不健全鎮守府   作:犬魚

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不定期更新最終章その2

【登場人物】

川奈大佐(完璧王子系)
ヨコスカ所属の大佐、ルックスもイケメン

叢雲(ヨコスカ仕様)
川奈大佐の秘書艦、改二水準にはとっくに達しているものの改でとどまっている変わり者、口が超悪い



提督地獄変【最終章②】

中央司令部に来て初日、カメラ持った職員から写真いいですかー?と快く撮影に応じた俺だったが、翌日にはその写真が東西戦を宣伝するポスターに使用されていたワケだが…

 

「加工しすぎだろォォォォォ!!」

 

「あ~…これは完全に悪の顔ですね」

 

「なんで俺の額に“死”とか書いてあんだよ、っーかなんで中指立ててんだよ!昨日そんな写真撮ってねーだろォォォ!?」

 

「映像技術課驚異の技術ですね」

 

っーかプロレスかッ!たかが演習にどんな宣伝してんだよ、バカか?これは何か?俺が勝っちゃいかん流れか!?クソッ!舐めやがって……

 

「俺はワカバヤシのかませ犬じゃねーぜぇー!」

 

「はいはい、かませ犬かませ犬」

 

こやつめ、上司に対する“敬い”の心が足りておらぬとみえる、上司と部下には3つのUが大事なのだよ、3つのUがよォ~…

 

「まぁいい、既に起こってしまった事象は変わらないし変えられない、コレはコレとして受け入れるのが大人なのだよ」

 

「大人の特権ですね」

 

そんなワケでやって来ましたヨコスカ…

俺達は大将殿と共に専用の黒塗り送迎車ではなく普通の個人タクシーで横須賀鎮守府へと入った…

 

「なかなかキレーな基地じゃねーの?落書きとかないし」

 

「ウチとは大違いですね、落書きとかないし」

 

「オマエんトコはもーちょいなんとかせい」

 

大将殿の言うコトはもっともであるが、これは俺の何よりも“自由”を尊ぶ教育方針でもある、もしかしたらタダの落書きなように見える絵が有識者が見たら芸術的なアートだと絶賛するかもしれないし、魍魎や朧童幽霊などの漢字を書く練習にも役に立っているかもしれないのだ、決して色々面倒くさいワケじゃあない…

 

…そんな小綺麗な基地施設を歩いていると、執務棟らしき建物から誰かやって来た

 

「待っていたわよ」

 

この気が強くてア●ルが弱そうな顔………たしかムラクモ…?だったか

その叢雲ガールは大将殿によく私の前に顔出せたわねクソがとかブツクサ言っていたが大将殿はガハハハと笑っている…なんだ?仲良いのか?

 

「それと………五月雨?よね?」

 

「そうですよ、お久しぶりです叢雲ちゃん」

 

「………え?五月雨よね?アタシの同期の…?」

 

「そうですよ」

 

「そ、そう……へぇ、アンタそんなだったかしら?ちょっと変わった…?なんかもうちょっと可愛いらしかったと言うか…」

 

「………叢雲ちゃん、人って言うものは変わるんですよ」

 

久しぶりの同期の再会か、そう言えば俺と川奈クン同様、この叢雲ガールと五月雨も同期になるんだよなと考えていたら、叢雲ガールから胸ぐらを掴まれたッ!

 

「アンタッ!!この子に一体ナニしたの!?」

 

「な、なんだキミは!ぶ、無礼だぞキミぃ!」

 

「この子は私達の同期でも人一倍鈍感で!優しくて…!ちょっとドジなトコもあるけど……頑張り屋で…!」

 

それがこんな…!まるで10年も修羅場をくぐったみたいなスゴ味を!とか言いながら俺の身体をガックンガックン揺らすッ!コイツ…!なんてパワーだッ!コイツはヤバいと危機を感じていると、五月雨がまぁまぁと叢雲の肩を叩いた

 

「まぁまぁ叢雲ちゃん、私だってそういつまでもドジっ子じゃないですよ、あ、ほら、成長ですよ成長、成長したんですよ?私も」

 

「五月雨ェ…!」

 

そうだぜ五月雨…“栄光”はオマエと共にある!

俺は常日頃から部下達に“成長”しろ!“成長”しなきゃ俺達は“栄光”を掴めねぇ!とアツく指導してきたッ!

 

「…まぁいいわ、アンタとはまた後でゆっくり話すとして……そこのメガネ、ウチの司令官がお待ちかねよ、付いて来なさい」

 

「オイオ〜イ、誰が超絶美形提督だって〜?いやぁ〜テレちまうなぁ〜」

 

「言ってないわよッ!」

 

まったく、小粋なジョークだと言うに…ツンツンしおるわい、カルシウムが足りていないのだろうか?

 

ーーー

 

そんなワケで、俺達は叢雲ガールに案内されてやって来た応接室………グゥゥム、ウチより広いな

 

「お待ちしてました、梶輪大将、それと…」

 

「よぉ!川奈クン!久しぶりー」

 

横須賀鎮守府所属、川奈大佐………俺とは同期であり、非常に優秀な男でルックスもイケメンだ

 

「お久しぶりです」

 

イケメン特有の嫌味のないオーラで久々の再会に握手を求めてきた川奈クンと握手をかわし、俺達はとりあえず応接室のソファーに座った

 

「叢雲、コーヒーを」

 

「はいはい、コーヒーね…っと、全員コーヒーでいい?紅茶もあるけど…」

 

叢雲ガールはコーヒーが苦手な人の為にと別の選択を用意してある、なるほど、よくデキた秘書だな…

 

「私はオレンジジュース、果汁100%のやつで」

 

「ワシは緑茶にしてくれ、舌が火傷するほどアツいヤツ」

 

「ミネラルウォーター、フランス製じゃないと死んでも飲まないコトにしてるんだ、俺…」

 

叢雲ガールは露骨にイヤな顔をして“なら死ね!”と言った後に全員コーヒーねと言ってコーヒーを淹れ始めた

 

「なかなかデキた秘書艦だな、川奈クン」

 

「えぇ、俺には………勿体ないです」

 

そしてこの謙遜ぶり、イケメン特有の爽やかさすら感じる謙遜なのだよ

 

「さて、それでは互いにアイサツも済んだところで………ワシからオマエらに話しておくコトがある」

 

「なんだよ?言っとくが八百長なら応じねーぞ」

 

「やましい、黙って聞けい」ギロッ!

 

………なんだ、真面目な話か





次回は通常回、たぶん
週末に私用で東側に行くので土曜日はシーパラあたりをフラっと見てくる感じなのでたぶんその辺で拾ったネタを使う予定です

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