不健全鎮守府   作:犬魚

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帰ってきたifエンド回、今回も全3回で6本の予定

とりあえず最初の2本立ては〜…

【雲の彼方に】
【The dream of sheep】

…の2本です、うふふふー


提督とルート分岐のエンディング⑪

【雲の彼方に】

 

かつて、戦争があった…

海から現れた人類に害意を持つ謎の生物、深海棲艦の出現に端を発したこの戦いは世界の海を巻き込む全面戦争となり、海の覇権を狙う様々な勢力が長きに渡り争い、ようやく終わった………しかし、戦争が終わったその時、人類、そして深海棲艦全ての故郷である母なる海に致命的なダメージを与えてしまった、この戦争に、勝ちも負けもなかった…

 

そして、十数年の時が流れた…

 

「と〜………言うワケで、テイト……あ、部長にはこちらの件をお任せしたいのですが」

 

「へいへい…」

 

…あの戦争から十数年、大した戦果もやる気もなく、軍をクビになった俺は退職金を元手に起業でもするかと小さな町工場を立ち上げた…

ア●ルへの負担を軽減し、自然なフィット感を与える画期的な下着、名付けて“辱王”を開発した俺は様々な企業にこれを売り込んだが、やはり名もないただの町工場の商品、そんなものが簡単に売れるワケもなく、銀行からの融資が厳しい状況に追い込まれた…

 

しかし、そんな“辱王”を救ったのは、俺と同じく軍を辞めて起業し、成功をおさめていた夕雲だったッ!!夕雲は銀行から融資を受けられない俺に、業務提携と言う甘い言葉と人妻みたいな色気で俺を誘惑し、まんまと“辱王”のパテントを手に入れた…

 

「っーかまた出張かよ、俺、最近家に帰ってないんだけど?ウチのハムちゃん餓死してるんじゃねーの?」

 

「大丈夫ですよ、テイトクが飼ってるハムちゃんは浜波さんがちゃんと餌を与えてますから」

 

「ふ〜ん」

 

ちなみに、俺の工場は夕雲からM&Aと言う名の乗っ取りに遭い、今の俺は夕雲が代表の大手下着メーカーEve Cloudの社長室付秘書部秘書課のスーパーマルチメディア部長と言うよくわからない肩書きを与えられて飼われている…

 

そして、現在の俺の住居はこの夕雲と姉妹が住んでいる住居の一部を社宅として借りているのだが…

 

「あぁそうそう、今度の件ですが、清霜さんも同行させてくれますか?」

 

「清霜を…?はぁ、別に構わんが」

 

「そうですか、では後で連絡しておきますね」

 

そう言って夕雲はスマホを鞄に入れ、席を立つと壁に掛けてあったコートを手に取った

 

「外回りでも行くのか?」

 

「いえ、これから私用がありまして…」

 

「ふ〜ん」

 

私用か、まぁ、どうせ秋雲の野郎から手伝いでも頼まれてるんだろう…

なんやかんやで念願のプロとしてデビューした秋雲、しかしプロと言っても好きなものを好きに描けるワケでもなく、本人が描きたいアツい少年漫画ではなく毎日毎日あばばばばーとか言いながらホモ臭い漫画を描いており、それなりに人気を得ている

 

「秋雲センセイ、あと、巻雲と風雲にもヨロシク言っといてくれ」

 

「はい」

 

ーーー

 

「ただいマッスルインフェルノ」

 

閑静な住宅街からやや離れた小高い位置にある夕雲姉妹の住む家、いや……家と言うよりは屋敷と言うべきか?とにかく広い…!敷地内でベースボールとラグビーが同時にできちまうぐれー広い!

その敷地内にあるワリとボロい古屋を借りている俺は社宅と言う名のボロ屋に帰ってくると、早速ネクタイを緩め上着を脱いだ…

 

「…おかえりなさい提督、今日は秋鮭と豚汁を御用意しています」ボソボソ…

 

「あぁ、ただいま………あとキタローくん、提督の部屋掃除してくれるのは有難いんだが、鍵とかかかってなかったかね?」

 

「…差し出がましいとは思いましたが合鍵を使わせて頂きました、ただ、お部屋の物はゴミ箱に入っていたもの以外は捨てていません」ボソボソ…

 

「そうかね」

 

…たまにこうして家に帰ってくると、いつもキタローくんがこうして出迎えてくれるのだが、俺のプライバシーについて一度よく話し合ってみたい

 

「…こちらにお持ちしましょうか?」ボソボソ…

 

「いや、あっちで食うよ」

 

「…そうですか」ボソボソ…

 

