【登場人物】
提督(ストロングタイプ)
真っ向勝負大いに結構!未だ中二病から抜け出せずにいる大人
熊野(ストロングタイプ)
最上姉妹の四女、提督とはワリと仲が良いらしく、カレーをよく食べに行ってる、お嬢属性
秋津洲(KAWAII)
KAWAIIだけが取り柄じゃないKAWAII水母、手先が器用
日向(champ)
いらっしゃい、今日は何が必要だい?
「完成しましたわ……私のニューマシン」
重巡寮、さわやか寮の一室……毎日毎日机に向かいコツコツと己のマシンをチューニングしてきた成果、そのマシンが今、完成したのだ…
「できたぞォォォォ!!」
「うるせぇ!!今何時だと思ってるじゃん!!」
さっきまでグースカグースカイビキを立てていた同室の相棒がキレ気味に枕を投げつけてきたので、熊野はその枕を拾って相棒に返した…
「これは失礼しましたわ、私としたコトが………ですが、うるさいと言うなら普段ベッドでオナってる鈴谷の方がうるさいですわ」
「ハァ!?お、オナ…オナってねーし!!」
「だいたい、私が寝てると思って毎度毎度ヒィヒィうるさいですわ、私、いつアナタに襲われるかビクビクしながらベッドで震えてますのよ!」
「襲うかッ!!」
◆◆◆
「…と、ゆーワケで、完成しましたわ、私のニューマシン」
「ナニが、と、ゆーワケでだ」
外は冬の風がビュービュー吹いてる執務室、特にやるコトもなく自分の机でメガス●アを読んでいると最上姉妹のアホな妹が執務室にやって来た…
「私のニューマシン、ズイウン六三四マグナムですわ」
「ふ~ん」
素人目ではあるが、一目でなるほど、なかなかチューンされているとわかる
「どうですの?」
「一目でただのズイウンじゃないと見抜いたのだよ」
「でしょ?そーですわよね!そーなんですわ!見てくださいまし!シャーシの軽量化を考えてボディのラインから見直して素材そのものから…」
熊野のアホはペラペーラペラペーラとここがこだわりのポイントだの空力学的にこちらがベストだのペラペラ喋りながら自慢のニューマシンをズイズイ押しつけてきたが、話が長くなりそうなので俺はテキトーに相づちを打ちつつメガス●アを読むコトにした…
「………と、まぁ、こんな感じですわ」
「あぁ、すごいな」
「………聞いてましたの?」
「あぁ、君は悪くない」
「聞いてませんでしたのね?」
「あぁ、そうだな」
グシャアッ!!!(机ダァン!)
俺は頭を掴まれそのままメガス●アごと執務机に顔面に叩きつけられた
「…痛いじゃないか?」
「話聞けですわ」
ったく、うるせぇ野郎だな……俺は強打して曲がった美しい鼻を修正し、元の美しいハンサム顔に戻した
「で?なんだ?そのマグナムを自慢しにきただけか?」
「違いますわ、コレにテイトクのサインを頂きたくて…」
熊野は上着のポケットからA4サイズの紙を取り出し、執務机にダァン!と叩きつけた、えー………なんだって?WZP出場申請の申し込み書…?
「なんだ?WZPって?」
「
「はぁ…?」
そして
「ふ〜ん、で?
「えぇ、
とりあえず未成年の出場申請書には保護者の同意が必要らしく、実家に書類を送るのが面倒な熊野は俺にサインをねだりに来たらしい
「書いてもいいがパンツ見せろよ」
「イヤですわ」
「じゃ、この話はなかったコトに…」
「なんて男…ッ!まっこと最低のクズですわ!」
「最低のクズじゃない、提督だ、あと、お嬢属性のオマエとしてはアリな気もするが、俺を最低のクズと罵倒していいのはチ●ポに弱い姫騎士か礼号組の霞だけだ」
「くっ…!!う、うるさい!いいから書けですわ!同意書にサインしろですわ!」
熊野は俺の腕を掴み、無理矢理書類にサインを書かせようと力業に出たッ!
