不健全鎮守府   作:犬魚

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お久しぶりになりました、憂鬱な出張とかあったせいでお話を考える余裕がありませんでした
今回は悲しいけど一話分だけでカンベンしてください

【鉄の戦慄】

の、一本です


提督とルート分岐のエンディング ⑨

【鉄の戦慄】

 

かつて、戦争があった…

人類と深海棲艦の最終決戦、真のイノ●イドとして覚醒した特型駆逐艦は深海棲艦との来たるべき対話、熾烈な戦いの果てに人類と深海棲艦はわかり合う事ができる!と全ての生きとし生ける者達に伝え、対話の為に次のステージへと旅立った…

 

軍を辞め、新しい時代は新しい者が作るでござるよとアテもなく流浪れた俺は全国を転々とし、新しい時代の復興を見ながらフラフラと旅をしていると、日本海側のとあるクソ田舎にある妙にオシャレなカフェで見知った顔、春雨と再会した…

 

「お前は…?ト●コ?」

 

「春雨です、ブッ殺しますよ」

 

久々に再会した春雨はエロゲーのカフェ店員的な萌え萌えニャーンな格好で、その眼光は冷たく、まさに冷酷、まさに冷血、まさに冷徹な変わり果てた姿となっていた…

たしか春雨と言ったらオ●ニー週3回は当たり前、常に俺を見て発情してパンツ濡らしてる淫乱が服着たピンクモンスターだったと思うが…?

 

「そんなワケないです、私、普通にイケメンが好きなんで、提督とか遺伝子レベルで無理」

 

「参ったなこりゃ!カッカッカッカ!参ったな!」

 

小粋な元テイトクジョークも通じないとは、あの優しい春雨ちゃんが軍を抜けた後に一体どんな地獄を見て来たと言うのか…

 

「と言うか、提督もよく私の前に顔を出せましたね、生かして帰しませんよ」

 

「なんで?」

 

「なんで……?なんで?と、言ったんですか?今」

 

「然り」

 

春雨イドはスカートから出刃包丁を取り出すとその刃をテーブルにダァン!と叩きつけた!

 

「深海棲艦に攫われた私を助けに来ない!そして私とよく似た駆逐棲姫を私と偽って事件を公にせず、むしろ揉み消して保身に走ったアナタに復讐心を抱かないほど私は良い子じゃないんですよ!」

 

「まぁまぁ、そうイキり勃たないで、まぁ座って、お茶でも飲んで話でもしよーや」

 

「一応殺す前に聞きますけど駆逐棲姫はどこですか?私のポジションを奪ったあの子と提督だけは絶対に殺すって決めてるんです」

 

「駆逐棲………?あぁ、ハルサメか」

 

「春雨は私です!」

 

春雨イドはマナー違反のテーブルキックでテーブルを蹴り飛ばし、出刃包丁を両手で握りしめ俺に襲いかかって来たッ!!なるほど、両手で握ることで威力は倍増か………しかし!!

 

「今の一撃、申し分ない」

 

「!?」

 

春雨渾身の両手握り出刃包丁をスタイリッシュに避け、返す刃に放った痴漢奥義モレスター・ノ●ァで春雨の全身の九ヶ所を同時に愛撫し、春雨は一瞬に内に絶命………じゃない、絶頂して倒れた

 

「アヘェ……」ビクッ!ビクンッ!

 

「本来なら俺に刃向かう者は肉便器になるまで徹底的に犯し尽くすところだが……俺はロリ●ンじゃないんでな」

 

たとえ淫乱ピンクと言えど春雨は俺から見ればまだ子供に過ぎん、そーゆーのは本当に好きな人が出来てからしなさいとクールに諭してやると春雨は薄暗い瞳で顔を上げた

 

「………じゃ、じゃあ、春雨がオトナになればコレ以上のコトを?」

 

「然り」

 

「そうですか…」ニマァ

 

そう言って春雨イドは不気味な笑みを浮かべたが………なんだコイツ、ちょっと怖いな

 

「ま…まぁ、とりあえず今は提督を殺さないでいてあげます」

 

「そうか」

 

「でも、駆逐棲姫は殺します、居場所を知ってるなら教えてください」

 

「駆逐……あぁ、ハルサメならたしかどっかのコロシアムで“破壊王”とか呼ばれてるらしいぞ」

 

「破壊王…」

 

ハルサメは明石の店で買ったナノテク技術が詰まった鉄の足とゼ●モスの力を使い、深海に帰らずどこかで好き勝手にやってるらしいと前に噂を耳にしたが…

 

「そうですか…」

 

春雨イドは立ち上がってパンパンと服に付いた埃を払い、出刃包丁をスカートの中にしまいしまいした

 

「では行きましょうか、提督」

 

「え?俺も行くの?やだよめんどくさい」

 

「私の身体メチャメチャにしたじゃないですか」

 

「してねぇよ、前も後ろも大丈夫だろ」

 

「あ、もしもしケーサツですか?今、変な男に無理矢理メイド服着せられていやらしい御奉仕をさせてやると…」

 

俺は春雨が取り出したスマホを奪い、電源を切ってポケットにしまった

 

「返してくださいよ、私のスマホ」

 

「舐めてんのかテメーは?」

 

「舐めてないです、あと、さっき提督のスマホに私がムラムラして自撮りした画像いっぱい送ったから提督のスマホから言い逃れ不能の証拠がでますよ」

 

「ナニしてんだテメーはッ!!冤罪か!」

 