ちなみに、あっちとは姉妹が住んでるデカい方の家だ、最新のセキュリティを備えているらしく、侵入者はキャットの子1匹生かして帰さない安心安全のセキュリティらしい

 

そんなワケで、俺はささっと着替えを済まして姉妹が集まっているらしいデカい方の家へと向かった…

 

「あ、テイトクだ」

 

「今日はいるんですね?珍しい」

 

「へぇー、あ、ヤベ!死んだ」

 

やたらとデカいリビング、そのリビングでゴロゴロと転がりながらゲームやってる長波と高波と早波…

 

「っしゃおらぁー!」

 

「いだぁぁぁ!!いだいいだい!痛ァァァァァ!!」

 

「スリー!ツー!ワーン!」

 

見た事もない関節技をかけている藤波と、藤波の膝をバシバシ叩きギバーップ!オレの負けだー!と叫んでいる沖波、そして床をバシバシ叩く朝霜

 

「一生懸命回ってる、ウフフフ…ウフフフ…」

 

「…えい」

 

「な、ナニするの岸ちゃん!?なんでボールペン挿したの!?」

 

「なんとなく」

 

回し車を回し続けるハムスターを見ていた浜波と、回し車にボールペンを挿して急停止させた岸波…

 

この姉妹ども、軍を抜けた後もなんやかんやでそれなりにうまくやっているらしいのだが、今のとこ全員がこの実家暮らしらしく、夕雲も常々、誰か1人くらい嫁に行けよと嘆いていた…むしろ提督的にはまずオマエが行けと言いたかったがその言葉は飲み込んだ

 

「あ、テイトクだ、夕雲姉さんから聞いたー?」

 

「聞いたぞ、明日駅集合な、遅刻すんなよ」

 

「なんで駅集合!?同じ家なんだから一緒に行けばいいじゃん!」

 

かつてアホのチャンピオンカーニバル前人未到の7連覇を果たしたアホの中のアホ、清霜も今や立派に成長していた…

 

昔は大戦艦に!オレはなるーっ!と無邪気に言っていたが、そんなアホなコイツもいつの間にやら、大戦艦になる………そんなふうに考えていた時期が、オレにもありましたと言える大人なっていた…

 

「やだよ、なんで朝からオマエと一緒に家を出らにゃならんのだ、パパラッチされたら恥ずかしいじゃねーか」

 

「されないよ!芸能人じゃあるまいし…」

 

そんな清霜も今や俺と同じく、長女夕雲の会社で働く立派な社会の歯車だ、まぁ、かつてアホの子だった面影は未だにちょいちょい感じるトコはあるが、それなりに立派に成長した

 

「ま、いいや、それよかもうご飯だよ、ご飯」

 

清霜は俺の腕をグイグイ引っ張り早く食べよーぜ!と…

 

「…清霜、その薄汚い手を離しなさい」ボソボソ…

 

「え?ナニ?」

 

「…提督、こちらへどうぞ、清霜はあっちに座りな………いえ、便所にでも行って便器に座ってなさい、アナタの分の残飯は後で持って行ってあげるわ」ボソボソ…

 

…今、キタローくんがナニかエグいコト言っていた気がするがたぶん気のせいだろう

 

「テートク!ビール飲むかー?ビール!」

 

「あ?あぁ、あるならくれ」

 

「おらよ…っ!」

 

朝霜のアホンダラは鋭い回転をかけたビールの缶を俺に投げて寄こした

 

「…朝霜、アナタは今日、角砂糖でいいわね?投げてあげるわ、全部口でキャッチしなさい、手を使ったらダメよ?」ボソボソ…

 

…たぶんキタローくんなりの小粋なキタロージョークだろう

 

ーーー

 

「ういーっす!無事に原稿上がった秋雲さんが来ましたよー!なんか食べるモンないー?肉とかー?」

 

夕雲家の晩餐、その、ユダしかいなそうな楽しい食事の最中、ひゃー!イイ匂いがしますねー!今日はスキヤキかなー?とか言いながら秋雲を連れて夕雲達が帰って来た

 

「お、テートクじゃないっすかー?久々っすねー?」

 

「よぉ、秋雲センセイ」

 

「やだなぁ!まだセンセイってホドじゃないっすよー!アニメ化もしてないし!」

 

「そうだな、オマエの一方的なライバルの団地妻エージ先生ぐらい売れないと先生とかおこがましいな」

 

「まったくっす!クソッ!団地妻エージめッ!アンケート1位になったらアイツの漫画終わらせてやる!」

 

その団地妻エージ先生は今、あっちで食器を洗ってるけどな

 

「大丈夫ですよ、秋雲さんの漫画なら!」

 

「そうです!絶対勝てますよ!」

 

「編集さん曰く、なんか人気出てきたらしいし!あ、そーだ、5ページ目のセリフなんだけど、死なすぞダボ!の方が良くない?」

 

そして夕雲、巻雲、風雲のプロフェッショナルアシスタント集団、秋雲組の仲間達…

 

「あ゛り゛がとう…あ゛りがとぉ…!アンタさんらはこの秋雲の最高の仲間っす……いつか描けるかなぁ…?秋雲にも、ワ●ピースみたいな漫画ぁ…描けるかなぁ…」ポロポロ…

 

秋雲は秋雲組の仲間達をアツく抱きしめ、決意を新たに、そして結束を強めた…ッ!

