不健全鎮守府   作:犬魚

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帰ってきたサンドバッグ姫

【登場人物】

潜水棲姫・改(KAI)
新たなる力を身に付けて帰ってきた元祖姫級潜水艦




ダバオ沖哨戒線①

前半戦を難なく突破し、続く後半の海…

前半戦が戦艦いらずと些か舐め気味だったせいか、後半戦はいきなり難易度が激増!強者ひしめくこの海を舐めてかかる多くの提督達に、大本営はいつも何か大事な情報を隠している、ハッキリわかるんだね…と言うコトをわからせた

 

そして、そんな後半戦最初の海、ダバオ沖…

 

この海で待ち受けるBOSS!地獄の底から不死鳥の如く甦った姫級ッッッ!!

 

『キータノォ…?ワタシノエモノタチィ…!マッテ……マッテイタワァ!!コノ“瞬間(トキ)”ヲヨォー!』

 

新たな力を身に付け、遂にメジャーの大舞台へ帰ってきた潜水棲姫ッ!一度は華やかな表舞台から姿を消し、死亡説すらささやかれていた彼女は、ひっそりと地道で苛酷なトレーニングを続けており、己自身の限界を破り“改”の域へと至ったのだった…!

 

 

……………潜水棲姫、我々はまず彼女について知らねばならない

 

潜水棲姫、彼女の深海デビューは2015年秋、潜水艦初の姫級として鳴り物入りでデビュー、耐久力を始めとする高いステイタスを持ち、誰もが彼女の活躍を期待した…

 

しかし、期待されていたデビュー戦で見事なまでの完封負け、持ち前のステイタスがまるで活かせず、手も足も出せずに執拗なまでにボコボコにされ、イタイ!ヤメテヨォ!イタイ!ヤメテヨォ!と情けない声で何度も何度も命乞いさせられる苦いデビューとなった…

 

デビューからその後、何度か登板の機会はあったものの目立った活躍もできず、2017年には新たな姫級潜水艦の大型新人、潜水新棲姫がデビュー、猛威を振るい…

 

彼女は居場所を失った…

 

もはや深海棲艦に自分の居場所はない、そう考え、一度は深海棲艦を退団、負け犬となり、恥ずかしい気持ちもあったが他に行くアテなどない彼女は実家に戻る事にした

しかし、そんな彼女を両親は温かく迎えてくれた、よく頑張ったねと…

 

深海棲艦入りして第一線でバリバリ活躍することが親孝行なんだとずっと自分にプレッシャーをかけてきたのは彼女自身だったのだ、もう頑張らなくていいんだ、それに気付いた彼女は涙した、いつまでも、いつまでも泣き続けた…

 

実家に戻った彼女は変わった、以前はどこか暗い表情をしていたが、前より明るくなり、ずっと前向きになった、

新しい仕事も見つけた、深海棲艦に居た頃より給料はガクンと下がったがそれでも良かった…

 

そんな彼女が新しい生活にも仕事にも慣れてきたある日のコトだった…

 

『イタイ…ッ!ヤメテヨッ!!』

 

『イタイタイーッ!イタァァァ!イタイッテ!』

 

『ギャアアアアアアアアアーッ!』

 

深海棲艦を退団し、深海一般職に就いた彼女だったが、かつてのチームが定期的にボコられてる姿は何度か深海TV中継で観ることはあった…

自分の後に入団し、今や一軍に定着して活躍してる潜水新棲姫………かつては嫉妬もあった、自分の方がやれる!と思っていた事もあったが今は素直に彼女が上だと認めている

 

しかし…

 

『…アァ!チガウチガウ!ソイツジャナイ!いすず!マズソイツヲ潰シ……アー…マタカァ〜』

 

退団した頃は、あまり見ないようにしていた深海TVの作戦中継、だが、今はかつてとは違い素直な気持ちで見ることができている………彼女の中には、まだほんの少し潜水魂が燻っていたのかもしれない

 

だが、自分にはもう関係のないコトだ、そう自分に言い聞かせていたある日のコトだった…

 

深海棲艦入団トライアウト開催のお知らせが彼女の耳に届いた、モチロン、今更そんなものを受けるつもりなどない、もう深海棲艦は辞めたのだ、今は深海パン屋として今日も美味しいパンを深海小学校に届ける自分には関係ない………関係ないのに

 

『ゥ……ゥゥゥ!』ポロポロ…

 

関係ないハズなのに……ッ!夢を、捨てきれないッ!自分が居るッッッ!!

かつての夢だったメジャーの舞台、一度は上がったその舞台で夢は儚く散った、でも………叶うならもう一度あの舞台へ!今度こそ最高の輝きを見せたい!

 

一度は諦めた、いや、諦めたと思っていた!でも、諦めきれないッッッ!!駆け上がるんだ!もう一度、あの夢の舞台へッッッ!!

 

 

………こうして、潜水棲姫は深海トライアウトに挑戦し、見事合格、長い育成期間を経て、ついに我々の前へと帰ってきたのだった…

 

深海プロジェクトX〜改への夜明け、甦る不死鳥〜

 

おわり

 

◆◆◆

 

深海潜水艦隊群狼旗艦艦隊…

 

 

「オラッ!イケ!イキ死ね!ソナー死ね!爆雷死ね!キャハハハッ!」

 

『オホッ!ダリナィ!ゼンッゼンタリナ……ンホォォォォォ!爆雷耳ノ奥届イテリュュュュ!鼓膜コンコンノックシテルヨォォォォー!』

 

パンパンパンパン!(ソナー+投射機+爆雷=破壊力)

 

「どぉー?潜水艦がこのグレカーレちゃんには勝てないってわかった?ねぇ?そんな火力と雷装でマエストラーレ級に屈服アクメして情けないと思わないの?ねぇ?」

 

「やめてグレカーレ、お姉ちゃん恥ずかしいからやめて!マエストラーレ級の品位下げないで!」

 

「ハァー?あ、もしかしてマエストラーレもしたいのぉー?あーぁー、コイツ全然だらしないわー、オラッ!潜水艦はマエストラーレ級には勝てませんって謝罪しろコラ!ピースしろピース!ハイ、かーわい♪」

 

パシャ!(スマホカメラ)

 

『アヘェ…』

 

「ハイ勝ちー、潜水艦はグレカーレちゃんには勝てませんでしたぁ〜ざ〜んねんっ♪」


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