戦海域で一緒に出ていたのが南方だった、当時、デビューしたてだった戦艦棲姫と飛行場姫はこのちょっとだけ先輩の南方を強く慕っており、深海ケーブルテレビのインタビューで“今、自分達がプレーできるのは南方さんがあったからですね”と答えるほどだ…
『辞メナイデクレヨォ……南方ォ…』
『…モォイイダロ、モォ私ニ声ハカカラナイカラサ、デモナ……
『南方ォ…』ポロポロ…
『ナ?泣クナッテ、ナ?ヨシ、ゴハン食ベニ行コ?オマエ稼イデンダロ?奢ッテクレヨッテナ、アハハハ』
『違ゲーェヨ南方ォ!声ガカカルトカカカラナイトカジャネーヨ!オマエハ現役デイタイノカ!イタクナイノカダロ?ドウナンダヨ!オマエ自身ハマダプレーシタインダロ!?ナァ!!』
『………テェヨ』
『ア?』
『プレー………シテェヨ』ポロポロ…
『南方ォ…』ポロポロ…
そうだ、自分はまだやれる!現役でプレーできる!チャンスさえあれば自分はまだやれるんだ!自分にしかない姫→戦鬼→戦姫の驚異の変身能力は未だ深海に並ぶ者はいない個性!
『ヤレルヨ!!南方ナラヤレルヨ!マタ一緒ニプレーシヨウ!私待ッテルカラ!』ポロポロ…
『アァ!アァ…!!私ハ絶対マタ一軍ニ復帰シテミセル!絶対ダ!』ポロポロ…
南方と戦艦棲姫はアツく抱き合い再び二人は同じステージに立つんだと誓い合った……
そしてその約束から約3年弱………遂にそのチャンスは訪れた!!
◆◆◆
そして2018冬…ッ!!
「まったく、胸がアツいなーッッッ!!」
『ウワーッ!動ケナイーッ!ウギャアーッ!!』
グシャァッ!!!
完璧なる殺人
「む?オイ、まさかもう死んだのか?まだ陸奥と私のツープラトンがあるのだが…」
「いや、どう見ても即死でしょ?長門、アナタ手加減とか知ってる?」
「手加減…?手加減とはなんだ?」
陸奥は実の姉が脳筋な事を思い出した……ツ級渾身の主砲を真正面から受けても“なんなんだぁ?今のはぁ…?”とデスクローするアルティメットマッスルだったわ、この姉と…
「まぁいい、どうだー?ちゃんとこの長門の活躍はバッチリ撮ったかー?」
長門はカメラ係の阿武隈にブンブン手を振り、カッコいい感じのポーズはやはり必要かとアツく詰め寄り、妹から膝の皿を叩き割られてお皿がー!お皿がー!と海面を転げ回った…
「…はぁ、さて終わったし帰りましょ?」
次回は最終海域、煌めきの流血列車と全てを切り裂く聖剣