 

「あ、そーだテートク、秋雲の漫画アニメ化したらケッコンしてください」

 

「オマエ、この流れでトンデモないコトさらっと言うのな…ちなみに答えはNOだ」

 

「えー?なんでっすか?別に良くないすか?」

 

「良くねーよ、オマエとは付き合い長いがこれまでそんなフラグ無かったよな?」

 

「フラグなんかくだらねーっすよ!いいすかテートク、ケッコンなんてのは、オマエに一目惚れじゃあ!抱くぞ!でいいんすよ!」

 

「…傾奇者か、オマエは」

 

アホらし、たぶんコイツ漫画の描きすぎでラリってるんだろ、そんなふうに話半分にハイハイ相槌を返していると、キッチンのところでキタローくんがスマホで誰かと話している姿がチラっと見えた…

 

「……はい、はい、えぇ、1位になったら私が嫌いな漫画1つ終わらせてください、え?じゃあ御社の雑誌では2度と描きません、はい、さぁ…?知ったコトじゃないです、えぇ……えぇ、前向きに、はい」ボソボソ…

 

キタローくんも売れっ子だし、きっと色々あるんだろう、色々…

 

 

………後に、秋雲の漫画は謎の打ち切りと言う憂き目にあったが、その逆境を乗り越え、違う雑誌で連載を勝ち取って人気を博して遂に念願のアニメ化を果たしたのだが、低予算だったのか、2話で力尽きて最終回まで作画崩壊する憂き目にあったのはまた別の話

 

おわり

 

■■■■■

 

【The dream of sheep】

 

かつて、戦争があった…

人類VS深海棲艦!その頂上決戦は人類最強の海軍元帥5人に託された、熱血リーダー系提督、クールで知的なリアリスト提督、浮世離れした天才提督、ナマイキショタボーイ提督、出自に不明な点があるミステリアス提督、一時は深海棲艦に追い詰められたが、彼ら5人の活躍により戦いは終わる………ハズだった、しかし!深海棲艦達はそんな彼らの力を軽く上回り、人類は敗北必至かと思われたのだが、そんな時、ひょっこり現れた6人目の提督、佐官ですらない名もなき少尉たった1人の手で深海棲艦は全滅した…

 

ちなみに彼は、いわゆる異世界から転生した系提督だったらしく、並み居る強豪深海棲艦を相手しても傷1つ負わず、むしろ、え?こんなに弱いの?チートでスイマセンと戸惑っていたが、すぐに調子に乗り、とりあえず目についた美女を片っ端からハーレムに加えていったらしい…

 

ーーー

 

戦いが終わり、海軍は軍縮の名の下、不要な戦力は解体され、俺もその解体と言う名のリストラされる側にモチロン入った…

 

「まったく売れねぇな」

 

「売れないワケないわ、だってイイ物だもの」

 

そして、俺は退職金を元手に商売でも始めるかと考え、北欧家具の販売を始めたのだが…

 

「売り方が悪いのよ、むしろこんな田舎のロードサイドで誰が買うのよ」

 

「うるせぇな、市街地だと家賃高いだろーが」

 

売れなかった、それはもうびっくりするほど売れなかった、そりゃそーだ、家具買いたいならそりゃニ●リとかイ●ア行くわ、誰だってそーする、俺だってそーする

 

「だいたいオマエ、ナニがゴトの実家なら家具を安く仕入れられるわだ、バカか?オマエと組んだ俺がバカだったわ」

 

「ハァ!?ゴトのせいにする気!」

 

「ハー………やっぱ短大の近くとかでオシャレなジビエの店とかすりゃ良かったわー」

 

退職金を元手に商売を考えていた時期、俺はたまたまゴトランドの奴と飲む機会があり、オマエどーすんの?国に帰るんだろ?とワリとどうでもいい世間話からスタートし、今何色の下着つけてんの?とか好きな子の名前言いっこしよーぜとか色々テンションが上がり…

 

