【登場人物】
Johnston(米)
MAJOR第六の刺客、グイグイくる馴れ馴れしさ
Jervis(英)
ロイヤル駆逐艦、グイグイくる
陽炎&不知火(日)
陽炎姉妹のトップ姉妹、グイグイこない
「Hi、Admiral!」
特にやる事もない暇な日、俺は執務棟の側にあるベンチで明石の店で買った菓子パンと缶コーヒーを飲み食いしながら完全平和に必要な物はなんなのかを考えていた…
「キミは………ジョンくん?」
「そーよ」
最近ウチに来た新外国人選手、ジョンくん
ダイナマイトパッキンガール、アイオワらと同じくMAJORからの刺客、さすがに駆逐艦だけにSizeはMAJOR級ではないが、サムくん同様、将来MAJORへの可能性を感じる逸材ではある
そんなジョンくんは俺の隣に無許可で座り、MAJOR特有の馴れ馴れしさで話しかけてきた
「ナニそれ?Lunch?ズイブンと寂しいのね?あっちにCafeteriaがアルじゃない?」
「かへ……?あぁ、マミー屋な」
「そー、それ」
「今日はマミー屋の気分ではなくてね」
「フ~ン…ねぇ、あなたもしかしてヒマでしょ?」
「ヒマじゃない、提督だ」
誰が暇人だこのガキが、どこをどう見たらこの俺が暇人に見えるんだ?大人はいつだって忙しいのだよ、ただ、キンパツでボインの美女に誘われればいつだって俺のスケジュールはガラ空きさ、モチロン夜もね!
「あたしヒマなのよ、Samでも見つけてPokerでもしよーと思ってたんだけど、丁度いいわ!あたしとPokerしない?」
「やだよメンドくさい」
「あたし今日は大勝ちできる気がしてるのよ!ね?いいじゃない?ただのGameよ!Game!」
「そんなにゲームしたきゃグラウンドにでも行って来いよ、バカどもがたまにワンアウトってゲームやってるから」
「ONE OUT?ナニそれ?」
「ピッチャーとバッターの勝負でピッチャーはアウト取れば勝ち、バッターは外野まで飛ばせば勝ちだ」
「ヘェ~…It sounds fun!おもしろそうね、早速見に行きましょ!ほら!あなたも!」
ジョンくんは俺の腕を掴みグイグイと引っ張る、なんて馴れ馴れしい小娘だよこの子は……このグイグイくる馴れ馴れしさ、これがアメリカンスタイルと言うものか?
「へいへい、行けばいいんだろ?行けば、言っとくが今やってるかは知らねーぞ」
「そのトキはあなたが相手してよね!」
「やだよメンドくさい」
ジョンくんに腕をグイグイ引っ張られ、ベンチから立ち上がりグラウンドの方へと歩いていると、廊下の角でジャーヴィーくんとバッタリ出会った…
「ア、Darling!チョード、良かっ・ター!今チョードDarlingを探しテ……」
いつもの人の話はまったく聞かないロイヤル小娘ジャーヴィーくんかと思いきや、ピタッと動きが止まり、三秒程静止した後に再起動し…
「………Darling、ナニコイツ?」
ジョンくんをロイヤル指差した
「ハァ?アナタこそナニ?」
ロイヤル指差しを真っ向から迎撃するジョンくん、それに対し、ジャーヴィーくんはスカートの裾をつまみ、ロイヤルに挨拶した
「………アタシはLucky Jervis、Darlingイチバンのオキニイ・リーよ!」
「フ~ン…あっそ」
「あっそ……?Hey!そもそもアナタこそ誰よ!名を名乗りなさい!名を!Who are you!?」
「あたしはUSS Johnstonよ、用件はそれだけ?あたし今からこの人とDateなの、用があるならあたしのアトにしてね、アトに」
そう言ってジョンくんは俺の腕に自分の腕をグイグイ絡ませ英語でなにやら言って最後に小さくため息を吐くと、ジャーヴィーくんはプルプルと震えたかと思いきや突然吠えたッッ!!」
「ファ………ファーックス!!なんでス・ッテー!!このアメ公!モー許せないワ!ってかDarlingから離れなさいヨ!このUgly!!」
「ハァ!?なんですって!?こ……このあたしがUgly?屈辱よ!とんでもない屈辱だわ!宣戦布告ね!」
「宣戦布告よ!Hey!カカッテこいアメ公!タイマーンヨ!」
ジャーヴィーくんの挑発に即座にプッツンしたジョンくんはジャーヴィーくんのお顔に強烈なビンタをぶちかまし、ジャーヴィーくんはお返しよとばかりにジョンくんのお腹にストレートをぶち込んだ!!
