【登場人物】
提督(大人)
イラつくことだってある、不合理だってある、でも、それが大人になると言うことじゃあないか?
占守(革命軍幹部)
バカなだけでなく大人を舐めたウザさまで備える子、他人の話は聞かないタイプ
国後(革命軍)
バカな姉だけでなく、海防艦の中でもトップクラスとも言えるマトモな逸材、普段は姉さん、焦ると地がでるファンキーなタイプ
「ヤベーっしゅ!マジヤベーっしゅ!」
「うるさいなぁ、ちょっと落ち着いたら?」
「バッキャロー!コレが落ち着いていられるっしゅか!?」
今日も元気だタバコでも吸いに行くかーと廊下を歩いていると、自販機コーナーのベンチのところでなんかちっこいのがエキサイトしていた……あれはたしか、海防艦のチビスケェ…だったよな、たぶん、よし、相手はまだこちらに気付いてないようだから速やかにこの場を離だ…
「あ、テイトクっしゅ!」
しかし回り込まれた!!袖口がフサフサしたオシャレな制服を着ている如何にもバカそうな子供、海防艦のシム……
「キミたしか……占守クン?」
「そーっす」
「そしてキミは………占守クンの妹」
「間違ってはないけど、いや…別に間違ってはないけど…」
えー…なんだっけこの子?髪の色はファンキーだが海防艦のクソガキどもの中では群を抜いてマトモな、えー…
「クナっしゅ!」
「そう!クナくん!」
「や、いきなりそんな馴れ馴れしく呼ばれても…」
「ハッハッハ、ジョークだよジョーク、小粋なテイトクジョーク」
……思い出した、たしか国後だっけか?たしかそんな名前だったな、うん、一応、革命軍のメンバーだが姉である占守クンとは違いあまり革命に積極的ではなく、むしろ姉がバカすぎて心配しているウチには珍しい良識派な妹…
「で?そんな占守クンとクナくんはこんなところでナニをしているのかね?」
「そーっしゅよ!コレ!コレっす!」
「ちょ、ちょっと姉さん!」
占守クンは手にしていた新聞のチラシみたいな紙をコレっしゅ!とか言いながら俺の顔に押しつけてきたが、近い!チラシが近い!
「近いわ!見えるか…っ!ったく………なんだコレは?パチ●コ屋が新台入替でもしたのか?」
「パチ●コ屋のチラシじゃねーっしゅ、ケーキバイキングのチラシっす」
「ケーキバイキング…だと?」
ケーキバイキング…ッ!!それは、数多のダイエット戦士達を奈落へと叩き落としてきた伝統的処刑法、その…あまりにも
「ぬぅ…ま、まさか実在したのか…!」クワッ!
「うぉ!なんかテイトクの顔が濃いっす!顔に大往生って書いてる人みたいっす!」
「や、顔に大往生って…」
いや、まぁ、普通に知ってるけどな、たまにサミーとかが行ってるし……なんかアレだろ?なんか小さいケーキが色々種類あってアレもコレも食べりゅぅぅぅ!ってヤツだろ?
「で?そのケーキバイキングがどうかしたのかね?」
「なんと今日までなんしゅよ!」
「へぇ…」
「なんと今日までなんしゅよ!」
「へぇ…」
「なんと今日までなんしゅよ!」グイグイ
「へぇ………っーか顔が近い、顔が」
このガキグイグイきやがるな、なんなんだこのガキは?この基地の最高権力者にして絶対支配者の提督様をなんだと思っている…?
「大●山落としーッ!」
ビタンッ!!(大●山落とし)
「しむっ!!?」
俺の大●山落としで背中を痛めつけられ、うっぎゃあー!痛てぇーっしゅー!とか叫びながら廊下をゴロゴロ転げ回る占守クンは転げ回った先の自販機に後頭部を強打して動かなくなった…
「お姉ちゃん!!だ、大丈夫!?ちょっと!いくらなんでもヒドすぎるんじゃないの?たしかにお姉……姉さんはチョイチョイうざいトコがあるけど!ここまでする必要ある!?」プンスコ!
最愛?の姉、占守クンのダメージに激怒したらしい妹のクナくんはやりすぎじゃないの!とプンスコ怒りながら俺に詰めよってきた!
「ま、まぁ…落ち着きたまえ、私としては適正な判断だったと…」
「適正とか適正じゃないとかどうでもいいのよ!私はやりすぎじゃないのかって言ってるの!どうなの!?」プンスコ!
「いや、だから、適正な判断だったと…」
「やりすぎじゃないの!?」プンスコ!
うわ…めんどくせぇ、この子マジめんどくせぇ…仕方ない、ここは話のわかる大人として誠意を見せておくか
「わかった、わかったのだよ、提督がやりすぎた、すまない」ペコォ
「わかればいいのよ!わかれば!」プンスコ!