…………翌日、俺の隣で全裸のゴトランドが寝ていた

 

まぁ、若さ故の過ちを認めたくないのが本音だったが、俺は大人なので過ちを気に病まず、次の糧にしようと考えたね、うん

 

しかし甘かった

 

ゴトランドはその日からもうウザいぐらいカノジョ面全開、もうフルスロットルだよ、おかげで俺が大事に大事に積み重ねてきた浜風ちゃんへのフラグもキレイサッパリ粉☆砕!俺の心は玉☆砕!基地の部下どもは提督が男を魅せたのぉー!と大☆喝☆采!よせばいいのにクズどもは基地を挙げて俺達の門出を祝った………

 

「ただいま戻りましたー」

 

そんな哀しみと悲嘆に彩られた過去について考えていると、アルバイトの岸くんが出先から帰ってきた…

 

「おう、おかえり」

 

「どうだった岸ちゃん?家具売れた?」

 

「売れるワケないじゃないですか、バカなんですか?」

 

岸くんはゴトランドのダボに言葉と言う名の鋭利なナイフを突き立てた

 

「お菓子は売れましたよ、完売です」

 

「そうかそうか!そりゃ良かった!ほら見ろ!やっぱ北欧菓子だよ!北欧菓子!」

 

どう考えても家具なんてポンポン売れるワケがねぇ……

そう考えた俺は岸くんと相談し、他に何かないかと考えた結果、一応、本場スウェーデンから来たバカが居ることを活かしてスウェーデンのオシャレなスイーツを作って売るコトにしたのだが…

 

「評判はすごく良かったですね」

 

「そうだろそうだろ!なぁオイ、ゴトランド、やっぱ家具はダメだ、明日からスイーツを主力にすっぞ、スイーツ」

 

「ハァ!?イヤよ!ゴトはここでゴトが作った家具の素晴らしさを広めるのよ!」

 

「やかましい」

 

「人類の発展と安心は完成された家具があってこそ成りたつのよ!だから……家具を軽く見る奴等に!発展と安心はありえないのよ!」

 

…ダメだコイツ、早くなんとかしないと

 

「岸くん、岸くんからもこのバカに言ってやってくれ」

 

「ゴトランドさん、正直マジキメぇです」

 

「ヒドいっ!!岸ちゃんヒドいわ!!ゴトのコト嫌いなの!?」

 

「……そうですね、まぁ、単純な好きか嫌いかの二択を迫られるとかなり迷いますが、ゴトランドさんとは同期のよしみもありますし、付き合いも長いですし、ぶっちゃけドン引きする点も多々ありますがギリギリで好きを選びますね」

 

「き、岸ちゃん!」ポロポロ…

 

ギリギリ好きに仕分けられたゴトランドは岸くんをアツく抱きしめ、アリガトウ!アリガトウ!とアツい涙を流した

 

「アリガトウ岸ちゃん!岸ちゃんにチ●ポあったらゴトはこのフニャ●ンメガネじゃないで岸ちゃんを愛したわ!」

 

「誰がフニャ●ンだ」

 

むしろコイツが性豪すぎる、コイツ、夜はとんでもないサキュバスだよ

 

「提督とゴトランドさんの爛れた夜の生活とかどうでもいいので離してください」

 

「あ、ゴメンゴメン」

 

しかし岸くんもなんだかんだと軍を抜けた後も俺たちに付き合ってくれるあたり、ぶっきらぼうだが根はとても良い子なのだろう

 

「とりあえず明日からスイーツ主力にすっぞ、スイーツ」

 

「家具はどうするのよ?」

 

「スイーツのついでに家具もいかがですかー?って勧めろよ」

 

「ナルホド……アリかも!」

 

 

こうして、俺達の店はスイーツショップへと華麗な転身を遂げ、まったく売れなかった売り上げは右肩上がりに順調に上がっていった…

オシャレなスイーツショップへと転身する際、意外にも店の商品であった家具が店のオシャレさにマッチしたのか、北欧系カフェとしてバエルと言う思わぬ副産物として機能し、なんやかんやで家具もそこそこ売れるようになった

 

 

「ところで岸くんはなんでウチで働いてくれてるのかね?」

 

店も右肩上がりの軌道に乗ったある日、ふと、岸くんに聞いてみた

 

「………笑いませんか?」

 

俺の質問に、珍しく困ったような顔をした岸くんは少し考えた後、ゴトランドがウチの庭で飼っていた黒くてモコモコした羊を指差し…

 

「………アレ、可愛くないですか?」

 

ワリとしょーもない理由だった

 

おわり




次回は〜…

【我儘な美女】
【My little lucky girl】

の予定です、たぶん
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