【登場人物】
提督(自称完璧提督)
インテリジェンスモンスターパワークラッシュ
金剛(改二丙)
防御は不要、攻撃こそ最大の攻撃
浦風(ヨゴレ)
ヨゴレ担当、浜風ちゃんより大きいのかもしれない
その日もいつもと変わらぬ春の陽気な執務室………ではなかったッッッ!!!
その日、この基地に棲む全ての艦娘の強さのランキングが一つ下がった…ッ!
『………戻ったか、ヤツが!この“聖なる完璧の基地”に…ッ!』
その日、ある戦艦がこの基地の門をくぐり帰還した…
この基地の裏にもう何年も君臨し続ける真の帝王、戦艦・金剛が帰還したのだッッッ!!
「お疲れ様です、金剛の姉者!」
「姉者のお帰り、姉妹一同一日千秋の思いで待ち望んでおりました」
「姉者の帰還、榛名は心より嬉しく思います!」
金剛姉妹専用の寮、通称、天動宮の前で偉大なる長女の帰還に恭しく頭を下げる姉妹達は心から長女の帰還を喜んだ…
だが、それと同時に妹達は奇妙な違和感を抱いていた…
我らが心より敬愛し、憧れる絶対的な“力”の暴君、この基地における“暴”の象徴であるはずの長女、まさしく殺意の塊とも言うべき恐怖のオーラを纏い、対峙した者は例外なくその溢れる力の前に畏怖し、恐怖したその長女から………“力”を感じないのだッッッ!!
「まずは、紅茶でも飲みたいデース…」
あまりにも自然体過ぎる…ッ!かつての殺意の塊のような恐怖をまるで感じないッ!!
そんな戸惑いをみせる姉妹、だが…さすがに姉妹の次女比叡はいち早くそれに気付いた
「フッ、わからないんですか?榛名、霧島」
「いったいどーゆーコトなんだ!」
「教えてくれ!比叡の姉!」
「フッ、知れたコト………我が姉者、金剛の姉者は次のステージへと進んだのよ」
一撃必殺、その先のステージへと…
「ま…まさか!」
「と…とうとう金剛の姉者が!」
「おそらく今の金剛の姉者は我々とは別次元、聞いた事がない?あまりにも力の差が違いすぎるとむしろ何も感じなくなると…」
「たしかに…今の金剛の姉にはむしろ余裕すら感じる」
「榛名もそーゆーの漫画で読んだことあります」
比叡曰わく、おそらく我等が姉、金剛は新たなステージへと到達、限界を超え、強く、そして穏やかになり冷静に闘えることになったのだろうと、そして、我々とは別次元の領域に達した故に、その力は同じ領域に棲む者でないと感じ取ることは出来ないのだろうと…
「ヘヘッ、さすがは金剛の姉…」
「やはり金剛の姉者はいつだって榛名達の先を往く…」
榛名と霧島はイタズラっ子のように鼻の下をかきながら偉大なる長女はやはり“格”が違うとまるで自分のコトのように誇らげにその偉大なる背中を見つめた
「…どうしましたシスターズ?ティータイムを始めまショウ」
「「「ハイッ!!」」」
◆◆◆
天動宮に真の主が戻った執務室…
「ヤツが戻ったか…」
「そうらしいですよ」
この基地の裏にもう何年も君臨する帝王・金剛!何者にも憚るコトなく常に俺の命を狙い続けるあまりにも危険な存在…
だが、ヤツは強いッ!
“強さ”と言うならば武蔵や長門など他にも居るが、金剛は違う、武蔵や長門はあくまで深海のクソどもを倒す為に磨いた力だが金剛は俺を殺す為だけにその力を磨き続けているのだ…ッ!あまりにも危険な存在ではあるが、強きことが全てのこの基地においてはそれは是である!