「ヌウゥゥゥ!!なかなかのパワーだ!だが…!」
「くわっ!!ですわ!」
クラッチされた腕を、熊野の身体ごとパワーで持ち上げ、そのまま熊野の身体を床に叩きつけてやると、熊野はウッギャアー!と言いながら床をゴロゴロと転げ回り、丁度トイレから執務室に戻ってきた五月雨に執務室の扉で強打された
「ただいま戻りま……って、ナニやってるんですか?新手のプレイなら邪魔にならないところでやってくださいよ」
「新手のプレイじゃない、提督だ」
「き、聞いてくださいまし!こ、この男が書類にサインしないんですわ!」
「書類に………?あ、もしかして認知しないつもりですか?」
「そうなんですわ!」
「そうなんですわ!じゃねーよ、あと、そーゆー書類じゃねーよ」
「冗談ですよ、小粋なサミダレジョーク」
五月雨は特に面白くもないジョークを言った後、既に興味を失ったのか、自分の机に戻ると自分用の小菓子を開けて雑誌を読み始めた…
「はぁ……まぁいい、サインしてやるから書類貸せ、書類を」
「最初からそう言えばいいんですのよ!そう言えば!まっことグズですわね!」
偉そうに書類を出してきた熊野のお腹にとりあえず腹パン→股間蹴りをしてからサインを書き、涙と吐瀉物を流す熊野に渡してやった…
◆◆◆
当基地の地下にひっそりと居を構えるカスタム瑞雲専門ショップ、Z-DRIVERS………航空戦艦日向が店主を務めるこの店は瑞雲のみならず、ありとあらゆる水上機を扱う水上機ファイター御用達のお店だ…
「よぉ、いらっしゃい、今日はパーツを買うのかい?」
まるで気のいい酒場の店主ように瑞雲を磨きながらショップ店員特有のテンプレート挨拶をする店主日向
ジャペンカップ前人未到の7連覇を成し遂げた水上機界レジェンドファイターらしく、その、あまりの強さからチャンプと呼ばれている…
「えぇ、今日は少々パーツでもと…」
「好きに見に行ってくんな」
…そんなカスタム瑞雲ショップに熊野と共にやって来た俺は、先ほど熊野の股間を蹴りあげた際にパンツが濡れたらしく、クリーニング代だせですわとゴネにゴネられ、そのゴネり方に煩わしさを感じ、1500円未満のパーツで手を打つコトにした
「このタイヤいいですわね…」
「じゃ、それな」
「ちょ!待てよ!ですわ!まだ他の見ますわ!」
ったく、面倒くせぇなコイツ……だいたいパンツが濡れたぐらいでガタガタ言うなっての、パンツが濡れるのがイヤならノーパンで生きろよ
「いらっしゃい」
ジャンクパーツ売り場でジャンクズイウンを眺めていると、店の扉を開き、新たな客が入ってきた…
「あ、熊野さん………と、テイトクかも、珍しいかも」
「キミは…」
可愛さ仏恥義理、全てのステータスをKAWAIIに全振りしてしまったKAWAIIの化身、秋津洲クン
「あら?秋津洲さん、アナタもパーツ買いにきましたの?」
「そうかも、今度の
「フッ、アナタごときが勝てるかしら?私のニューマシン、ズイウン六三四マグナムに」
熊野はイヤなライバル特有の嫌味な笑みを浮かべ、アナタ程度はジュニア部門がお似合いですわー!と勝負の前に立ててはならないフラグを順調に積み重ねた
「熊野さんこそ、油断しないほーがいいかも…」
「そ、そのマシンは…ッ!!」
秋津洲クンが取り出したマシン!!それは飛行艇界の
「二式大艇・ノーネイム、コイツで五百戦以上ヤったかも…」
凶々しい左右非対称のデザイン!
「ノー……ノーネイム!」ゴクリっ…
「オイオイオイ、カッコいいじゃねぇか」ゴクリっ…
「なんなら今すぐヤってもいいかも、お遊びなんかじゃない、本物の
オイオイオイ、さすが秋津洲クンだ……正直、俺や天龍、そして木曾なら一目で尋常じゃないマシンと見抜いてしまうぜ、コイツはぁ…
「フッ、元気があるのはいいコトだが、それは大会までとっておくんだな」
チャンプこと日向はイキり立つ二人を一言で鎮めた!
「チャンプ!!」
「チャンプ…っ!フッ、まぁいいかも、大会でチャンプを潰すのは私!首を洗って待っているかも!」
そして、秋津洲クンはかーもかもかも!と謎の笑い声を残して去って行った…
「どうやらこの大会、一筋縄ではいきませんわね…」
「あぁ…!」
ライバルが集まる