「オゴォ!!………こ、このォ!!」
ビタンッ!!(ビンタ)
お腹パンチで崩れかけた膝だったが、ジョンくんは崩れず、さらにジャーヴィーくんのお顔に強烈なビンタをぶちかまし、ジャーヴィーくんはスッ転んだ
「アイッター!!」
ロイヤルにスッ転んだものの、即座に復帰し、怒り狂ったジャーヴィーくんはジョンくんに掴みかかって取っ組み合いを開始!二人はキィーキィーとブス!このブスだのロイヤルさ皆無に汚く罵り合いつつゴロゴロと床を転がりマウント争いを始めた
まさかの米英開戦ッ!この闘いこそ
「二人とも、やめないか!」
「デモ…っ!!」
「この女が…っ!」
「Ladyたるものケンカの一つや二つもするだろう、だが、同じく我が基地に居るヤツは皆、俺の“家族”だ、“家族”が争っちゃあいけねぇし、俺はァ悲しいぜ…」
俺はAだけが特別じゃねぇ、みんな大事な俺の“家族”だぜと懇切丁寧に二人を諭してやった
たしかに、ウチのバカどもはどいつもこいつも些かバカどもだが、そんなバカを、それでも愛するのが提督ってモンじゃねぇか…
「…フン」
「まぁ…Darlingがそーゆーナラ…」
そんな俺の心意気が通じてくれたか、ジョンくんとジャーヴィーくんは互いに拳を退いてくれた、まったく、世界はLOVE&PEACE、SMILEなのだよ
「では提督はこれで失礼するのだよ」
「ハァ!?ちょ…ちょっと待ちなさいよ!あなた!あたしとONE OUTするんでしょ!さ!ほら、行くわよ!」
チッ…!スタイリッシュにその場を去ろうとした俺だったが、怒りから覚めて冷静になったらしいジョンくんが慌てて俺の腕を掴んできた!
「Darling!アタシ猫飼いターイ!今からPET SHOP行くから一緒に行きまショー!」
ジョンくんとは逆!さらに逆の腕をクラッチされたッ!ジャーヴィーくんのその小さな身体のどこにあるのかわからない強烈なパワー…ッ!
だが如何なる強力も絶対的知性の前には無意味よ!俺は必殺の硬度0でジョンくんとジャーヴィーくんの脱出不能のクラッチから脱出したッ!
「この女ァ…」
「あのトゲチビだけでもウットー・シーのに…」
再び戦いの火蓋が切って落とされかねない一触即発の空気…ッ!
互いに激しいメンチを切り合って火花が散る!そんな中、廊下の先からアツアツの肉まんを片手に最強駆逐艦姉妹、陽炎姉妹の長女と次女が歩いてきた
「お、テイトクだ」
陽炎姉妹の長女、陽炎、スター集団陽炎姉妹の頂点に君臨するヤンチャガール
「何をしてるんですか?」
陽炎姉妹の次女、不知火、陽炎と共にスター集団の最上位として姉妹の上に君臨しており、その落ち度は常軌を逸している…
「ご覧の通り、この子らがケンカをしていてね」
「ケンカですか」
「どっちか死ぬまでやればいいじゃない?」
…肉まん食いながらなんてコト言うのかねこの子は
「どうにかならんかね?」
「どうにかですか」
「だから、殴り合ってどっちか死ぬまでやればいいじゃない?」
陽炎の死ねばいいじゃん思考はどうにかならないのだろうか?
「待ってください陽炎、この不知火に良い考えがあります」
不知火は微塵の落ち度も感じさせない素振りで指をビッと立て、メンチの火花散る中に割って入った
「双方拳を引いてください、ここは平和的にゲームでの解決が良いと不知火は提案します」
「What…?」
「Game?つまり…どーゆーコト?」
不知火はそうですねと呟き、スカートのポッケからトランプ的なものを取り出した
「例えばポーカーとか…」
「Pokerねぇ、ま、あたしはそれでイイけどー?」
そういやジョンくん、暇だからサムくんとポーカーしようかと言ってたな……ポーカーに自信があるのか?
対してジャーヴィーくんも不敵に笑い、自分も別にそれでイイけどーと同意した
そして、不知火はふむと小さく首を縦に振り…
「…モチロン、ポーカーと言ってもただのポーカーでは御座いません」
知と駆け引きを凝らした極上のポーカーでございます………と、続けた
「ナニ?タダのじゃないってIndian poker?」
「いえ、エアポーカーです」
「え…Air」
「Poker…」
アウトォォォォ!!!ナニ言ってんだこの落ち度の塊ッッッッッ!!あきらかにナニも知らないリトルガール達を殴り合いすら生温いトンデモない戦いに引きずり込みやがったァァァァァ!!
「ウン、よくワカんないけどあたしはOKよ!」
「JervisもOKネ!」
「ちょ!待て!待てオマエらッ!」
「では………このギャンブル、陽炎二番立会艦、不知火が仕切らせて頂きます」
ギャンブルのあるところに“陽炎”あり…
倶楽部“陽炎”
要請に応じてあらゆるギャンブルに立ち会うその組織はギャンブルの一切の公正を取り仕切り、敗者からは必ず負債を取り立てる知と暴を兼ね備えた組織…ッ!
そして“陽炎”から派遣された立会艦は如何なる場合であろうと敗者から取り立てる“取立艦”でもある…!
「アホかッ!」
ボコッ!(拳骨)
「痛い!………不知火に落ち度でも?」キリッ!
「落ち度しかねぇだろうが!バカかオマエは!国際問題になるわ!米英開戦どころか世界大戦になるわ!」