不健全鎮守府   作:犬魚

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不定期更新の最終章、その3!
帰ってきた主人公?

【登場人物】

五月雨(秘書カーン)
まだ可愛いげのある時代の写真もママの店には残ってる

叢雲(ヨコスカ仕様)
川奈大佐の秘書艦、ツッコミ属性持ちだが、川奈大佐にはツッコミ入れる隙がない




提督地獄変【最終章③】

次期東西戦について予め双方への擦り合わせがあるとのコトでと中央へとやって来たワケですが…

 

梶輪大将から時期や形式などのワリとどうでもいい話があった後、梶輪大将は提督と川奈大佐にだけ伝える事があるとか言って2人を連れて中央司令部の地下にあるらしい男達が全裸で向かい合って話し合う部屋に行き、私と叢雲ちゃんは特に何をするワケでもなく手持ちぶさたになったので自販機コーナーのベンチに座っていた…

 

「しかしホント久しぶりね、元気………してた?」

 

「まぁ、それなりにですね、叢雲ちゃんもイケメンの大佐の下、元気そうでなによりです」

 

「アンタなかなか言うよーになったわね…」

 

同期の叢雲ちゃん、まぁ、所謂、因縁の相手と言うヤツですが私個人としてはあまり気にしてません

 

「まぁ、噂は色々聞いてたケド……しかしまぁ、危なっかしくて可愛げのあったアンタが随分と落ち着いたもんね」

 

「そうですか?」

 

「そうですか?じゃないわよ」

 

まぁ、そこら辺の自覚もあります、我ながら、昔はもうちょっと可愛げがあった気もしますが、毎日毎日提督と由良さんの殴り合いに付き合ってたらそりゃ可愛げとか言ってられなくなりますよ…

 

今でも、提督やウチの所属艦の人達と上手くやれていたのは本当なら私ではなく叢雲ちゃんの方が向いていたと思いますし

 

そんなワリとどうでもいいコトを考えていると、叢雲ちゃんが缶コーヒーの缶を指で弾いてこちらに視線を向けた

 

「ねぇ、ナニ話してると思う?」

 

「ナニ…?と言うと?」

 

「あのクソジジイ、私らに聞かせたくない話があるから外したんでしょ?何だと思う?」

 

「そうですね………ワシとクーデターやろーぜ!みたいな話じゃないですか?今の腐敗した上層部をブッ潰して新しい秩序と正義を〜…とか?」

 

「…やめてよね、さすがにシャレにならないわ」

 

叢雲ちゃんは、それにしてもアンタジョークのセンスないわねと小粋なサミダレジョークをディスり、飲み干した缶コーヒーの缶をゴミ箱に放り込んだ

 

「ナイスショット」

 

「接待ゴルフかッ!」

 

ほら、やっぱこのキレのいいツッコミはうちの提督にこそ必要な人材ですよ

 

「ま、あのクソジジイ、今日は私達もう好きにしていいって言ってたし、ご飯でも食べに行かない?司令部(ここ)じゃできない話もいっぱいあるし」

 

「そうですね、どうせ提督達は終わったら飲みにでも行くでしょうし…」

 

たまには私も同期の華と愚痴でも言い合いたいですし……いや、よく考えたら愚痴があるのはこっちだけな気がするので叢雲ちゃんには公平(フェア)じゃないですね…

 

「叢雲ちゃん、私多めに出します」

 

「な、何その妙な気遣い…」

 

◇◆◇◆◆◆◇

 

ニホンより遠く、飛行機で10時間以上離れた南の島…

 

「まぁ、ほどほどに健康ですねぇ、えぇ」

 

「ホントですか?やったぁ!」

 

南の島にある色々と胡散臭いが腕だけは確か医者の処に定期的に通う生活にも慣れてきたが、あくまで慣れたのは生活だけで、この医者にはまったく慣れない、むしろ、もっと別の名医がいるなら迷わずそっちに通うだろう…

 

「ほどほどに健康なところでどうです?両脚にブースターでも付けてみませんか?今なら丁度手頃なエンジンが…」

 

「…ユウに余計なものを勧めるのはやめろ、町医者」

 

問答無用の銃口を向けると、町医者はとても残念そうに仕方ありませんねぇと言うように両手を挙げて肩を竦めた…

 

「あ、ドーベルマンさん、人に銃を向けるのは良くないコトだと思います!お医者様は私の為を想って親切心で勧めてくれてるんですよ、たぶん!」

 

「ユウ、親切心で足にブースター付けようなんて言う医者は居ない…」

 

「そうなんですか?」

 

ーーー

 

過去も名前も捨て、ただ、取り戻した一番大事な物だけを持って此処へやって来てからどのぐらい経っただろう…

穏やかで平穏な暮らし、もう長い事そんな生活を忘れていたせいか、最初は戸惑いもあったが最近ようやく慣れてきた気がする…

 

目覚めてすぐのユウはまだ身体の調子がやや不安定なところがあったが、今はもう殆ど元気と言っていいほど安定している、しいて言えば………身体に対して精神がまだ子供のままで追い付いてない感があるせいか、たまに突拍子のないコトをしたり…

 

「………フーッ〜…」

 

…ただ、慣れないタバコもなんだかんだ慣れてきた

 

「少しお話宜しいですか?お兄さん」

 

「…なんだ?」

 

ユウの定期健診に訪れた本島に住む町医者、腕は確かだが………やたらと露出が多い変態だ

正直、ユウには心の底から近付けたくないが腕だけは確かだ…

ただ、ユウはこの変態町医者がわりと好きらしく、定期健診を結構楽しみにしているから頭が痛い

 

「私こう見えてもなかなかの情報通でしてね、アナタに少々関係がありそうなお話を耳にしたので一応話しておこうかと…」

 

アマミキョウヤくん、と口にした町医者のツラはとびっきりの悪意に満ちている…

 

「フーッ〜…よしてくれよ、その男はもう死んだよ」

 

「そうですか、ならここからは私の独り言になりますが…」

 

ーーー

 

「ドーベルマンさん、ドーベルーマーンさーん?」

 

「ん?あぁ、スミマセン、どうしました?」

 

「どうしたんですな?ボーッとして、珍しくですね?あ、もしかしてアレですか?昼間、オセロで負けたの根にもってますね?たぶん!」

 

………町医者の話を聞いてから、どうにも調子が狂う

ユウは今日のご飯はロコモフ?ロコロコですよーと言いながらキッチンに入り微妙に下手くそな鼻歌を交えて調理する材料を出している…

 

「………ユウ」

 

「なんですかー?」

 

「もし、もし仮に、ぼ……いや、俺が少し家を空けても大丈…」

 

「え?なんですかー?」

 

「…いや、なんでもないよ」

 

「そうですかー?あ、ソースないかも、まぁ、いっか…たぶん」

 

…そうだ、海軍特務中佐、天海キョウヤはもう………





【登場人物②】

ドーベルマンさん(天海元中佐)
南の島在住の元海軍特務中佐、ルックスもイケメンだがややシスコン気味、主人公属性

天海優(たぶん)
天海キョウヤの実妹、色々あって長いこと眠っていたが最近起きた、天真が爛漫な良い娘

町医者(闇)
南の島在住の人体から生活家電まで修理する便利ドクター

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