不健全鎮守府   作:犬魚

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恋しちゃう季節の胸キュンロイヤル・ストレッチ

【登場人物】

提督(尿切れが悪い)
寒くなると尻もヤバい、でも辛いもの食べたい

Ark Royal(騎士)
見た目は美人、性格は真面目の優良に見える事故物件

Warspite(女王)
至高の御方、最近の癒しはジャーヴィスの飼い猫

Nelson(余)
偉大なる余、知らなかったのか?大戦艦からは逃げられない


提督とアークロイヤルと恋愛の達人-英国の逆襲-

急な冷え込みに参るぜと言いたくなる秋の終わりの日、執務室で真面目に仕事をしていた俺は大か小かと言えば小の気配を己の中に感じ取り、執務棟の外れにある提督様専用の便所へと向かっていた…

 

「あ〜…こうも寒いと尿が近くていかんなぁ、なぁオイ」

 

そんな急ぐ足取りで便所へと歩いていると、廊下の先に赤い髪の聖なる騎士みたいなのが居た…

 

「ん?あぁ、Admiral…丁度良かった、今からAdmiral Officeへ行くところ…」

 

「悪いな、急ぐんでな」

 

俺は立ち塞がる女騎士を華麗にスルーして突破した

 

「ま、待て待て待て!少し待てAdmiral!話があるんだ!」

 

しかし背後から肩を掴まれた!

 

「だから急ぐって言ってるだろーが!話なら後で聞いてやる!」

 

「そう邪険にしないでくれ、別に大した話ではないしすぐに終わるんだ!」

 

「大した話じゃないなら後にしろよ、俺は急いでるんだよ、俺の欲棒はもう既にパンパンなんだよ!」

 

寒くなるこの時期、コーヒーの利尿効果はバツグンだ、既に尿意を感じて3分は経過している、俺の欲棒は荒ぶる獣性を解き放ちたがっているのだ…

むしろ、可能であるなら便所まで行かず執務棟の裏で立ちションでもしたいが俺は知性溢れる大人なのでそれはしない、いや、どうしようもなく追い詰められたらわからんが…

 

「ヨク・ボー………?あぁ、そうか、それは悪かったな」

 

「わかってくれて嬉しいよ」

 

「なら……仕方あるまい、女王陛下の騎士たる私がAdmiralのその猛る己自身から放たれる臭いものを浴びる覚悟を決めよう」

 

「オマエナニ言ってんの!?俺はただションベンしたいだけなんだよ!トイレに行きたいんだよ!」

 

「クッ!大したAdmiralだ、まずは小便をかけて騎士の尊厳を奪おうと言うつもりか…!」

 

「なんでオマエに小便かける必要があるんだよッッッ!!」

 

なんなんだコイツ!!女騎士か!?俺はとりあえずこのメンドくさい女騎士にションベンしてから話聞いてやるからとダッシュで便所へと走り出した

 

「まぁ待てAdmiral、ならツレ・ショーンでもしながら私の話を聞いてくれないか?」

 

「なんでオマエとツレションしなきゃあならんのだ、っーか、俺とオマエでツレションは無理だろ!?」

 

「無理なのか…?いや、ツレションとは仲の良い者同士が連れ立って小便をする友情を深める行為と聞いたのだが…?」

 

大まかには間違いは無いが、ナニか致命的に間違いがある…

 

◆◆◆

 

「フーッ〜………スッキリしたぜェ〜…」

 

無事、欲望の黄金を解放した俺はキチンと手を洗い、鏡の前で今日もハンサム顔な事を確認して便所を出た…

 

「む、よくやく出たか……フッ、奇遇だなAdmiral、私も今出たところだ」

 

…トイレを出ると、女王陛下の誇り高き騎士が待っていた、っーかナニが私も今出たところだ、おデート様の待ち合わせかっーの

 

「で?俺をトイレまで執拗に追い回していったい何の用だ騎士様は?」

 

「あぁ、別に大した用ではないんだがな」

 

大した用じゃないなら追い回すなよ、なんだよコイツ、俺が紳士じゃなかったらそのキレーな顔フッ飛ばしてやってるぞ

 