「ヤるんですか?」
「ヤりたくはないなぁ」
「でも金剛さん、T‐TICKET持ってますよ」
「そこが問題だよなぁ」
そう、ヤツは昨年の最大トーナメント優勝の副賞である俺を1日付き合わせる権利を持っているのだ、もしヤツがその権利を行使すると言うのならば俺は逃げる事はできない
「ま、挑んできたなら受けねばなるまい」
「それは意外ですね、提督のコトだから“し、知らん知らん!なんだそれは!ワシはそんなモノは知らん!無効…っ!そ、そんなものは無効だ…っ!”とかゴネると思いましたが…」
「お前は俺をなんだと思ってるんだ?」
「上司…ですかね?」
「ですかね?じゃねーよ、ナニ可愛い風に言ってんだテメーは」
「冗談ですよ、小粋なサミダレジョーク」
「ナニがサミダレジョークだ、ったく……まぁ、俺は極力、約束は守る主義だからな」
「へぇ…」
「へぇ…とはなんだ?へぇとは!興味なしか!」
自分は良くて他人はダメな鬼ルールを適用する秘書艦青髪ロング子にぶつくさと文句を言っていると、執務室の重厚な扉をノックし、何者かがお邪魔しマースと入ってき………
「失礼しマース…」
ヒイッ!?こ、金剛…ッ!!
「おや、金剛さん…こんにちは」
「コンニチハ、五月雨ガール、そして………テイトクぅ」
コイツ……あまりにも気さく!あまりにも自然に!どーゆーコトだ?コイツのコトだから挨拶代わりに扉をブチ破って顔面掴んで壁ブチ破って裏山の岩石にメリメリしてくるぐらいヤると思ったが…
「………ほぉ」
「どうしましター?」
この今までにない異様な気配、コイツ………強いッッッ!!
こやつめ……一目でただの戦艦ではないと俺じゃなきゃ見逃しちゃうね
「テイトクぅ」
「なんだ?」
「ワタシと闘…」
「それは例の権利を行使してか?」
「…あんなもの、ワタシには必要ありまセーン」
「ほぉ…それは俺にはお前との対戦を拒否する事が出来ると言うコトか?」
「Yes、逃げても構いまセーン」
「…“逃げる”だと?」
こやつめ、煽りよるわい、フッ…バカめ、完璧なる提督であるこの俺がその程度の低俗な煽りで………
「死ぬカクゴはデキてんだろーなァー?テメー…?」ピキッ!パキッ!
「煽り耐性なさすぎですか…」
「止めるなよサミー、溢れる知性で返り討ちにしてやんよ」
どうやら“完全決着”を付ける時が来たらしいなオイ!今スグで構わない、もういいだろ?オラとヤろーぜと臨戦態勢に入った俺に対し、意外にも金剛は首を横に振った
「別に今スグでなくていいデース、タダ…」
金剛は人差し指を立て片目を閉じ、今スグでなくてもいいが、ただ、自分とヤる時は最高の状態、即ちベストコンディションの状態を希望する、と…
「今日はそれだけを言いにきただけデース」
「ほぉ…」
「…
そう言い残し、金剛は手を振って執務室を去ろうとしたが、五月雨のヤツが金剛を呼び止めた
「なんデス?五月雨ガール」
「さっき金剛さん、T‐TICKETは必要ないって言いましたけど、もしかして持ってないんですか?」
「Yes、あの紙キレならワタシには必要ないので浦風ガールにあげましタ」
「へぇ、浦風さんに…」
「ハナシはそれだけデスカ?では、バーイ」
…今度こそ、金剛は去って行った………ベストコンディションだと?ふざけやがって、俺を見逃してやったつもりか?
「チッ…!」
「見逃して貰いましたね」
「見逃されてない!」
後日、T‐TICKETを片手に執務室に駆け込んできた浦風のアホンダラが“ギャハハハー!土下座じゃあー!土下座せいやー!あと高い焼き肉食うたるわー!テイトクの金でなー!ギャハハハー!”と言っていたので、とりあえずお腹パンチし、オゴォ!とか言って倒れて動かなくなったので、とりあえずア●ルにすりおろした山芋を流し込んでやると痒い痒い言いながら床を転げ回って執務机の足に頭を強打して気絶してしまったので、一応、オパーイを揉んでみてから廊下に放り出した