「私に協力しないと社会的に提督を殺します」

 

な、なんて淫ピだ……!春雨イドはスカートの裾を摘んでどーしますかぁ〜?ヘラヘラ笑いながら不気味な笑みを浮かべ…

 

「………いいだろう、付き合ってやろうじゃないか、破壊王のところまで」

 

「ありがとうございます、破壊王をブッ殺すまでは仲良くしましょうね」

 

「そうだな、個人的にはお前が破壊王にボコられて欲しいが」

 

こうして、俺は悪逆メイド春雨と共に破壊王を倒す為にコロシアムがあるという日本海側から太平洋側へと旅立つ事になった…

 

途中、世紀末な世界観の街やバイオレンスでジャックな街やマッドでマックスな街を通過したが、俺達は持ち前のガッツと溢れる知性と出刃包丁でなんとかクリアーし、数々の強敵(とも)との出会いと別れを繰り返し、遂に破壊王が待ち受けるコロシアムへと到着した…

 

ーーー

 

「ここが“ヤツ”の居るコロシアムか…」ムキ…ッ!ムキッ!

 

「そうみたいですね…」

 

グゥゥゥム、ここまで強力な気を感じおる……どうやらこの戦い、かつてないタフな戦いになるだろう

 

「…と言うか、提督だいぶ変わりましたね」

 

「変わった…?俺が?」ムキッ!

 

「えぇ、なんか昔のジャ●プに居ても違和感なさそうになりました」

 

「ハハッ、俺は変わってないよ、まぁ…最近、服が些か破れ易く感じるがな」ムキッ!ムキッ!

 

そして、いよいよ俺と春雨は破壊王の待ち受けるコロシアムへと足を踏み入れ、遂にヤツとの再会の刻が来たッッ!!

 

「ほぉ、まさかあの暗い海の底から帰って来たとは…」

 

このコロシアムの支配者!真のゼ●モス使い、破壊王、ハルサメ…ッ!!

 

「駆逐棲姫ェ…」ギリッ!

 

「フッ、私の名こそハルサメよ!ハルサメはこの世に二人も要らない!つまり死ぬのはオマエだ!春雨ェ!」ドヤァ!

 

春雨とハルサメは互いにメンチの火花を散らし睨み合う、いよいよ因縁の対決、復讐劇が幕を開けるのだ!………がッ!!

 

「………あの、春雨さん」

 

「なんですか?」

 

「いや、あの……その、さっきから気になってるんだけど、その………ムキムキの人、誰?」

 

ハルサメは失礼にも人を指差しやがった、あのヤロウ…あんなに可愛がってやったのに俺様の顔を見忘れるとはふてぇヤツだ

 

「提督です」

 

「は?」

 

「提督です」

 

「テイトク……って!!いやいやいや!違うでしょ!?テイトクってなんかただのメガネ男子だったじゃん!?それ明らかにテイトクじゃないよね!一子相伝の殺人拳とか使う系の人だよね!?」

 

「提督です」

 

「………え?……え?」

 

ハルサメのヤロウは失礼にもマジかよオイみたいな顔してこっちを見ている…

 

「え?ナニ?神のお告げかなんかあったの?邪悪の神かなんか憑いたの?」

 

「オマエを倒す為に、海の底から舞い戻ったぜ(春雨が)」ムキッ!

 

「いやいやいや!!テイトクそんなキャラじゃなかったじゃん!?ってか別人だよ!」

 

ハルサメはいやいやいやと全否定しているが、俺は提督であり、提督は一、そして全も提督である

 

「まぁゴタクはいいんです、とりあえずアナタだけはブッ殺しますから、カクゴはいいですか?」

 

春雨イドはスカートから出刃包丁を取り出し、ペロリと舐めて瞳からハイライトを消した

 

「クッ…!なんか色々ツッコミどころ満載だけど……!やってやるわ!!ハルサメは私だ…ッ!!私がハルサメなんだ!!」

 

こうして、春雨VSハルサメ、運河激震!とびっきりの春雨VSハルサメの戦いが幕を開け、勝負は限界ギリギリ互角の戦いとなったが、両者は共に退く事はなく、もはやどちらが死ぬまで戦う流れとなった…

 

「ハァ……ハァ………アアアアアァァァァァ!!」

 

「ガバァ!!…ハー……ハー……死ぃぃぃぃねェェェェ!!」

 

そして………

 

◆◆◆

 

………とある湖畔に立つロッジに、一人の男とメイドが住んでいた

 

「オイ、風邪引くぞ」

 

「そうですね…」

 

男にも女にも墓標に名はいらない、何故ならば、二人には名前がないからだ…

 

提督と言う男は軍を抜けた時に、そして、白露型駆逐艦春雨はあの時に…

 

「あ、そう言えば新聞見ました?春雨引退したらしいですよ」

 

「らしいな」

 

紙面を飾る春雨の髪は白い、そして、今、横に居るのはかつて春雨と呼ばれたこともあるただのメイドだ…

 

あの戦いの後、春雨とハルサメは和解し、春雨は春雨の名をハルサメに託して去った………その後ろ姿はおそらくはもう復讐など考えないだろうと思えるほど爽やかなものだったが………それは違った

 

俺は一人、この湖畔のロッジを買い、悠々自適な生活を満喫していたら、この押しかけメイドがやって来てこう言った…

 

『ブッ殺すって言ったじゃないですか』

 

………まぁ、今のところはその気はないらしい




次回は【修羅の花嫁】と他一本の予定です

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