「あれはそう、つい先日のコトだ…」

 

「オイ、もしかしてその話、長くなる系か?」

 

「いや、大して長くはならない」

 

「手短かに頼むぞ、手短かに」

 

ーーー

 

あれはそう、つい先日のコト…

 

私はいつものように女王陛下にティーを淹れ、本日の予定、明日の予定、明後日の予定、今後の予定などをお伝えしていたのだが…

 

「Ark、その話、長くなるかしら?」

 

「ハッ、あと原稿用紙3枚分ほどかと…」

 

「………ハァ」

 

我が女王陛下は膝に乗せたジャーヴィスの飼い猫を撫でつつとても疲れたお顔をなさっているのを不審に思った私は、我が女王陛下はもしや体調が優れないのかとお伝えすると我が女王陛下は額に指を当て深く溜め息を吐いた

 

「Ark、ちょっといいかしら?」

 

「ハッ、なんでしょう?女王陛下」

 

「アナタ、最近Admiralとはどうなの?」

 

女王陛下はこの短い“どう?”に何を込められたのか…?至高の御方である女王陛下の深いお考え、私には到底その奥に秘められし真の意味を理解するには難しい…

 

騎士として恥ずべきコトではあるが、この意味を女王陛下にお伺いするしかない…

 

「どう…?とは?」

 

「…最近Admiralと交遊は深めているのですか?」

 

「交遊ですか、いえ、特には………あ、そう言えば最近ジェーナスがAdmiralにブタマーンなる菓子を貰ったらしく、それはそれは大層喜んでい…」

 

「ジェーナスのコトはどうでもいいです!」

 

女王陛下は右手でテーブルをダァン!すると、膝に乗せていた猫がビックリしたらしく、女王陛下の膝を降りて今度は別のソファーでくつろいでいたネルソンの膝の上に座った

 

「んん?なんだこやつ…フム、このネルソンの膝の上に乗るとは、なかなか見所が、ある!」どんっ!

 

女王陛下は“失礼、少し興奮してしまいました…”と勿体なきお言葉を述べた

 

「…ブタマーン、後でジェーナスに聞いてみましょう」ボソッ…

 

「女王陛下?」

 

「いえ、なんでもありません」

 

猫は膝から居なくなかったが気を取直したらしい女王陛下は改めて最近このアークロイヤルはAdmiralと交遊が無いのではないかと問いかけてきたので、たしかにありませんなぁと率直で嘘偽りない回答を述べた

 

「ハァ………Ark、アナタに一つ命令します」

 

「ハッ!なんなりと!」

 

「Admiralと交遊を深めなさい」

 

「…交遊、ですか?」

 

わからん、女王陛下のお考えが……いや、しかし女王陛下は至高の御方、私には考え及ばぬ何か巨大なナニかがあるのだろう

 

「しかし交遊と言っても一体何をすれば…」

 

「あるでしょう!一緒に食事に行ったりshoppingに行ったり!」

 

「なるほど……さすがは女王陛下、わかりました、では早速Admiralに声をかけアカシストアーとマミー屋にでも…」

 

「違うッッッ!!」

 

女王陛下は再びテーブルをダァン!した

 

「もっとこう……外で!そう!外に遊びに行きなさい!」

 

「外へ…?しかし女王陛下、それでは私が女王陛下のお傍から離れる事になりますが…」

 

「構いません」

 

「いえ、しかし…このArk Royal、女王陛下の騎士としてその務めを果たす事が…」

 

「い い か ら!大丈夫です、ほら!Nelsonもいます!」

 

「しかし…」

 

「Ark、これは王命です」

 

女王陛下は王笏を手に、至上の命令を下された…

 

「フッ…Arkよ、王直々の命令だ、交遊する資金はこのNelsonが出してやろう、最高級の交遊を深めてくるがいい、最高級のな…」

 

「Nelson…ッ!」

 

「わかりましたねArk、何も今日明日でキメてこいとは言いません、とにかくアナタはまずAdmiralとSteadyな仲……ではなく、親睦を深めるのです」

 

「は、はぁ…?」

 

ーーー

 

「………と、言うワケでな」

 

「話長げーよ」

 

って!陛下ァァァァァァァァ!!まさか陛下がバックにおられるとは……クッ!陛下はいったい何をお考えなんだ!

