次のターンだと?お前に次のターンはない!
【登場人物】
提督(モクモクしちょるだけの敗北者)
好きなタイプは巨乳で片目隠れてて真面目な娘
五月雨(秘書艦)
好きなタイプは普通にイケメン
有馬優(JSお嬢様)
////!?/////………!////////!?
因縁の師弟デスマッチ、提督対大将の将奪戦は海軍大将梶輪の真テイトクスパークによって死闘の幕を下ろした…
結果としては敗北に終わったものの、その、海軍大将相手に一歩も退かないファイトは死闘を見守っていた艦娘達にアツい涙を与え、敗者としてリングを去った提督を称える声を、そして、この死闘を観戦していた一般のお客様にもアツい感動を、明石ビール酒販には笑いが止まらん売上を残した…
そして…
◇◇◇
「あのクソオヤジ、まるで容赦無しかよ、フツー使うか?愛する部下に海軍三大奥義」
「まぁ、大将殿ですしね」
むしろ先に三大奥義仕掛けたの提督じゃないですかとツッコミつつリンゴをシャリシャリ剥く青髪ロング子は切り分けたリンゴを自分で食べた
「オマエそこは俺に食わせるトコじゃねーのか?」
「食べたいんですか?リンゴ」
デスマッチを終え、医務室に担ぎ込まれた俺は、早くもベッドとトモダチとなり、離れられない関係となっていた…
そんな絶賛満身創痍中の俺の様子見に来たらしい頼れる秘書はリンゴを剥いて食べつつなにやら一枚の書類を取り出した
「なんだそれ?」
「辞令です、なんか提督…今日から大佐だったみたいですよ?」
「ハァ?」
「ほら、コレ、日付見てください」
…たしかに、五月雨の手にした書類には今日付けで俺を大佐に昇進すると書かれており、キチンと印鑑も押されている
「つまり、どーゆーことだってばよ?」
…俺は大将殿との将奪戦に挑み、そして負けた
ならば俺は大佐ではなく少佐に降格するハズだろう?ハッ!ま、まさか…あのオヤジ!俺とのアツいファイトにより俺の実力を認め、試合としては負けたが勝負としてはオマエの勝ちじゃあ!ガハハハハハーなアツい展開を…ッ!
ヘヘッ、なんだよあのクソオヤジ…なかなか良いトコあるじゃねーの!まったく、ツンデレかよ、今どき流行ンねーっての!
「……なんとなく考えてるコトわかるって結構イヤですよね」
「ヒトの顔見てナニ言ってるのかねこの子は」
「いえ、あ、あとこちらは梶輪大将からです」
「あ?」
五月雨はポケットから別の紙を取り出し俺に見えるように広げた
「えー………将奪戦規定に則り、貴官を大佐→中佐へと降格する…?」
…つまり、どーゆーことだってばよ?
「サミュエル、卿が私にわかるよう説明してくれないか?私はまだ疲れているらしい」
「ん~……要するにこうでしょうか?たぶん提督は今日付けで大佐になってたんですよ、で、大佐のまま将奪戦挑んで負けたから中佐に降格した………あと、五月雨です、サミュエルさんは別人です」
「なるほど…」
つまり、俺は俺の知らない間に大佐に昇格しており、それを意図的に知らされないまま大将とのデスマッチに挑んだ、その結果、俺は大佐の地位からマッハで転落してしまったと………しまったと
「あんのクソオヤジがァァァァァ!!殺すッ!!殺してやるッ!マジでブッ殺してやるわァァァァァ!!」
あのクソオヤジぃ!俺をハメやがったッ!!っーか痛てぇ!アバラ、アバラとか痛い!
「まぁまぁそうコーフンしないで下さいよ、お身体に触りますよ」
「触るんじゃねーよ!」
「ほら、リンゴ食べますか?リンゴ、ウサギさんですよ」
五月雨は俺の口にリンゴをねじ込み、壁時計をチラ見してから立ち上がった
「さて……これくらいで私のターンは終わりですかね、用事があるのでこれで失礼しますね」
「ア゛ァ?用事だぁ?」
「梶輪大将がお高価な肉をご馳走してくれるそうなんで、お呼ばれしてきます」
「ナニがお高価な肉だよ!大ダメージを負った上司を放り出して、自分はお高価な肉……って、痛い!アバラ的な部分が痛い…ッ!」
「大ダメージ負ってるんですから大人しく寝ててくださいよ」
ったく……っーかあのクソオヤジはダメージとかねぇのかよ、肉食ったら治るとかそんな感じか?
