【登場人物】
提督(ツンデレ)
フン!オマエを倒すのはこのオレだ
五月雨(枠外)
巨乳の姉妹には黒い憎悪を持つ
Johnston(わりとアホ)
チョロくてKAWAII自分大好きガール
「神話の中でェ~繰り返されるゥ~バトルゥ~…」
春の足音をズンズン感じる小気味良い天気、そんな素晴らしい陽気に誘われ、喫煙所でタバコを吸ってから執務室に戻るとお客様ソファーになんか暗いのがうなだれていた…
「な、なんじゃい?」
「お客様ですよ」
秘書艦のサミーはなんかこの人、提督にアイサツしたいみたいで…的なコトを言って自分の机に戻った
「キミは………ジョンくん?」
「………Hi」
これがジョンくん…?あのいつも自信に満ち溢れ、陽気でKAIKATSUな子じゃなかった?今、俺の目の前に居るのはそんな気配はまるでない、タダのうなだれた美少女だ…ッ!
「どうしたのかね?一体」
まさかホームシックにかかってボクの国帰りたいデースとか言うんじゃないだろうな…
そんな俺の心配を余所に、元気もKAIKATSUさもないジョンくんの口から出た言葉は俺の予想だにしないモノだった…
「………アタシって、天才なのかしら?」
「はぃ?」
ナニ言ってんだコイツ、イカレているのか…?
「対空ができて、対潜ができて、しかもCuteで、ガッコーの成績だって抜群だったし、Sportsもできたし、しかもCuteで、地元のクラブチームのCheerleadingにだってScoutされたし、MamだってDadだってそんなアタシも褒めてくれたし、しかもCuteだし…」
あ、ヤベ、コレ絶対メンドくせー感じのアレだわ、100パーメンドくせータイプのアレだわ
っーかキュート多いなコイツ、自分大好き過ぎか…
さらにジョンくんから話を聞くに、先日のお嬢様との一件で、天才であり誰にも負けないハズの自分が正真正銘全力全開の真っ向勝負で敗北を喫した事により心がペッキリと折れてしまったらしい…
「なるほど…」
「………初めてよ、あんな敗北感」
ただの敗北ではない…
“コイツにはどうあがいても勝てないッ!”そんな確信めいたモノを感じたのだ…ッ!その絶望にジョンくんは生まれて初めて“恐怖”した、あまりの絶望に涙すら流し枕を濡らした、これも初めてのコトだったと…
「おかげでSamからはアタシがオネショしただの烙印を押されたわ」
「そいつは災難だったな」
「…………ハハ、ハハハ、ハハハ…笑いなさいよ、情けないこのアタシを、天才でもなんでもない、ただCuteなだけしか取り得のないアタシを!」
「まぁまぁそうエキサイトしないで、飲み物でもどうかね?サミー、彼女にアツいティーでも…」
「あ、アタシCoffee派なの、Coffeeでいいわ、Blackでね」
怖いもの知らずかッ!!あの、誰しも一度は勧められて飲み、二度目はやんわりと断る五月雨のコーヒーを再び所望するだとォ!?
この子、もしかして舌がアレなのでは…?いや、たしか以前普通にマズいとか言ってた気が…
そんなジョンくんのコーヒー要求に、自分の机で素知らぬ顔で漢字クロスワードパズルを解いていた五月雨は、ゆらりと立ち上がり愛用のコーヒーマシンの数々を棚から取り出し始めた…ッ!
「お、おい…五月雨ェ…」
「なんですか?」
…俺にはわかる、コイツは以前マズいとハッキリ言われた事を
自分のコーヒーがマズいワケがない、むしろ俺と由良さんと涼風の味覚がおかしいのだと本気で信じているのだ
そして今、復讐の機会が訪れたのだッ!
