不健全鎮守府   作:犬魚

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春のセンシティブ暴君回

【登場人物】

提督(ぺぇずり肯定派)
センシティブな存在、神よ、私は美しい…

雲龍(デカパイ空母)
センシティブな存在、駆逐艦のキッズ達にはたぶん変身したらドラゴンになると噂されている

龍鳳(ゲイ子)
ギリギリセンシティブではない存在、パシリ属性がある
基地に珍しい基本善人のまともな娘だが鹿島先生とは妙に仲が悪い、むしろ天敵


提督と雲龍とセンシティブな自由

今日の昼はホカホカのトンコツラーメンでも食うかと考えながら執務棟の廊下を歩いていると、外のベンチのところでアツアツのヤカンからお湯をカップ麺的なものに注いでいる仙人みたいなのが目についた…

 

「ナニやってんだオマエ?」

 

「見ての通り、お湯を注いでいるのよ」

 

仙人みたいなやつこと雲龍姉妹の長女、雲龍

仙人みたいと言ったものの、服の上からでもワカるその生唾ゴックンのビシバシモンなワガママボディはハンパではなく、一部ではセンシティブな存在ではないかと疑われており、そのファッションセンスはこれまさにグッド・ぺぇずりデザイン賞だろう…

 

「…カップラーメンか」

 

「カップ焼きそばよ」

 

「ふ~ん」

 

お湯を注ぎ終わり、ヤカンをその辺に投げ捨てた雲龍はベンチに座ってカップ焼きそばを膝の上に置いた

 

「今日の昼飯はそれか?」

 

「そうよ」

 

雲龍曰わく、朝起きると、テーブルの上にそのカップ焼きそばと、今日だけはこれで我慢してと書かれた手紙が置いてあったそうな…

 

「姉をなんだと思っているのかしら?あの妹どもは…この私にカップ焼きそば1つで済むとか舐められたモノね」

 

「むしろお前が何様なのだよ」

 

このワガママボディと正比例するワガママ長女、掃除、洗濯、炊事、その他…一切の家事スキルを持ち合わせていないらしく生活の全ては妹である天城と葛城に一任しており、腹が減ったと言えば妹に飯を用意させ、喉が渇いたと言えば妹に飲み物を用意させ、何か面白いコトやれと言えば妹に芸をさせるまさしく暴君…ッ!

ワガママオブワガママどころかもはやそれはレジェンドオブワガママと言っていいだろう

 

「3分経ったかしら…」

 

ジョー…ドボドボ…

 

「熱…っ!オマエ!なんで俺の足下にお湯を捨てるんだよ!」

 

「そんなところに足があるのが悪いのよ」

 

「相変わらずとんでもない女なのだよ…」

 

雲龍は蓋をその辺に投げ捨て付属のソースを麺にブチ撒け、ワイルドにカップ焼きそばを食しだした…

 

「あんまり美味しくない…」

 

「カップ麺も妙に安いやつだと値段相応なのだよ」

 

「ところで提督はなんでこんなところに居たの?暇なの?」

 

「暇じゃねぇよ、今からメシ食いに行くんだよ、メシ」

 

「ふ〜ん」

 

雲龍は相変わらず死んだ魚みたいな目で興味なさげにカップ焼きそばをズルズルと口に吸い込む、しかしこの妖怪仙人、スケベすぎるだろ……見れば見るほどセンシティブな存在にしか見えねぇ

 

「ゲーェプ…」

 

「女の子が人前で堂々とゲップするんじゃないよ、この子は」

 

「………全然足らない」

 

雲龍は食い終わったカップ焼きそばの容器をその辺に投げ捨て、ベンチに立てかけてあった杖を手に取り、その杖で俺の足を殴打した

 

「痛てぇよ!!なんだァ…?手前ェ…?」

 

「全然足らないって言ってるのよ」

 

「そりゃ良かったな、そのまま飢えて死ねば良かろう」

 

「全然足らないって言ってるのよ」

 

こ、このアマァ……ちょっとおっぱいデカいからって調子に乗りやがって、たしかに、俺はおっぱいには弱い健全な成人男性だが杖で小突かれて黙っているほどジェントルではない

 

