【登場人物】
叢雲(完璧艦娘)
下等が…ッ!
五月雨(髪が長い)
いけないなァ…提督のことを悪く言っては
東西戦決戦!叢雲VS五月雨…!
オーソドックスを極め、スピード、パワー、センスと軒並み高水準の能力を遺憾無く発揮する叢雲と、同じくこちらもオーソドックス、しかし能力値自体は平凡な白露型駆逐艦の域は出ない五月雨
開戦序盤は性能面から改二である叢雲優位と思われたが平凡の域を出ないハズの五月雨が隠していた強烈なカウンターが直撃こそしなかったものの演習を観る者全てを驚愕させ、叢雲優位の評価がやや揺らいだ
そして、互いに司令塔である提督から次なる指示を受けての中盤、叢雲はカウンターを警戒しつつも高性能を活かして小技で確実に削る作戦、五月雨は序盤からと変わらず防御と回避に専念し、カウンターの機会を伺っていた…
ーーー
「…チッ!ホントに硬いわね、あの子」
『小さいとは言えダメージは確実に入っている、焦らずに、確実にだ』
「わかってるわよ」
カウンターはかなり危険だが、こうして警戒していれば問題はない、スピードもパワーも自分が優っているし、仮に相手が攻勢に転じたとしても正面から切って落とせる
カウンターと言う大砲を除けば、間違いなく目の前の相手は平凡な性能だ
「…さすが叢雲ちゃん、強いですね」
「まぁね、ウチの提督に付いて行くにはトーゼンよ」
「なるほど」
中央からも目をかけられ次期大将とも目される川奈大佐、海軍兵学校を優秀な成績で卒業し、新人時代から非凡な作戦遂行力を遺憾無く発揮して戦果を挙げ、多くの艦から慕われる人望と統率力………そんな完璧の傍らに居続ける為には、自らも完璧でなければならない
着任以来、多くの優秀な艦が川奈大佐の下に集まったが、この位置だけは誰にも譲らなかった、そしてこれからも譲らない
「アンタはどーなの?アンタ専業秘書艦なんでしょ?」
「さぁ?どうと言われても…」
「…ま、あの小憎たらしい冴えないメガネのナニがいいかはまったくわからないけど」
「まぁ、たしかに普段は冴えないですが、たまには冴えますよ」
「へぇ、そうなの?」
付かず離れず牽制気味な距離で地道な小技を重ねてはいるものの、五月雨のガードはやたら堅い
「ああ見えて福利厚生とか就業時間とか有給消化とか意外とマメにチェックしたり改善したりしてますし、毎回グチグチ文句は言いますが本部からの作戦は無理のない形でキチンと遂行して一応の戦果は挙げてますし、基地の娘からもカスだのクズだの言われてますが、なんやかんやでみんなから嫌われてる感もないですし、それなりに上手くやってますよ」
「へぇ〜………ってか、アンタ意外と饒舌ね」
「そうですか?」
「まぁ、アンタもその意外と嫌ってない一人ってワケね!」
チッ!上半身狙いからフェイントかけての足刀もキッチリガードされた…ッ!
でも、反撃の余裕はないみたいね…
地力で勝る分、たぶんこのまま行けばコイツに勝てる、勝てるけど………一旦距離を置き、インカムのスイッチを入れる
『どうした?』
「アタシ、あの娘の距離で勝負したいんだけど?」
『………勝てるか?』
「勝つわ、アンタの右腕を信用しなさい」
『わかった、行ってこい』
インカムのスイッチを切り、今までエコモード気味にしていた艤装に全開の火を入れ、一気に加速するッッ!!
「さっみ…ッだれェェェェ!!」
ドンッ!!!!
急加速で正面から叩き込んだストレートはガードの上から五月雨を大きく仰け反らせる!
「クッ!!」
「ここから先は正真正銘、全力全開でいくわよッッ!!」
「こっちは最初から全力なんですけど…」
「堂々とウソつくんじゃないわよ!ったく……ほら、勝負よ!真っ向勝負しなさい!」
「えー…真っ向勝負だと叢雲ちゃんのが強そうだからイヤなんですけど」
「やかましい!予告してやるわ………アンタは正面から、ブッ…倒す!!」
◆◆◆
「フーッ〜………」
ようやく最終ラウンド突入だな、よし…
俺はインカムを取り、五月雨に最後の指示を出す…
「五月雨ェ…」
『なんですか?』
「やっちまえ」
『…まぁ、一所懸命頑張ります』
インカムのスイッチを切り、席を立ち、もう一度演習の場に立つ我が秘書艦殿の姿を見て提督指示席を離れようとすると、隣に座っていた由良さんからどこに行くのか聞かれたので便所と答えると死ねと言われた、むしろお前が死ね
「さて…」
じゃ、こっちも最後ラウンド突入しないとなぁ〜…
大将殿は基本ムカつくしテキトーなジジイだが真面目な嘘はつかない、真面目な嘘だとどんなに良かったコトかとここ最近はずっと考えていたが…
「まぁ、人生はなるようにしかならねぇモンだ」
次回から今年最後のイベント海域編
聖域激震!新たなる聖戦の幕開け!