やだ!ハンサムな人がいるわ!と思ったならそれは私ではありません
※今回のお話は事実を元にしたフィクションです、たぶん甲提督じゃない人もウヨウヨしてたと思いますが、心の弱い私には全て甲提督に見えました、はい
佐世保鎮守府開庁130周年記念行事…
地域密着型であるこの行事の集客力はパない、去年だか一昨年だかに何かやっていた気がしたが、その際にもえげつない集客だったらしく、街は荒ぶる海軍将校や海兵達が集いオ●ラが滅びても仕方ないバ●ターコール状態、おそらくは四皇を迎え撃つ戦力が集中していたそうな…
「行くんですか?それ」
「まぁ、せっかくのチケットだしな」
アツかりし残暑の執務室、俺は手にした“チケット”をどうしたものかとピラピラしつつ冷たいティーを呷った
「卿もどうかね?」
「え?普通にイヤですけど?」
「カッカッカ!こやつめ!カッカッカ!」
こやつめ、なかなか出不精とみえる!まぁ、俺もだが…
「…まぁ、せっかくだし行ってみるか」
佐世保ほどの規模で、しかも地域密着型の行事、一見の価値は十分にあるだろう…
そんなふうに、安易な考えでチケットをピラピラしていた俺はまだ知らなかった………
真の地域密着型行事を…
そこはバ●ターコールなんてものじゃあない…
海●万博のステージであるコト…ッッッ!!
◆◆◆
キュウシュウの西に存在する都市、佐世保…
『だからのぉ~…深海に生きる価値はありゃせん』
『おーおー怖いコトを言いなさる』
『正しくなければ海兵として生きちょる意味はない』
佐世保商店街、通称さるくシティ4●3……
日本一長い!日本一元気なアーケードと銘を打つこの商店街は地域の皆様に愛される商店街である…
しかし今ッッッ!!そんな商店街に一歩足を踏み入れるコトすら躊躇われる!!
「なんて覇気だ…ッ!」
商店街の……いや!この街の至るところに歴戦の猛者達がゴロゴロしていやがる!
すれ違うあの人も…!あの人も…!おそらくは甲提督、甲勲章を持っちょらんのは生き恥と思うちょる…ッ!!たぶん!クッ!あまりの覇気にどう見ても普通のおばあちゃんですら甲提督に見えるぜ…
これほどの戦力が集まるとは……まさかこの街で火拳のAを処刑でもするだろうか?
「なんだ…?あの列は?」
そして次に目につくのは至るところに存在している謎の列…規則正しく並ぶ様はまさに訓練されたそれと言えよう…
ちなみに俺は“頑張る”と“努力する”のが嫌いなので並ぶと言う努力に苦痛しか感じない、並ぶと言う努力をした者だけが結果を獲るのだ、努力なくして結果はなしってヤツだ
「とりあえずコーヒーでも飲むか…」
暑いし、その辺でタバコ吸って良しな雰囲気でもないし、とりあえず喫煙可なコーヒー店にでも行くかと考えていると、たぶん普通のおばあちゃんに呼び止められた
「もし…もし…そこの人」
「はぃ?なんですかー?おばあちゃん」
「ここにはどう行けばいいんですかねぇ…?」
おばあちゃんは手にした地図をプルプル指差し、今ここはどの辺なんですかねぇー?と尋ねてきたので、おばあちゃんっ子である俺は、今はここで、目的の場所へはこのまま真っ直ぐ行けば着きますよぉーと紳士的に答えた
「わかりやすい目印に黄色看板の食べていいオソマの店がありますからねー、いいんですかー?食べていいオソマですからねー?」
「黄色ぃ看板ですねぇ…」
ふぅ、良いコトした後は気持ちいいなぁ、良いコトすると吐きそうになるよ
「まぁいいや、とりあえずコーヒーでも…」
いや、オソマとか言ってたら腹が減ってきたな…
よくよく考えたらお腹はペコちゃんだ、よし!何か腹にモノを入れよう…
この街を歩けば至るところに美味そうなものがあるが……とりあえずバーガーは無いな、並びたくないし
そんなコトを考えつつ歩いていると、パスタ的なランチの文字が目についた…
「パスタか…」
…悪くない、よし!パスタにしよう!パスタなら誰にも邪魔をされず、静かで、豊かに、救われてそうな気がする!そう考えた俺は早速パスタのランチと書かれたお店へと入店した…
ーーー
「スィマセェーン、この、パスタのランチってヤツを…」
なかなか落ち着いた雰囲気のお店だ、カフェ的な感じだがランチもそれなりに充実している、しかし…
そんなお店にもチラホラと海兵らしき者達が居た、どうやらカフェでティーといったところか…
『アレ、みんな死刑でいいんでしょ?』
『おーおー怖いコトを言いなさる』
…………よし、パスタを食べたらすぐ出よう!