「オイコラ雲龍、テメーあんまチョーシ乗ってんじゃねーぞコラ?あんまチョーシ乗ってると俺のパイ●リ専用オ●ホールにすっゾ?」

 

「やれるものならやってみなさい」

 

雲龍はベンチから立ち上がり杖をブンブン振って全身からバチバチと電気的なスパークを放ちだした

 

「おもしれー…後悔すんじゃねーゾ」

 

スネークバ●トの射程ギリギリでバチバチする雲龍、なるほど……やはりただのデカパイではない、なんやかんや言ったもののコイツはケッコー強い

閻魔の一航戦、鬼の二航戦、奴隷の五航戦の枠には数えられてはいないが、あのチンピラ空母、二航戦のバカどもも雲龍だけは認めており、かつての作戦海域では二航戦にこの雲龍を加えた無敵のフォーメーション“ドラゴン・T(トリプル)・ブレイカー”が猛威を振るったのは記憶に新しい…

 

「チッ…!」

 

「どうしたの?ビビってるの?」

 

しかし見れば見るほどセンシティブな格好してやがるなコイツ、これはもう俺のスネークバ●トがあのデカパイをバイトしていいってコトでいいんだよな?お互い合意の上だからいいんだよなッ!?

 

…そんな一触即発の緊張感が漂うベンチに、箱的なものを持った哀れな歩行者が歩いてきた…ッ!!

 

「あれ?提督と………雲龍さん?ナニしてるんですか?こんなところで」

 

「キミは………?ゲイ?」

 

「誰?」

 

「龍鳳です!龍鳳…っ!!」

 

歩いて来たのはいつの間にか軽空母になっていたゲイ子ことリューホーくん…

 

「その箱、良い匂いがするわね」

 

「え?あ、はい、今から潜水艦の子達がカラオケするからピザ持って来てって…」

 

潜水母艦を卒業し、軽空母になってもパシられてるのかコイツ……雲龍はバチバチしていたスパークを消し、ゲイ子ことリューホーくんのところへ歩いて行くと、リューホーくんの持っていた箱を1つ手に取った

 

「チーズ臭いわね」

 

「そりゃ…ピザですから」

 

「アナタからもチーズ臭がするわ」

 

「それは……まぁ、さっきまでそれ作ってましたから…」

 

「アナタ、チーズ臭いわ」

 

「言い方ッ!!なんか誤解を招きそうな言い方ッ!あ、て…提督、私はチーズ臭くないですからね!ピザがチーズ臭いだけであって私は臭くは…」

 

そうか、リューホーくん、チーズ臭いのか…

 

「鼻が曲がりそうね」ナポォ…

 

「あ!!それ頼まれてたピザ!!なんで勝手に開け……ってかなんで勝手に食べるんですか!」

 

「やはり作り立ては美味いわね」モニュ…モニュ…

 

「返してください!ってかなんで勝手に食べるんですか!」

 

「うるさいわ、チーズ女」

 

「だからチーズ女じゃありません!」

 

雲龍は箱を高々と持ち上げ、リューホーくんは返して!返して!とピョンピョン飛び跳ねて抵抗してみたが、雲龍のバストアタックに跳ね返されて地面にすっ転んだ…

 

「あいた…っ!!ナニするんですか!」

 

リューホーくんとて雲龍には劣らないバストを持っているハズだが、やはり体格差はあまりにも大きい!言うなれば雲龍はヘビー級!対してリューホーくんはハードパンチャーではあるが所詮フェザー級!パンチ力は互角としても体格差は覆らない!

 

「代金は天城に請求しなさい」

 

雲龍は奪い取ったピザの箱を手にスタスタとセンシティブにケツを振りながら去って行った…

 

なんと言うヤツだ、あまりにも自然に、まるで当然のように宅配ピザを奪う………その生き様はまさに雲、雲の如く自由気ままに空を流れるか…

 

「うっ……ぅぅぅ、チクショウ!チクショウ!」

 

そんな流れる暗闇の雲の災害に巻きこまれたリューホーくんの肩に手を置き、俺は上司として爽やかにフォローを入れてやる…

 

「まぁまぁゲイ子くん、提督はチーズ臭いのも嫌いじゃないのだよ」ニコッ

 

「チーズ臭くありません!!」


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