「…俺も一杯貰おうか」
「…ジョンストンさんの後でいいですか?まずはそちらに集中したいので」
「あ、あぁ…」
コーヒーマシンを並べる五月雨から漂う緊張感、ジョンくんにマズいと言われた翌日から、様々な試行錯誤を繰り返していたのを俺は知っている
もしかしたら、コイツならヤるかもしれん…
「で?どーなのテイトク、アタシってやっぱただCuteなだけ、いえ、KAWAIIだけで天才じゃないのかしら!?」
そして天才である自分には否定出来てもCuteでKAWAII事だけは絶対に否定しないMAJOR級の自己愛!ジョンくん
「いや、まぁ、天才か天才じゃないかと問われると……提督的にはジョンくんには才能があると思うのだよ」
「………ホント?」
「あぁ!」
正直、サムくんみたく私のサンになってくれないか?と言ってアツい感動の涙を流すほどではないが…
「対空とかできるしな!」
「そ、そうよね…」
「対潜とかできるしな!」
「そ、そうよね!」
「しかもKAWAIIしな!」
「そーぉよねぇー!!アタシってやっぱ天才なのよね!しかもKAWAIIし!アハ、アハハハ、アハハハハー!」
チョロいなコイツ……ちょっと可愛い可愛いっておだてりゃナンでもするんじゃねぇのか?たぶん街で声掛けられたら即堕ちWピースで女優デビューしかねない危うさすら感じるのだよ…
「あー…アタシとしたコトがツマンナイことで悩んでたわ、そーね、たぶんアレはアタシが無意識に力をセーブしてたんだわ、お客様をケガさせちゃ悪いものね!さすがアタシ!」
いや、どう見ても正真正銘全力全開だったのだよ
「あー…そうとわかればスッキリしたわ、テイトク、burger食べに行きましょ、burger、アタシお腹空いたわ」
そして………ジョンくんがいつもの陽気でKAIKATSUな子に戻ったところに、アツアツの湯気を立てるコーヒーカップがやって来た…
「コーヒーです」
「ん?あぁ、そういや頼んでたわね、Thanks」
「いえ」
ジョンくんがコーヒーカップを手に取り、それをズズーッと啜る様子を見つめる五月雨の自信に満ちた眼光!今度こそ失敗はない!今度こそ自信に満ちた“本物”の輝きを持つ一杯だと…!!
「マッズっ!!うえっ……!!マッズ!!」
………と、思ったけど、やっぱ違げーわ
「い、今…………なんと?」
「マズいって言ったのよ!ナニこれ?よくこれを人に出せるわね、It is not something I could drink!」
悪夢再びッ!!再びマズいとディスられた自信のコーヒー…ッ!最高の機材、最高の豆、最高の手法、そして最高の情熱を持って淹れたハズのコーヒーが再びマズいとディスられたのだ………
五月雨は肩を小刻みに震わせ、信じられないと言ったふうに表情と、それと同時に憎悪のオーラを滲み出し…
「………提督、私、ちょっとお腹痛いんで早退します」
「お、おぅ…」
五月雨は机に戻ると自分の鞄を持ち、失礼しますと執務室から去って行った…
「…ホントにマズいわねコレ、どう淹れたらこうなるかしら?」
「ジョンくん」
「ナニ?」
「キミ、実はスゲーヤツなんじゃないのか?」
「は?ま、まぁ、アタシ天才だし?スゲーヤツって言われたらスゲーヤツかもね!アハ!アハハハハ!」
◇◇◇
香取姉ぇに頼まれた書類を執務室に持って行こうと執務棟の廊下を歩いていると、丁度いいところに見覚えのある青髪ロングの子が…
「あ、五月雨ちゃん、丁度良かった、この書類を提督に…」
「………は?」
「あ、いや、なんでもない………です」
…あの時のコトですか?えぇ………殺される、そう感じましたね、はい、正直、香取姉ぇを怒らせた時も殺される感はありますが、まさか先生なのに駆逐艦の子からガンくれられて漏らすとか思ってもみませんでした、いや、ホントに
次回は帰ってきたハッキリ言って自信作回、ア●ルならセーフ