【登場人物】
提督(挑戦者)
海軍三大奥義テイトクリベンジャーの使い手
梶輪大将(王者)
テイトク強度9999万パワー、提督の上位互換
桜井中将(解説)
ワリとなんでも知ってはる優秀な解説ポジ
前回までのあらすじェ…
オッス!オラ提督!ひゃー、ジョン!おめーが手も足もでねーで負けるとはオラ思ってなかったぞ!でも悔しいよなぁ、プライドの塊みてーなおめーだ、ここで諦めていいんか!大将とお嬢様、まったく……こんなにやべーのに、オラワクワクしてきたぞ!
完全敗北で心をペッキリと折られたジョンくんにナイスゲームと声をかけ、職場見学チームは以降も基地内の様々な場所を視察して回った後、マミー屋へとやって来た…
「本日のオススメ、季節の桜色タルトです」
マミーヤ会心の一食…ッ!普段なら絶対注文しないが今日は違う、接待をケチる俺ではない、値段は有り得ないほどバカ高いがマミーヤの味は“本物”だ、おそらくは庶民とは出来が違うであろうお嬢様の高尚な舌にも通じるという“確信”が俺にはあるッ!
「/////!!」
…良かった、通じたらしい
マミーヤ
「美味いが量が足りんなぁ、オイ、同じのあと4………いや、サミちゃんもまだいるじゃろ?」
「そうですね」
そして高尚でない舌のクソオヤジは
「///」
「ハハハ、お口にあったようで何よりです」
セーフ…っ!圧倒的セーフ、生き残り…っ!生粋の激烈箱入りお嬢様と言えど所詮はガキ、甘いモンでゴキゲンになる点はウチのバカガキどもと同じと言うコトか…
「そういや大将殿…」
「なんだ?」
「前に演習がどーのこーの言ってたが…」
「演習…?あぁ、たしかそんなハナシしたのぉ」
このオヤジ忘れてたのか?まぁ、無いなら無いでいいんだが…
自重しろとは言ったものの、ウチのバカどもの残虐ファイトをこのピュアガールにお見せするには些かSHIGEKIが強過ぎる…
「ま、演習と言うよりは、オマエの昇格審査じゃがな」
「は?」
「負ければ降格、勝てば昇格、わかりやすいじゃろ?ガハハハ」
「ハアァ!?ちょ、ちょ待てよ!ナンだそれ!聞いてねーぞ!」
「ガハハハハハ!」
このクソオヤジ!昇格審査どころか負ければ降格もあるだと!?有り得ない…!通るか…っ!そんな理屈…っ!!そんな理不尽…っ!
「ワシ的にはワリとどーでもいいコトなんじゃが、まぁ…アレじゃ、ほれ、有馬がのぉ………そっちの有馬嬢と釣り合うに足らん階級ではないかとな」
「釣り合う階級ぅ?」
まぁ、そりゃ俺は地方のしがない中佐にすぎない、しかし釣り合うもクソも俺はロ●コンではないし、このお嬢様も金持ち特有の自由意志も愛もない、よく知らない大人と見合いさせられ、今日もこんなところまで付き合わされているのだろう…
「//////」
…考えれば悲しいコトだ、家の都合でこんなワケのわからんイチ海軍将校と見合いさせられ、それなりに仲良くお付き合いしてますよアピールをしなければならないとは……
恋するってのはね、もっとこう、自由で、救われてなきゃダメなんだ…
そう、ケッコンってのは、幸せで、幸せで、幸せの絶頂の時にするもんだ、そう…幸せで……
「エェェェェレナァァァァァァー!!」
「//!?」ビクッ!
「なんじゃあ!?」
「スミマセン、少々取り乱しました………だが大将!アンタは間違っているッ!」
「ア゛ァ?」
「人を好きになるってのはな、誰かに強制されるもんじゃない!自分の“心”が決めるモンだ!」
「…ハァ?」
確かめずにはいられないんだよ!“愛”が!“儚い”など言い訳だ!そう、このお嬢様はもっと“自由”にしていいハズだと俺がアツく語っていると、秘書艦の青髪ロング子がタルト食いながらうわ…マジキメぇみたいな顔していたが、コイツは後で尻でも叩いてやろう
「フーッ~………まぁ、なんかよくわからんが、いいじゃろう…“愛”でオマエをブチ殺してやるわい」
「あ?」
ブチ殺す……?俺を…?面白れーコト言ってくれるじゃねーか、だいたいアレだ、完全平和主義の俺が今、海軍っー半分ヤ●ザみてーな仕事をしてるのはテメーの仕業だろーがオイ
ヤベ、よく考えたらフツフツと怒りが湧いてきたわ…
「ブチ殺す?…………上等だよテメー」ピキッ!パキッ!