っーかサミちゃんサミちゃんって、どんだけ五月雨に甘いんだあのクソオヤジは…
「じゃ、私は行きますんで」
「へいへい、行って来い、破産するまで食ってこい」
「では後はよろしくお願いします」
五月雨は部屋から出るのと入れ替わりに、扉のところに立っていた見覚えのある小柄な子に声を掛ける…
「///」
………マジか、アイツ、お嬢様にアトヨロシクとか言って去ったわ…
え…?っーかお嬢様まだ居たのか
「/////」
まぁ、よく考えりゃ旅案内役の大将殿が今から五月雨と肉食いに行くって言ってたし、居てもおかしくねぇか
お嬢様はいつもの自信なさげな様子で俺の居るベッドの横まで来て心配そうな顔をしているが……ふむ
【①:大人として大丈夫アピールする】
【②:ウッギャアー!痛てェー!アピールする】
【③:オラァ!お腹パンチ!】
とりあえず③は無いな、こんなのBADどころかDEADエンド確定するわ
まぁ、ここは普通に①を選ぶべきだろう
「やぁお嬢様、カッコ悪いところを見せてしまいましたなぁ、ハッハッハ」
「///!」ふるふる
「ご覧の通り、少々ダメージを受けましたが、まぁ2、3日もすれば元気ブリバリですよ」
「//」ホッ…
よし、大丈夫アピールは成功したらしい、さすがは俺、まるでコンピューターのように精密な計算で正しい選択肢をセレクトしている
「…本当は勝って、どんな困難にも“勇気”さえあれば立ち向かえるし、変えられるってコトを証明したかったのですが………スイマセン、情けない提督で」
「///!」ふるふる
お嬢様は俺の手を握りそんな事はないと言うように首を振り…
「…そんな……あり…ま……せん…っ!」
こんな俺のファイトから確かな“勇気”を受け取った…ッ!それをこのJSお嬢様は言葉ではなく心で理解したと…ッ!
「そいつは良かった、ただ……」
「?」
「やっぱ、勝って…カッコいいトコは見せたかったなぁ~」
だって男の子だもの…
ピュアなキッズの前では“ヒーロー”はいつだって負けてはいけないのだ、まぁ、今回は相手が初代ゼ●トンみたいなモンだったが…
「だが次は負けねぇ…いや、必ず勝つ!!」
俺はお嬢様の手をアツく握った
「//////////!?」
大将殿ブッ倒して海軍大将になるまで!も゛う゛敗げね゛ぇがら…っ!!とアツい約束を立てると、お嬢様は些かビックリしたように目を丸くした
「その時、俺は“大事なコト”をお嬢様に伝えましょう……」
戦う事、そして困難に立ち向かう“勇気”!
自分を信じて“夢”を追い続ければ、夢はいつか必ず“叶う”!と…
「////////////////」コク!コク!
良かった、“大事なコト”の意味はわかって貰えたらしい、ウチのバカガキどもと違ってやっぱお嬢様は賢くていらっしゃる
しかしなんか顔が赤いな、心拍数も上昇しているようにも見える、もしかして風邪だろうか?そうならばこんなところにお嬢様を長居させるワケにはいかん
「お嬢様、執事のジ…いや、お付きの人が心配しているかもしれません、ここはいいので部屋にお戻り下さい」
「///」コクコク
良かった、本当に素直な子で……まったく、ウチのバカガキとは生物としてステージが違いすぎるのだよと感心していると、お嬢様は懇切丁寧に頭を下げ、なにやら小声で何か言って部屋を出た…
まぁ、聴き取れなかったがたぶんお大事にとそんな感じだろう
「………さて」
お嬢様も去ったし、身体中痛いし、疲れたし…
「寝るか」
◆◆◆
お嬢様の来訪、そして大将殿との将奪戦から一週間…
「あー…身体中痛いわー、マジ痛いわー」
「コーヒーでも飲みますか?」
「あぁ、冷蔵庫に入ってるから取ってくれ、缶コーヒー」
通常営業に戻ったいつもの執務室、五月雨のご自分でどうぞ発言にイラっとしたものの、心の広い俺は自らの足で冷蔵庫のところへ行き、買い置きの缶コーヒーを取り、執務机のところまで戻ると窓を開けて胸ポケからタバコを取り出した
「執務室は禁煙ですよ」
「カテェコト言うんじゃないよ、1本くらいカンベンしろよ」
俺はタバコに火を点け、吸った煙を大きく窓の外に吐き出した
「フーッ〜………しかしお嬢様の職場見学、アレで良かったのか?」
「さぁ?よくわかりませんけど、大将殿はガハハーとか言ってたし良かったんじゃないですか?」
「ふ〜ん」
お嬢様も変わり者ってコトか…
まぁ、お嬢様からしたら喋るチンパ●ジーパーク見学に来たようなモンだろーし…
「ところで提督」
「なんじゃい?」
「お嬢様に何か言ったんですか?」
「何か…?あぁ、俺が海軍大将になったら夢は叶うってな」
「…………あー」
「なんだその残念なハンサムを見るツラは?」
「いえ、ただ……まぁ、提督ってアホなのかと」
「オイオイオイ、可愛い顔して上司に対してとんでもない暴言だよこの子は」
次回は誰もが羨むメインヒロイン回
ストレートに慣れた頃にフォークボール