 

「それでだ、このArk Royal、女王陛下直々の命を果たしたいのだが……どうにも勝手がわからなくてな、ならばここはAdmiralに直接聞いてみるのが吉と考えたワケだ」

 

「何が吉だ」

 

つまりアレだ、陛下としては俺とこの女騎士が2人で遊びにでも行けばOKなのだろう、グゥゥゥム…高貴な御方の考えるコトはわからん

 

「ハァ…わかった、オーケー、わかったよ騎士様よ、オマエどっか暇な日あるか?」

 

「無いな、何故なら私は常に女王陛下のお傍にいるからだ」

 

「…わかった、陛下には俺から話しとくわ」

 

とりあえず近所のイ●ンモールにでも行って映画でも見ればミッション成功だろう、たぶん

 

◇◇◇

 

後日…

 

「ウッギャアー!!噛んだァァァァァ!このド畜生!アタシを噛みやがったァァァァァ!」

 

「ジャーヴィス、アナタもう少し静かにできない?」

 

主に海外艦の住むインターナショナル寮、その中でも群を抜いて高貴な雰囲気が漂う英国艦御用達の部屋…

 

その、高貴な部屋で豪奢な椅子に座り、読書をしつつ優雅にティーを楽しんでいた女王陛下は、飼い猫に手を噛まれ部屋の絨毯を転げ回る小淑女にトゲを刺した

 

「それと、ド畜生とはなんですか?ド畜生とは、淑女として恥ずべき言葉遣いです」

 

「フーッ!フーッ!クッ……こ、このクソネ…」

 

「今、クソネコとか言いましたか?………ジャーヴィス」ギロッ!

 

「言ってまセン!」

 

「…宜しい」

 

女王陛下は読んでいたハードカバーを閉じ、小さく溜め息を吐くと、部屋の扉をノックする音が聞こえたのでどうぞと答えると、普段とは違い、珍しくラフな格好のアークロイヤルが入って来た

 

「ただいま戻りました、我が女王陛下」

 

「おかえりなさいArk………それで?」

 

「それで…?とは?」

 

「いえ、親睦は深められましたか?」

 

「はぁ、多分に………おそらくは女王陛下の御期待に十分応えられたかと」

 

「そうですかそうですか!えぇ、えぇ…!ご苦労様でした、えぇ!」

 

女王陛下はアークロイヤルの手を握り、アナタはやればデキる娘だと信じていましたよと厚い労いの言葉をかけてその労をねぎらった

 

「あと、コレ、Admiralがつまらないモノですが是非とも女王陛下にと…」

 

「コレは…?」

 

「ブタマーンだかニクマーンとかなんとか庶民的な食べ物です、私も食べましたがなかなかの味です」

 

「まぁまぁまぁ!Admiralったら、そんは気を遣わせてしまって…」

 

アークロイヤルからお土産の入ったビニール袋を受け取った女王陛下は大変上機嫌な様子で手を叩いた

 

「………Ark、チョットイイー?」

 

「ん?あぁ、なんだジャーヴィス、居たのか?」

 

「居ましたヨー?え?ナニ?Ark、今日どっか行ってたノー?1人で?ねぇ?1人で?」

 

「いや、Admiralと親睦を深めるべく街に行っていたが?」

 

「ヘェー…ソーナンダー………」

 

ズダアァン!!(ロイヤルローキック)

 

「ファーックス!!」

 

「痛ァァァァァ!オイやめろジャーヴィス!なんだいったい!?」

 

 

この後、寮内を猛烈な勢いで暴れ回るジャーヴィスだったが女王陛下のロイヤル王笏の一撃で撃沈し、壁にメリ込んでドクドクしていたところを妹に回収された

 

ちなみに寮内を色々壊したのはネルソンが弁償してくれた


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