【登場人物】
五月雨(駆逐艦)
通称青髪ロング子、コーヒーマズく淹れるドジっ子属性、絶壁
由良(軽巡)
通称由良さん、五月雨とはほぼ同期、提督の苦しむ顔を見るのが好きな真性ドS、絶壁
鳳翔(ママ)
通称ビッグママ、あのチンピラ一航戦も頭が上がらない空母界の頂点に君臨するNo.1空母
基地施設内にひっそりと存在する夜の店、倶楽部HO-SHOW…
「ギャハハハハハ!聞いてくれよママー、ボク今日パチ●コで勝っちゃってさぁー!いやぁー、やっぱあの台で粘って良かったよー、ま、粘り勝ちっーか?俺の読みが当たったっーかー?ギャハハハハハー!」
「ウェーイ!テイトク、ウェーイ!」
「テイトクテイトク、14ボトル入れていいかなー?」
『『『いいともー!』』』
現在、海軍では重要な海域作戦が展開中であるが、そんなものは知った事ではない、大人は時に、酒に浸りたい夜もある、酒に酔い、女に酔い、金を撒く、大人とはそうして明日からまた頑張ろうと心に秘め、明日への活力とするのだ…
「うるさいんだよアンタらッ!もーちょい大人しく飲めないのかい!」
「ウェーイ!ママ、ウェーイ!」
「ママー!ボトルー!ピンロゼー!」
…たまたま手にした臨時収入、楽しい酒の席では外せないお気に入りの娘であるポーラと14をライトとレフトに並べ、時折ポーラのおっぱいや14のフトモモを撫で回すその姿たるや………まっことクズっ!クズ…っ!救えない…っ!
「ギャハハハハハハハハー!ママー!おっぱい大きい娘いねーの?おっぱい大きい娘!キンパツ巨乳とかさぁー!」
「フーッ〜………あ、もしもし?サミーかい?アンタ暇なら今から店に来な、オレンジジュースならあるよ」
「オイオイママァ、夜の店に駆逐艦呼んじゃダメでしょ?手が後ろに回っちまうぜ?」
ビッグママこと鳳翔は電話をカウンターに置くと焼酎の瓶を棚から取り出し、グラスに注いだ…
「まったく、チョーシに乗るんじゃないさね、ボーイ」
「ボーイはやめてくれよ、ボーイは」
◆◆◆
「フーッ〜………ようやく静かになったさね」
「そうですね」
ママから呼び出しを喰らい、倶楽部HO-SHOWへ行く途中、由良さんと会い、どこに行くのか聞かれ特に隠す必要もないのでママの店に行くと答えると、由良さんは暇だからと言って一緒に付いてきた…
「あー…あー、由良の服汚れちゃったー」
血に濡れたボトルを片手に、カウンター席に戻ってきた由良さんはイチゴサンデーを注文しつつ私の隣に座った
「サミーは何にしたの?ね?」
「オレンジジュースですけど?」
「ふ〜ん」
とりあえず、由良さんの頰についていた血痕が気になるので、手元のおしぼりを由良さんに渡し、頰のところを指差してやった
「ありがと、珍しく気が利くね?ね?」
「そうですか?」
そう言って由良さんは私のオレンジジュースを手に取ると普通にグラスに口をつけた
「ママー、やっぱサイダーないー?サイダー」
「あと私の分のオレンジジュースもう一杯ください」
由良さんはやっぱ身体を動かすとアツいわーとか言いながら無い胸張ってシャツの襟をパタパタと動かしている…
思えば由良さんも昔から胸の無い人だったが、近年はすぐ下の妹さんが急激な成長をしたので希望と同時にイラつきを覚えているそうです…
すぐ下の妹に胸の大きさを負けてるぐらいでイラつくなんて心の狭いコトだ、人間、あぁなってはいけませんね
「ちょっと絶壁って言われたぐらいでやりすぎじゃないんですか?」
「はぁ…?由良のコト舐めてんの?」
私達の背後にあるボックス席には今、3つの死体がソファーで眠るように転がっている………いずれも半裸の若い男女、いや、男は若くはないかも…?まぁ、その男は頭から血をドクドクしているがたぶん大丈夫だろう
若い女、1人は外国人で非常に酒臭く、こうやって黙っている姿だけなら誰もが目を奪われる美少女と言っていい
もう1人も見た目だけならとても快活そうな美少女だが、何故か着ていたものが水着な点がなんとも犯罪臭を漂わせている…
「由良は心が広いから絶壁は許すけど、嘆きの壁は許さない」
「あ〜…嘆きの壁は許せませんね、たしかに」
「ね?」
それはこの男が悪い、うん、悪いですね、あと、由良さんは全然心広くないですけど?ママが入れてくれた私のオレンジジュースに手で握り潰したアーモンドをパラパラ入れてるんですけど?
「ナニやってるんですか?それ?」
「絶壁サミーちゃんの為に優しい由良さんがトッピングしてあげてるの」
「………ハァ?」イラッ
優しい由良さんの心尽しにとりあえず口で感謝し、お返しにと由良さんのサイダーに握り潰したカントリーマ●ムをパラパラとトッピングして返した
「…ナニ?由良にケンカ売ってんの?」ユラァ〜…
「売ってませんけど?」
互いに射程は必殺の距離、先に動いた方が…
「フーッ〜…由良もサミーも仲良くしな、アンタら昔は仲良しだったろ?」
「ママ!………いやいやいや、別に仲悪くないし!ね?」
「そうですよママ」
「ハァ…まったく、あの頃は一杯のスープを分け合うくらい仲良しで愛嬌もあったのにねぇ、全部そこのボンクラに悪い影響受けたせいさね」
そう言ってママはカウンターの奥にしまってあったらしい1枚の写真を取り出し、懐かしそうに眺め始めた…
「それいつの写真?」
「まだアンタらがお互いに足の引っ張り合いだの髪の引っ張り合いだのに毎日揉める前さね、この頃は可愛げがあったねぇ」
まぁ、そう言われると、たしかに昔は由良さんともうちょい仲良かったような気が………提督と由良さんがしょーもないコトで揉めて、それを私が止めようとしてお腹パンチ喰らって………あ、思い出したら腹立ってきた
「フーッ〜………ま、仲良くしな、仲良く、サミーも由良も、そこに転がってる死体だけじゃない、みんな大事な私の家族さね」
「…まぁ、ママがそう言うなら、ね?」
「ママに言われたら仕方ないですね」
私達は何年ぶりになるだろうか、お互いに手を握り…
ギリギリギリギリ!(握手)
「………由良さん、それ思考力のツボですよね?」
「…サミーこそ、それ提督がやってるアレでしょ?なんちゃらの悲劇」
「アンタら、いい加減にしないさね」
次回はたぶん第四海域、帰ってきた深海の大物!中枢棲姫!