「カッカッカ!ならば見事受けてみよ、このワシとの“将奪戦”………勝ったら大佐に戻してやるわい」
こうして、マミー屋のテーブルを挟み、俺とクソオヤジこと大将殿はメンチの火花を切り合った
「今すぐオモテでろや」
「まぁそう焦るな、弱く見えるぞ」
◇◇◇
海軍には古来より戦果を挙げる以外にも昇格をする手段が存在する…
将奪戦…
自分より階級の高い将校に勝利する事、あまりにもシンプルな条件、それ故に互いの決定的実力差が明確に現れるこの戦いは過去に何度も行われたが成功率はあまりにも低く、記録にあるその殆どが挑戦者の無残な最後とされており、今やこの伝統を行う者は皆無とされている…
そして今、その伝統が実に二十数年ぶりに行われるッッッ!!
「お集まりの皆さんこんにちは、青葉です!今や半ば伝説と化した幻の昇格審査“将奪戦”が、基地特設リングで行われると言うコトでスタンドには伝説の死闘を一目見ようと集まった人達で超満員です!この“将奪戦”、実況は青葉、解説に海軍宿毛湾泊地の中将、桜井中将とオンラインで繋がっておりますので桜井中将にお願いしております、桜井中将、本日はよろしくお願いします!」
『よろしく』
「さて桜井中将、今回の“将奪戦”ですが~…大将VS中佐、あまりにも階級差がありますが…」
『まぁ、普通ならあまりに無謀、死ぬでしょうな』
「死にますか!?」
『しかし今回はあの梶輪大将と、その直弟子との戦い、直弟子に関しては色々とヤンチャな噂を聞いておりますし、以前、縁があって彼のファイトを見た機会がありますがなかなかどうして油断ならぬモノがありますな』
「なるほどー」
ーーー
基地特設リング中央で睨み合う俺とクソオヤジこと大将殿…
グゥゥゥム、売り言葉に買い言葉でついケンカを売ってしまったが、正直なところ、このオヤジとまともにヤり合って勝てるビジョンがまるで見えん…
既に戦場の第一線を退き、老境の域に達しているとは滲み出るこの圧力はまぎれもなく“海軍大将”のそれ…
「さぁて〜………サミちゃんにイイトコ見せてやろうかのォ」
「やかましい、ナニがサミちゃんだ、だいたい…アイツは俺の秘書艦だぞ」
「知っとるわい」
…ゴチャゴチャ考えても仕方ない、下手な小細工は捨て、溢れる知性で戦うしかあるまい
「まぁ、部下と有馬嬢の手前、情けない戦いはするなよ?」
「誰がするか、俺は今日こそアンタを超えてみせる!安心してクタバレや」
部下どもだけじゃない、お嬢様も見ているこの一戦………ならば俺は“愛”の為に戦おう
「その意気や良し!熱意や良し!!さぁゴングを鳴らせい!!戦闘開始じゃあ!!」
大将殿が上着を脱ぎ捨てると同時に、戦いのゴング鳴る!!まずはリング中央!互いに力量を測るべく手四つで組み合わ………
「ぬぅ…!!」
ない!!俺は組み合いを避け大将殿から距離を置いた!
「なんじゃあ?ワシと力比べはせんのか…?」
「アンタといきなり真正面から組み合う気はないぜーッ!」
まずは距離を置いて相手の力を削ぐ!!パワーで負けるのならそれ以外で攻め、こちらのペースに持ち込むべし!
「小癪なァ…」ニマァ…
ーーー
「さぁ始まりました“将奪戦”!!我らが提督!まずはいきなり意表を突いてきました!青葉が知る限り、提督は例え相手が誰であれ最初は真正面からがスタイルでしたがここは敢えて避けました!梶輪大将!それほど危険な相手なのかーッ!」
『良い判断だ、あの男と真正面からぶつかって無事では済まないと理解している』
「なるほどー、桜井中将から見てもやはり危険な相手だと?」
『あの男………梶輪はまぎれもなく大将、それも今の中佐と同じ、かつての“将奪戦”で大将格を死闘の末に討ち獲った男だ…っ!』
「ゲェーッ!な、なんですってー!!まさかそんな………歴史は繰り返されるとでも言うのでしょうか!?」
リングでぶつかり合う中佐と大将!一際大きな歓声が上がると同時!!リングへとカメラが移ると、そこにはコーナーポストを背に崩れ落ちる中佐の姿があった!!
「ゴハァ……!!」
「カッカッカッカ!なんじゃあ…?もう終わりか?」
次回は後編
奥義応酬!死闘決着!こい!愛でお前を殺してやる!
と、有馬嬢