『オマエらもうすぐ開場じゃが“棒”は忘れちょらせんじゃろーなァ?』
『まさか!そがいなヤツは海軍にはおらんじゃろう?』
『まったくじゃあ!ガハハハハ!』
…………“棒”?なんのコトだ?棒ラーメン…?いや、う●い棒のコトか?なるほど、携行食をきちんと持っているかの確認と言うワケだな、さすがは一流の海兵達だ
とりあえず、よくわからんがわかった!
「スィマセェーン、お勘定いいですかー?」
よし!とりあえず喫煙所だ!喫煙できるところに行って落ち着こう!
ーーー
「フーッ~…」
喫煙所で気分を落ち着かせ、やって来たのは例の“チケット”が必要になる会場…
この地域密着型行事の目玉となるステージが行われるらしいが…
「クッ!なんて覇気だッ!」
やっぱ火拳か!?火拳の処刑でも行われる処刑会場だとでも言うのかッ!!
やはりここは俺のようなモクモクしちょるだけのクソ雑魚が安易に足を踏み入れていい場所じゃあなかった…ッ!
右も左も前も後ろも誰も彼もがギラついた目をしている…心の弱い俺は正直吐きそうなのだよ!
そして、皆が持っているのは………そう、アレ、そう………光る棒!おそらくは専用であろう光る棒を誰もが持参している
「…………よし」
焦るんじゃあない、俺はただ光る棒を持っていないだけだ、大したコトじゃあない、それにほら?光る棒は持っていなくても男として産まれたからには最初から棒を持っているじゃあないか?
よし、それでいこう!大丈夫、棒ならある!大丈夫、何も臆するコトはない…
そして、メインイベントであるステージが幕を開けるッッッッ!!!
『『『ウオオオオォォォォォォ!!オイッ!オイッ!オイッ!オイッ!オイッ!オイッ!』』』
ごめんなさい、やっぱり吐きそうです…
すまないサミー、だらしない提督ですまない…
だらしない提督ですまない…
◆◆◆
「…と、言うワケなのだよ」
「…はぁ?」
無事、佐世保から帰還し、我が家とも言える基地へ帰ってきた俺は冷たいティーを飲みつつサミーにやはり俺にはこのステージは早すぎたと率直な感想を述べてみた…
「そういやロ●ンスの神様見たぞ、ロマ●スの神様」
「ロ●ンス…?あぁ、アル●ンの人ですか?」
「ア●ペンの人とかゆーな、失礼だろーが」
むしろコイツよく知ってんな、世代じゃないよな?たぶん
「フーッ~………まぁいいや、なんか疲れたのだよ」
「ユン●ルならありますけど?」
「いらねぇよ、サミー、なんか食いに行くか?何がいい?提督様が奢ってやるぞ」
「…ラーメンですかね?」
「フン、卿はよくよく欲がないとみえる」
次回は戦慄!ステキ姫!