………クッ、舐めやがって、この俺をコケにしてくれた礼はいつか必ず返してやる
「姉さん、提督がごめんなさいって!良かったわね!」
「………ダメっしゅ、痛くて痛くてとても立てないっしゅ、もう泣きそうっしゅ…」
「あー…わかったわかった、ケーキでもなんでも食わせてやる、な?それで許せ、な?」
「マジっしゅか!?やったぁ!!クナ!ケーキバイキングっしゅよ!ケーキバイキング!いやっほぅー!」
痛くて痛くてとても立てそうになくて今にも泣きそうとか言ってた占守クンは元気に立ち上がりケーキケーキ言いながらまとわりついてきた…
「こ……このガキぃ!」
「あ?なんなんしゅか?誠意見せてくれるんしゅよね?ね?もしかしてウソつくんしゅか?」
「姉さん、痛くて立てないんじゃ…」
「え?あぁ、今はガマンしてるっす!」ドヤァ!
◆◆◆
そんなワケで、メスガキ2人と共に街のオシャレなお店にケーキバイキングへとやって来た俺はとりあえずケーキバイキング料金(1時間2500円)を払って入店した…
「コレ全部食い放題っすか!」
「あぁ、他人様に迷惑かけない程度にな」
「いよっしゃー!クナ!いっぱい食べるっすよ!」
「姉さん、ちょっと落ち着いて…」
「いやっほぅー!」
バカガキが一匹、バイキングと言う檻に解き放たれ、疾走りだした…頼むから俺に迷惑だけはかけないで欲しい
「クナくん、アイツがバカなことしないかちゃんと見てやってくれ」
「…そうするわ」
…と、まぁ一応言ってみたものの、クールに振る舞っているがクナくんもやはり純真なキッズ…ッ!テレビや雑誌でしか見たことないような色とりどりのケーキの数々に口元がやや緩んでいるのは俺じゃなきゃ見逃してしまうだろう
クナくんは占守クンに待ちなさいと言いつつ追いつき、一緒にケーキをセレクトし始めた…
「…はぁ」
しかしケーキバイキングか………俺には無縁の店だが、ここに来ている客はやはり甘いモン食ってエネルギー充填しているのだろうか?しかし……エネルギーを過剰に供給することにより本体にいらない負荷をかけてしまい本体の寿命を早めることになるのでは?
「お待たせっしゅ!」
「待たせたわね」
そんなエネルギー問題について真剣に考えていると、占守クンとクナくんはケーキの載った皿を持ってテーブルへとやって来た
「大漁大漁っす、あれ?テイトク食べないんしゅか?」
「あ?だってお前らの分しか金払ってねぇもん」
「なんでっしゅか!?ダイエッターなんしゅか!」
「別にケーキなんかしこたま食いたくないしな、まぁ、俺のコトは気にせず腹痛くなるまで食ってくれ」
「ナニ言ってるんしゅか!?大人ぶって…!大人はいつだってそう言う!!」
や、だって俺、大人だからな…占守クンはウソだろオマエみたいな顔しながら皿に載ったケーキを口に放り込みハムスターみてーに黙った
「…美味いか?」
「ふんめーっしゅ!」モキュ…モキュ…
「そうか…」
…まぁ、バカな子ほど可愛いって言うしな、俺は別料金のコーヒーを飲みつつバカな子に応えた
「…たしかに美味しい、あ、コレも…」
頭の色はファンキーだがかしこい妹のクナくんも、バカな子ほどではないがケーキ的なものは好きらしくゴキゲンな様子でパクパク食っているが………あの耳みてーな変な横髪、動くんだな…
「まぁ、時間内に好きなだけ食ってくれ、あと、俺にケーキバイキング奢って貰ったとか基地で言いふらすなよ、いいな?」
「ふぁんでしゅ?」モキュ…モキュ…
「姉さん、食べてから喋ってよ…行儀悪い」
このガキどもを甘やかしたとか噂が広がるとロクなコトにならんのは最早常識、他のガキどもからアイツだけズリィーぜぇー!とか不満も出るし、最悪、海防艦を甘やかす鬼畜に劣るロリペド野郎の烙印すら押されかねない…
「いいか?“今日は”そして“お前らだけは”トクベツだ、わかったな?」
「あ、それ知ってるっしゅ、オロチ・オロチまがい商法の常套句っす!」
「マルチよ!なんでオロチなのよ…」
後日、占守クンはやっぱり口が軽かったのか、それともバカな子だったのか、普通に基地のアホンダラどもにバレて他のクソガキどもからアイツらだけズリィーよ!と責められ、長門からはオマエだけズリィーよ!と責められ、間宮からはロリペド野郎…とディスられた